計測関連用語集

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絶縁劣化診断(ぜつえんれっかしんだん)

高圧ケーブルの絶縁の劣化具合を、高圧絶縁抵抗計を使い診断する方法の概要を述べる。1.高圧ケーブル単体の場合は、E端子接地方式で測定する。2. 高圧ケーブルに他の高圧機器を含む電路を一括して測定する場合はG端子接地方式を適用する。3. 高圧絶縁抵抗計の電圧としては、5000V又は10000Vが一般的である。(共立電気計器株式会社の用語集より)

接触式振動センサ(せっしょくしきしんどうせんさ)

加速度や歪みの測定に使用され、用途により多種多様のものがある。振動センサは別名、加速度ピックアップと呼ばれる。接触式の圧電型加速度ピックアップは販売以外にレンタルでの利用もされている。 振動計や振動レベル計などの振動計測器メーカであるリオンやひずみ計測器メーカの共和電業がラインアップしている。

接触電流(せっしょくでんりゅう)

人体が機器に接触したときに流れる電流(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)。漏洩電流試験器で測定する。

絶対圧計(ぜったいあつけい)

絶対圧(真空を基準にした圧力)を測定する機器。

絶対湿度(ぜったいしつど)

(absolute humidity)[水分用語] 空気中に含まれる「水蒸気の自体の量」を表す。 たとえば気温30℃、相対湿度50%だと、絶対湿度は15.2g/㎥になる。 「気体中の水分管理」の会社、株式会社テクネ計測の「湿度で良く使われる用語」には次の解説がある。絶対湿度は、与えられた温度および圧力における湿潤空気の単位体積中に存在する水蒸気の質量。SI(メートル)単位系では水のグラム毎立方メートル(g/㎥)である。気象学では絶対湿度を「水蒸気濃度」と呼ぶ。また「質量濃度」、「体積水分含有量」などの用語も同じ意味で用いられることがある。 参考用語:湿度、相対湿度

接地(せっち)

地中深く埋めた銅板などと電気器具とを導線でつなぐこと (=アース)。漏電した場合でも漏電した電気はアースを通じて大地へ流れ、事故を未然に防ぐ。

接地抵抗(せっちていこう)

(earth resistance) 電気機器の本体と地面の間の抵抗値(電位差)。接地とは本体の電位を地面(アース)と等しくすることで、目的は感電防止。本体と地面の電位が同じなら、漏電している箇所を人間が触れても(電位差がないため)人間には電流が流れない。 接地抵抗が大きいと(接地しても電位差があるので)感電防止にならない。 電気設備技術基準では、接地工事の種類別に接地抵抗値の規定があり、この値を測定し、維持しないといけない。たとえば電気工事の種類「A種」は高圧や特高(※)の電気機器が対象で、接地抵抗は10Ω以下である。設置工事の種類(A種~D種)の概要を以下に示す。 接地工事の種類:接地抵抗値 / 接地線の太さ / 電圧の種別による機器 A種(第1種):10Ω以下 / 直径2.6mm以上 / 高圧用又は特別高圧用の機械器具の鉄台及び金属製外箱。 B種(第2種):計算値(150/接地電流)Ω以下 / 直径4mm以上 / 高圧又は特別高圧の電路と低圧電路とを結合する変圧器の低圧側の中性点。 C種(特別第3種):10Ω以下 / 直径1.6mm以上 / 低圧用機械器具の鉄台及び金属製外箱。 D種(第3種):100Ω以下 / 直径1.6mm以上 / 低圧用機械器具の鉄台及び金属製外箱。 接地抵抗は電気設備の保守点検で測定される項目で、その測定器が接地抵抗計(アーステスタという名称のモデルもある)。ハンドヘルドのモデルが多い、三和電気計器や共立電気計器、マルチ計測器などがラインアップしている。共立電気計器には簡易接地抵抗計というユニークな製品がある。接地抵抗は絶縁抵抗と同様に電気機器の保守で測定される。 現場測定器の代表はクランプ、絶縁抵抗計、接地抵抗計で、共立電気計器はこの3種類に特化した老舗だが、最近は電力測定のアナライザ(PQAやI0r)もつくっている。同じく現場測定器を多くラインナップする日置電機は、DMMからつくり始め、クランプ電流計、絶縁抵抗計、接地抵抗計にラインアップを広げた(共立電気計器とは逆)。クランプというと日置電機が有名だが、日本初のクランプメータをつくったのは共立電気計器である。 (※)電力会社から供給される電力は、電圧によって低圧、高圧、特別高圧(特高)の3区分がある。低圧は「50kW未満(家庭や商店)」、高圧は「50~2000kWの施設」、特別高圧は「受電電圧が2万V以上、契約電力が2000kW以上の大規模施設」が該当する。低圧は100V、高圧は主に200V、特高は特別な受電設備によって、送電線の6600Vなどの電圧を100/200Vに降圧する必要がある。

