デジタルコミュニケーションアナライザ
(digital communication analyzer)
光の波形を解析する測定器。キーサイト・テクノロジーのモデル86100シリーズや83480Aの名称(品名)。同社は略記のDCAを大変良く使っていた。86100Aの最新形名は86100Dだが販売終了・サポート中である(2021/2月現在)。実体はサンプリングオシロスコープだが、通信インフラである基幹通信網の有線部分が光通信で拡張されていた時代(1980〜2000年頃)には、アイパターン評価の用途で使われ、「光オシロ」などと呼称された。
同社は2000年代初期までは世界No1の光測定器メーカだったので、オシロスコープでなく光測定器の分類にDCAを掲載していた。そこで(冒頭に説明した)「光の波形解析器」だった。ただし、同社は現在、光測定器はOPM(光パワーメータ)などの一部の機種群だけでラインアップは少ない。現在はオシロスコープの中のサンプリングオシロスコープとして掲載している。特長も「電気/光/TDR測定用」と記載されている。そのため、現在では「キーサイト・テクノロジーのサンプリングオシロの名称」という説明が妥当である。同社ホームページには「86100A Infiniium DCA 広帯域オシロスコープ」、「83480A ディジタル・コミュニケーション・アナライザ」という表記もみかける。
余談だが「デジタルコミュニケーションアナライザ」という品名からはオシロスコープは想像しにくい。命名の理由は定かではないが、オシロスコープではなく「通信用の解析器」と主張したかったと推定する。同様にプロトコルアナライザで国内No1メーカであった安藤電気はプロトコルアナライザ(プロアナ)ではなく「データコミュニケーションアナライザ」が品名だった。これも同じくプロアナだとはわかりにくい命名だが「データ通信の解析器」という意味を込めたと思われる。このように計測器の名前(各社の品名)は、素人には大変わかりにくい。品名からカテゴリー(機種群)を特定したり、何を測定するのか(仕様)を想定することはむずかしいことが多い。計測器はニッチな(わかる人達の村社会の)商品なので、初心者にはわかりにくい。一般のサラリーマンは(仕事で関係しないなら)誰も好んで関わりたくはない分野である(事業者として計測器に愛着を持っている人達を除けば)。