計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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APC研磨(えーぴーしーけんま)

APCはAngled Physical Contactの略で、光ファイバをコネクタ接続する際の、コネクタ端面(接触面)の研磨の種類の1つ。研磨方法にはPC、SPC、UPC、APCなどがある。表記は「APC」、「Angled PC」など。表記がFC/APCだとFCコネクタではなく「FC/APC」、または「APC」という新しい名称のコネクタと誤解されるので「FC/Angled PC」(APC研磨のFCコネクタ)と表記しているメーカもある(光コネクタは時代と共に多くの種類がつくられては消滅していき、現在はFCやSCが主流だが、新しい名称のコネクタは今後も出現していく)。光計測器のコネクタの記述もFC/PCやSC/APCなど研磨も記述するケースが増えている(1980年頃はほとんど記述されなかったが、2020年には主要な光計測器の仕様に明記されるようになっている)。 光ファイバの端にコネクタを取り付けると反射などで損失が発生する。反射光は入力側の光源に向かってファイバ(コア)に反射される。後方反射は光源の損傷や信号品質の悪化の原因になるので、コネクタのフェルールの研磨方法によって対策している。UPC(Ultra Physical Contact)はファイバの端面が垂直(角度をつけずに研磨)だが、APCは8度の角度で研磨している(angled:角度を付けた、斜め、という意味)。そうすると反射光はまっすぐにコア内に入射せず斜めにクラッドに反射して、光源への戻り光を減らすことができる。 RFなどの高周波の(電気の)コネクタにもAPCがある。たとえばAPC-7は「Amphenol Precision Connector(7mm)」である。電気(高周波)のAPCコネクタは1960年代に開発されているので、コネクタでAPCといえばこちらの方が大先輩である。そのため、光計測器のコネクタにはAPCよりもAngled PCと記載する方が親切といえるかもしれない。

AVR(えーぶいあーる)

(Automatic Voltage Regulator) 直訳すると「自動電圧調整器」。2つの意味がある。 1.交流発電機の電圧を一定に保つ装置。重電機器(電力関連機器)の1つで、発電所に設備され、負荷(工場や家庭が使う電気量)が変動しても発電所の出力電圧が下がらないようにしている。電力のネットワークである電力系統の交流電圧を安定に保つために不可欠な装置。 2.電源のことをAVRと呼んでいることがある。たとえば電源と安定化電源の違いは「電源内部の出力側にAVRが備わっているのが安定化電源」と説明される。電源にはAVR付きとそうでないものがある。AVRは発電機だけでなく電源(広義に電力を出力するもの)の出力を安定にする装置(機構)のことである。計測用電源は出力の精度が良いが、そうではなくて「だいたい何V出力」という電源は実は世の中にはたくさんある。そのため、電源ではなく「安定化電源」ということばがある。 計測用電源の交流電源は商用電源(ACコンセント)を入力として、安定した交流出力を出すので、高砂製作所や計測技術研究所などの計測器メーカは自社の交流電源のことをAVRと呼称している。

au(えーゆー)

KDDI(ケーディーディーアイ)と傘下のセルラー・グループ各社が提供する移動体通信事業の統一ブランド名。日本移動通信(IDO)とセルラー・グループが行っていたcdmaOne(※1)とPDC方式サービスを、2000年10月のKDD(※2)との合弁を前提に同年7月から名称変更したもの。NTTドコモに次ぐ携帯電話の通信事業者だが、ソフトバンクの参入によって2位とはいえなくなった(2022年現在)。(※1)cdmaOne(シーディーエムエーワン):携帯電話がPDC方式だった2G時代の1998年に、IDOやDDI(第二電電)は次世代の3Gで使われるCDMA技術を使い、PDCより通信速度が速いcdmaOneというサービスを開始し、2.5G(2.5世代)と呼ばれた。NTTドコモが3GサービスのW-CDMAを開始するのは2001年である。 (※2)KDD:国際電信電話株式会社、1953年設立の国際電話の通信事業者。当時は国内はNTT、海外はKDDだった。

液クロ(えきくろ)

液体クロマトグラフィー(Liquid Chromatography)の略称。化学分野で使われる定性・定量分析装置。科学分析機器の代表的な機種。医療や製薬、食品、環境などの分野で広く使われている。同様にガスクロマトグラフィーは「ガスクロ」と呼称される。

液体クロマトグラフィー(えきたいくろまとぐらふぃー)

(Liquid Chromatography) 化学分野で使われる定性・定量分析手法だが、装置をさしていることが多い。装置のカテゴリーは科学分析機器。医療や製薬、食品、環境などの広い分野で使われている。「液クロ」といわれることが多い。メーカは国産では島津製作所、海外ではアジレント・テクノロジーなどがある。分析する対象物が液体ではなく気体の場合はガスクロマトグラフィ(ガスクロと呼称)。科学分析機器といえば、液クロ、ガスクロというほど、分析装置の代表製品。日本分析機器工業会(JAIMA:Japan Analytical Instruments Manufacturers' Association)のHPに詳細説明が掲載されている。

