計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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ホール素子(ほーるそし)

導体中に電流を流して、それと直角方向に磁界を加えると、それぞれに直角な方向に電圧を発生する。この現象をホール効果といい、この現象を用いた素子をホール素子という。共立電気計器のAC/DCクランプメータ及びクランプセンサにはこのホール素子が採用されている。(共立電気計器株式会社の用語集より)

ボーレート(ぼーれーと)

(baudrate) ボー(baud)あるいはボーレートはデジタル伝送で「1秒あたりの変調回数」を示す。よんく(4900ボー)、くんぱち(9800ボー)、くんろく(19,600ボー)など、データ通信にモデムが使われていた時代は、1回の変調が1ビットに等しいことが多かった。そのため転送速度(通信速度、伝送速度)の単位であるbps(ビット/秒)と等しい値になるため、ボー(やボーレート)は転送速度として表現されていた。たとえばモデムテスタの信号速度はbpsで表記されるが、ボーという技術者も多かった。 ただし近年の高速データ通信で使われるPAM4などの変調方式は変調回数と1ビットが同じでないため、計測器の仕様はbpsでなくボーで表記されている例を見かける。たとえばキーサイト・テクノロジーの110G帯域の高速オシロUXRシリーズ(2018年発売)は、変調信号の通信速度を12Gbaud(ギガボー)というようにbpsではなくボーで表現している。

補間(ほかん)

オシロスコープで高速な波形を測定する場合の「ポイントを結ぶ」処理技法で、いくつかのサンプル・ポイントから波形を推定する。直線補間とsin(x)/x補間の2種類がある。(テクトロニクス「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)より)

補機(ほき)

(auxiliary machine) 主機を稼動するために使われる機器のこと。自動車ではエンジンは主機でセルモータやラジエータは補機、発電施設では発電機やタービンは主機、ボイラやポンプなどは発電に直接関与しないので補機と総称される。周辺機器とほぼ同義である。 システムの主要な機能を担っている機器を主機と呼称(略称)し、主機を補う周辺機器を補機と呼称したのが語源と思われる。発電所などの機械設備で使われる専門用語である。auxiliary machineは日本語では「補助する機械」である。 主回路と補助回路 鉄道車両ではモータの制御をする主回路制御装置と、それに電源を供給するバッテリなどを、主回路という。それ以外は補助回路と呼ばれる。補助回路には、補助電源(モータ駆動以外の用途で使われる電源)、補助電源とつながる補助回路用バッテリ、照明、制御回路(ATSやブレーキなど)などである。 仕組みの根幹の装置(部位)を「主」(主機、主回路など)、主を補助する周辺機器を「補」(補機、補助回路など)という命名をしている。

ポケオシ(ぽけおし)

日本データシステムが販売していたPC接続型のオシロスコープの通称(品名)。他にポケロジ(PC接続型ロジックアナライザ)もあった。同社は1993年設立で、早くからPC接続型測定器を販売したが、現在はPC関連機器で有名なELECOM(エレコム)のグループ会社であるハギワラソリューションズが事業を継承している。

保護継電器(ほごけいでんき)

リレー(継電器)の1種で、電流や電圧の急激な変化から電気回路を保護するための機器。別名:保護リレー。発電所、変電所、送電・配電施設などの電力系統の全般に使われている。どのような条件によって動作するかで多くの種類がある。以前はアナログ式だったが、マイクロコンピュータの普及によって、日本の電力網では1990年代以降にデジタル式の保護継電器への置き換えが進んでいる。重電メーカ(日立、東芝、三菱電機、富士電機、日新電機、明電舎など)が電力会社に保護継電器を収めているが、リレーのラインアップが多いオムロンなどもつくっている。 参考用語:保護継電器試験器、保護リレー試験器 参考記事(会員専用): 市場動向レポート 「受変電・配電設備の保全と計測器の活用」2016年3月号 TechEyes Vol.16 ・・・保護継電器の例を表と製品写真で掲載。

保護継電器試験器(ほごけいでんきしけんき)

