計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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国際電気(こくさいでんき)

日立製作所系の通信機器・電子部品メーカ。1949年~2000年に存在した会社名。 簡単な沿革を述べる。 1940年、政府系の国際電気通信が東京・狛江市に自家用通信機工場を建設。1949年、民営化されて国際電気株式会社となる。1955年、日立製作所と技術提携。1960年代に半導体関連分野に進出(1980年代には半導体ウェーハをつくる、シリコン引き上げ装置などをラインアップ)。1973年に日本電信電話公社(現NTT)からポケットベル製造メーカの指定を受け、情報機器部門を拡大。2000年10月、日立電子、八木アンテナと合併し、日立国際電気となる。 つまり、1980年以降にインフラ設備が進む移動体通信の事業と、後の株式会社KOKUSAI ELECTRICとなる半導体製造装置の2つを事業にしていた(2つの顔を持つ)のが国際電気である。青梅の羽村工場では1990年代から移動体通信用の計測器を使って設計・開発をしていた。携帯電話ではなく基地局などの無線装置メーカとして、計測器レンタル会社のターゲット顧客の1社だった。ただし、日立国際電気となった2011年の売上構成(%)は半導体製造システム43、通信情報システム31、放送映像システム25、その他1、海外売上比率42%、なので、半導体関連の会社になったといえる。 通信と半導体は計測器と関係が深い事業(市場)である。計測器関連の用語(基礎的な常識)として国際電気は有名な会社名であるが、日本電気や富士通のようには知られていない。ただし1980年頃には半導体や通信の関係者には日本電気や富士通と同様に良く知られていた会社(メインプレーヤ)である。 2017年7月に同社を紹介するネット記事では「主に無線通信システムに力を入れていて、過去には携帯電話やポケットベルの普及に大きな貢献をしてきた。現在の売上高は連結で1800億を超える大企業」と書かれている。2018年6月に日立国際電気は成膜プロセスソリューション事業を米国の投資会社KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)に売却し、この事業は株式会社KOKUSAI ELECTRICとなる。日立系半導体製造装置メーカとして2023年10月に東京証券取引所に上場し、高値をつけた。半導体製造プロセスの「成膜」技術が強く、バッチ成膜装置やトリートメント装置などをラインアップ。ウェ―ハに薄膜を形成する「成膜」に特化して、縦型と呼ばれるバッチ式成膜装置では世界シェア1位。半導体製造装置メーカとしては2022年売上高で国内メーカ4位。国際電気が1960年代に参入した半導体製造装置ビジネスが大きな成果を残したといえる。 現在の日立国際電気は売上構成を公表していないが、R&D部門に5G技術開発部があり、プロダクト本部には放送機器改革推進プロジェクトがある(2023年会社案内より)。

国際ロボット展(こくさいろぼっとてん)

(INTERNATIONAL ROBOT EXHIBITION) 日本ロボット工業会、日刊工業新聞社が主催する、世界最大規模のロボット専門展。略記:iREX。隔年の11月に東京ビッグサイトで開催している。「2023国際ロボット展」は25回目で、国内外から654社・団体(海外からの121社を含む)が出展し、過去最大規模となった。 ロボットに使われる計測器としては、トルク計測やデータロガーなどがある。TechEyesOnline取材班は2019年の展示会で、産業ロボットゾーン(西ホール)の計測器と、サービスロボットゾーン(南ホール)のやわらかロボット(Sofumo)を取材した。 ロボットの展示会としては、毎年1月にカーエレクトロニクス技術展(オートモーティブワールド)などと併設でRX Japan株式会社(旧リードエグジビションジャパン)が開催する「ロボデックス」がある。2018年の展示会では、アドバンテストが無線式ロガーを出展している(以下の参考記事が詳しい)。電子部品から計測器まで幅広く取り扱っているコーンズテクノロジー株式会社は、慣性計測ユニットやカメラモジュール、超音波センサなどをロボデックス2024に出展している。

黒体(こくたい)

非接触温度計(放射温度計、サーモグラフィ)の校正に使われる。日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」には次の解説がある。 入射される赤外線をすべて吸収する物体。完全放射体ともいう。黒体はまたその温度だけで決まる放射エネルギーを放射し、その値は黒体以外の同温度のどの物体よりも大きい。放射率は1と定義されている。放射率:同じ温度の物体と黒体との、同じ波長の放射に対する放射発散度の比。反射率:物体から反射された放射エネルギーと物体に入射する放射エネルギーとの比。 参考用語:環境温度補正

黒体炉(こくたいろ)

