計測関連用語集

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パワースプリッタ(ぱわーすぷりった)

(power splitter) 1つの信号を2つ以上の回路に分配する部品。パワーデバイダとは抵抗を分割するための抵抗の配置が異なる。TVアンテナからの信号を複数台のTVに入力するためのパワースプリッタを分配器と呼んでいる。 計測器情報:「パワースプリッタ」が品名につく製品の例

パワースペクトル(ぱわーすぺくとる)

(power spectrum) 信号のパワーを一定の周波数帯域毎に分割し、その帯域毎のパワーを周波数の関数として表したもの。単位は振幅の2乗(V2rms)(※)。 FFTアナライザは、フーリエ変換によって、時間軸波形(時間関数x(t))から周波数軸波形(周波数関数X(f))を求める。X(f)は複素関数で、時間関数x(t)のフーリエスペクトルとよばれる。またフーリエスペクトルがわかっていれば元の時間軸波形を再生することができる。実際には、有限のサンプル値から数値計算を行うため、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)を行っている。FFT アナライザでは高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)を用いるが、これはDFTを高速演算する算法である。パワースペクトルの次元は振幅の2乗だが、リニアスケールのときは「√(V2rms)」としている。したがって、その周波数の時間波形の実効値と一致する(計測器のメニューにより「V2rms」の表示も可能)。初期状態では、X軸は周波数、Y軸は1(V2rms)を0(dBVrms)とする対数スケールで表示される。パワースペクトルのリニア/ログ換算は簡便にできるが、計算値は有効桁の関係から真値と完全には一致しない場合がある。 (小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より) (※)rmsは実効値 のこと。

パワースペクトル密度(ぱわーすぺくとるみつど)

(Power Spectral Density)ディジタルFFTアナライザでは分析周波数レンジによりバンド幅(⊿f)が異なる。たとえば 1/800分解能のとき、20kHzレンジでは25Hz(=20kHz/800)がバンド幅に相当する。ここで、ホワイトノイズなどの広帯域にわたる(分布する)信号を周波数分析すると、そのパワーはバンド幅ごとの積分値として得られる。したがって分析レンジを変更すると、この値が変化し比較できない。そこで単位周波数(1Hz)あたりのパワースペクトルを求め、これをパワースペクトル密度(略してPSD)という(ただしラインスペクトルの信号では意味はない)。計算式は各ウィンドウに対応したバンド幅で得られたパワーを規格化している。また、このパワースペクトル密度を求める場合はなるべくハニングウィンドウまたはレクタンギュラウィンドウにて測定することを推奨している。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より。詳しい数式は小野測器HPを参照。)

パワーセンサ(ぱわーせんさ)

(power sensor) パワーメータと一緒に使用するセンサのこと。汎用計測器:商用周波数などの低周波用、と通信計測器:無線(RFなどの高周波)や光通信用、の2種類がある。 パワーメータは用途によって「デジタルパワーメータ」、「RFパワーメータ」や「光パワーメータ」などの品名があるが、それぞれのパワーセンサは単に「パワーセンサ」という名称のモデルが多い。そのため、何に使うパワーセンサかは単に品名からは判別がつきにくい。 「通過形パワーセンサ」というとRFパワーメータと併用するモデル、「オプティカルヘッド」というと光パワーメータ用のパワーセンサだが、2つとも特殊な表現で、多くのパワーセンサに使われる名称ではない。Birdの通過型電力計で、周波数や電力のレンジを決めるセンサに相当するアクセサリをエレメントと呼んでいる。横河計測のWT5000用の測定モジュール(パワーセンサをつなぐ機器)の品名はエレメントである。パワーセンサはエレメントと呼称されることがある。

パワーデバイダ(ぱわーでばいだ)

(power dibider) 1つの信号を2つ以上の回路に分配する部品。パワースプリッタとは抵抗を分割するための抵抗の配置が異なる。 計測器情報:「パワーデバイダ」が品名につく製品の例

パワー半導体(ぱわーはんどうたい)

(power semiconductor) 電力関係の半導体の総称。電気信号を扱う通常の半導体ではなく、高電圧・大電流を扱う。電圧や周波数の変換や、電力増幅などに使われる。IGBTやパワーMOSFETなど。最近はSiCやGaNなど、Si(シリコン)ではない元素を使う効率が高いパワー半導体が出始めている。日本の半導体メーカは1980年代に世界一だったが現在は台湾や韓国に追い抜かれ見る影はない。ただしパワー半導体では日本のデバイスメーカ(三菱電機、富士電機)は世界に伍している。東芝やルネサス・エレクトロニクス、ロームも作っている。

