計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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トルク検出器(とるくけんしゅつき)

(torque detector) トルクを検出するセンサ。トルク測定器(トルクメータ、トルク計)を指していることもある。次のような表現があり、同じ意味で使われている。「トルクセンサ」、「トルク変換器」、「トルクトランスデューサ」。 自動車分野ではトルクは基本(必須)の測定項目のため、自動車業界を顧客にしている計測器メーカの小野測器(FFTアナライザが有名)や共和電業(ひずみ測定器メーカ)、東京測器研究所(ひずみ計測器メーカ)などがトルク検出器やトルクメータをつくっている。 計測と制御に係るセンサの老舗、ユニパルス(日本メーカ)はJEMIMA会員ではないので計測器メーカという位置づけではないが、トルク検出器や関連製品を多くラインアップしている。まだ海外製が多い種類のトルク製品を自社開発しているトルク計測の先端企業である。 参考記事(会員専用):【展示会レポート】2019国際ロボット展(iREX2019)の2ページ目 ・・UNIPULS(ユニパルス)の各種トルク計測の新製品を取材。 計測器情報:トルク検出器の製品例

トルクチェッカ(とるくちぇっか)

ドライバのトルク設定やトルク管理を必要とする工具のトルク測定を手軽に行うことができるトルク計測器を指す。バッテリを内蔵し、屋外で使用可能なハンドヘルド(可搬型)が多い。メーカによっては、校正用機器として、定期校正や修理時の校正作業に使用する校正用機器を「トルクテスタ」、日常点検でのトルク機器のチェック用に使用するものを「トルクチェッカ」と呼称している場合もある。トルク機器が専門の株式会社東日製作所や、ばねなどの開発~製造を行う試験機メーカの日本計測システム株式会社がトルクチェッカをつくっている。上記の2社はいわゆる電気計測器メーカではない。トルクチェッカは工具と同じ分類に入るので、通販サイトでも売っている。トルク計測で有名な小野測器やHBK(旧HBM)の製品名は、トルクメータ、トルク検出器、トルク計、トルクセンサなどで、電気計測器としてはこちらの品名のほうが馴染みがある。国産のユニパルスや海外のMAGTROL(マグトロール、販売は東陽テクニカ)もトルクメータ(トルクセンサ)では有名。

トルクドライバ(とるくどらいば)

(torque screwdriver) ボルト・ナットなどを、決められたトルク値に締める際に使う工具。

トルクメータ(とるくめーた)

(torque meter) モータなどのトルクを測定する機器。 別名:トルク計。 参考用語:トルク検出器

トルクレンチ(とるくれんち)

(torque wrench) ボルト・ナットなどねじの締め付けトルクを測定したり、決められたトルク値に締める際に用いる工具。

トレーサビリティ(とれーさびりてぃー)

(traceability) 測定結果が校正手法によって国際(国家)標準につながっている(トレース可能である、追尾できる)こと。測定精度を表現するときに良く用いられることば。 計測器ではないが、最近スーパーマーケットの食品売り場に並ぶ生鮮食品にはコードで生産地や流通経路が読み取れ、生産までがトレーサブルである。 参考用語:トレーサビリティ証明書、産総研

トレーサビリティ証明書(とれーさびりてぃしょうめいしょ)

(traceability certificate) 計測器が正常であるか否かを試験する校正の際に、使用した測定器(=標準器・原器)が、国家標準機関などにトレースするまでの経路をチャートに表した体系図。別名、トレーサビリティ体系図。「トレ体」と呼称される。 日本独自の書類のため、国内の計測器メーカはつくっているが、海外メーカに依頼しても出てこない(海外ではこの書類はない)。つまり校正書類3点セット(校正証明書、試験成績書、トレーサビリティ証明書)になっているのは日本だけである。 長らくISO 9001(一般校正)では校正3点セットが使われたが、最近の不確かさによる校正では、書類は校正証明書に集約されて、トレーサビリティ証明書は使われていない。

トレース保存モード(とれーすほぞんもーど)

複数の掃引で得られた同じ周波数ポイントの測定結果を保存して表示する、スペクトラムアナライザの機能。トレース保存モードにはNormal(ノーマル)、Max Hold(最大値)、Min Hold(最小値)、Lin Average(リニア平均)、Average(Log平均)がある。

ドロッパ方式(どろっぱほうしき)

