リニアアンプ方式
計測用の交流電源で、リニアアンプを使ったモデルをリニアアンプ方式やリニア電源と呼ぶ。リニアアンプは入力信号の波形を一定の比率で大きく増幅する直線増幅器で、オーディオ機器や交流電源に使われる。
交流安定化電源は回路方式によってリニアアンプ方式(またはリニア方式と呼称)とスイッチング方式(PWMインバータ方式など)の2種類がある。従来は、用途としてシミュレーションや規格試験なら「リニアアンプ方式」、安定化や周波数変換用途なら「スイッチング方式」であった。ところが最近はスイッチング方式であってもシミュレーション、規格試験ができるようなモデルがある(たとえば、菊水電子工業のPCR-WE/WE2Rシリーズなど)。スイッチング方式のノイズもリニアアンプ方式と遜色ないレベルになり電波暗室でも使用できるようになってきた。リニアアンプ方式の方が応答速度が速く、低ノイズである事は事実だが両者の差はなくなってきている。ただし、より高速応答で低ノイズを求めるユーザにはリニアアンプ方式が適している事は変わらない。
計測用電源の代表的な2メーカの解説を紹介する。
菊水電子工業の2019年版製品総合カタログ(電源・電子負荷に関する用語)には「リニアアンプ方式:内部回路が線形に動作する方式で、A級増幅器やB級増幅器がある」とある。高砂製作所のHPの交流電源のページには「リニアアンプ方式:出力制御用の半導体がリニアに出力状態を変化させるように動作するため、効率は劣るが出力の低インピーダンスと高速応答性、低ノイズなどのメリットがある。」とある。
リニアアンプ方式やリニア電源は方式や種類の名称で、製品の品名になることはほとんどない。そのためリニアアンプ方式かスイッチング方式かは製品カタログなどで仕様を確認しないとわからない。直流電源のスイッチング電源のように品名から即座に判別できたら、ユーザは助かるがそうはなっていない。メーカは自社HPで方式の技術解説は熱心にしているが、具体的な製品名に「リニアアンプ電源」などの名称を命名することはないので、ユーザは機種選定には苦労する。
2026年3月現在、菊水電子工業と高砂製作所はリニアアンプ方式の交流電源をラインアップしているが、両社とも生産終了を発表している。エヌエフはES-2000Eシリーズ などのリニアアンプ方式のモデルがあるが、DP020ASなどのスイッチング方式の販売にも注力している。リニアアンプ方式の需要は減っていると推測される。
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