計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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回路計(かいろけい)

(circuit meter)電子回路の基本的な物理量である電圧、電流、抵抗を測定する計測器のこと。電圧計や電流計のような単一の物理量だけの測定ではなく、複数に対応した計測器なので、別名、マルチメータ。マルチな(多種類に対応した)メータ(測定器)という意味。俗称ではテスタとも呼ばれる。 日本では別名、回路試験器(circuit tester)と呼ばれることもある。電気・電子回路を試験(テスト)する機器なのでテスター(tester)が通称。欧米ではmultimeter(マルチメータ)と呼ばれることが多いらしい(海外ではtesterは計測器全般を指すことばである)。 参考用語:デジタルマルチメータ 計測器情報:回路計の製品例

回路素子測定器(かいろそしそくていき)

電子回路に使用される素子(電子部品やトランジスタなどの半導体)の値を計測する測定器。代表はLCRメータ。抵抗(R)測定に特化した抵抗計は種類や名称が多い。絶縁抵抗計、超絶縁抵抗計、メガーやエレクトロメータ、IRメータ。低い抵抗を測定するミリオームメータ、低抵抗計。接地抵抗計やブリッジ。それぞれ、測定する抵抗の値や用途などアプリケーションによって適切な抵抗測定器がある。 キャパシタ(静電容量、コンデンサ、C)を測定するのはCメータ(キャパシタンスメータ、容量計)だが、LCRメータのNo.1メーカであるキーサイト・テクノロジーが以前発売していたが、いまは生産中止で、日置電機とエヌエフ回路設計ブロックにはラインアップがある(2022年8月現在)。インダクタ(コイル、L)の値を測定する専用器は無い(通常はLCRメータで測定する)。トランスなどの変圧器のコイルの巻き線比はレシオメータで測定できる。リアクタンスの指標であるQ値(クオリティーファクタ)を測定するQメータがあったが、いまはLCRメータで代用されている。 LCRメータは試料(DUT)に交流を印加してインピーダンスを測定し、等価回路(RとCの直列とか、RとLの並列とか)によって抵抗成分(R)とリアクタンス成分(CやL)の値を算出する。なので交流インピーダンス測定の計測器である。DUTに印加する信号の周波数が1MHz付近を境に品名が、LCRメータ(50Hz、100kHzなど)、インピーダンスアナライザ(3MHz、3GHzなど)と分かれていたが、最近は境が曖昧になっている。回路素子測定器が測定するL、C、Rは集中定数回路の値であり、高周波(RFやマイクロ波など)で使われる電子部品を分布定数回路で評価するのはネットワークアナライザ(ネットアナ)になる。そのためLCRメータやインピーダンスアナライザなどの回路素子測定器は、ネットアナやFRA(周波数特性分析器)と一括りにした分類をされることもある。また、LCRメータは材料評価にも使われるので、B-Hアナライザのような磁性体測定器と同じ分類にしている計測器の解説書(事典)もある。 DUTを接続する治具(じぐ)はLCRメータやネットアナではテストフィクスチやテストリードと呼び、DUTとの接続はケルビン接続(4端子法)が使われる。DUTに応じた治具のカスタマイズも行われている。DUTにDCを重畳したい場合はDCバイアスアダプタやバイアスカレントソースなどの別売アクセサリを用意しているメーカもある。 メガーのような現場測定器はそれだけで一群をなしているので、たとえば日置電機は絶縁抵抗計と回路素子測定器(LCRメータ)を別分類にしている。メガーは電気機器の絶縁状態を確認する保守用途であり、抵抗測定はその手段に過ぎない。メーカによっては電子部品の抵抗成分を測定するLCRメータなどの回路素子測定器に絶縁抵抗計を分類していないケースもある。 参考記事: LCRメータの基礎と概要 (第1回)・・交流インピーダンス測定や測定器を図解。 計測器情報:回路素子測定器の製品例・・「カテゴリーから探す」を選択すると下位の分類に絞れる。

回路負荷(かいろふか)

プローブとオシロスコープがテスト対象の回路と相互作用を起こし、信号に歪みを生じさせること。(テクトロニクス「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)より)