直流電源の内部回路方式の1つ 。トランスと整流回路を経て作られた直流電圧を任意の電圧に降圧させる方式。1970年代にスイッチング方式の電源が登場するまでは、DC電源はドロッパ方式だった。現在はドロッパ方式を採用したドロッパ方式直流電源とスイッチング電源が、2種類の安定化方式の直流電源として、用途によって使い分けられている。 内部の構成は、鉄心とコイルによるACトランス、ダイオードのブリッジ による整流回路、コンデンサによる平滑回路、安定化回路(制御回路)である。安定化回路にシリーズレギュレータを使っているので、ドロッパ方式は別名、シリーズレギュレータ方式やシリーズ方式とも呼ばれる。必要な電圧/電流レンジ(出力電力)によってACトランスの大きさが決まるが、トランスがあるためにドロッパ方式の電源はサイズが大きく、質量が重くなる(スイッチング方式に比べて)。ただしスイッチング方式よりもノイズが少ない利点がある。

ドロッパ方式直流電源(どろっぱほうしきちょくりゅうでんげん)

(dropper type DC power supply) 直流安定化電源を回路方式で大別したときの1種。負荷に対して制御用の半導体が直列に接続された直列制御方式のため、シリーズレギュレータ方式とも呼ばれる。別名、リニア電源やシリーズ電源の呼称もある。略してドロッパ方式という記述も良く見かける。 低ノイズではあるが、効率はスイッチング方式の電源と比較すると良くない。ノイズを嫌う用途で使われる(ノイズを出せない環境での使用)。ドロッパ方式とスイッチング方式はそれぞれに長短があり、用途で使い分けられている。 計測用電源の各社がつくっているが、品名からはドロッパ方式かスイッチング方式かは判別がつかない(品名に「スイッチング」の表記があるモデルはあるが、「ドロッパ」が付いていることはほとんどない)。

TRON(とろん)

(The Real-time Operating system Nucleus) 東京大学の坂村健教授が提唱したリアルタイムOS仕様のコンピュータ・アーキテクチャ。1980年代からプロジェクトが始まり、いくつかの商品(CPUなど)が製造され、国内の機器に採用された。日本独自のOS、CPUだったが、PCのOSがMicrosoft(マイクロソフト)のWindowsに独占され、一太郎や花子がexcelやwordに凌駕されたように、市場に広まることはなかった。インテルやマイクロソフトに対抗できる国産品としてプロジェクトは注目されたが、なかなか普及しなかった。 ITRON(Industrial TRON、アイトロン)は、組込みOS、リアルタイムOSカーネルの仕様で、2000年代までの3G携帯電話(ガラケー)には良く使われた。その後はデジカメやプリンタなどの情報機器に採用が広がった。TRONはソースコードを公開するなどオープンで、Windowsの権利で巨万の富を築いたビル・ゲイツとは違う方針である。情報処理系OSでは普及しなかったが、組込みシステム用のOSとして採用が進み、世界シェア60%となった(トロンフォーラムの「2019年度組み込みシステムにおけるリアルタイムOSの利用動向に関するアンケート調査報告書」)。IoTなどの普及もオープンソースなTRONの普及に追い風となった。 電気・通信の分野で世界最大の標準規格策定団体であるIEEE(米国電気電子学会)はTRONがembedded市場で業界標準であると認識し、トロンフォーラム(会長:坂村氏)にTRONの著作権譲渡を求めた。坂村氏は2019年8月、TRONの最新版「マイクロTカーネル2.0」の著作権をIEEEに譲渡する(両者が著作権を共有する)契約書にサインした。組込み機器では「既定の時間内でタスクが完了するリアルタイムOS(RTOS)でなければならない(Windouwsなど多くのOSはそのような制約はない)」という坂村博士の先見的な考えが、世界標準の国産OSとなった。

ドングル(どんぐる)

(dongle)コンピュータに接続する小さな装置を指す俗語。語源は不明。 ソフトウェアにドングルが同梱されている場合、ソフトウェアを起動したいPCにドングルを装着しないとソフトウェアを使うことができない。つまりソフトウェアの不正使用防止に使われる。必ず1台のPCというハードウェアを特定し、複数台のPCでソフトウェアを使えないようにする仕組みに利用される。ドングル内部にソフトウェア認証用のチップが搭載されていて、ソフトウェア起動時に認証用チップの情報を照合して、ソフトウェアが不正にコピーされたものではないかなどをチェックする。この用途では「ソフトウェアプロテクター」と呼ばれることもある。計測器のオプションソフトウェアにもドングル同梱のものがある。USBの普及により、USB接続型のドングルが増えた。