計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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データ・パターン・ジェネレータ(でーたぱたーんじぇねれーた)

テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説には「信号発生器の一種で、単一または複数のデジタル・パターン・ストリームを生成する。パターン・ジェネレータやデータ・ジェネレータとも呼ばれる。」とある。つまり、「データ・パターン・ジェネレータ」は略して「データ・ジェネレータ」や「パターン・ジェネレータ」と呼ばれ、3つは同じである、と読み取れる。ただし、デジタルのパターン(ロジック・パターンとしてのパルス列)を出力する信号発生器は一般に「パターンジェネレータ」と呼ばれている。テクトロニクスのHPで「データ・パターン・ジェネレータ」を検索してもヒットせず、そのような品名の現役モデルはない(2022年3月現在)。同社はパターンジェネレータをデータジェネレータという品名で発売していた(たとえばDG2020など、2022年3月現在は生産中止)。そのような背景から、過去にはデータ・パターン・ジェネレータというパターンジェネレータが存在した可能性がある。

データホールド(でーたほーるど)

測定表示を一般的に固定し、測定環境に対応して測定値の確認や記録を容易にする機能。(共立電気計器株式会社の用語集より)

データ・レート(でーたれーと)

デジタル信号発生器やトランスミッタがバイナリの1 または0 を送出するレートで、通常メガビット/秒またはギガビット/秒で表される。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)

データレコーダ(でーたれこーだ)

従来の定義は「テープなどの大容量・長時間記録ができるメディアにデータを記録するタイプのレコーダ」だが、現在ではその定義に収まらないモデルが多く発売されている。 機器としてのテープレコーダ(オーディオ機器やコンピュータなどの記憶媒体としての情報機器)をつくっていたSONYとTEACは、その技術を使い、テープに記録し、再生もできる計測器としてのレコーダをつくった。これを「データレコーダ」という。SONYはテープもつくっていたが、その生産終了によって、ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズはデータレコーダの生産を終了した。TEACはテープでなくデジタルメモリ(SDカードなど)を使ったデータレコーダを1モデル続けたが、従来の(テープの)データレコーダほど顧客のニーズには合致せず、ほとんどデータレコーダから撤退状態になった。 記録計(レコーダ)の主流はアナログからデジタルに変わり、デジタルオシロスコープ同様、サンプリングしたデジタルデータで記録される。ただし、従来の測定データ(バックエンド)は長らくアナログデータとして保存・保管されてきた。何か不具合や問題が発生すると、保存してあるアナログデータをデータレコーダに入力し再生させる(データレコーダと普通のレコーダの違いは再生機能の有無)。あたかも今、その現象(振動や騒音やひずみ)が発生している状態を再現し、問題解析や分析を行う。保険の意味も含めて、既存メディアで保管されているアナログデータを再生できる測定器としてデータレコーダは需要を保ってきたが、メディアとしてのテープが生産中止になるとほとんどのデータレコーダは生産終了した。 近年SSDなど(HDDより信頼性が高い大容量記録媒体)の安価な普及に伴い、廃止から10年近いブランクをおいて国内計測器メーカ1社が新製品で再参入した(TEACは2012年に新製品のワイドバンドデータレコーダーWX-7000シリーズを発売)。輸送機器などの評価に多チャンネルのひずみ・振動測定用として使われているが、多チャンネルのひずみデータロガー(ひずみ測定に特化したロガー)もこの分野には普及している。昔からの再生機能があるデータレコーダは鉄道、飛行機などの運輸や、宇宙・防衛の市場でまだ使われている。ひずみデータロガーに置き換えたユーザも多いが、前述の1社が再参入したように、データレコーダはまだ根強い人気(需要)があると推定される。 リオンは環境計測の会社で、騒音・振動の計測器の国内トップベンダーである。屋外で騒音や振動を計測する際、各種のセンサからの信号を受けて増幅し、デジタルデータにして記録したり、PCに送るための騒音・振動用のフロントエンドは、データロガー(やチャージアンプ、またはアンプを内蔵したデータロガー)が担う。リオンには4chの(屋外で使うことを想定した小型のハンドヘルド)のデータロガーDA-21があるが、なんとこの製品は集録データを再生できるデータレコーダである(品名も「データレコーダ」)。操作部にはREC(記録)とPLAY(再生)のボタンがある。メモリは最大32GBのSDカードに対応している。SONYの関連会社やTEACなどのデータレコーダメーカがデータレコーダをほとんどつくらなくなったので、振動・騒音という自社製品群のためのフロントエンドである(振動・騒音用途の)データレコーダを自社開発したと推測される。環境測定の顧客ニーズに応えたモデルといえる。 無線計測器の雄、ローデ・シュワルツには、「I/Q データレコーダー」なる品名のモデルがある。製品説明には「デジタルI/Q データストリームを記録・再生できるレコーダ。 デジタルI/Q インタフェースを備えた複数のR&S製品と組み合わせて使用すると、データをリアルタイムで保存または再生できる」とある。この製品はデジタル方式の移動体通信などで使う高周波(RF)の信号発生器であるI/Qジェネレータなどと併用されると思われる。「記録と再生ができる」という機能はまさに「データレコーダ」であるが、低周波の基本測定器であるレコーダの1機種群がデータレコーダだと思ったら大間違いで、無線通信の分野の専用測定機と併用するデータレコーダなのである。 「データレコーダ」という単語は大変に平明なことばだが、計測器でその意味するところは奥深い。今後も新しいデータレコーダ製品が出現するかもしれない(以下に紹介する、従来からの「テープに記録して、再生できる」データレコーダではなく)。 計測器情報: データレコーダの製品例(テープに記録する従来からのモデル)、 TEACのWX-7000シリーズ、 リオンのデータレコーダDA-20/21/40、ローデ・シュワルツのI/Qデータレコーダ―

