回転次数比分析
(Rotational Order Ratio Analysis)
小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には次のようにある。回転次数比分析とは、回転機械の振動や騒音の周波数分析を行う場合、回転体に取付けたパルス発生器のパルスを外部サンプリングクロックとして、信号のサンプリングを行う方法である。周波数分析で、1 Hzは1秒間に1周期を完了する成分だが、これに対して回転次数比分析で回転1次とは、基準とする回転体の1回転について1周期を完了する成分をいう。回転2次は1回転について2周期を完了する成分で、回転1次の2倍となる。このように1回転当りの変動を基準とする分析を行うためには、回転数に同期したサンプリングを行う必要がある。内部サンプリングクロックそのままでは、回転速度が変化すれば1回転当りのサンプリング点数は変わってしまうが、回転パルスに同期したクロックをサンプリングクロックとした場合には、1回転当りのサンプリング点数は常に一定となる。例えば、600 r/minで回転している回転体ならば、回転1次は(600 r/min)/60 =10 Hz、回転2次は20 Hzとなる。回転速度が上昇して700 r/minになると、回転1次は11.7 Hz、回転2次は23.3 Hzに上がる。このように周波数は回転速度の変化に伴って変動してしまうが、次数として正規化すれば、回転変動による影響を受けず、ある成分に着目することも容易となる。