計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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可変抵抗減衰器(かへんていこうげんすいき)

減衰量を可変できる抵抗器 。可変アッテネータやステップアッテネータとも呼ばれる。「減衰」を略して「可変抵抗器」と呼称されることも多い。

雷サージ試験器(かみなりさーじしけんき)

(lightning surge tester) 障害試験器の1種で、電気製品に雷サージ電圧を与えて耐性を試験する機器。ノイズシュミレータなどEMC関連の計測器を豊富にラインアップする国産のノイズ研究所にはLSSシリーズの雷サージ試験器がある。雷サージは高電圧、大電流のため、雷サージ試験器はベンチトップよりも、ラックに収納された大型の機器が多い。

QAM(かむ)

(Quadrature Amplitude Modulation) 読み方:カムまたはキューエイエム。日本語では「 直交振幅変調(または直角位相振幅変調)」だが、QAMという表現(表記)の方が良く使われている。デジタル変調の1つ。位相が直交する二つの波を合成して搬送波にして、振幅を変化させてビット値を割り当てる変調方式。たとえば64QAMは1つの搬送波に8段階の振幅変調をして64値(6ビット)を送れる。現在主流のデジタル無線通信で利用されている変調方式。 IQ座標軸(I:In-Phase、同相。Q:Quadrature-Phase、直交位相)で変調の様子を表した波形をコンスタレーションと呼ぶ。 参考用語:I/Q信号、I/Q変調、I/Q変調信号発生器、I/Qジェネレータ

カラーアナライザ(からーあならいざ)

カラー液晶やディスプレイの色・輝度を測定する機器。コニカミノルタのフィルタ型の輝度計CA-400シリーズの品名。分光放射輝度計に近い性能があり、輝度のほか色度測定ができる。別名:色彩輝度計(こちらの名称の方が一般的)。

カラーコード(からーこーど)

電子部品の数値などの仕様を色で部品に示したもの。例えば抵抗は4色の線が部品にある。左から2つが数値、3つめが乗数、一番右が許容差を示す。0は黒色、1は茶色・・・9が白色と決まっている。JISで規定されていて、その部品(抵抗)が何オームか色を確認したらわかるようになっている。

ガラケー(がらけー)

「ガラパゴスケータイ」の略で、フィーチャーフォンとほぼ同義。3G方式までの通話機能が主体の日本の携帯電話を指す。折り畳み式(コンパクト型)の携帯電話が代表的。ガラパゴスは生物が独自の進化を遂げてきたガラパゴス諸島が語源。日本独自の機能(ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信など)を持ち、日本独自の機能を進化させてきたので、ガラパゴスと揶揄された。 2023年現在の通信方式である4Gや5Gに比べて、3Gは古い方式で、各キャリアの3G回線は順次サービスが終了する。auは2022年3月末、SoftBankは2024年の1月下旬、NTTドコモは2026年3月末に「3G回線をサービス終了(停波)する予定である」ことを告知している。各端末メーカは3G回線のガラケー新機種を生産・発売していないので、現在ガラケー使用者はスマートフォンなどへの機種変更が必要である。 3Gの商用サービスは日本では2001年にNTTドコモが開始した。世界初のデジタル方式の携帯電話だった。当時は家電、情報通信メーカ各社が3G用の携帯電話端末をつくり、日本には20社近いメーカの設計・生産拠点があった。開発から製造までには各種の無線通信用の計測器が必要で、NTTドコモなどの通信事業者(キャリア)から各メーカへの生産計画は、モデル別に毎月のように変更になるため、各メーカの生産ラインの試験機材はほとんどレンタルだった。シグナリングテスタや無線機テスタ(ワンボックステスタ)、ベクトル信号発生器、デジタル変調の解析ができるスペクトラムアナライザなど数百万円~1千万円する高額な通信計測器が複数台、各携帯電話メーカの製造現場でレンタルされた。無線通信用の高額な専用機だけでなく、菊水電子工業のPMCシリーズなどの小型の直流安定化電源(シリーズレギュレータ方式)も100台単位でレンタルされた。キーサイト・テクノロジーには移動体通信用電源と称される機種群があった(GP-IB機能がある66311など)。 計測器を取り扱うレンタル会社はこぞって高額な通信計測器を購入し、2000年代にはモンキービジネスが展開されたが、体力のないレンタル会社は不良資産を抱えて撤退した。2010年代には携帯電話の国産メーカはほとんどなくなり、ガラケー時代は終わり、iPhoneやアンドロイドのスマーフォンになった。ガラケー時代は、メーカの製造ライン設備がリースでなくレンタルで運用された稀有(特異、異常)な例(唯一といえる例)である。

渦流探傷(かりゅうたんしょう)

