計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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ゲージ抵抗(げーじていこう)

(gauge resistance)ひずみゲージの電気抵抗のこと。ひずみゲージは与えられたひずみに比例してゲージ抵抗が変化するため、物理量である応力(ひずみ)を検出できるセンサ。

ゲージヒステリシス(げーじひすてりしす)

(gauge hysteresis) ひずみゲージ にひずみ増加減少のサイクルを加えたとき、ひずみの増加過程と減少過程において、ひずみ及び温度が同一であるにも関わらず指示ひずみが一致しない現象。(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)

ゲージ率(げーじりつ)

(gauge factor)接着されたひずみゲージのゲージ軸方向に加えられた一軸応力によって生じる抵抗変化率と、ゲージ軸方向のひずみとの比。K:ゲージ抵抗、⊿R/R:抵抗変化率、ε:ゲージ軸方向のひずみ、の関係式は、K=(⊿R/R)/ε。(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)

ケースレーインスツルメンツ(けーすれーいんすつるめんつ)

(Keithley Instruments,KK) 1946~2010年に存在した計測器メーカ。1946年に米国オハイオ州クリーブランドで、Joseph F. Keithleyが計測器メーカKeithley Instrumentsを設立。1964年にオハイオ州ソロンに移転し、以降はこの地を拠点に活動。半導体パラメータアナライザやSMU、ピコアンメータなどの半導体測定器で有名。データ集録機器やDMMもラインアップ。2010年にダナハー(現フォーティブ)の傘下に入り、テクトロニクスと合併。日本法人がケースレーインスツルメンツ株式会社(設立年は不詳、2012年には日本のテクトロニクスと合弁)。 テクトロニクスの日本法人は、2012年頃から会社名を「テクトロニクス社/ケースレーインスツルメンツ社」に変更した(名刺がそうなった)。2021年には会社名を「株式会社テクトロニクス&フルーク」に変更(フルークもケースレー同様にダナハーの傘下)。旧ケースレーインスツルメンツの人員はテクトロニクスと組織が一体になっている(以下のイベントレポートを参照)。 すでにケースレーという会社は存続しないが、ブランドとしては健在(DruckやPanametricsと同じ)。製品はテクトロニクスのホームページでも1ページにまとめられ、ケースレーの従来の赤い企業ロゴもある(ただしA Textronix Campanyという注記がある)。URL:https://www.tek.com/ja/products/keithley(2023年11月現在) 2022年頃から定期イベントのKeithley Daysが開催されている。Keithley Days 2023(オンラインの無料Webセミナ)はタイトルが「革新を加速させる半導体デバイス最先端研究から、測定技術の入門基礎まで~Accelerating Innovations & Back to Basic~」で、2023/10/17(火)~18(水)に開催された。ケースレー製品の情報は、テクトロニクスのマーケティング・販売促進部署が「テクトロニクス/ケースレー」の名前でDM配信している(2023年10月現在)。 外資の計測器メーカの日本法人には他の計測器メーカからの転職者がいることが多い。特にケースレーインスツルメンツは半導体分野でキーサイト・テクノロジーと競合(同じような製品群をつくっていた)なので、2007年頃の社長は、キーサイト・テクノロジーの半導体テスタ部門の出身者だった。当時、元キーサイト・テクノロジーの営業マンが約10人いた。

KDH(けーでぃーえっち)

Kanto Denki Hoankyoukai(財団法人関東電気保安協会、Kanto Electrical Safety Inspection Association)の略号。車体にKDHと書かれた関東電気保安協会の自動車や自転車を街中で見かけることがある。

ケーブル障害位置測定器(けーぶるしょうがいいちそくていき)

ケーブルの障害位置を測定する機器。TDR(Time Domain Reflectmetry)の1種。別名、フォールトロケータ(fault locator)。高度経済成長期は通信インフラとして電気の通信線(銅線)の敷設が盛んだったので電気の製品を指したが、現在は光通信(光ファイバ)用のケーブル障害位置測定器としてOTDR(Optical TDR)が敷設工事・保守で活用されている。

ケーブル診断測定器(けーぶるしんだんそくていき)

