シグナルコンディショナ
(signal conditioner)
センサの微弱な信号を増幅して記録計などに入力するアンプ。「信号を整える物」という意味。広義にはある種の電気信号を別の種類の信号に変換する機器を指す。計装ではトランスデューサ(transducer)も同じ機能の機器を指している。計測器のシグナルコンディショナはセンサと計測器(レコーダなど)の間につなぐ計測器(アンプ)。(株)共和電業や(株)エー・アンド・デイのひずみ測定用の直流アンプで、ひずみ測定器の品名でもある。センサであるひずみゲージの信号を増幅して、レコーダやデータロガーなどの記録計に入力できる信号にする。
共和電業HPには「ひずみ測定ではひずみゲージブリッジに加える電源の方式により、交流方式を動ひずみ測定器、直流方式をシグナルコンディショナと、当社では区別している」とある。旧三栄測器製品を販売する三栄インスツルメンツ株式会社(※1)HPでは「シグナルコンディショナー(アンプ、増幅器、指示計) :ひずみゲージやひずみゲージ式変換器(荷重、圧力、変位、加速度、トルク)の信号を増幅するためのアンプ」と説明している。
エー・アンド・デイの工業計測機器(旧三栄測器/日本アビオニクスの製品群)はシグナルコンディショナとしてストレンアンプ(※2 strain amp、ひずみ増幅器)やアイソレーションアンプ(絶縁アンプ)を掲載している。ACブリッジ方式のモデルAS1000シリーズの品名は「ACストレンアンプ」で、ノイズ耐性に優れたAS1803シリーズは新幹線などの鉄道車両のひずみ測定に使われている。AS1803の共和電業の同等品はDPM-900シリーズだが、(前述のように)ブリッジ電源が交流のため、「シグナルコンデイショナ」ではなく「動ひずみ測定器」が品名である。エー・アンド・デイのシグナルコンデイショナには「アイソレーション直流アンプ」ALシリーズもある。これはひずみ測定用ではなく一般的な絶縁DC増幅器で、以前は横河電機が同等品をつくっていた(同社ラインアップではレコーダやデータロガーの関連製品だった)。このように、シグナルコンディショナ、ストレインアンプはひずみ測定器から記録計(レコーダ、ロガー)と広範な用語であるが、TechEyesOnline用語集ではひずみ測定器、荷重測定器などの物理量測定器の用語ととらえている。
ロードセル(荷重変換器)をラインアップするティアックは、センサであるロードセルにつなぐアンプで表示機能があると指示計(indicator)、表示がないとシグナルコンディショナーと呼んでいる(品名にしている)。このようにシグナルコンディショナの定義(ことばの使い方)はメーカごとに好き勝手で統一感がない。計測の用語集で解説するのは難儀である。計測器はメーカ(技術者)によって、同じことばでも違う意味に使われることが多々あるので、初心者には理解しにくい。まったくニッチな村社会といえる。
(※1) 三栄測器の計測器はNEC三栄、NEC Avio赤外線テクノロジーを経て日本アビオニクス(NECアビオニクスとも呼称)になったが、旧三栄測器の営業は2013年に三栄インスツルメンツ株式会社を設立した。2015年に日本アビオニクスは旧三栄測器の計測器をエー・アンド・デイに売却し、ラインアップをサーモグラフィ(熱画像計測装置、赤外線による非接触温度計)に集中した(エー・アンド・デイ社長が歴史ある老舗計測器を自社に引き取ったともいわれている)。その後、2021年に三栄インスツルメンツはエー・アンド・デイと合弁し吸収された。つまり、会社は2013年~2021年の8年間に存在した。日本アビオニクスはレコーダやシグナルコンディショナをやる気がなかったが、エー・アンド・デイは1事業として継続する方針であることが伝わる出来事である。2013年頃までには日本アビオニクス社内では旧三栄測器の製品を中止する方向になっていたと推測される。
(※2) 一般にはストレインアンプだが、エー・アンド・デイ(三栄測器)はストレンアンプ(「イ」がない)と表記している。

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