赤外線温度計の検査や校正に使用する機器。

國洋電機工業(こくようでんきこうぎょう)

電子部品(トランジスタなどの半導体やL、C、Rなどの受動素子)の測定器をつくっていた計測器メーカ。現在は存在しない。会社名は國洋電機工業株式会社。略記はKDKで、製品には「KOKUYO ELECTRIC CO. LTD」と印刷されていた。カーブトレーサ(形名SCT-2FRなど)が有名で、コンデンサ、トランジスタなどの電子部品・半導体の受け入れ検査には、國洋電機か菊水電子工業(形名5802など)が使われていた。テクトロニクスのカーブトレーサは國洋電機や菊水より機能が高い上位モデルで、たとえばTYPE576は1970年代でも400万円くらいの高額製品で、半導体の開発・設計・検査に使われた。 1980年頃にはLCRメータもつくっていた。発売時期は不明だが、直流重畳試験装置、半導体テスタ、熱抵抗試験機、絶縁耐圧試験機などもラインアップしていた(ジェイテクトエレクトロニクスのHPより、2022年11月現在 ※)。 2014年に國洋電機工業の計測器事業は光洋電子工業に承継され、現在はコイルテスタとインダクタ試験機のみ販売されている(2022年11月現在)。修理対応は、LCRメータは不可の機種が多いが、カーブトレーサは比較的に対応可能機種が多い(2022年11月HPより)。2022年10月1日に光洋電子工業は株式会社ジェイテクトエレクトロニクスに社名を変更した。國洋電機工業はカーブトレーサで名を馳せたが、現存する資料がほとんどなく、設立年やラインアップ、いつ会社がなくなったのかなど、詳細が良くわからない。 余談だがカーブトレーサは菊水、國洋電機が生産中止後には、テクトロニクスの型式370、371が業界標準となったが、それも生産終了し、370/371の仕様を引き継いだ岩崎通信機がCS-3000シリーズカーブトレーサを2009年に発売している。その後も同社はCSシリーズを増やし、2020年にはCS-8000を発売するなど、パワーエレクトロニクス分野に注力している。 (※)ジェイテクトエレクトロニクスは國洋電機工業から引き継いだモデルを、2023年7月20日で受注終了、2023年12月20日でアフターサービス(修理・校正など)も終了とし、全ての製品が廃型・販売終了となった。理由は「大幅に需要が減少している中、型番維持が困難な状況となった」としている。

ココム(ここむ)

共産圏(社会主義諸国)に対する資本主義諸国からの、戦略物資・技術の輸出を統制するために1949年に設けられた協定機関。アイルランドを除く北大西洋条約機構(NATO、ナトー)加盟国と日本、オーストラリアの合計17国が加入。ソ連崩壊により1994年に解体。 戦後(第二次世界大戦以降)の東西冷戦(西側:米国を中心とする自由主義・資本主義陣営と東側:ソ連を中心とした共産主義・社会主義の計画経済の国々の対立)の時代に、西側の国の先端技術(軍事技術)を東側に流出させないためにつくられた、西側陣営の協定。 計測器は高周波部品などを使っているため、周波数などの仕様がココム規定に抵触して中国やベトナムなどに輸出ができないことが良くあった。当時の(計測器を含む)メーカ社員にとってココムは常識の知識だった。1980年頃の計測器メーカには輸出審査部のような部署が必ずあり、海外からの引き合いには、仕向け地(輸出先の国)によってココムリストがあり、製品の仕様で該当する項目をすべてチェックした書類を官庁(当時は通産省)に提出して認可を得た。 ココムに違反すると大変なことになった。たとえば東芝系列の大型工作機メーカの東芝機械株式会社はプラスチック射出成型機で国内2位の優良企業だったが、1988年のソ連向けNC旋盤輸出がココム違反に問われ、3年間の対米輸出禁止制裁を受けた。東芝機械事件といわれ、当時は大きなニュースになった。東芝機械事件は、市井の人々にも、この協定の存在を広く知らしめた。 これを教訓に、第三国経由の共産圏への輸出(輸出先は共産国でない国だが、この国を経由して最終的には共産国に納品される)などが警戒され、ココムに抵触する仕様の製品は(共産圏以外でも)輸出はしないと決めて、製品カタログに「国内専用・輸出不可」のマークを印刷して自己規制する計測器メーカもあった。国内の会社からの引き合いにも、機器の最終使用場所の確認は必須となり、メーカの海外営業だけでなく国内営業もココムに対応した。特に計測器はハイテク機器であるため、計測器メーカはココムには敏感だった。 ココムは次の英文の頭2文字の略記といわれるが、文献によって次の2種類があった。Coordinating Committee for Multilateral Export Controls、多国間輸出を管理(統制)する調整委員会、またはCo-ordinating Committee Control for Export to Communist Area、共産圏への輸出の管理(統制)・調整委員会。日本語では「対共産圏輸出統制委員会」といわれていたが、ココム(またはCOCOM)と呼称されることの方が多かった。 ソ連崩壊によってココムは無くなったが、戦後の米国の中国に対する無知によって、中国は一党独裁の共産主義を維持したまま経済大国となり、米国を脅かす軍事大国になった。2017年にトランプ大統領が明確に中国の脅威を発信し、やっと米国は中国への方針を転換したが時すでに遅く、5Gではファーウエーの後塵を拝し、共産国家からのサイバー攻撃(最先端技術)に米国を含む先進資本主義国は晒されている。北朝鮮のミサイルや核は日本の資金と技術力の流出が大きく貢献しているとされる。現在も日本からの流出は止まったということは無い。2022年2月のロシアのウクライナ侵攻を機に米国やEUが経済制裁を開始したが、ココムのような効果は出せていない。中国を筆頭にした共産国への新たな輸出規制の協定など、より一層の強化、効果のある世界的な対応が求められるが、すでに中国は世界的な経済大国である。