データロガー(でーたろがー)

(data logger) データをメモリやPCに記録する機器。一定間隔で測定したデータを記録する。log(ログ)は記録や履歴の意味。データをロギングする(データのログを取る)測定器なのでデータロガー(data logger)。略称:ロガー。 温度などの時間変化の遅い物理現象(たとえば1秒サンプリング)を、センサからのアナログデータをデジタルに変えて記録する、可搬型の4~8チャンネルのモデル(数万円)から、ひずみ・振動を高速サンプリング(たとえば100kHz)で多チャンネル(たとえば128チャンネル)に測定するモデル(1千万円以上)まで多様なメーカと機種群があり、市場ニーズ・アプリケーションに対応している。 ひずみ・振動測定に特化している機種群はセンサ(ひずみゲージや加速度ピックアップ)からの信号を増幅してデジタル化するアンプをロガーに組込んで1筐体にしていて、単に電圧入力ができるだけの(本来の意味の)データロガーではなく、「ひずみデータロガー」とでもいう機種群を形成している。測定対象に近いセンサに特長があるもの、後段のデータ分析・解析の手法(PCとソフトウェアによる)に特長があるものなど各社で特長がある。 IoTの普及によって、従来センサとコンピュータの中間に位置していた計測器であるデータロガーは、その形態を変える可能性がある。異業種(センサメーカや、ビッグデータ解析が得意なIT機器メーカ)から、ほとんどマイコン機器と化したハードウェアであるデータロガーに参入する例もある。データ収集(データ収録)のためのDAQ(ダック、Data AcQuisition、データアクイジション)をデータロガーといっていることもあり、使用者によってデータロガーの意味は広範。 物理量測定器である温度計は温度センサと測定器で構成されるが、測定器は今やコンピュータなので、記録する機能を付加した「温度ロガー」が1つの機種群を形成している。温度ロガーは温度計メーカと記録計(データロガーを含む)メーカの両社がつくっている。その外観は可搬型で、温度の測定と記録ができ、各種の通信方式や記録メディアによってPCでデータ分析できるソフトウェアを用意していることが多い。カテゴリーは温度測定器(物理量測定器)かデータロガー(記録計)か意見が分かれる。 レコーダ(記録計)とロガーの違いは難しく、製品によってはどちらともいえないモデルもある。当サイトでは電磁オシログラフから続くペンレコーダ、ハイブリッド記録計、データレコーダ、メモリレコーダなどを「レコーダ・記録装置」に、データロガーやスイッチ/コントロールユニットなどをDAQの範疇として「データ集録機器」に区分している。

