ファームウェア
(firmware)
一般にハードウェアとソフトウェアを比較すると、ハードウェアは(ソフトウェアに比べて)処理が速いが変更は難しく、ソフトウェアはハードウェアほど速くないが変更が容易である。設計時に、ある機能をどう作りこむか(ハードウェアとソフトウェアのどちらで実現するか)ということは両者の長短を勘案して決定される。本来ハードウェアで実現するような機能をソフトウェアでつくりこんでいるものをファームウェアと呼ぶ。
電気機器の設計部門の技術者に「担当は何ですか?」と聞いて「ファームです」と答えたら、この技術者はソフトウェアの開発をしているのでICE(マイコン開発支援装置)を使う可能性があるが、ハードウェアにも関係しているのでオシロスコープやプロトコルアナライザのようなハードウェア設計者が使う測定器も使う可能性がある。技術者はファームウェアを略して、ファームと呼称している。
株式会社Sohwa&Sophia Technologies(旧ソフィアシステムズ。1975年創業のベンチャー企業で、ICEのトップベンダ)の用語集では次のように解説している。「ファームウェア:ハードウェアの基本的な制御を行うために機器に組み込まれたソフトウェア。機器に固定的に搭載されほとんど変更されないことから、ハードウェアとソフトウェアの中間的な存在としてファームウェアと呼ばれている。機器に内蔵されたROMやフラッシュに記憶されている。パソコンのBIOSもファームウェアの一種である。機能の追加や不具合の修正のため、後から変更できるようになっているものもある。」
firmは「固い」という意味。ファームウェアとは「固い、固定された(変更されない、書き換えしない)ソフトウエェア」ということ。
不具合修正や性能向上などのために、ファームウェアアップデート(firmware update)を行うことがある。つまりファームウェアも変更(書き換え)られることがある。これを「ファームアップ」と呼称する。
firmには「会社、企業」の意味もある。計測器を含む電子機器以外のファームとして「法律事務所」がある。多くの弁護士を抱える大組織の法律事務所を「ローファーム」(low:法律)と呼ぶ(略して「ファーム」と呼称することもある)。