計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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HVDC(えっちぶいでぃーしー)

(High Voltage Direct Current) 直訳すると「高電圧 直流」だが、「高圧直流送電」、「高電圧直流給電」のこと。通常、電力の送電は世界中で交流だが、近年、直流で送電したほうが効率が良いことから注目されている。電力を多く消費するデータセンターでは直流で駆動するコンピュータに(ACからDCに変換しないで)直接DCを供給するやり方が検討されている。

エナメル線(えなめるせん)

金属導体の上にワニス(絶縁皮膜)を焼き付けた線材。電気・電子部品等に使用される。半田付けが可能。主に磁力を発生させる目的で鉄芯に巻いて電磁石にする。コイルやトランスにもなるため、インダクタともいえる。

NICT(えぬあいしーてぃー)

(National Institute of Information and Communications Technology) 「国立研究開発法人 情報通信研究機構」。情報通信分野を専門とする日本で唯一の公的研究機関。JAXA(宇宙航空研究開発機構、ジャクサ)と同じく総務省が所管する、「研究開発の最大限の成果の確保」を目的とする「国立研究開発法人」である。 総務省が2020年から推進しているBeyond 5G(5Gの次、つまり6Gのこと)の研究などを行っているが、味覚センサ(バイオセンサ)の研究などもしている。 本部は東京都小金井市(JR中央線の武蔵小金井駅と国分寺駅の中間で線路より北側)だが、複数の事業所がある。たとえばワイヤレスネットワーク研究センターはNTT DoCoMoの研究部門がある横須賀リサーチパーク(YRP)内にあり、HAPS(携帯電話の基地局を高高度を飛ぶ無人飛行機に搭載し、従来より広範な移動体通信をする仕組み)などを研究している。 略語であるNICTの正式な読み方は「エヌ・アイ・シー・ティー」だが、世間では「ニクト」や「情報通信機構」と呼称されることも多い。

NI Days(えぬあいでい)

日本ナショナルインスツルメンツ株式会社(NI、エヌアイ)が年1回開催するNI製品のテクニカルイベント。

NA(えぬえー)

高周波回路網(ネットワーク)の伝送特性(通過や反射など)を測定する計測器であるネットワークアナライザ(Network Analyzer)の略記。DUTを「入出力を持つブラックボックス」として、入出力の関係(Sパラメータ)によって、DUTの特性を評価する。キーサイト・テクノロジーが世界的に高シェア。同業の無線通信(高周波、RF)計測器メーカであるローデ&シュワルツとアンリツもラインアップしている。最近はUSBタイプのNAも出現し、テクトロニクスもラインアップがある。

NAB(えぬえーびー)

(The National Association of Broadcasters) 全米放送事業者協会。毎年4月にNAB総会とNAB Show(世界最大の放送機器展)が開催される。NAB Show(展示会)のことをNABと呼んでいることも多い。 NAB Showには映像関係の計測器も出展される。プログラマブルビデオ信号発生器などの映像信号発生器をつくる国産の計測器メーカ、アストロデザインは毎年出展している。2023年4月16日(日)~ 19日(水)に米国(ラスベガス)で開催されるNAB SHOW 2023には、同社は「Connecting and Extending」 映像機器のIP化や映像表現の拡張、を提案する。

NF(えぬえふ)

1.負帰還(Negative feedback)の略記。増幅器の出力の一部をフィードバック素子を経由して反転(マイナスに)して入力端子に戻すこと。増幅率(利得)は下がるが、発信回路が安定し、利得以外の性能が改善する。負帰還はオペアンプのような増幅器や微分・積分器など、幅広く応用されている。大手計測器メーカのエヌエフ回路設計ブロックは「高精度なネガティブフィードバック制御技術をもとに、世の中に求められる新しい製品を創る」ことを趣旨に1959年に設立している。現在の企業ロゴは「nf」をデザインしている。2.雑音指数(Noise Figure)の略記。キーサイト・テクノロジーには雑音指数アナライザ(NFA)という測定器がある。ローデ&シュワルツなどもラインアップがあり、伝送特性関連の測定器といえる。当サイトではネットワークアナライザのカテゴリに分類している。

NFP(えぬえふぴー)

(Near Field Pattern)半導体レーザーの出力光はビーム断面が楕円錐状に拡がっていく。ビーム形状は出力端近傍と数cm離れた場所で異なり、近傍をNFP、離れた場所をFFP(Far Field Pattern)と呼ぶ。

N型コネクタ(えぬがたこねくた)

無線通信で標準的に使用される同軸コネクタ。軍事目的で開発されたといわれる。名前の由来はTYPE-NAVYコネクタ、または開発エンジニアの一人であるベル研究所のPaul Neillのイニシャルから、など諸説ある。適用周波数は(製品により異なるが)DC~18GHz。標準信号発生器やスペクトラムアナライザなどRFの計測器の入出力はN型が標準である。同じく通信でも有線通信ではSMAや3.5ミリNなどのコネクタが標準で、Nではない。光通信はまた別にFC、SCなどのコネクタがある。