Datron(でーとろん)

2000年頃に存在した、校正器9000シリーズを作っていた海外の計測器メーカ。現存していないため、どんな機種群のラインアップだったか詳細は不明。2000年当時、横河電機が販売店をしていた。その後、Wavetek(ウエーブテック)、Fluke(フルーク)に製品は引き継がれた。現在のフルークの校正器を作っているフルーク・キャリブレーション社にはもうモデル9000は無い。ただしDatronのユニバーサル校正器9100とフルーク・キャリブレーションの現役モデルであるオシロスコープ校正器9500Bは外観と、表示パネルや操作部のレイアウトがほぼ同じである。9100はフルーク製品として生産中止になったが、(2000年以降にWavetekに吸収される前の)Datron製品である。データロガーで有名なDEWETRON(デュートロン)と名前が似ているが全く違うメーカである。 参考用語:マルチキャリブレータ

dB(でーびー)

デシベルの単位表記。物理量の比を示す単位にB(ベル)がある。ベルを1/10した単位がdB(デシベル)。bel:アレクサンダー・グラハム・ベルから命名。ある基準値に対して常用対数のX乗である値をX[B](エックス・ベル)と表記する。2つの値YとZの比が10のX乗のとき、X[B]である。電気の世界では小さな値から大きな値までを扱うので、何倍かを対数で表す。周波数特性(横軸:周波数、縦軸:利得)をlogスケールの目盛りでプロットして、低い周波数から高い周波数まで広い範囲を示すように、何千倍もの比較を少ない数で表せるのがベルの特長である。音の強さ(音圧)や、電圧、電力など、パワーとよばれる値はほとんどデシベルが使われる

dBm(でーびーえむ)

電波(無線通信)や光ファイバ通信(光通信)で使われる単位。電力で振幅差の非常に大きい信号を取り扱うために、1mWを基準(=0dBm)としてP(dBm)=10×log10(P(mW))で変換した単位系であるdBmという単位がよく使われる。mWが基準のdBなので「デービーミリワット」とも呼ばれる。例えば1Wの場合は、P(dBm)=10×log10(1,000mW)=30dBm、1µWの場合、P(dBm)=10×log10(0.001mW)=-30dBmと表現される。

テーブルタップ(てーぶるたっぷ)

コンセントから離れたところで電気製品を使うときに使用する。

テキサス・インスツルメンツ(てきさすいんすつるめんつ)