ガウス分布(がうすぶんぷ)

(gaussian distribution)滑らかな山型の曲線のこと。統計学で使う代表的な確率分布。中央の山の山頂付近に多くのデータがあり、平均値と中央値(中央の山頂)が一致し、平均値を中心に左右対称になっている。別名:正規分布(normal distribution)。曲線のことをガウス関数ともいう。自然界の現象の多くがガウス分布している。ガウス関数(曲線)を使ったフィルタを通すことを正規化という。ガウスは18~19世紀のドイツの科学者、ヨハン・カール・フリードリヒ・ガウスに由来する。ガウスがガウス分布を初めて提唱したわけではないが、電磁気学などではガウスの名前がついた理論が他にもある。参考用語:ガウスメータ

ガウスメータ(がうすめーた)

(gauss meter) 磁気測定器のこと。磁気のある部品(フェライト、希土類マグネット、電磁コイル、電磁石など)の磁束密度(磁気の値の指標)の測定器。磁束密度の単位は長く「ガウス」だったが、現在は「テスラ(SI単位系)」である。そのため「テスラメータ」を品名にするメーカもある。 「ガウスメータ」という表現は「磁気測定器」の別称である。磁気測定器という機種群(カテゴリー)の通り名として今も良く使われる。実際はガウスよりテスラが正式な単位だが、いまだにガウスメータという呼称は皆が使っている。 計測器メーカは、東陽テクニカが海外のFWベル製品を長年取り扱ってきた。F.W.BELL社はPacific Scientific OECOに社名変更し、東陽テクニカはガウスメータ本体の販売を休止し、プローブのみ在庫販売している(2023年2月現在)。代わりにLakeShore(レイクショア)社のテスラメータ/ガウスメータを販売している。計測器本体とInAsなどに代表されるⅢ-Ⅴ系半導体のホール素子を使用した測定用プローブの組合せで構成されている。ガウスメータは平型プローブ、同軸型プローブ、3軸プローブなどの各種プローブと併用して使われる。国産では日本電磁測器株式会社や電子磁気工業株式会社がつくっている。ガウスメータはベンチトップのモデルが多いが、同じ磁気測定器である磁界測定器は本体の先端にセンサを装着するハンドヘルドのモデルになる。 ガウスとは人名。ヨハン・カール・フリードリヒ・ガウス(Johann Carl Friedrich Gauß、1777年~1855年)はドイツの数学者・天文学者・物理学者。近代数学や物理学(電磁気学など)にガウスという名前が付いた法則・手法が多くある。18世紀のオイラーと共に19世紀最大の数学者といわれる。

カウンタ(かうんた)

周波数を電気信号に変換し、さらに測定値をデジタル表示する計測器。ユニバーサルカウンタ、周波数カウンタ、マイクロ波周波数カウンタなどがある。以前はアドバンテスト(現エーディーシー)や横河電機(現横河計測)などがつくっていたが、現在は国産メーカでは岩崎通信機くらいしかラインアップしていない(2022年現在)。昔ほど需要がないためと推測する。CDやDVDが普及した時代にはカウンタの1種であるタイムインターバルアナライザやタイムインターバルジッタメータが活躍した。 参考記事:ユニバーサルカウンタの基礎と概要 (第1回)・・カウンタの基礎から記述している。 計測器情報:カウンタの製品例

過温度保護(かおんどほご)

機器が規定の温度以上に上昇した時に、これを検知して電源を停止させる機能。計測器にも搭載されている機能。高砂製作所の用語集には次の記載がある。電源装置内部が何らかの原因で規定温度に達した場合、保護のため停止する機能。

拡大表示(かくだいひょうじ)

オシロスコープで、表示を拡大する機能。ZOOM機能と呼んでいる機種もある。記録した波形データの一部の範囲を指定して拡大表示できる。たとえばテクトロニクスのMDO4000シリーズなど、ZOOMつまみがある機種は、表示される範囲(表示ウインド)をスクロールさせることで、表示位置を変更できる。ベンチトップの汎用オシロとして同社のTDS3000シリーズは10年以上市場に流通したロングセラーだが、この後のモデルとして、薄型大画面の形状で発売されたDPO4000シリーズには横軸の機能として、新しくZOOMつまみが備わった。簡便な操作で、表示が拡大できることは革新的な機能の登場であった。