接地抵抗計(せっちていこうけい)

(earth resistance meter) 接地抵抗の測定器。電気機器と地面(グランド、アース)との電位差を測定する。電気工事や定期点検などで使用されるため、ハンドヘルド(可搬型)でアナログ式(針が振れる)のモデルが多かったが、最近はデジタル表示のモデルも増えた。メーカによっては「アーステスタ」(earth tester)という名称(品名)も多い。 屋外で使用するハンドヘルドモデルに注力している、三和電気計器や共立電気計器、マルチ計測器などがラインアップしている。保守・点検業者が使うアナログ型(表示が指示計器)の保護リレー試験器(外観はアタッシュケース)を豊富にラインアップする、株式会社双興電機製作所や株式会社 ムサシインテックも接地抵抗計をつくっている。現場測定器がラインアップにある横河電機(現横河計測)や日置電機もつくっている。つまり、接地抵抗計の国内メーカは多い。

接点抵抗計(せってんていこうけい)

ミリオーム(mΩ)程度の低い抵抗を測定する機器。(=ミリオームメータ)

Z軸(ぜっとじく)

(Z axis) オシロスコープの水平軸(時間)をX軸、垂直軸(電圧、振幅)をY軸と称した場合、表示波形の一部分の明るさを変える「輝度」を3つ目の軸としてZ軸と呼称する。 通常、水平軸は時間だが、2つの信号のうち片方の電圧を水平軸システムに入力するとリサジュー図形が表示される(設定はXYモードにする)。このようにオシロスコープの水平軸や垂直軸はX軸、Y軸と呼ばれることがある。 Z軸:オシロスコープのディスプレイの属性で、トレースが形成されるときの輝度変化を表す(テクトロニクス「オシロスコープのすべて」の用語解説より)。 テクトロニクスの主力モデルDPOはアナログオシロスコープのような、信号頻度に応じた輝度表示を実現している。DPOのZ軸機能を使って波形トレースを見ると、信号の発生頻度が高い部分は明るく輝くので、基本的な信号波形とめったに発生しない間欠現象を輝度から見分けることができる。他社のオシロスコープでも輝度表示はできるので、テクトロニクスだけの機能ではない。

Zハイテスタ(ぜっとはいてすた)

日置電機のLCRメータの品名(現在は生産終了でこの品名の製品はない)。 回路部品のインピーダンス(Z)を測定する機器。(=LCRメータ)

ゼネレータ(ぜねれーた)