(Texas Instruments Inc.) 1950年に世界初のシリコン型トランジスタを製品化した老舗半導体デバイスメーカ。インテル、フェアチャイルドなどと半導体黎明期に名を馳せた。本社は米国 テキサス州ダラス。業界ではTIの略称で呼ばれる。1958年にTIの研究者ジャック・キルビーが発明したICは基本特許になっている。1980年代に日本の半導体デバイスメーカはキルビー特許で訴訟になった(日米半導体摩擦の時代の話)。 同社ホームページには「TIの事業:アナログチップと組込みプロセッシングチップの設計、製造、テスト、販売」とある。つまり、いまは創業時のような業態ではない。アナログ半導体ではアナログ・デバイセズが競合で、組込みマイコンの関連製品としてICEをつくっていた(現在はICEではなく回路設計ツール)。DSPもラインアップしている。(以下の計測器情報には、TIのDPSのICEの製品例がある。) TSMCの創設者、モリス・チャン(Morris Chang、張忠謀)は1960年頃に当時急成長していたTIに就職し、エンジニアリング部門のマネージャをしている。2023年に米国で発行され話題となり、日本でも翻訳されたChip War(半導体戦争)にはTIの元会長パトリック・ハガティや、露光の工程を開発したTIの技術者ジェイ・ラスロップなどが登場する。 TIは2000年9月にバーブラウン社(米国)を買収、2011年9月にナショナル セミコンダクター社(米国、略称:ナショセミ)を合併(※)。両社ともにアナログ半導体メーカで、アナログ・デバイセズ同様にTIもM&Aでこの分野を強化した。現在のアナログ半導体は、アナログ・デバイセズとTIが大手2社である。 米国の市場調査会社Gartnerは2024年1月に「2023年の世界半導体メーカ別売上ランキング」を発表した。TIは10位で、トップ10に入るデバイスメーカである(アナログ・デバイセズはトップ10外)。 (※)技術者のRobert Page Burr(ロバート・ページ・バー)とThomas R. Brown Jr.(トーマス・R・ブラウンJr.)は1956年にBurr-Brown社を設立。オーディオがアナログからデジタルになると性能の良いADコンバータを開発し、デジタルオーディオの先駆者といわれる。National Semiconductor社も技術者(8人)が1959年に創業。両社ともにアナログ半導体をラインアップし、1980~1990年代に筆者の回りにいた電子回路設計者は2社の半導体データブックを見て電子部品を選んでいた。余談だが、筆者の友人(電気工学専攻)はNational Semiconductorを「松下電器の半導体」と思っていた。確かに「ナショナルの半導体」は松下電器の半導体部門に思える。nationalは「国家の」、「国民の」という意味である。

適用ゲージ抵抗(てきようげーじていこう)

(applicable gauge resistance)測定可能なひずみゲージ(またはひずみゲージ式変換器)の抵抗値。(ひずみ測定器メーカである株式会社東京測器研究所の「測定器の概要と主な用語」より)

テクスチャーアナライザ(てくすちゃーあならいざ)

(texture analyzer) 食品の官能評価のために、食感を数値化する計測器。テクスチャーは物の表面の手触り・質感を示す概念。用例が多岐にわたり、ここでは「食物の歯ごたえなどの感覚(食感)」の意味で使われている。食品以外の用途にもテクスチャーアナライザは利用されるので、別名「(万能)物性試験機」とも呼ばれる。 「化粧品のさわり心地、つけ心地など、肌にのせた時の感触」を数値化している例もある。テクスチャーアナライザは主に食料品の計測器・分析器といえるが、人の感触に関係すれば何にでも使うことができる。表記は「テクスチャアナライザ」もある。 製品の外観は小型の圧縮機のようで、測定対象物に接触するセンサ部分をロードセルと呼んでいる。測定対象物によってロードセルを付け替えて交換できるモデルも多い。

テクトロニクス・イノベーション・フォーラム(てくとろにくすいのべーしょんふぉーらむ)

(Tektronix Innovation Forum) オシロスコープの世界的トップベンダー、テクトロニクスと、半導体パラメータアナライザや微少電流計、データロガー、DMM、SMUで有名なケースレーの製品群の展示、セミナーを開催する自社イベント(個展)の名称。2015年頃からプライベートショーとして毎年6月に開催するようになった。2017年には「テクトロニクス・イノベーション・フォーラム & Keithley Day 2017」の開催記録が残っている。英語を略したTIFを略記にしている。 テクトロニクスは2012年に米国のケースレー(Keithley Instruments)と合弁し(※)、日本の会社名は「テクトロニクス社/ケースレーインスツルメンツ社」になった。2022年以降は「株式会社テクトロニクス&フルーク」で、会社名からはケースレーはなくなり、日本の組織も2023年からはテクトロニクスとケースレーの区分はなくなっている(テクトロニクスとフルークの営業部門は従来通り、別組織のままである)。 (※)テクトロニクス、ケースレー、フルークは3社とも米国の投資会社フォーティブに買収され、その傘下にある(詳しくは用語、ソニー・テクトロニクス、フォーティブを参照)。 2018年と2019年のTIFは当サイトが取材してイベントレポートを公開した(以下の参考記事)。2020年からコロナウイルスの蔓延(コロナ禍)で中止になったが、2023年7月に4年ぶりの対面でのTIFが開催された(オンライン配信はなく、リアルなフォーラムのみ)。