確度(かくど)

(accuracy) JIS(日本産業規格)の「計測用語」では「指定された条件における誤差限界で表した計測器の精度」と定義している。以下に、2つの計測器メーカの解説を紹介する。 ひずみ測定器メーカの株式会社東京測器研究所の「測定器の概要と主な用語」には「確度:指定された条件における誤差の限界値。表示値または測定範囲に対するパーセンテージ(%rdgまたは%FS)で表す。rdg=reading(表示値)、FS=Full Scale(測定範囲)」とある。 絶縁抵抗計などの現場用のハンドヘルド(可搬型)モデルをラインアップする共立電気計器株式会社の用語集では確度の表記方法を次のように説明している。デジタルタイプの計測器の確度は、標準状態で測定値と真値の差を規定したもので次の様に表示する。「±A%rdg±Bdgt」。確度の第1項(±A%)は読み値に対する誤差で、入力の大きさに比例し単位は%で表す。第2項(±B)は入力によらない一定の値の誤差であることを示し、表示のディジット数で表す。rdgはreadingの略で読み取り値を表し、dgtはdigitの略で数字を表す。デジタル表示の最小桁を数字で表し、おもにデジタル測定器の誤差要因を表す。 上記の東京測器研究所の解説はアナログの指示計器の確度について示唆している。一般的にアナログ表示の指示計器(文字盤の上を針が振れて止まった場所の数値が測定値となる)はフルスケールで確度(誤差)を規定している場合が多い(0.5級や1.0級など)。また共立電気計器はデジタル表示の場合の確度について説明している。このように計測器がアナログ式(指示型)とデジタル表示では確度の規定が異なる。 確度とは一般に「確かさの度合い」を意味する。計測器の技術用語ではなく、ビジネスの世界では「引き合いの受注の確かさ」をいう。確度が高いとは「商品やサービスの注文してくれる確率が高い」こと、逆に低いとは「見込み客が購入する可能性が低い」ことである。 確度に似たことばに「精度」(precision)がある。これは「精密さ、正確さの度合い」である。精度は「再現性の尺度。複数回の値のばらつきの小ささ」、 確度(accuracy)は「真の値に近い値の尺度」という説明もある。ただし、校正の分野で最近よく使われる不確かさ(uncertainty)は「測定値のばらつき度合いの尺度」で、ことばは確度に近いが、内容は精度に近い。精度と確度の明確な違いは、説明が難しい。

核燃料サイクル(かくねんりょうさいくる)

原子力発電(原発)で使い終えた燃料から、核分裂していないウランや新たに生まれたプルトニウムなどをエネルギー資源として回収し、再び原発の燃料に使う仕組み(一般財団法人日本原子力文化財団HPより)。日本原燃株式会社(JNFL:Japan Nuclear Fuel Limited)が青森県六ヶ所村建設した再処理施設がその中心を担っている。施設には各電力会社の原発部署から出向した技術者がいる。また、東芝、日立、三菱重工をはじめとする原発関連メーカも事務所を置いている。資源を外国に頼る日本で原発を運営していく仕組みとして考えられたが、成果は予定通りには出ず、その是非については議論がある。ただし原発を運用する有効な手段の1つとして諸外国からも関心が高い。2021年9月の自民党総裁選挙では各候補の政策論争の1つに取り上げられている。原子力発電の保守・運用には現場用の可搬型の計測器を中心に多くのモデルが使われる。

カケンテストセンター(かけんてすとせんたー)

正式名称は「一般財団法人カケンテストセンター」。1948年に財団法人日本化学繊維検査協会として設立。コロナ禍で必須となったマスクの性能(部粒子をどれだけ遮断できるか)をリオンなどの微粒子計測器(パーティクルカウンタ)で試験している。環境分野の計測に関係する試験場であるが、電気計測器の世界ではカケンテストセンターの知名度は高くは無い。