保護継電器(保護リレー)を試験する測定器。別名:保護リレー試験器。「リレー試験器」という呼称が一番良く使われる。継電器は多くの種類があるため、どの範囲までを対象にするかによって測定器も多くの機種がある。機能を絞り込んだ小型のものから、多機能・大電力に対応した大型モデルまである。単相は小型、3相は大型になる。電流・電圧を発生する電源部と電力・位相・時間などを測定する計測部で構成されている。保護継電器試験器のメーカは3社ある。株式会社エヌエフ回路設計ブロック(エヌエフ)はほとんどのモデルの品名が「保護リレー試験器」に統一され、電源部(信号源)と計測部が1筐体になっているベンチトップタイプ(価格:約3百万円)である。株式会社双興電機製作所(双興)は「保護継電器試験装置」や「試験装置」という品名が多い。株式会社ムサシインテック(ムサシ)は「リレー(継電器)試験器」という分類で「GR・DGRリレーテスタ」や「マルチリレーテスタ」という品名である。双興とムサシはアッタッシュケース型で電源部と計測部の2筐体のモデルが多く、測定対象のリレー別に細分化したモデルをラインアップしている(価格:約数十万円)。エムエフのモデル名は「保護リレー試験器」か「リレーテスタ」なのでわかりやすいが、双興とムサシの品名は一見しても保護継電器試験器とはわからない場合も多い(たとえば「多機能型試験装置」や「OVGR試験器」、「GR・ELBテスタ」など)。リレーがアナログの時代は京濱電測器株式会社(現在はデンソクテクノ株式会社が継承)を筆頭に、双興とムサシの3社がリレー試験器のメーカだった。リレーがマイクロプロセッサによってデジタル化していった頃に、電力会社の需要を取り込んでエヌエフはリレー試験器に参入し、高機能なモデルで市場シェアをとった(京濱電測器はマルチリレーなどに対応したモデルはない)。継電器のメーカである富士電機は自社でリレー試験器をつくっている。特長は高電圧のアンプが標準オプションにあることで、富士電機自身がレンタル業務をしている(高額な特殊製品なので、ほとんど売れないため、レンタルをしている。計測器レンタル会社には販売しない。)。高性能のリレー試験器としてはオーストリアのOMICRON(オミクロン)社があり、継電器の商社である光商工株式会社が総代理店である。国内3社の製品がスタンドアロンなのに対して、OMICRON製品はPC接続型である。東芝、日立製作所、三菱電機などの、電力会社向けに継電器を納入している重電会社は各社ともOMICRON製品を設備している。

保護継電器試験装置(ほごけいでんきしけんそうち)

株式会社双興電機製作所の保護継電器試験器(保護リレー試験器)の品名。同社の保護継電器試験器の品名は「多機能型継電器試験装置」や「過電流・地絡継電器試験装置」のような「試験装置」というモデルが多い。

保護導体電流(ほごどうたいでんりゅう)

通常の動作状態で、保護接地導体を通して流れる電流(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)。漏洩電流試験器で測定する。

保護リレー試験器(ほごりれーしけんき)

保護リレー(保護継電器)を試験する測定器。別名:保護継電器試験器。「リレー試験器」という呼称が一番よく使われる。電圧・電流を単相(または三相)で出力する信号源(電源部)と時間や周波数、電圧・電流を測定する計測部がある、保護リレーの総合試験器である。保護リレーは多くの種類があるため、どの範囲までを対象にするかによって測定器も多くの機種がある。計測器メーカは主に、株式会社エヌエフ回路設計ブロック(エヌエフ)、株式会社双興電機製作所(双興)、株式会社ムサシインテック(ムサシ)の3社である。エヌエフのモデルはRX-47xxという形名で、品名はすべて「保護リレー試験器」である。そのため、「保護リレー試験器:エヌエフの保護継電器試験器の名称(品名)」という解説もできる。双興は「保護継電器試験装置」や「試験装置」という品名、ムサシは「リレー(継電器)試験器」や「リレーテスタ」という表記、品名をしているモデルが多い。 参考用語:リレー 計測器情報: 品名に「リレー試験」が付く製品の例、双興電気の製品の例・・品名から保護リレー試験器を判断することが難しい。

保護リレー用電力・位相測定器(ほごりれーようでんりょくいそうそくていき)

保護リレー試験器と併用されるデジタルパワーメータは、3相の電力・位相測定ができるモデルが使われる。品名からは「保護リレー用電力・位相測定器」とはわからないが、保護リレー関連測定器として、保護リレー用につくられた計測器のため、この名称を命名した。以下の2製品が該当するが、品名からはその実態がまったく想像できない。「3相電力・位相測定器」とか「保護リレー用3相デジタルパワーメータ」というような品名だったらわかりやすかった。近計システムのデジタル電圧電流位相差計PHAシリーズ、エヌエフ回路設計ブロック(エヌエフ)のパワーマルチメータ2721。他に保護リレー関連測定器としてはデンソクテクノのDPF-300位相・周波数計やMCS-5000時間計などの単機能の測定器がある。それらの機能はエヌエフの保護リレー試験器にすべてあるが、保護リレー試験器は高額なので単機能の安価なモデルが併用される。計測器情報:近計システムのPHAシリーズ、エヌエフの2721

ポジション(ぽじしょん)

(position)オシロスコープの波形の表示位置を調整するつまみ。垂直軸と水平軸の2つがある。垂直軸はチャンネルごとにdiv設定つまみがある場合はその数だけpositionつまみもある。

補償温度範囲(ほしょうおんどはんい)