50Ω-75Ω変換アダプタ(ごじゅうおーむななじゅうごおーむへんかんあだぷた)

特性インピーダンを50Ωから75Ωに変換する部品。50Ω-75Ω変換器とも呼ばれる。

50Ω-75Ω変換器(ごじゅうおーむななじゅうごおーむへんかんき)

特性インピーダンを50Ω⇔75Ωに変換する機器。外観は部品なので、50Ω-75Ω変換アダプタとも呼ばれることも多い。映像系の機器は75Ωのため、一般の伝送路につなぐときに50Ωに変換するために使用される。高周波関連の部品メーカなどがつくっている。計測器のアクセサリ、周辺機器といえる。

呼制御(こせいぎょ)

(Call Control)電話の発信、着信の際、通話を始めるための準備と通話が終わった後処理を制御する仕組み。IP電話などで呼制御をするために、SIP(Session Initiation Protocol)やH.323などの呼制御プロトコルが使われる。呼制御は(インターネット、IP網などの)IT用語といえる。ただし呼制御は「シグナリング」ともいわれる。現在主流の携帯電話はデジタル方式の無線で行われ、その呼制御の試験器として「シグナリングテスタ」がある。つまり、電話機の用語であった呼制御はインターネット時代のIT用語であり、デジタル無線通信用計測器「シグナリングテスタ」の用語でもある。機種例として、アンリツW-CDMAシグナリングテスタMD8480Aは、メーカ発売時の価格は約3千万円/台という大変に高額な製品だった。

5線測定(ごせんそくてい)

LCRメータなどのインピーダンス測定器で採用されている5端子法(5端子測定法)を「5線測定」や「5線測定方式」と表現している場合がある。たとえば三和電気計器のモデルLCR700など。 参考記事: LCRメータの基礎と概要 (第2回)の2ページ目・・試料との接続方法を図解。 計測器情報:LCR700・・計測器の主な仕様と製品カタログ

5端子法(ごたんしほう)

(five-terminal method) 低い抵抗値を測定する時に有効な4端子法に、さらにシールドを施してDUTの電位をグランドに等しくしたものが5端子法(4本の測定線と、測定器のFG端子につなぐ5本めの線がある)。高いインピーダンスの測定時に5端子法は有効である。この接続法は1Ω~10MΩまでの幅広いインピーダンス測定に対応できる。ただし電流ケーブルと電圧ケーブルの間の相互誘導の影響は少し残る。電磁誘導の影響を抑えた手法に4端子対法がある。5端子法を「シールデッド4端子法」(シールドされた4端子法)と表現している文献もある。 インピーダンス測定をするLCRメータなどは5端子法に対応している。三和電気計器株式会社のハンディLCRメータ(LCR700)のカタログには「5線測定方式(4端子ソケット+ガードライン)」と書かれている。ここでは5端子法を「5線測定」、5本目の線を「ガードライン」と表現している。

COP(こっぷ)

Conference of the Partiesの略で、地球温暖化を防ぐ枠組みを協議する国際会議のこと。197国が加盟。1995年の京都で開催されたCOP3(3回目の会議)で「京都議定書」を採択。2021年11月に英国でCOP26が開催される。温暖化対策は火力発電所の新設を抑制・中止するため、世界的に優秀な発電所を作れる日本の重電メーカは苦戦している。発電所の新設工事には多くの計測器が使われるため、そのような計測器の需要がなくなる傾向にある。