荷重測定器(かじゅうそくていき)

物を引っ張る力や押す力を測定する機器。ハンディタイプのデジタルフォースゲージはレンタルでも取り扱っている。

加振器(かしんき)

物体に振動を与える測定器。

ガスクロ(がすくろ)

ガスクロマトグラフィー(Gas Chromatography) の略称。化学分野で使われる定性・定量分析装置。科学分析機器の代表的な機種。医療や製薬、食品、環境などの分野で広く使われている。同様に液体クロマトグラフィーは「液クロ」と呼称される。

ガスクロマトグラフ(がすくろまとぐらふ)

ガスクロマトグラフィー(試料中の混合成分を、分配または吸着などにより分離し、検出を行う分析方法の一つ)でガス分析をする機器。略称:ガスクロ。

ガスクロマトグラフィー(がすくろまとぐらふぃー)

(Gas Chromatography) 化学分野で使われる定性・定量分析手法の1つだが、装置をさしていることが多い。装置は科学分析機器の1種。医療や製薬、食品、環境などの分野で広く使われている。「ガスクロ」と称されることが多い。メーカは日本では島津製作所が有名。日本だけでなく海外にも多くのメーカがある。分析する対象物が気体の場合はガスクロ、液体の場合は液体クロマトグラフィ(液クロ)。科学分析機器といえば、液クロ、ガスクロが、いの一番に浮かぶ、分析装置の代表製品。日本分析機器工業会(JAIMA:Japan Analytical Instruments Manufacturers' Association)のHPに詳細説明が掲載されている。

カスケード接続(かすけーどせつぞく)

(Cascading connection、Cascade connection) ネットワークでスター型の集線装置「であるハブを2つ繋いで、多段にして、接続できるノードを増やすこと。別名:多段接続。 トランジスタやFET、真空管で使われるカスコード接続(縦続接続)とは単語が似ているが全く違う。

ガス検知器(がすけんちき)

(gas detector) ガスを検出し、知らせる機器。危険なガスの濃度を測定(検知)して、知らせる。設置型と可搬型がある。ガスによる危険がある場所で、作業員が身に着ける。最近では無線技術を使い、作業員個人でなく、統括する上位者にデータを送り、作業員全員の安全を守るような機器も発売されている。また、工業用途では各種の場面でガス濃度を測定して警報を出すなどの必要があり、ガス検知器は産業用途から家庭用まで幅広く、各種のガスに対応した製品が発売されている。 ガスの分析機器といえば(定性・定量分析の装置として)ガスクロマトグラフィーが有名だが、ガス検知器もガスを測定するセンサなどの要素技術が似ているため、ガス検知器はガスクロと同じ科学分析機器のカテゴリーに(当サイトでは)分類している。ガス(水素や酸素、二酸化炭素など)の濃度測定器もガス検知器と同じ機種群といえる。 ガス検知器のメーカは工業用途の製品では理研計器がトップシェア。新コスモス電機は法人向け(工業用途)だけでなく家庭用もつくっている。光明理化学工業もガスモニター、ガス採取器などの名称の製品がある。工業計器の会社である横河電機は酸素濃度計(O2計、オーツーメータ)をつくっていた。このようにガス関連の測定器・分析器は幅広い。

カスコード接続(かすこーどせつぞく)

(cascode connection)FETなどを縦続接続すること(ソース接地回路とゲート接地回路が縦積みされた接続)。2個のトランジスタで、エミッタ接地回路とベース接地回路が縦積みになっていると、カスコード回路(cascode circuit)と呼ぶ(FETでも同じ)。別名:縦続接続。 真空管の時代に、縦続接続することをcascade connection triode(縦続接続真空管)と呼んでいたのが短縮されてcascodeやcascade connectionになった。ネットワークで使われるカスケード接続(多段接続)とは単語が似ているが全く違う。

ガス流速計(がすりゅうそくけい)

気体の流れる速さを測定する機器。特定メーカで「ガス流速計」と呼ぶ製品があったが、現在はあまり聞かない。