NCSLI(えぬしーえすえるあい)

(National Conference of Standards Laboratories International) 直訳すると国際国立標準研究所会議。 計量・計測標準や計測器校正分野の国際団体。日本NCSLIが毎年秋に開催する総会は、日本の計量・校正の大会で、東京・蒲田の大田区産業プラザで行なわれている(新型コロナウイルスの感染対策で2020年のNCSLI技術フォーラムは中止になった)。 日本NCSLI(National Conference of Standards Laboratories International - Japan)は、計量・計測標準、計測器校正、試験・計測分野の技術と管理を進歩させることを目的に、会員のボランティアにより技術フォーラムの開催を中心に活動を行っている団体である。 計量法に関係する国内のイベントは、隔年秋に開催されるINTERMEASURE (計量計測展、インターメジャー)がある。

NDI(えぬでぃーあい)

(Non Destructive Inspection) 非破壊検査、または非破壊検査協会をさす。 協会は、正式には一般社団法人日本非破壊検査協会(JSNDI:The Japanese Society for Non Destructive Inspection)。隔年秋に、非破壊検査機器の展示会である、総合検査機器展を主催している。

NDIコネクタ(えぬでぃーあいこねくた)

NDIコネクタはひずみ測定で良く使われる、丸形の多ピンコネクタで、NDISコネクタとも呼ばれる。NDIとは非破壊検査(Non-Destructive Inspection)のこと。日本アビオニクスの「赤外線や工業計測器に関する用語」では「NDIS(日本非破壊検査協会JSNDIが定めた非破壊検査基準)のNDIS4101-72項で定められた電気抵抗ひずみ測定器入力コネクタ」と解説されている。コネクタメーカの多治見(たじみ)無線電機がつくっているので、ひずみ測定業界では多治見コネクタと呼ぶこともある。 ひずみ測定に関する規格を、(電気計測器ではなく)非破壊検査の業界団体が策定していることからも、ひずみ測定器は電気計測器の範疇には収まらない機器といえる。

NTN(えぬてぃーえぬ)

(Non-Terrestrial Network)日本語では「非地上系ネットワーク」。地上、海、空にある移動体を多層的につなげる通信ネットワークシステムのこと。次世代の移動通信システムのBeyond 5G や6Gでは、地上通信システムと衛星通信システムを連携させ、「地上から宇宙までが一体となって接続されるネットワーク」の実現を構想している。地上の基地局からの電波が届かない海底など、インフラが整っていないエリアに対してインターネット接続を提供しようとする試みもある。総務省のHPにはNTNについて解説がある。NICTはNTNを実現する基盤技術の一つとして、衛星との高速・大容量通信を可能にする小型の平面アンテナを開発している。 ある通信計測器メーカの資料には「次世代の超高速通信(Beyond 5G/6G)で実現するNTNでは、100GHz以上のミリ波の評価が重要で、当社の○○アナライザを使えば・・・」という記述がある。2020年頃から使われるようになったと筆者は記憶しているが、今後インフラ構築が進むと別のことばになり使われなくなるかもしれない。つまり通信の(流行りの)ことばである。

NBW(えぬびーだぶりゅ)

(Noise Band Width)「ノイズ帯域幅」の略記。(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)

エヌビディア(えぬびでぃあ)

(Nvidia Corporation) 画像処理チップのGPU(Graphics Processing Unit)で世界No.1の半導体デバイスメーカ(ファブレス)。1993年設立(本社は米国カリフォルニア州サンタクララ)。企業ロゴが「NVIDIA」のためNVIDIAという表記も見かける。2022年11月に公開されて世界中で話題となった生成AIのChatGPT(チャット ジーピィーティー)は、エヌビディアのGPUによってつくられたといっても過言ではない。同社の半導体とソフトウェアはAIの進歩に貢献し、CPUのトップベンダ、インテルに次ぐ存在となった(時価総額は世界10位内に入る)。 1993年の創業時はPCやゲーム機向けのGPUをつくった。ソニーが家庭用ゲーム機「プレイステーション」を発売するなど、当時のゲーム機には最新の画像処理技術が使われた。GPUは複数の単純計算を同時に高速に行う(並列処理)ことによって、ゲームの画像をつくりだす。アニメの動きや影などをよりリアルに描画するために、GPUは処理能力を向上させた。2010年代前半に「AIも計算力が高いほど良い結果が得られる」ことに同社は着目し、AI分野に参入した。 2023年12月に来日したジェンスン・ファンCEOは西村経済産業相との会談で、日本にAI開発拠点を設ける意向を示した(産総研は生成AIの研究を行い、エヌビディアのGPUが入ったスーパーコンピュータを使用しているので、候補の1つといわれる)。日本語による生成AIの作成には多くの高性能なGPUデバイスが必須なので、岸田首相は同氏に「できるだけ多くのGPUを供給してほしい」と要請した。ChatGPTは英語圏のデータを元にしているので、日本に合ったものにするためには日本語データからGPUを使ってつくり込む(アップデートする)しないといけない。 米国の市場調査会社Gartnerは2024年1月に「2023年の世界の半導体デバイスのメーカ別売上高ランキング」を発表した。メモリ市場が不況で前年1位のサムスンは2位に落ち、インテルが2年ぶりに1位に返り咲いた。3位クアルコム、4位ブロードコムに次いで、エヌビディアは前年比57%増の急成長で5位になった。老舗のAMD(7位)やテキサス・インスツルメンツ(10位)を抜いてしまった。