テクニクス(てくにくす)

(Technics)松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)のオーディオ製品の登録商標で、1965年に始まった。1960~1970年代はオーディオブームで、大学生の趣味としてスピーカやアンプなどの音響機器を自作することが流行った。富裕層はオープンリールのテープレコーダを購入して高音質の音楽再生を自宅の部屋で楽しんだ。大手総合家電メーカの1社として松下電器も中~高級機の音響機器にこのブランドで参入した。1970年代にはFM放送の音楽番組のスポンサーとなりCMを流した。2010年に一度終了したが、2014年から欧州や日本で再展開された。2010年代からアナログのレコードが再評価されていることも追い風といえる。同社は、ダイレクトドライブ式レコードプレーヤーの実用化に世界で初めて成功したという歴史を持っている。

TECHNO-FRONTIER(てくのふろんてぃあ)

一般社団法人日本能率協会が主催する、電源に特化した展示会。毎年、4~5月に開催されてきたが、2020年はコロナウイルス対策で中止になり、2021年は6月開催、2022年からは7月開催している。 約10の展示会で構成されている。2023年の構成は、第41回 モータ技術展、第38回 電源システム展、第36回 EMC・ノイズ対策技術展、第32回 モーション・エンジニアリング展、第25回 熱設計・対策技術展、第16回 メカトロニクス技術展、第2回 パワーエレクトロニクス技術展、第5回 部品設計技術展、第4回 電子部品の材料展、第1回 部品加工技術展。 当サイトは2017年8月に開設し、2018年と2021年を取材し、展示会レポートを公開した(以下、参考記事)。電源システム展には国内、海外のほとんどの計測用電源が出展する。近年は回生型のDC電源や、ワイドレンジ電源(スイッチング電源の最近の流行り)の新製品出展が続いている(回生型は毎年、新メーカが出展している)。モータ技術展にはデジタルパワーメータやパワーアナライザをラインアップする横河計測、日置電機、HBK(旧HBM)などが出展、EMC・ノイズ対策技術展には、ノイズ研究所、電研精機研究所、東洋メディック(Narda、ナルダ)などが出展している。 2023年の電源システム展(7/26~28開催)には、近年、光絶縁プローブやFRA機能など、電源解析のアプリケーションがあるテクトロニクスが出展した(テクトロニクスの裏側にはリゴルが出展)。キーサイト・テクノロジーも多チャンネルの小型(薄型)SMUなどの新製品を展示。リゴルと同じく中華系オシロスコープメーカのSiglent Technology(シグレント)が、国内展示会に初めて出展し、キーサイトやテクトロニクスと同等の大きさのブースに12ビット高分解能オシロスコープなどを展示した。テクシオ・テクノロジーやクロマは台湾コーナで出展。パワエレに注力している岩崎通信機やテレダイン・レクロイは2022年から新設されたパワーエレクトロニクス技術展に出展。つまり、2023年は計測用の安定化電源だけでなく、主要メーカのオシロスコープも展示され、計測器の展示は大変盛況だったといえる。 2023年のTECHNO-FRONTIERは東京ビッグサイト東1~3ホールで開催され、東4~6にはメンテナンスレジエンスTOKYO(プラントメンテナンスショーなど)が出展した。プラントメンテナンスショーには計測器として、アドバンテスト(無線データロガー)、東陽テクニカ(振動センサ、振動解析)、フリアーシステムズ(産業音響カメラ)、フルーク(音響イメージャー)、マキシメータ・フィールド・テクノロジーズ(Aditel社の圧力測定器)などが出展した。

Tekelec(てけれっく)

