リニア電源
(liner power supply)
トランスとアナログ回路(リニアレギュレータ)を使い、交流(AC)から安定した直流(DC)をつくりだす電源。直流電源にはリニア電源(方式)とスイッチング電源(方式)がある。トランスで交流電圧を必要なレベルに変圧し、整流回路で直流に変換し、リニア(線形)レギュレータで出力電圧を安定化する。リニアレギュレータはトランジスタの線形領域(直線的に増幅される領域)を利用して、入力電圧と出力電圧の差分を熱として消費し、安定した定電圧を出力する。シンプルな回路構成なので安価だが、トランスやヒートシンクを使っているのでサイズは大きく、重たくなる。
古くからある直流安定化電源(計測用電源)の方式で、最近はやりのスイッチング電源と使い分けられている。別名、ドロッパ方式やシリーズレギュレータ方式の直流電源、シリーズ電源(または方式)、リニア電源(または方式)など、複数の呼称がある。通常、リニア電源は負荷と直列(シリーズ)に制御素子(トランジスタなど)を配置しているので、シリーズレギュレータの呼称がある(リニア電源で制御素子を並列にしている回路方式もある)。
スイッチング電源は製品の名称になることが多いが、リニア電源やドロッパ電源、シリーズレギュレータ電源は品名になることはほとんどない(これらの呼称は分類名である)。そのため名称からリニア電源か否かはわからないことが多い。各計測器メーカの直流電源の分類名は以下。菊水電子工業はシリーズドロッパ方式やドロッパ方式、高砂製作所は「リニア電源(シリーズレギュレータ方式)」、エヌエフ回路設計ブロックや計測技術研究所はリニア電源、松定プレシジョンはリニアレギュレータ方式やシリーズレギュレータ方式(2026年3月、各社HPより)。各社様々で初心者には大変にわかりにくい(計測器で一番始めに出てくる、比較的簡単な機種群である直流電源が、このように名称が不統一である。電気計測器のニッチな状況を象徴している)。
交流電源に使われるアンプにはリニアアンプとスイッチングアンプがある。「リニアアンプ方式」のモデルが古いが、現在ではこの呼称を「リニア方式」とも呼ぶ。そのためリニア電源は交流電源を指している場合もある。このあたりの事情は歴史的な経緯など、関係者でないと理解できない内容で、筆者には説明ができない。ある識者に「リニア方式とリニアアンプ方式の違い」を質問したら「オーディオアンプのA級、D級」から説明が始まった。つまり一言で簡単にリニア方式とリニアアンプ方式の違いは説明できなくて、オーディオアンプを理解していることが大前提のようである。

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