パワーマルチメータ(ぱわーまるちめーた)

保護リレー試験器の代表的なメーカであるエヌエフ回路設計ブロックの2721の品名。3相のデジタルパワーメータで、位相測定の機能がある。同等品に近計システムのPHAシリーズデジタル電圧電流位相差計がある。これらは、保護リレーの試験に使われる特殊なデジタルパワーメータであるが、品名からそれを理解することは素人にはむずかしい。品名の「光パルス試験器」と「光ファイバアナライザ」が同じ製品(OTDR)であることが素人にはわからないことと同じように、品名からその測定器の実態を知るのが難しい1例といえる。計測器情報:2721

パワーメータ(ぱわーめーた)

(power meter) 電気機器や電力設備の消費電力を測定する機器。別名、電力計。通常は低周波電力(50Hz/60Hzなどの商用周波数の電力)の測定器を指すことが多い。高周波のときは「RFパワーメータ」や「高周波電力計」、「光パワーメータ」などの呼び方をして、低周波ではないことを示している(無線通信の計測器メーカ、たとえばキーサイト・テクノロジーやアンリツなどは高周波パワーメータしかつくっていないので、わざわざ高周波だとはいわず、単に「パワーメータ」と呼称している。“高周波パワーメータの老舗である”という自負が感じられる命名である)。 低周波のパワーメータの製品名は「デジタルパワーメータ」や「パワーアナライザ」が一般的になっている。パワーメータだと古くからあるアナログの電力計(指示計器)との違いがわかりにくいのでデジタル表示するパワーメータであるという命名といえる。また、単に電力を測定するだけではなく、測定後の演算や解析ができるように機能を進化させているためアナライザという名称も増えている。低周波パワーメータのメーカは国内では横河計測と日置電機が高シェアだが、海外のHBM(現在はB&Kと一緒になり会社名はHBK)やDEWETRON (デユートロン)も高機能でユニークなパワーメータをつくっている。 パワーメータはパワーセンサと組み合わせて使用される。RFパワーメータではパワーセンサだけで単独の計測器になっているモデルもある。光パワーメータのセンサはオプティカルヘッドとも呼ばれる。

パワーラインモニタ(ぱわーらいんもにた)

電源電圧の変動を観測する測定器。

パワーレールプローブ(ぱわーれーるぷろーぶ)

(power rail probe)オシロスコープのプローブの1つ。プローブ部と同軸ケーブルから構成され、低いノイズフロアを実現し、スパイクノイズなどの高い周波数成分までも捉えることができる。電源由来のノイズの測定に有効とされている。キーサイト・テクノロジーは周波数帯域6GHzまでの製品がある。テクトロニクス、レクロイ、ローデ・シュワルツも4GHzまでの製品がある(2021年4月現在)。キーサイト・テクノロジーは「パワー・レール・プローブ」、テクトロニクスは「DCパワーレール・プローブ」や「アクティブ・パワーレール・プローブ」、レクロイは「電源レール・プローブ」という表現がされている。

パワエレ(ぱわえれ)

パワーエレクトロニクを略して、パワエレと呼称している。モータを駆動する分野(鉄道、自動車、家電など)で使われている技術。弱電(半導体、電子回路)と強電(モータ、電気エネルギー)の両方にまたがる技術をさすことば。具体的には、電子回路でモータを制御する技術。 モータを制御するためのインバータは用途が広がっている。たとえば、日本の空調装置(エアコン)はインバータ内蔵の省エネ型が主流である。EV化によって進展している電気自動車はインバータでモータを制御する。このようにインバータを使う分野は生活の隅々に広がろうとしている。インバータを構成するのはパワー半導体と呼ばれるデバイスで、日本企業はこの分野で世界シェアの一角を占めている(三菱電機、富士電機、日立製作所など)。パワー半導体は電力関係の装置(変電所や発電所など)や、鉄道車両、電気自動社、エアコンなどに使われる。パワエレの技術者は半導体メーカ、重電メーカ、自動車メーカ、家電メーカ、大学など、軽電~重電まで存在している。 パワー半導体のR&D、設計、製造評価には、半導体パラメータアナライザ とカーブトレーサの2機種が使用される。前者はキーサイト・テクノロジーとケースレーがつくっている。後者は長らくテクトロニクスが業界標準だった(モデル370、371)が約10年前に生産中止となり、現在は日本の岩崎通信機がラインアップしている(モデルCS-3000/5000/8000シリーズなど)。