液体密度計(えきたいみつどけい)

環境機器・分析計の1種。液体内の密度を測定する機器。密度はあらゆる産業プロセスで重要な指標なため、高精度に液体密度を測定、分析する測定器やアナライザがある。メーカとしては横河電機やアズワンがラインアップしている。

液中パーティクルカウンタ(えきちゅうぱーてぃくるかうんた)

液体内の密度を測定する機器。パーティクルカウンタは微粒子をカウントして濃度を計測する測定器の品名。液体密度計とも呼ばれる。

exclusive契約(えくすくるーしぶけいやく)

メーカAが販売店Bに、ある地域内(たとえば日本など)での製品販売権を独占的に与える契約を指す。この場合、B社は「A社(特定の製品の場合もある)の総代理店」と呼ばれ、日本国内ではB社経由で購入するしかない。B社以外にも販売会社(2次店)が存在する場合も多いが、それらの会社はすべてB社から購入して転売している。 exclusiveは「排他的な」、「独占的な」の意味。論理回路(論理演算)のXOR(eXclusive OR)は「排他的論理和」と呼ばれる。XORは2つの入力のうち片方のみが(2進数の)1であるときだけ出力が1となり、両方1や両方0の場合は0となる。このように理工系(学問)ではexclusiveは「排他的」だが、ビジネス(契約)では「独占的」という意味に使われる。 筆者はメーカの駆け出し営業時代に、国内営業部の先輩に同行して、計測器の輸入商社に訪問したことがある。先輩は販路拡大のために「自社製品を海外で販売できないか」と相談した。商社の営業マンは「エクスクルーシブか?」と聞いたが、先輩は良く意味が分からずに「そうだ」と答えてしまった。商社が輸出を想定している国には、すでに会社の海外営業部が販売を行っていたので、この商社に独占販売権を与えることなどできない。後でexclusiveの意味を知った先輩は商社に平謝りだった。 このように輸出入では独占販売権のことをexclusiveと呼ぶ。一般に国内販売の営業マンは知らない用語だが、(計測器に限らず)海外営業部では常識(基礎)のことば(表現)である。

SRS(えすあーるえす)

(Stimulated Raman Scattering)誘導ラマン散乱。非線形光学効果の1つで、この応用例にはラマン増幅器などがあるが、加工用の高出力レーザーでは機能を阻害する要因となる。

SIF(えすあいえふ)

(San-ei Image Temp Format)日本アビオニクス株式会社のサーモグラフィカメラ(熱画像計測器)TH3100シリーズ、TH5100シリーズで用いられている保存形式(拡張子)。1つのファイルに1000データ(画面)まで入る。関連用語:SIT。(同社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)TH3100/5100シリーズは三栄測器(NEC三栄、NEC Avio赤外線テクノロジー)がつくったので、SIFのSは三栄の略。三栄測器は1971年にNECが資本参加し、社名にNECが付き、2012年に日本アビオニクス(NEC系列でサーモグラフィをラインアップする会社)に吸収された。

SiC(えすあいしー)

炭化ケイ素のこと。Silicon Carbide(シリコンカーバイド)。 半導体の材料元素はシリコンが主流だが、パワー半導体ではSiCやGaNを使った製品が普及しつつある。

SI単位(えすあいたんい)

(International System of Units) 国際単位系の別名。SI単位系やSI単位、SIなどと呼ばれる。SI単位系とは、1960年の国際度量衡総会(メートル条約加盟国の国際会議)で決議された単位系。フランス語の国際単位系「Système International d'unités」の頭2文字を略記している。 物理量の単位はなるべくSI単位を使うことが世界的に進み、2000年頃に計測器の単位表示が従来のものからSI単位表示に変わった計測器がある。たとえば気圧の単位はbar(バール)からPa(パスカル)になった。圧力計(マノメータ)の製品カタログには「SI単位対応」という記述があった。従来から使い慣れた単位であるbarが変更になるときには、このように計測器メーカはユーザに告知をした。「古いbar表示の製品は○○までに注文を受けた場合が最後の生産です」、などの説明をメーカの営業が当時していた。

SIT(えすあいてぃー)

(San-ei Image Temp File)日本アビオニクス株式会社のサーモグラフィカメラ(熱画像計測器)TH7100シリーズで用いられている保存形式(拡張子)。1ファイルに対し1データ(画面)の書き込みに限定される。関連用語:SIF。(同社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)TH7100シリーズは三栄測器(NEC三栄、NEC Avio赤外線テクノロジー)がつくったので、SITのSは三栄。三栄測器は1971年にNECが資本参加し、社名にNECが付き、2012年に日本アビオニクス(NEC系列でサーモグラフィをラインアップする会社)に吸収された。

