RS-232Cラインモニタ
(RS-232C line monitor)
低速のシリアル通信規格であるRS-232Cの、通信データをモニタするプロトコルアナライザ。正式には「RS-232Cのオンラインモニタ」(オフラインではなくオンラインでリアルタイムにモニタできる)だが、ラインモニタという呼称が良く使われている。 RS-232Cアナライザともいわれる(プロトコルアナライザの1種なので)。
パソコンの標準インタフェースがRS-232Cで、モデムにRS-232Cで接続して、アナログ電話回線でデータ通信をした時代(1980~1990年頃)とは異なり、いまのPCはUSBが標準で、Wi-Fiや光回線を使いインターネットにつながるのでRS-232Cは使わないが、低速の安価な規格としてRS-232Cはいまでも現役である。「RS-232cラインモニタ / シリアル通信用アナライザ」や「ラインモニタ Analyze232C」、「RS232C RS422 RS485 シリアル通信用ラインモニター」などの名称の製品が販売されている(2024年にインターネットで検索)。
ただしこれらは、1980年代のhp(現キーサイト・テクノロジー)や安藤電気がつくっていたラップトップ型計測器のRS-232Cラインモニタとは大きく異なる。現在のメーカはほとんどがデジタル機器のベンチャー企業で、形状もハードウェア(計測器という外観)ではなく、2~3cm程度の小箱やソフトウェアが多い。つまり計測器というよりIT商品に近い。通信計測器の1カテゴリーであるプロトコルアナライザには違いないので、本稿でも取り上げているが、計測器メーカはつくっていないし、計測器の範疇でも流通していない。通信機器、PC周辺機器、デジタル商品、という範疇でECサイトなどが販売している。
プロトコルアナライザだけでなくロジックアナライザ(※)やICE(マイコン開発支援装置、デバッガ。アイスと呼称)などのデジタル系の計測器はアナログの物理現象を測定しないので、校正の必要がない。PCのようにソフトウェアで動作するデジタル系計測器は計測器メーカだけではなく、デジタル機器をつくれるメーカが元から多い。
(※) ロジックアナライザは電圧を測定するが、表示はHigh/Low(1か0)で、電圧値ではない。値を表示しないのでマルチメータのように測定精度(誤差)の概念がない。つまり校正対象外である。