パワコン(ぱわこん)

パワーコンディショナを略して、パワコンと呼ぶ。PCS(Power Conditioning Subsystem)と表記していることもある。

半固定コンデンサ(はんこていこんでんさ)

(trimmer)電子部品のコンデンサ(キャパシタ)の1種。静電容量の値を微調整できる。値は決まっている(固定)が、微調整で可変できる。部品のばらつきの調整や、回路の微調整が必要な箇所に使われる。調整が終わったら固定され(調整用のつまみを可変できないようにする)、使用中に可変することは無い。つまり機器が動作中は固定だが、機器の完成前は可変できるので半固定と呼んでいる。別名、トリミングコンデンサとも呼ばれる。 参考用語:トリマ、バリコン、半固定抵抗器

半固定抵抗器(はんこていていこうき)

(trimmer)電子部品の抵抗器の1種。抵抗値を微調整できる。抵抗値は決まっている(固定)が、微調整で可変できる。部品のばらつきの調整や、回路の微調整が必要な箇所に使われる。調整が終わったら固定され(調整用のつまみを可変できないようにする)、使用中に可変することは無い。つまり機器が動作中は固定だが、機器の完成前は可変できるので半固定と呼んでいる。別名、トリミング抵抗器、トリマポテンショメータなどとも呼ばれる。半固定抵抗器や可変抵抗器を英語圏ではポテンショメータ(potentiometer)と総称している。 使い方には、電圧の分圧器として3端子で使う(電圧調整)場合と、可変抵抗器として2端子で使う(電流調整)場合などがある。 参考用語:トリマ、可変抵抗器、半固定コンデンサ

反射(はんしゃ)

(Reflection)電磁波が伝送路を伝わるとき、媒体が違う面や、特性インピーダンスが異なる箇所では少し反射されて、信号源側に戻る現象が起こる。高周波の基本理論の1つ。反射という現象を応用した測定手法がTDR(Time Domain Reflectometry、時間領域反射法)である。サンプリングオシロスコープによる伝送線路のインピーダンス測定や、光ファイバの破断点検出(OTDR)に応用されている。

反射係数(はんしゃけいすう)

(Reflection coefficient) 伝送線路上のある基準面において、その基準面への入力波に対するその基準面からの反射波の比としてあらわす。通常、反射係数(Γ)は電圧比としてあらわされ、複素数である。下式で、Vi : 入力電圧, Vr : 反射電圧, θ: 入力電圧と反射電圧の間の位相角。|Γ|の取り得る値の範囲は、|Γ|= 0 〜 1 である。

反射率(はんしゃりつ)

非接触温度計(放射温度計、サーモグラフィー)の用語としては、「物体から反射された放射エネルギーと物体に入射する放射エネルギーとの比(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)」。

反射率計(はんしゃりつけい)

物質の境界面で、光は透過と反射をする。透過する度合いを透過率、反射する度合いを反射率という。ガラスは透過率が高いが、反射する光もあり反射率はゼロではない。すべての物質(2種類の物質の組み合わせ)には固有の透過率と反射率がある。反射率を測定するのが反射率計。反射率が高いと輝いて見える、つまり光沢がある。そのため、反射率の測定は光沢の測定につながる。色彩情報測定器のメーカ、村上色彩技術研究所の製品群には「光沢・反射率を測る」という区分に光沢計と反射率計が掲載されている。日本電色工業も光沢計、反射率計をラインアップしている。

反射率補正(はんしゃりつほせい)

非接触温度計(サーモグラフィ、放射温度計)の用語。放射率が1以下の物体でも正しく温度表示するために行われる補正のこと。一般に増幅器の利得をあげることにより放射率補正を行うが、補正に先立ち環境放射の反射成分が無視できない場合は環境温度補正を行う場合がある。関連用語:放射率、環境温度補正。(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)

搬送波(はんそうは)

(carrier) 通信システム(有線通信では伝送線路、無線通信では電波あるいは光通信ではレーザ)において、情報を乗せて送るための一定周波数の電気信号のこと。搬送波を変調することにより映像、音声、データ等の情報を送り、それを復調することによりその情報を取り出す。情報を直接伝送することもできるが、搬送波を使ったほうが効率的に情報を送ることができる。 参考用語:AM変調、FM変調、側波帯、帯域幅、キャリア