SIer(えすあいやー)

システム開発を請け負う企業のこと。英語ではSystem Integrator(システムインテグレータ)だが、これを略したSIに-er(~する人、~すること)を付けた和製英語。 通信機器の普及や、IT技術の日進月歩によって、いまやIT機器は多くの企業の基幹業務を担っているが、社内には「ITに精通し、ノウハウを持つエンジニア」が存在せず、システムの設計や運営を自社では十分に行えない企業が多い。そのため、顧客(クライアント)の要望に応じて、ソフトウェアの設計から運用、コンサルティングに至る様々な仕事を請け負うSI(システムインテグレータ)という職種(企業)が現れた。 SIerの代表的な企業は、富士通、IBM、NTTデータなどだが、業界は大手、下請け、孫請け、派遣などがあり、大手~中堅~零細で構成される典型的なピラミッド構造をしている。2020年頃から導入され、2023年には不具合が続出しているマイナバーカードのSIerは富士通である(不具合の原因が同社か否かは、まったく不明、不透明である)。 上記のような大きなシステムの設計を請け負う企業から、組込みシステムのソフトウェアの設計をする会社まで、SIerは様々である。

SA(えすえー)

(Spectrum Analyzer)無線通信の基本測定器であるスペクトラムアナライザの略記。RFの計測器は同様にSG(標準信号発生器)、NA(ネットワークアナライザ)などの略記がある。リアルタイム・スペクトラム・アナライザをRTSA(Rial Time Spectrum Analyzer)と略記する事例がテクトロニクスにあるが、RF計測器メーカの共通の略記であるかは未確認。詳しい説明は以下の記事を参照されたい。 参考記事:スペクトラムアナライザの基礎と概要 スペクトラムアナライザの概要から、種類、主要な性能、注意点などを解説した入門記事。

SAR ADC(えすえーあーるえーでぃーしー)

(Successive Approximation Register Analog Digital Converter) 逐次比較型ADコンバータ。ADコンバータの方式は複数あり、一般的にデジタルマルチメータ(DMM)は積分型が多い。高ダイナミックレンジ、高精度に適した方式としてSARやデルタシグマ(ΔΣ)型がある。

SSD(えすえすでぃー)

(Solid State Drive) コンピュータのメモリに使われるソリッド・ステート・ドライブのこと。SSDという表現(表記)が一般的に広く使われている。価格が安価になったことでPC用の外付けストレージとして小型の名刺サイズの製品が流通している。フロッピーディスク(FDD)、ハードディスク(HDD)に続き、2020年には出荷台数がHDDを抜き逆転している。 レコーダなどの計測器に長時間記録できる媒体として使われたテープが生産中止になり、データレコーダは一時期、ほとんどが生産終了した。HDDは信頼性の点で屋外で使うポータブルの計測器には向かなかった。SSDが安価になったことで、データレコーダの計測器メーカだったティアックは生産を復活(新製品を発売)した。 計測器情報:SSDを搭載したティアックの製品例(WX-7000シリーズ)

SSPC(えすえすぴーしー)

Steel Structures Painting Council USAの略。米国鋼構造物塗装協会。

SSPC-PA2規定(えすえすぴーしーぴーえーつーきかく)

フィッシャー・インストルメンツの用語集には以下のようにある。SSPC(Steel Structures Painting Council USA 米国鋼構造物塗装協会)によるSSPC-PA2規定は防食塗装膜厚が各規格値の80%以上120%以内でなくてはならないと定められている。フィッシャー社の膜厚計はMP0RやFMP100などで、SSPC-PA2対応の測定モードがあり、3ポイントの測定平均が80/120%以内かの確認が容易にとることができる。またFMP100などの上位機種では、測定ポイントへのグラフィックガイドや統計処理ができる。

S/N(えすえぬ)

(Signal/Noise) 信号(Signal)とノイズ(Noise)の比率。感度を示す指標。RFなどの無線通信測定器で良く使われる用語。S/Nの単位は[dB]を使うことが多い。たとえば(一般的な計測器の仕様である)60dBとは、信号電力が雑音電力の 10の6乗倍(100万倍)、または雑音電力が信号電力の10の-6乗倍 (100万分の1) である。信号を受信する測定器(スペクトラムアナライザなど)では測定器自体のノイズに対してどれだけ小さな信号を測定できるかの目安となり、出力する計測器(SGなど)では規定出力とノイズとの比を示す。「SN比」や「S/N比」、「SNR」(Signal to Noise Ratioの略記、信号対雑音比)などの表記もある。SNだと磁石の両極になるので、「S/N」と“/”を表記したり、「SN比」と表現している。