計測関連用語集

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詳細説明

tinySA

読み方:

たいにーえすえー

カテゴリー:

#スペクトラムアナライザ

2020年頃からネット通販などで流行の小型RF測定器の1種(tinySAやnanoVNAなど)。tinySAは手のひらサイズで価格1万円程度という、超小型・激安スペクトラムアナライザ。モデルにも寄るがおおよその仕様は、測定周波数範囲100k~960MHz、分解能帯域幅3k~600kHz、サイズは約6×10cm、厚み約20mmでバッテリ駆動する。tiny(とても小さい、smallよりもさらに小さい)SA(Spectrum Analyzer)というネーミング。
tinySAは「オランダの技術者Erik Kaashoek氏が設計し、中国のHugen氏が製造した小型の簡易スペアナ」といわれ、ネット上にはtinySA Basic(画面サイズ2.8インチ)やtinySA Ultra(画面サイズ4インチ)などの製品が紹介されている。購入経路によっては純正でない粗悪品もあるらしい(ECサイトでの購入が主流のため仕方がない)。nanoVNAと比べると種類(モデル数)は少ない(2023年6月現在)。
アマチュア無線の専門誌を発行するなど、趣味の電子工作ユーザに人気のCQ出版社は、2021年1月発売の「RFワールド No.53」や2023年7月発売の「トランジスタ技術 8月号」などに、マニアがtinySAを性能評価した記事を掲載している。

2010年代後半にキーサイト・テクノロジーテクトロニクスなどが従来のベンチトップのRF測定器ではなくUSBタイプの小型モデルの発売を始めた(キーサイトのStreamlineなどのUSB計測器)。電子部品の小型化、性能向上、コストダウン、USB規格の普及など、技術の進歩によっていまやUSB計測器は1つのジャンル(カテゴリー)になろうとしている。手のひらサイズのポケット計測器もその流れの中で、アマチュア電子工作ユーザに広がっている。オシロスコープはポケットサイズなら約5000円、ハンディ(テスタ・サイズ)は1万円以内、タブレット型(2ch)は2万円以内で数社が販売している(いずれも従来の計測器メーカではない)。ベンチトップでもリゴルOWON(オウオン)などの中華系オシロスコープメーカは50M~100MHz、4chで5万円以内のモデルをつくっている。前述のトランジスタ技術(2023年8月号)のタイトルは「研究!1万円級ポケット測定器」である。
個人でオシロスコープを持っている(家にオシロを保有する)技術者はまれではないが、スペクトラムアナライザまで持っているとなると数が限られる(ネットワークアナライザはほとんどいない)。tinySAはアマチュア電子工作を趣味にするマニアの夢だった「家でスペアナ」を実現した。nanoVNAは「家でネットアナ」を可能にした。

参考記事
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