ケーブルの絶縁耐圧や絶縁不良などの診断の測定器の総称。株式会社フジクラ・ダイヤケーブルは診断装置として、絶縁診断装置、活線絶縁診断装置、部分放電測定装置などがある。保護リレー試験器や高圧絶縁抵抗計をラインアップし、耐電圧試験が得意な株式会社双興電機製作所と株式会社ムサシインテックも、ケーブルの絶縁診断のソリューションがある。ケーブルの診断(絶縁不良などの劣化診断)をビジネスにしている電気工事会社や重電メーカもある。TDRはケーブル診断測定器といえるが、あまりこの呼称で呼ばれることはなく、あえていえばケーブルテスタや、ケーブル測定器に分類されることが多い。

ケーブル測定器(けーぶるそくていき)

ケーブル測定器というと、銅線ケーブルの障害箇所を検出するTDRや、LANケーブルメータなどのレイヤ1測定器がある。以前はケーブルのQ値や特性インピーダンスなどを測定するQメータ(回路素子測定器/RF測定器)があったが現在はほとんど生産中止になっている。光ファイバのTDRであるOTDRはケーブル測定器よりも光測定器(または光通信測定器)に分類されている。ケーブル測定器というと、電気信号を伝えているケーブルがイメージされる。「ケーブル測定器」という品名のモデルはないが、TDRやLANケーブルテスタなどの電気ケーブルの測定器を一言で括ると「ケーブル測定器」ということになる。一般の計測器の機種群(カテゴリー)として確立した呼称ではない。 ケーブル診断測定器というと、ケーブルの絶縁耐圧や絶縁不良などの絶縁診断の測定器群を指す。TDRはケーブルの診断をしているといえるが、障害位置検出器やロケーターと呼ばれることはあるが、ケーブル診断測定器といわれることはあまりない。計測器の名前や呼称は、素人にはわかりにくいニッチな世界である。 参考用語:ケーブルテスタ 計測器情報:ケーブル測定器の製品例(フルーク・ネットワークス)

ケーブル長補正(けーぶるちょうほせい)

LCRメータで誤差を少なくするための補正機能。LCRメータを装置に組込むときや測定対象の試料が大きく、LCRメータ本体に長いケーブルを接続しなければならないときに使う。ケーブルを延長することによりケーブルの配線抵抗と浮遊容量の影響を受けて、試料に印加される信号の振幅と位相に誤差が生じる。これらを補正するためにLCRメータではケーブル長を設定して補正できる機能を持っている。参考記事:LCRメータの基礎と概要 (第2回)の2回目・・補正について図解。

ケーブルテスタ(けーぶるてすた)

ケーブルの物理特性(導通、損失、反射など)を測定する試験器。大きくメタル(銅線)と光ファイバの2種類があるが、一般にはメタル用を指し、光のときはロステスタやOTDRということが多い。通信機能を階層構造に分割したOSI参照モデル(第1階層:物理層〜第7階層:アプリケーション層の7階層構造)にあてはめると、第1階層(レイヤ1)に相当するため、「レイヤ1(ワン)試験器」と呼称して、第2階層(データリンク層)・第3階層(ネットワーク層)の試験器である「プロトコルアナライザ(プロアナ)」、「オンラインモニタ」と区別される。最近の計測器は複合化(マルチ機能化)して、どの範疇の測定器か一目で判別がつきにくい。「ケーブルテスタ」という品名でプロアナのような外観のモデルもある。そんなときに機種群(機能がどこまであるか)を簡単に確認するには「レイヤ1試験器か?、プロアナか?」と聞くのが良い。参考用語:LANケーブルメータ

ケーブルテレビ(けーぶるてれび)

TV放送は電波(無線)で送信されるが、有線のケーブルでTV放送を送信するのが「ケーブルテレビ」。本来、地上波や衛星放送などが映りにくい(電波の受信環境が悪い)地域で映像を受信できるようにする対策だった。現在のケーブルテレビ会社はTV放送だけでなく、インターネットやスマホの契約も行う、一般的な通信事業者の仲間入りをしている。別名:CATV、と表記されることも多い。計測器情報:「ケーブルテレビ」が品名につく製品の例

