テキサス・インスツルメンツ
(Texas Instruments Inc.)
[半導体デバイスメーカ]
1950年に世界初のシリコン型トランジスタを製品化した老舗半導体デバイスメーカ。インテル、フェアチャイルドなどと半導体黎明期に名を馳せた。本社は米国 テキサス州ダラス。業界ではTIの略称で呼ばれる。1958年にTIの研究者ジャック・キルビーが発明したICは基本特許になっている。1980年代に日本の半導体デバイスメーカはキルビー特許で訴訟になった(日米半導体摩擦の時代の話)。
同社ホームページには「TIの事業:アナログチップと組込みプロセッシングチップの設計、製造、テスト、販売」とある。つまり、いまは創業時のような業態ではない。アナログ半導体ではアナログ・デバイセズが競合で、DSPもラインアップしている。組込みマイコンの関連製品としてICEもラインアップしているが、現在はエミュレータ(デバッグ・プローブ )よりも回路設計ツールに軸足があるように思える。2000年代の日本テキサス・インスツルメンツ株式会社ではASP事業部がICEなどの開発ツールを担当していた。フルICEが活況だった1990年代にはマイクロプロセッサ(MPU)を手掛ける半導体デバイスメーカ(インテルやモトローラ、日立製作所、NECなど)はチップを販売するための必須の機器としてICE(デバッガ)をラインアップしていた(「メーカ純正ICE」と呼ばれた)。
TSMCの創設者、モリス・チャン(Morris Chang、張忠謀)は1960年頃に当時急成長していたTIに就職し、エンジニアリング部門のマネージャをしている。2023年に米国で発行され話題となり、日本でも翻訳されたChip War(半導体戦争)にはTIの元会長パトリック・ハガティや、露光の工程を開発したTIの技術者ジェイ・ラスロップなどが登場する。
TIは2000年9月にバーブラウン社(米国)を買収、2011年9月にナショナル セミコンダクター社(米国、略称:ナショセミ)を合併(※)。両社ともにアナログ半導体メーカで、アナログ・デバイセズ同様にTIもM&Aでこの分野を強化した。現在のアナログ半導体は、アナログ・デバイセズとTIが大手2社である。
米国の市場調査会社Gartnerは2024年1月に「2023年の世界半導体メーカ別売上ランキング」を発表した。TIは10位で、トップ10に入るデバイスメーカである(アナログ・デバイセズはトップ10外)。
(※)技術者のRobert Page Burr(ロバート・ページ・バー)とThomas R. Brown Jr.(トーマス・R・ブラウンJr.)は1956年にBurr-Brown社を設立。オーディオがアナログからデジタルになると性能の良いADコンバータを開発し、デジタルオーディオの先駆者といわれる。National Semiconductor社も技術者(8人)が1959年に創業。両社ともにアナログ半導体をラインアップし、1980~1990年代には、産業機器の電子回路設計者は2社の半導体データブックを見て電子部品を選んでいた。余談だが、筆者の友人(電気工学専攻)はNational Semiconductorを「松下電器の半導体」と思っていた。確かに、「ナショナル半導体」は「松下電器の半導体」と思う日本人がいても、おかしくはない。nationalは「国家の」、「国民の」という意味である。
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