Chameleon(カメレオン)という名称のプロトコルアナライザ(プロアナ) でISDNなどに対応した海外メーカ。会社は米国カリフォルニア州に本社がある通信機器メーカで、現存しているが、1980年代にプロアナやロジックアナライザをつくっていた。国産の通信計測器では対応していないインタフェースがあったので、国内の通信機器メーカの開発や検査で重宝された。

Tekelec Chameleon(てけれっくかめれおん)

Tekelec(テケレック)社のプロトコルアナライザ(プロアナ)の通称がChameleon(カメレオン)。「Chameleon 32Plusネットワークプロトコルアナライザ」などがあった。 1980年代に発売され、1990年代まで使われた。ISDNなどのインタフェースがあり、日本国内ではなく海外で導入されている通信規格やコネクタ形状に対応していた。国産の通信計測器メーカ(安藤電気や岩崎通信機、アドバンテストなど)がISDN計測器に参入する以前の走りの製品として、(海外への輸出もしている)国内通信機器メーカなどで重宝された。 本体背面にインタフェースのオプションボードを挿入して使用した。プロアナとしてだけでなく、C言語でのソフトウェア開発も(オプション設定によって)可能だった。そのため、ICEに似た側面も持っていた、高額製品だった。「インタフェースは何でも良いので短期間のレンタルをしたい」、という引合がたびたび計測器レンタル会社にあった。これはプロアナとしてではなくソフトウェア開発装置として使うことを意味した。東京都杉並区に輸入代理店があった(会社名はテケレック・ジャパンだったかは、今となっては不明)。

デジ・アナ(でじあな)

「デジタル・アナログ」の略記。PCオシロの製品広告で「デジ・アナ混在信号に対応」とあった。これはデジタルとアナログが混在した信号も入力できる(波形観測できる)、つまりミックスドシグナルオシロスコープ(MSO)であることを示している。デジ・アナのアナはスペアナ、ロジアナのようにアナライザの略記(略称)ではない。

デジタイザ(でじたいざ)

(digitizer) アナログのデータをデジタルのデータに変換(デジタル化、デジタイズ)する装置のこと。IT分野と計測器では意味が異なるので、計測器のデジタイザを説明する。アナログ電圧信号をデジタルデータに変換する装置というと、ADコンバータ(Analog-to-digital converter)であるが、デジタイザはAD変換器にプリアンプ、メモリ、PCからの制御、PCへのデータ転送を行う機能を備えている。形状はボード(プリント基板)でPCに組込んだり、箱型でPCとイーサネットなどでつないで制御する(つまPC接続型の計測器である)。主に検査用途が多く、PCに高速にデータ転送できることが最大の特長である。 オシロスコープがデジタル化したことで、デジタルオシロスコープの機能がデジタイザと重複するようになったが、オシロスコープはほとんどがスタンドアロンで、故障解析やデバッグなどに有用である。測定波形の表示更新は速いが、測定データの格納はデジタイザほど速くない。両者は主な仕様は同じだが、用途、アプリケーションが異なる。オシロスコープは未知の信号(通常は2か4チャンネル入力、最大でも8チャンネル)を観測するが、デジタイザは既知の信号を多チャンネル(たとえば128チャンネル)でデータ収集する。そのため、機種群(カテゴリー)はデータ集録機器といえる。デジタイザのメーカは、海外のAcqiris(アキリス)が有名である。

デジタイズ(でじたいず)

最近のデジタルマルチメータ(DMM)の機能の1つ。従来DMMは積分型ADC(アナログ・デジタル・コンバータ)を使い、一定時間積分して1つの値を出すことで測定値を算出しているが、別のより高速なADCでサンプリングしてオシロスコープのように測定する機能が最近のDMMにはある。メーカによって表記は違うが、たとえばケースレー製品は「デジタイズI(電流)」や「Digi I」などと呼んでいる。一般にデジタイズ(digitize、デジタル化)は連続的な値(アナログ)を離散的な値(デジタル)に変換することなので、ADCと同じこと。「デジタイザ」というと計測器の1つの機種群の名前なのでここでいうデジタイズとは違う。