血圧計(けつあつけい)

血圧を測定する機器。医療、健康用品の分類で、オムロンヘルスケアやタニタがラインアップしている。電気計測器メーカはつくっていない。血圧ではないが、パイオニアが皮膚にセンサを当て内部の血管の血流を測定する「研究用レーザ血流計」を販売している。病院で使う医療用機器ではなく研究用の測定器である。

血流計(けつりゅうけい)

血流量を測る測定器。運動時の変化などを測定する。血流量は重要な生体情報のため、研究開発用用途の計測器が発売されている。

ケプストラム(けぷすとらむ)

(Cepstrum)フーリエ変換によって求められたパワースペクトルの対数値をさらにフーリエ変換したもの。ケプストラムの横軸はケフレンシーと呼ばれる時間の次元の値をとる。ある系に入力される信号が周期性を持ち、その周期が長いとき、その周期が長ケフレンシー部の線ケプストラムになって現れ、基本周期として抽出することができる。また短ケフレンシー部には系の伝達特性を表す情報が集中し、この部分を逆フーリエ変換することにより、対数パワースペクトルのエンベロープ(包絡線)が求まる(リフタードエンベロープ)。このエンベロープは系特有のもので入力信号のスペクトルには依存しない。応用として、音声波、生体波などからの基本周波数およびスペクトルエンベロープの抽出などがある。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

ケミコン(けみこん)

アルミ電解コンデンサの通称。ケミカルコンデンサの略。安価で大容量のため電源回路に多用されるが、大きな円筒形のため、機器に実装するときに場所を取る部品である。

ケルビンクリップ(けるびんくりっぷ)

LCRメータなどのアクセサリであるテストリードで、DUTとの接続を行う先端部分がケルビン接続(4端子法)になるクリップ。計測器情報:品名に「ケルビン」がつく製品の例(テストリードなど)

ケルビン接続(けるびんせつぞく)

(Kelvin Connection) 低抵抗測定などで使われる、DUTと計測器の接続方法。電流測定端子と電圧測定端子を分けてセンシングする。端子が4つあるため、4端子接続や4端子法とも呼ばれる。ケルビン・ダブルブリッジを構成して、精密測定を行う接続方法。デジタルマルチメータ(DMM)やSMU(Sorce Measure Unit)で使われる測定(接続)方法。LCRメータの測定治具であるテストフィクスチャやテストリードは4端子接続である。電圧検出線をセンス(sence)、電流検出線をフォース(force)と呼ぶこともある。温度の単位のケルビン(K、絶対温度)で知られる英国の物理学者、ケルビンの考案。 参考記事: LCRメータの基礎と概要 (第2回)の2ページ目・・【ミニ解説】でケルビン接続を図解。

ゲルマニウムラジオ(げるまにうむらじお)

ゲルマニウム検波を使うラジオ。鉱石ラジオと同様に無電源で動作する。電子工作、ホビーの入門として、制作キットがAmazonなどの通販で1000円程度で販売されている(学習・科学・工作のコーナー)。月刊トランジスタ技術2021年11月にも製作記事がある。

ケンウッドティー・エム・アイ(けんうっどてぃーえむあい)