固定アッテネータ(こていあってねーた)

減衰量が固定の減衰器。(=固定減衰器)

固定抵抗減衰器(こていていこうげんすいき)

減衰量が固定の減衰器。(=固定アッテネータ)

Copy(こぴー)

ROMライタの機能で、マスタROMのデータをプログラマのバッファメモリに格納。(東亜エレクトロニクス株式会社 フラッシュサポートグループカンパニーの「書込みやプログラマに関する用語集」より)

コヒーレンス(こひーれんす)

(coherence) 2つの信号の位相の相関の度合いをコヒーレンスと呼んでいる。 通常、コヒーレンスやコヒーレントはFFTアナライザや、レーザー光などの光通信測定器で使われる用語だが、無線測定器(RF)の代表であるスペクトラムアナライザのオプションに、ローデ・シュワルツには「コヒーレンスユニット」なる製品があった。 参考用語: コヒーレンス関数 計測器情報:品名にコヒーレンスが付く製品の例・・ローデ・シュワルツのFS-Z10コヒーレンスユニットなど

コヒーレンス関数(こひーれんすかんすう)

(coherence function) 別名:関連度関数。系の入力と出力の因果関係の度合を示す周波数関数で、0から1の間の値をとる。1の場合はその周波数において系の出力がすべて測定入力に起因していることを示していて、1の場合はその周波数については、系の出力は測定入力にまったく関係ない。 0や1でない場合(0以上〜1以下)は、測定とは無関係な信号、系内部で発生しているノイズ、系の非直線性または系の時間遅延などがあると考えられる。コヒーレンス関数を測定する場合は必ず平均化を行う必要がある。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より。数式は小野測器HPを参照。) 参考用語:コヒーレント、コヒーレンスブランク機能

コヒーレンスブランク機能(こひーれんすぶらんくきのう)

(coherence blanking function) 測定した2チャンネル間の結果の参考用語:コヒーレンス関数が小さいということは、測定結果が不正確であることを示している。こうした不正確な部分は表示せず、 コヒーレンス関数の大きい部分のみを表示する機能のこと。 コヒーレンス関数の値は任意に設定でき、値がそれ以下の周波数では伝達関数が表示されない。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より) 参考用語:コヒーレント

コヒーレント(こひーれんと)

(coherent) 日本語では「可干渉」、「干渉的」。波の干渉についての特性を示すことば。レーザーの光はコヒーレントの代表である。干渉とは、複数の波が重なるとき、波が打ち消し合ったり強め合ったりすること。2つの波の位相や振幅に一定の関係があると、干渉を鮮明に観測することができる。 コヒーレントの正確な説明は難しい。説明の例、「強度の等しい二つの波が重なり干渉するとき、干渉縞(じま)の強度の極小値がゼロだと、二つの波はコヒーレントである」。 2つの波の位相の揃い具合、干渉縞の鮮明さをコヒーレンス(coherence)という。光のコヒーレンスを説明すると、レーザー光は非常にコヒーレンスの高い光である。そこで「レーザー光はコヒーレントである」と表現される。自然にある太陽光や、従来の光源(電球、蛍光灯)の光はコヒーレンスが低いので「インコヒーレント(コヒーレントでないという意味)に近い光である」と説明される。完全なコヒーレントやインコヒーレントは無くて、干渉性が高いとコヒーレント、低いとインコヒーレントと表現される。この指標によって多くの事象を実験などで確認できるため、物理学の重要なことばだが、平明に説明することは大変難しい。 FFTアナライザでは、関連度関数をコヒーレンス関数と呼んでいる。ここでいう「コヒーレンス」は入力と出力の「関連性」という意味である。他にもコヒーレントアウトプットパワーなどの用語がある。また、FFTアナライザにはコヒーレンスブランク機能がある。 計測器情報:品名にコヒーレントが付く製品の例

コヒーレントアウトプットパワー(こひーれんとあうとぷっとぱわー)

(Coherence Output Power) コヒーレンス関数と出力側のオートパワースペクトルとの積をコヒーレントアウトプットパワー(C.O.P.)と呼ぶ。C.O.Pは、出力のオートパワースペクトルのうち測定入力に起因するオートパワースペクトルを表している。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より。数式は小野測器HPを参照。) 参考用語:コヒーレント、コヒーレンスブランク機能