(generator) 信号発生器のことをテクトロニクスではジェネレータではなくゼネレータと表記していた。特にビデオ関連の測定器では映像信号発生器をゼネレータと呼称していた。同社はオシロスコープとビデオ(映像関連)測定器が有名だが、AWGなどの汎用的な信号発生器は積極的にゼネレータとは表現していなかったと筆者は記憶するが、2004年の同社エンジニアの技術記事に「波形発生ゼネレータ」や「エヌエフ回路設計ブロックのファンクション・ゼネレータ」という表記があるので、同社は信号発生器はすべてゼネレータだったのかもしれない(エヌエフ回路設計ブロックの品名はファンクションジェネレータなので、前述の記述は誤りである)。現在のテクトロニクスにはゼネレータという表現は無くなった(2022年)。同社以外の計測器メーカは圧倒的にジェネレータが多いので、「ゼネレータ:テクトロニクスの信号発生器の呼称。特にビデオ関連の映像信号発生器の品名に使用されていた。」という解説もできる(※)。 親会社のFortive(フォーティブ)の意向などにより、2019年にテクトロニクスはビデオ事業部をTelestream(テレストリーム)社に売却してしまった。競合である国産のシバソクもアサカに映像関連計測器を移管して撤退した(2015年)。リーダー電子は信号発生器より波形モニタ(映像信号の波形測定器、ラスタライザなど)にラインアップを集中させ、映像用の信号発生器(プログラマブルビデオ信号発生器など)はアストロデザインほぼ1社となっている(アストロデザインは波形モニタをラインアップしなくなった)。 2011年7月24日の地上波テレビ放送(地デジ、ISDB-T)のアナログからデジタルへの完全移行後は、国内のTV関連測定器の市場規模が縮小したと推測される。リーダー電子は競合のテクトロニクスが撤退したので、国内ではNo.1シェアになった。同社は海外市場でのシェアアップを推進している。世界市場の規模の推移は不明だが、テクトロニクスがオシロスコープと並ぶ2枚看板のビデオ関連測定器をやめてしまったのはもったいない、と筆者は思う。リーダー電子やアストロデザインと競合し、切磋琢磨してより良い製品をつくり続けていく意義はあったと思うが、M&Aが盛んな海外では、資本家の意向によって儲けが少ないビジネスは無くなるという、資本主義の基本原則が貫かれている。 (※)1960年頃の菊水電子工業の主力製品は電源ではなくオシロスコープだった。当時の製品カタログに「452型ファンクション・ゼネレータ」という表記がある。1964年創刊の月刊トランジスタ技術にはオシロを「オッシロ」と表記している記事がある。当時は信号発生器はジェネレータでなくゼネレータと表示することも多かったのかもしれないが、資料が少ないので推測の域をでない。 余談だが菊水電子工業は1970年代からDC電源のラインアップを増やし、現在は「菊水とえば計測用電源」であるが、1960年頃はオシロスコープやFGなどの基本測定器をラインアップしていたのである。これらの製品は現在のラインアップにはない。半世紀を経ると、計測器メーカの主力製品(ラインアップ)は変わり、不変ではないことを示唆している。

セミリジットケーブル(せみりじっとけーぶる)

(semi-rigid coaxial cable) マイクロ波などの高周波(RF)で使用される同軸ケーブルの1種。外部導体を金属管にすることにより伝送特性を改善している。外観は金属の棒のようだが、被覆などを剥がすと内部は同軸ケーブルになっている。外部導体に継目のない金属チューブを使用するなど(各メーカによって構造に違いはあるが)、通常の同軸ケーブルよりも特性が良いため、従来の導波管からの置き換えも進んでいる。絶縁体にテフロンを使用して誘電体損失(tanδ)を低減している製品もある。 通常の同軸ケーブルは取扱いがしやすいように、外部導体を編組構造にして柔軟性を持たせている。そのため周波数が高くなると遮蔽効果が弱くなり、伝送損失が増加する。導波管のように金属の菅にして空気を誘電体にすると性能は上がるが取り扱いは簡便ではない。セミリジットケーブルは導波管のメリットを取り入れた同軸ケーブルといえる。 マイクロ波などの高周波部品メーカがつくっている。スペクトラムアナライザと併用するFETプローブなどをつくっているスタック電子もラインアップしている。

セミログ(せみろぐ)

横軸(または縦軸)が対数目盛になった図表のこと。縦軸と横軸の両方が対数目盛のものを「ログーログ」と呼び、半分ログなので「セミログ」と呼称している。対数は英語でLogarithmで、log(ログ)と略記される。片対数グラフとも呼ばれる。対数目盛りは何乗もの広い範囲を示すときに便利で、周波数特性や利得(dB)などの表記に良く使われる。

SEM(せむ)

(Scanning Electron Microscope)読み方:セムまたはエスイーエム。走査型電子顕微鏡。電子線を観測対象に照射し、放出される二次電子などから像を作る。略して「電子顕微鏡」といわれることが多い。

セレモ(せれも)

