計測関連用語集

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詳細説明

顕微鏡

読み方:

けんびきょう

カテゴリー:

#光学・視覚測定器

(microscope)
肉眼では見えない微小な物を、レンズや電子線を利用して拡大し、観察・検査するための装置。計測器でもあり科学分析機器でもある。生物の細胞、金属の組織、電子部品などの微細な構造を数十〜百万倍以上に拡大し、研究、医療、産業現場などで広く利用される。種類やメーカも多い。
種類は大きく2つ。光学顕微鏡(実体顕微鏡など)は光を利用して観察する。中学校の理科の実験で使われる。倍率は数十倍〜1500倍程度。電子顕微鏡は光の代わりに電子線を使う。光学顕微鏡よりも高倍率(最大100万倍)で、ウイルスやDNAなどの超微細な構造を観察できる。nm(ナノメートル)オーダ(分子のサイズに近い)まで画像にして映し出すSEM(走査電子顕微鏡)がある。原理は異なるがAFM(原子間力顕微鏡)は最も微細な形状を測定・分析できる。

光学顕微鏡の最も重要な仕様の「倍率」は対物レンズ(標本の近くにあり、標本の拡大実像を作るレンズ)と接眼レンズ(目で覗くレンズ。対物レンズが作った像をさらに拡大する)の倍率の積。2つの点をどこまで離して識別できるかを示す「分解能」が次に重要。電子顕微鏡には光学顕微鏡のような直接のぞき込むためのガラス製の「接眼レンズ」はなく、電子線を用いて像を拡大・結像させるための電磁レンズ(電子レンズ)が複数使用されていて、最終的な像はモニタや蛍光板に表示される。電子線を磁場(磁界型レンズ)で曲げて焦点を合わせている。光学顕微鏡は人が目で見るが、電子顕微鏡はモニタに画像を映す。

CCDCMOSなどの映像素子が進歩したことで、光学顕微鏡の接眼レンズをやめてデジタルカメラで撮影し、電子顕微鏡と同じようにモニタに映し出す「デジタル顕微鏡」が登場した。国産では(株)キーエンス(KEYENCE)が有名で、業界では「マイクロスコープ」と呼ばれている。光学顕微鏡の老舗の(株)エビデント(Evident、旧オリンパスの顕微鏡事業部門が分社)や、デジタル顕微鏡のパイオニアで専業の(株)ハイロックス(HIROX)などが「デジタルマイクロスコープ」(※1)の名称で製品化している。(株)ニコン (Nikon)やライカマイクロシステムズ (Leica Microsystems、ドイツの光学機器大手)というカメラメーカもつくっている。画像にすることで光学顕微鏡の使い勝手を一新させたマイクロスコープは性能も向上させ、一般の電子顕微鏡と仕様が競合している。

(※1) 「マイクロスコープは接眼レンズを覗くが、デジタルマイクロスコープは接眼レンズがなくモニタに映す」という解説をあるマイクロスコープメーカがしているが、ここでいう「マイクロスコープとは光学顕微鏡を指していると筆者は思う。日本ではマイクロスコープとデジタルマイクロスコープはほぼ同義と認識されている。「マイクロスコープと実体顕微鏡の違い」という解説もネット上にある。つまり、マイクロスコープは顕微鏡(光学顕微鏡)とは違うという説明である。

コンフォーカルの技術を使ったレーザー顕微鏡は光でも電子線でもない顕微鏡である。国産のレーザーテック(株)は1985年に世界初の工業用カラーレーザー顕微鏡を開発した。同社は半導体検査分野で高シェアだが、キーエンス (3Dレーザー走査顕微鏡 VKシリーズ)を筆頭に島津製作所やカールツァイス などが高精度の共焦点顕微鏡を開発し、レーザーテックがトップシェアというわけではない(マイクロスコープの王者 キーエンスはレーザー顕微鏡でも強い)。
このように顕微鏡は広範な意味があり、各メーカの製品名称(品名)に「顕微鏡」とはない場合も多い。顕微鏡とはカテゴリー名であり、製品名である。

顕微鏡(光学顕微鏡)は16世紀後半にオランダのヤンセン親子によって発明されたとされる。英語のmicroscopeを翻訳して「顕微鏡」という日本語をつくったが、日本ではデジタルマイクロスコープなどの名称のマイクロスコープと呼ばれる製品群がある。メーカは「顕微鏡ではなくマイクロスコープである」と、製品が異なることを強く主張している。顕微鏡のmicroscopeをカタカナ読みしたマイクロスコープは顕微鏡ではない、という驚くべき特異な状況で、顕微鏡業界以外の一般の技術者には大変にわかりにくい(というか大混乱だと思うのは筆者だけであろうか)。なので、顕微鏡村以外の人は深入りしないのが得策である。
せめて「デジタル光学顕微鏡」や「モニタ型光学顕微鏡」という名称を普及させて、電子顕微鏡との違いを分かりやすくしてほしかった(マイクロスコープって顕微鏡じゃあないかっ!)。 英語圏で「デジタル技術で画像化する、覗かない光学顕微鏡」をdigital microscopeと呼称しているのを、そのままカタカナ日本語にしただけなのだろうか。歴史あるオシロスコープも時代とともに名称が変遷したが、マイクロスコープの名称の経緯(登場の歴史)は筆者には良くわからない。キーエンスは豊富な解説記事をホームページに掲載いているが、「顕微鏡の歴史」なんかではなく、「マイクロスコープとは ~ なぜこの名前?」という王道の解説をビシッとしてもらいたい。

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