(Compensated Temperature Range)変換器やロードセルで使われる用語。株式会社東京測器研究所の「びずみ測定用の変換器の用語」には「補償温度範囲:零点の温度特性および出力の温度特性が仕様を満足するように補償されている温度範囲(℃)」とある。「許容温度範囲」だと、「仕様は満足しないが、変換器に有害な永久変化を生じることなしに使用出来る温度の範囲」である(同社用語より)。

補助クランプ(ほじょくらんぷ)

EMIクランプを用いて測定する際に用いられる補助装置。電源側から入ってくる測定対象外の妨害波を吸収低減させると同時に負荷インピーダンスの安定度を改善して測定をより安定に行なうためのもの。

補正(ほせい)

オシロスコープの用語としては受動プローブの調整のこと。プローブとオシロスコープのキャパシタンスの整合をとること。(テクトロニクス「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)より)

捕捉確率(ほそくかくりつ)

(Probability Of Intercept)設定したパラメータで信号が検出できる確率。略記:POI。(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)

ポテンショメータ(ぽてんしょめーた)

(potentiometer)いくつかの意味がある。ここでは2つを紹介する。 1.電位差計のこと。標準の抵抗器と併用し、直流電流と抵抗を正確に測定する計測器。ECサイトでは海外製の電位差計が販売されている。たとえばMCP lab electronicsのMCP-01 POTENTIOMETERは日本語の製品名(品名)は「DC電位差計」や「携帯用直流電位差計」と表記されている。 2.半固定抵抗器(トリマ)や可変抵抗器の総称。

ポテンショメトリー(ぽてんしょめとりー)

(potentiometry)電気化学測定法の1種。電極の電位差から分子などの物質の量を測定する。測定したい化合物の濃度を変化させて、電極に数滴を垂らし、電極の電位差を測定することで、化合物の量(濃度などの情報)を得る分析手法。測定対象の物質によって電極(金属)が選ばれる。 電極電位(potentio)を測定する手法(metry)という意味。別名:ポテンショメトリック法。日本語で「電位差滴定」とも呼ばれる。味覚センサはこの手法を応用している。 他の電気化学測定法として、ボルタンメトリー、アンペロメトリー、クーロメトリーなどの手法がある。ボルタンメトリーは電位を一定にして電流量の変動を測定する。アンペロメトリーは電位を変化させたときの電流値を測定する。ボルタンメトリーは最近の、バイオセンサの研究などに使われている。アンペロメトリーは、液体クロマトグラフィーの検出器などに使われている。つまりこれらの○○メトリーという手法は液クロ、味覚センサ、バイオセンサなどの科学分析機器に使われている原理(手法)である

ホトマル(ほとまる)

(photomultiplier tube)光電子増倍管の通称。英語の始めの文字(フォトマルチプライヤ)の頭を取って「ホトマル」と呼称する(フォトマルでないのは、スマートフォンがスマホと略されるのに似ている)。光電子増倍管はPMTと略記されることもある。高感度な光センサとして現在も活躍する真空管の1種。 岐阜県の神岡鉱山の地下にあるスーパーカミオカンデには、約1万個のホトマルが設置されている。素粒子の1つであるニュートリノの振る舞いを捉えたことで、小柴昌俊氏などがノーベル物理学賞を受賞した。微弱なニュートリノを検知する高感度なセンサがノーベル賞につながった。 参考用語:フォトダイオード 計測器情報:フォトダイオードが品名に付く製品の例

ポラロイドカメラ(ぽらろいどかめら)

(polaroid camera) アナログオシロスコープ(オシロ)で観測した電圧波形を記録するためのカメラ。アナログオシロは観測したデータを記録する機能が無いため、表示画面を覆うようにポラロイドカメラを取り付けて、測定データの波形を撮影して保存した。オシロ用のオプションとしてポラロイドカメラが販売されていた。現在はアナログオシロの生産中止とともに販売されていない。明治4年創業の写真映像用品の総合商社、株式会社浅沼商会が、岩崎通信機や日立電子、ケンウッドティー・エム・アイ(現テクシオ・テクノロジー)、ソニー・テクトロニクス(現テクトロニクス)、HP(現キーサイト・テクノロジー)などのアナログオシロスコープの画面に勘合するポラロイドカメラを取り扱っていた(現在はラインアップしていない)。 横河電機がデジタルオシロスコープに参入した際、DL1200シリーズ(縦型、A4サイズ)は小形のサーマルプリンタを搭載可能(オプション)で、測定した波形をすぐに印字して残せるようにしたのが、発売当時はオンリーワンで画期的だった。まだ半導体メモリが高額なため、内部メモリに記録したり、PCにデータを吸いあげて印刷するのも一苦労だった時代に、プリンタで印刷できることは好評だった。現在はメモリも安価になり、波形データを綺麗な画像で残すことは容易になったが、アナログオシロ時代のポラロイドカメラやデジタルオシロ黎明期のサーマルプリンタは波形を残す手段として有効だった。