アンリツの選択レベル計の品名。英語のSelective Level Meterを略してカタカナ表記したもの。現在は製造中止だが、日本の基幹通信網がデジタル化される以前は、伝送線路のレベル測定用に活躍した。アンリツと同様の電電ファミリーである安藤電気もつくっていた。特定の周波数のレベルを測定する「選択レベル計」という品名の製品は現在は大井電気がつくっている。 この「セレモ」という品名について考察する。たとえば、任意波形発生器は英語でArbitery Waveform Generator(アービタリー・ウエーブフォーム・ジェネレータ)だが、ある計測器メーカが製品名に「アウジ」と命名したと想像してほしい。アウジとは一体、何の測定器か?任意波形発生器(AWG)だということはほぼ100%伝わらない品名である。なぜ、英語のカタカナ読みから一部を使ってこのようにヘンテコな品名にしたのか、困惑するだけである。つまり、このセレモとはそれくらい変な名称である。歴史ある老舗の計測器メーカがこの品名に決定するには、たとえば電電公社(現NTT)からの強力な要請があり、仕方なく採用した、ということくらいしか筆者には想像できない。セレモの語源ははっきりしているが、なぜそうしたのかはネット上には記録がない。アンリツの関係者の証言を待つだけである。 製品カタログ(会員専用):タイトルに「セレモ」が付く資料の例

ゼロエミッション(ぜろえみっしょん)

(zero emission)CO2などの環境を汚染する排出物をゼロにする構想、取組み。世界の多くの国が「2050年にCO2排出を実質ゼロにする」ことを目指している。欧州が進んでいて日本は遅れている。日本の発電所の電源構成は東日本大震災(2011年3月11日)までは原発を主力電源として比率を増加させていた(再生可能エネルギーである太陽光は導入が進んだが、発電が不安定で大きな比率になるのは根本的に難しい)。ところが3.11によって原発の稼働率は激減し、火力の比率が高まってしまった。再生エネはCO2を排出しないが、代表格である太陽光は買取価格の低下などで、導入が大きく鈍化している。日本の重電メーカには、CO2排出量が少ない、世界に誇れる複合型の火力発電システムがあり、これを国策として世界に輸出したいが、世界の流れは脱火力発電に加速した。そんなことが日本がゼロエミッションに積極的でなかった背景といえる。ただし、菅首相は国会での所信表明演説(2020年10月26日)で「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」と発言し、大きな方針転換となった。東京都は12月に「2030年までに都内で販売される新車を電動車(xEV)にする」方針を発表した。自動車の電動化と発電所の再生エネ化などのCO2削減の記事が12月の新聞1面トップにいくつも並んだ。しかし、2022年2月の東北地方の地震で東京電力の火力発電所は被害を受けて停止し、3月の寒い日(電力需要が高まる)には、電力需給ひっ迫警報が発令された。ゼロエミッション政策に従って古い火力発電所を廃止し、原発を稼働させない状態を続けたツケが回ってきたのだ。おりしもロシアとウクライナの戦争が2月に始まった影響で、石油や石炭などの価格が高騰し、世界各国のエネルギー政策は一変した。経済安全保障の観点からも、日本の発電所の電源構成の再見直しが必要、という意見も出ている。参考用語:カーボンニュートラル

ゼロコン(ぜろこん)

1.ゼロコントローラ(冷接点補償器 )の略称。 2.コペル電子株式会社の「0℃基準温度装置」の品名(通称)。同社のゼロコンは正確な0℃を高精度に作り出す。電子冷却式のためスイッチを入れるだけの操作で、熱電対の冷接点にしたり、温度センサの校正に使われる。同社HPには「ZERO-CON (ゼロコン)」という表記がされている。

ゼロコントローラ(ぜろこんとろーら)

熱電対の冷接点が常に0℃になるように電気的に補償を行う機器。別名:冷接点補償器。略称:ゼロコン。温度センサの校正にも使われる。 メーカとしてはコペル電子株式会社が有名。熱電対メーカとして米国で創業したオメガエンジニアリングもつくっている。「温度のチノー」を標榜する国産の計装(工業計器)の会社、チノーにもある。

0-10mV(ぜろじゅうみりぼると)

計測器のアナログ出力の方式の1つ。測定値を直流の0~10mVの範囲で出力する。計測器や計装機器は4-20mAが多い。アジアで唯一の日射計のメーカである英弘精機の製品(MS-80など)は0-10mV方式である。接続ケーブルも出力端は圧着端子(丸端子や棒端子)である。日射計の出力を受ける器機に都合が良い方式が0-10mVであると考えられる。