(KENWOOD TMI CORPORATION.) ケンウッド(KENWOOD、旧トリオTRIO)の計測器を設計・製造・販売していた部門が分社化(1996年~2006年に存在)。横河電機の計測器事業部門が横河計測になったようなもの(岩崎通信機の計測器部門も2000年頃は岩通計測という子会社だった)。アンリツが「アンリツ電子」、松下通信工業(パナソニック)が「首都圏パナソニックFA」などのように、計測器メーカが1980~1990年代に営業部門を販売子会社にしていたのとは違い、ケンウッドの計測器事業部が分社したもの。文教市場向けのオシロスコープと直流電源でシェアが高かった。 ケンウッドの計測器は会社名が何度も変わっているので、以下に沿革を述べる。1946年、有限会社春日無線電機商会が設立される。1954年、測定器に参入。1960年、トリオ株式会社に社名変更(TRIOといえば老舗のオーディオブランドだった)。1965年にオシロスコープを販売開始、1973年に直流安定化電源を開発。1986年 、株式会社ケンウッドに社名変更。1996年に計測器部門は株式会社ケンウッドティー・エム・アイとなる(親会社のケンウッドは2011年に日本ビクターと合併し株式会社JVCケンウッドとして存続している)。2002年にニッケグループがケンウッドTMIの株式を取得しニッケグループ傘下となる。ニッケとはウールで有名な日本毛織のこと。2006年、株式会社テクシオと社名変更。2009年、株式会社ニッケテクノシステム/テクシオ事業部となる。2012年、Good will Instrument Co.,Ltd.(台湾の計測器メーカ)がニッケテクノシステムからテクシオの計測事業を譲受し、株式会社テクシオ・テクノロジーを設立(ブランド名はTEXIO)。2014年、テクシオ・テクノロジーは株式会社インステック ジャパン(Good Willの日本法人)と合併し、GWInstekブランドを継承。 現在のテクシオ・テクノロジーには開発部門は無く、技術者は保守・サービス部門にしかいない。Good WillではなくTEXIOブランドの製品群もあるが、開発はすべて台湾で行っている。純国産企業で計測器の老舗であるケンウッドは、中華資本に買収され、台湾計測器メーカの日本での販売店となった。家電メーカのシャープが中華系企業になったように、計測器市場でも中華系の資本参加が起きたという事例といえる。テクシオ・テクノロジー(というかGood Will)は安価なオシロスコープから始まり、RFのスペクトラムアナライザや、安全試験の耐圧試験器、LCRメータなど様々なカテゴリーの新製品を発売している。同様に中華系のRIGOL(リゴル)がオシロスコープを中心にラインアップを広げているのとは違う戦略がうかがえる。 英語社名KENWOOD TMI Corp.のTMIはTest Measure Instrumentsの略称と思われる。日本語にすると「テスト・測定機器」で、つまり測定器(計測器)のことである。海外では計測器の事をT&Mと略記することが多い。日本の計測器業界ではT&Mなどどいう表記はほとんどされてこなかったが、最近は一部の国内計測器メーカが使っている例がある。ケンウッドが計測器を分社化した時にTMを社名に入れたのは海外ビジネスを視野に入れていたと考えられる。日本で社名に「ティー・エム」とあっても計測器をイメージする人は当時はほとんどいなかったと思われる。 ケンウッドは1987年に昭和リース株式会社と昭和ハイテクレント株式会社を設立し、計測器レンタルに参入した。略記:SHR(Syowa High tech Rent)。計測器レンタル会社としてはオリエント測器レンタル(現オリックス・レンテック)、テクノレント(三井物産のリース事業部門として発足、現在はリコーリースの子会社)、マイテック(リコーの子会社、1991年に横河レンタ・リースに統合)、日本エレクトロレント(USのレンタル会社エレクトロレントの日本進出、というキャッチフレーズで1986年頃に営業開始)、東京リース(日本勧業銀行、現みずほ銀行のリース会社)のレンタル事業本部、日立キャピタル株式会社(現日立リース)のレンタル営業本部などに続く7社目がSHR。昭和リースは協和銀行(現りそな銀行)系のリース会社なので、銀行系のリース会社と計測器メーカでつくった計測器レンタル会社である。同じく1987年に横河電機と芙蓉総合リース(富士銀行、現みずほのリース会社)が出資して、8番目の計測器レンタル会社、横河レンタ・リース株式会社(略記YRL:Yokogawa Rental & Lease)が設立される。SHRとYRLはその設立母体(親会社の構成)が似ている。ケンウッドティー・エム・アイの技術部門からSHRに出向者があったり、岩崎通信機の営業部門からSHRに複数名の転職者があったりしたが、2007年にSHRは昭和リースに吸収され、事業としての計測器レンタルからは撤退している。

限界過負荷(げんかいかふか)

(Ultimate Overload Rating)構造上損傷を生ずることなしに加えうる最大過負荷(%)。(株式会社東京測器研究所の「びずみ測定用の変換器の用語」より)