Eddy current Testing(またはElectromagnetic Testing)の翻訳で、金属などの導体の表面付近にある割れや腐食などの欠陥を検査する、非破壊検査の手法。渦電流探傷(うずでんりゅうたんしょう)とも呼ばれる。略記:ET。 交流電流を印加したコイルを検査対象に近づけると対象物表面に渦(うず)電流が発生する。その大きさが欠陥の有無や材質の不均一性によって変化することを利用して検査する。センサと検査対象の距離を一定に固定する必要があるが、前工程や後工程が無いために自動化・無人化に向いているという利点がある。最も普及している探傷方式である超音波探傷(UT:Ultrasonic Testing)は対象物とセンサの間に水が必要で、対象物を水で濡らす、水の中に入れる、などの前処理と、水を拭き取る後処理が必要になる。 ドイツのローマン社(Rohmann GmbH)は対象物がセンサとの距離を変化させても、装置が自動で距離を補正して検査をするモデルを製品化している。高性能な渦流探傷装置としてベアリングなどの検査に導入されている。

ガルバノメータ(がるばのめーた)

(galvanometer) 日本語では「検流計」だが、ガルバノメータ(またはガルバノメータ―)という表現も書籍などの各所に使われている。電流を検出する精密な電流計の1種(アナログ式の指示計器)。メータの指針が振れることによって、電流が流れたことを知る目的で使われる。そのため何アンペアが流れたかではなく、回路が平衡して電位差が無いことを、微弱な電流が流れない(針が振れない)ことで確認する。ブリッジで平衡を確認するのに使われる。回路図で、ブリッジの中央に検流計のことを英字の大文字で「G」と記載しているのは、galvanometerの略記である。 18世紀のイタリアの解剖学者/生理学者で、神経と筋肉の研究を行い、カエルの足に電気刺激を与えると足がけいれんすることを発見(動物電気の発見)したGalvani(ガルバーニ)に由来する。 技術者はガルバノメータを略して「ガルバノ」ということも多い。

カレントプローブ(かれんとぷろーぶ)

オシロスコープと測定対象を接続するためのアクセサリ。(=電流プローブ)

カレントモニタ(かれんともにた)

クランプセンサと組み合わせてレコーダやオシロスコープに接続し、電流波形を記録・観測する機器。

カロリーアンサー(かろりーあんさー)

(calorie answer)食品のカロリー(熱量)などの栄養成分を、(専門機関で分析しないでも)測定できる装置。従来、食品のカロリーを知るためには、専門の分析機関に依頼し、結果がわかるまで数日を要していたが、この測定器はわずか数分で計測できる。 (地独)青森県産業技術センターがジョイ・ワールド・パシフィックと共同開発した(販売はジョイ・ワールド・パシフィックがしている)。世界で初めて近赤外線で食品のカロリーや栄養成分の測定を可能にした測定器の品名が「カロリーアンサー」。 ジョイ・ワールド・パシフィック以外にも計測機器の商社が販売している。たとえば2006年から食品・医薬品市場をターゲットに、味や匂いの感覚を数値化する製品の取り扱いを始めた入江株式会社は、その分野の製品としてテクスチャーアナライザ(物性試験機)と、カロリーアンサーを販売している。「栄養成分自動測定器~カロリーアンサー」と題してHPに製品紹介している商社もある。これらの製品掲載ではカロリーアンサーのメーカ名は明確には明記していない。つまり前述のジョイ・ワールド・パシフィックの独占販売ではない。ジョイ・ワールド・パシフィックの「カロリーアンサーのメーカ名はジョイ・ワールド・パシフィックである」という主張に従って、当サイトでは掲載している。 参考記事(会員専用):【展示会レポート】JASIS(Japan Analytical & Scientific Instruments Show)2019・・食感を数値化する物性試験機(テクスチャーアナライザ)を取材。 計測器情報:カロリーアンサーCA-HMの仕様や製品カタログ

GaN(がん)

窒化ガリウム。Gallium Nitride(ガリウムナイトライド ) 。半導体の材料元素はシリコンが主流だが、パワー半導体ではSiCやGaNを使った製品が普及しつつある。

簡易接地抵抗計(かんいせっちていこうけい)

通常の接地抵抗計には精密測定と簡易測定の2つの機能があるが、簡易測定だけに特化して、形状もペン形にした共立電気計器のオリジナル製品。形名KEW 4300。接地棒のいらない簡易測定専用ペン型簡易アースになっている。

簡易電力計(かんいでんりょくけい)