エネルギースペクトル密度(えねるぎーすぺくとるみつど)

(Energy Spectral Density)打撃法などによるインパルス状の有限なエネルギーに対し、これをエネルギーで規格化して表示したもの。 エネルギースペクトル密度はパワースペクトル密度に取り込み時間(ウィンドウ長、T=1/⊿f)をかけることにより求められる。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

エネルギーマネージメントシステム(えねるぎーまねーじめんとしすてむ)

(Energy Management System) 工場やビルなどの、施設のエネルギー使用状況を把握して、最適なエネルギー利用を実現する活動を支援するシステム。「電力監視」や「エネルギーの見える化」とも呼ばれる。略記:EMS。 日本は省エネが進んでいる。2010年代にはデマンド(電力使用量の可視化)が産業界に広まったが、カーボンニュートラルとも相まって、2020年代は各工場にエネルギーマネージメントシステム(EMS)の導入が進んでいる。以下の記事で業界動向を取材。 表記は「エネルギーマネジメントシステム」のほうがやや多い。管理職を示す「マネージャ」は、会社によっては名刺の表記が「マネジャ」の場合がたまにある。 manageの日本語(カタカナ表記)に「ー」を入れるか否かは難しい。マネージャは「ー」が入ることが多く、マネジメントは「ー」が入らないことが多いようである(この使い分けはどのような基準なのか。。)

FRA(えふあーるえー)

(Frequency Response Analyzer) 日本語では「周波数特性分析器」。その略号。正弦波信号を被測定物に与えて、その周波数応答(利得・位相)を、ノイズ除去特性に優れたディジタルフーリエ演算方式により高精度に測定する装置。正弦波の発振器とオシロスコープで行うゲインーフェーズ特性が1台で測定できる。正弦波周波数を可変(自動的にスイープ)させてゲインーフェーズ特性のグラフ(カーブ)を得る。特長は広いダイナミックレンジによる高精度な測定と、超低周波数の測定が可能であること。「低周波のネットワークアナライザ」と称されることもある。電源やモータ・サーボ回路の評価に使われる。フィードバック技術を応用した測定器で、エヌエフ回路設計ブロック(エヌエフ)の製品がほぼ独占状態である。複数のモデルをラインアップしている。形名はその名のとおり、FRA50xxやFRA516xx。最近は「インピーダンス/ゲイン・フェーズアナライザ」などインピーダンスアナライザを称したモデルも発売している。余談だが、同社は古くからLCRメータを製品化している。インピーダンス測定に多くのノウハウがあり、インピーダンス計測のセミナーを活発に開催している(2020年現在)。LCRメータは低周波から高周波まで業界標準はキーサイト・テクノロジー(キーサイト)である。1980年頃に国産メーカが参入(たとえば安藤電気のAG-4000シリーズなど)したが、測定周波数は数百kHzまでの製品しかなく、MHzモデルはキーサイトの牙城が守られた。ただし、2010年代以降、電子部品メーカの生産ライン向けLCRメータでシェアを伸ばした日置電機がラインアップを増やし、現在はMHzオーダの製品も同社がメインプレーヤになった。つまり現在の国内LCRメータ/インピーダンスアナライザ市場は、標準器はキーサイト、汎用器は日置電機、の2社に収斂した。そんな中、エヌエフはずっとLCRメータを作り続け撤退しなかった。2019年5月に発売されたインピーダンスアナライザZA57630は最高測定周波数36MHzである。

FR2(えふあーるつー)

5Gの周波数帯域は、4G以前から使ってきた6 GHz以下(FR1:Frequency Range1)と24 GHzからミリ波を含むFR2の2つがある。

FIP(えふあいぴー)

(Feed-in Premium) 日本の再生可能エネルギー(再エネ)は、2012年にFIT(固定価格買取)制度が導入されて太陽光発電(PV)の普及が加速した。ただし2012年には高額だった買取価格も年々下がり、設置から10年が経過したPVは老朽化などで撤去される例も少なくない。そこで政府(資源エネルギー庁)は「2050年カーボンニュートラル」に向けた施策として2022年4月からFIP制度をスタートした。FIP制度は電源構成に占める再エネの比率が高い欧州などでは、すでに取り入れられている。FITのように固定価格で買い取るのではなく、再エネ発電事業者が卸市場などで売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで再エネ導入を促進する。 メガソーラーなどの中~大型の発電所ではなく、地域に根差した小型の施設や各家庭での導入を促進したい狙いがある。2024年度から「屋根設置」区分を新設し、(各家庭などの)屋根を使って太陽光パネルを設置することに配慮し、有利になるような仕組みが検討されている(2023年1月現在)。