家庭や事務所の多くの電気機器の消費電力と積算電力を測定して、節電の目安にする目的で使われる安価な電力計のこと。商用電源のACコンセントに接続して、電力値をデジタル表示する小型の箱型の製品が、計測器から計量機器まで広くハンドヘルド製品をラインアップする株式会社カスタム(CUSTOM)から発売されている。簡易電力計は、一般の人を対象に作られた電力計であるため取扱いは簡単なものとなっている。たとえば校正対象でない製品もある。設置型の機器のため、可搬型の計測器としての圧力計(マノメータ)と、プラント内に設置してある圧力計(丸形で針が振れるアナログ式の指示計器が多い)の関係になぞらえると、簡易電力計は計測器とは言えないかもしれない。参考用語:電力変換器、電力モニタ 参考記事:電力計の基礎と概要 (第1回)・・電力測定器の種類を解説。 計測器情報:簡易電力計の製品例

乾球温度(かんきゅうおんど)

(dry-bulb temperature)[水分用語]乾球温度計で測定された気温。通常は湿球と対で用いられ、それぞれの測定値により相対湿度が計算される。(「気体中の水分管理」の会社、株式会社テクネ計測の「湿度で良く使われる用語」より)参考用語:dp

環境温度補正(かんきょうおんどほせい)

非接触温度計(サーモグラフィ、放射温度計)を使用する際の、環境温度に対する温度ドリフト補正のこと。放射率補正を行う場合は環境温度に対する反射の影響をキャンセルする必要がある。これを行うには環境温度で放射率が1と見なせる物体を放射温度計に観測させる方法が取られる。(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より) 参考用語:放射率、 反射率補正、黒体

環境試験器(かんきょうしけんき)

(environmental tester) 別名:環境試験機、環境試験装置。「一般社団法人 日本試験機工業会」は環境試験装置を以下の分類で説明している。温度・湿度・圧力・関係試験機、耐候性・腐食試験装置、温度衝撃試験装置、振動試験機(電動・機械・油圧)、落下/衝撃試験装置、複合環境試験装置。 計測器としては温度や湿度を変化させて試験対象物の性能を評価する恒温槽が代表(恒温恒湿器とも呼ばれる)。環境試験器のシェアで日本60%、世界30%を標榜するエスペックは「環境試験器」と呼んでいる(表記している)が、インターネットで検索すると「環境試験機」のほうが多く表示される。その他の恒温槽の国産メーカは楠本化成(ETAC、エタック)やヤマト科学、株式会社カトー、平山製作所などがある。 恒温槽に次いで多く行われる振動試験は、大きな振動台の上に試験対象物を載せて振動加振器で振動を与えて評価する(国産メーカはIMVやエミックがある)。機器をある高さから床に落として耐久性を確認するためにハイスピードカメラ(高速度カメラ)が使われる。また、自動車に各種のセンサを付けたダミー人形を載せで壁に衝突させて衝撃の度合いや破損状況を確認している。 信頼性試験(reliability test)という分野もあり、環境試験と似た範疇のことばとして使われている。環境試験というと温度・湿度・振動などの物理量の試験、信頼性試験は耐久性・安全性・故障率などの評価を指している。以下記事のクオルテックのパワーサイクル試験は、メーカは信頼性試験と呼んでいるが、環境試験ともいえる(環境試験と信頼性試験の違いは難しい)。

乾燥剤(かんそうざい)

[水分用語]化学的に水蒸気を吸収することによって乾燥効果を発揮する物質の総称。(「気体中の水分管理」の会社、株式会社テクネ計測の「湿度で良く使われる用語」より)

カンチレバー(かんちればー)

(cantilever)片端が固定で、反対の端が自由な構造体。プールの飛び込み板のような構造。梁、橋などの建築物で使われる用語だが、その機械的な構造は電気・電子分野でも利用されている。たとえば振動の発生や測定など。

貫通型電流センサ(かんつうがたでんりゅうせんさ)

クランプのように開閉できない電流センサのこと。通常、電流測定はクランプで電線を挟み込むが、丸い輪が開閉せず、輪の中に電線を通して測定するものを貫通型と呼ぶ。開閉できるクランプよりも一般的には精度が高い。クランプを豊富にラインアップする日置電機が小型から大電流(2000A)まで揃えている(2023年2月現在)。CT68xx、CT69xxが最近の日置電機の貫通型の形名である(以前は貫通型電流センサは9709のように、形名は97xxだった)。名称に貫通型という表現ははなく、品名は「AC/DCカレントセンサ」。ただし「AC/DCカレントセンサ」という品名のクランプセンサもあり、名称ではなく外観を見ないと貫通型かは判別できない。 重電メーカではより大電流(2000A以上)を測定したい要望があるが、「クランプの日置電機」でも簡単ではないらしい。従来1000Aまでだったのを2000Aモデルを開発したのは最近(2019年)である。需要はあるがビジネスになるか(売上と開発コストの兼ね合い)が課題と推測する。