計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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DDコン(でぃーでぃーこん)

DC-DCコンバータの略称。直流(DC)の電圧を昇圧・降圧する変換器(機器・部品)のこと。

DDC(でぃーでぃーしー)

(Digital Down Converter)無線通信で使われる、周波数を下げる機器であるダウンコンバータは、デジタル無線通信の時代になりデジタル・ダウンコンバータが生まれた。文献などではDDCと略記されている。

DDoS(でぃーどす)

(distributed denial of service attack) 分散サービス拒否攻撃。標的となるコンピュータ(サーバー)に対して複数のマシンから大量の処理負荷を与えることで、サービスを機能停止状態へ追い込む手法をDoSというが、これを発展させて攻撃元を分散させ防御を難しくしたのがDDoS攻撃。セキュリティ関連用語。

dP(でぃーぴー)

dew(デュー、結露)pointの略記で、結露する温度、つまり露点。露点と湿度の違いを述べる。露点とは、気体が冷えていくと含まれる水蒸気が水滴になる温度。これは気体が水と平衡状態にあり飽和している温度で、絶対水分量を示している。同じく気体中の水分量を示すのが湿度だが、単位は%である。正確には相対湿度(RH:Relative Humidity)といい、大気中に水蒸気として含まれている水分量を比率で示している(絶対湿度もある)。湿度が同じでも温度によって水分量が変わるため、研究者は絶対水分量のdpで評価する。日常生活では湿度だが、工業分野では露点が重要になる。気体の水分測定には露点計が使われる。固体に含まる水分量の測定は水分計で行う(メーカではケット科学研究所が有名)。

DPX(でぃーぴーえっくす)

オシロスコープの世界No1メーカであるテクトロニクスは、デジタルオシロスコープでアナログオシロスコープ(ストレージオシロスコープ)の残光表示と同等の表示を可能にする技術をDPX(デジタル・フォスファ・テクノロジ)と呼んだ。DPXを使ったオシロスコープをDPO(デジタル・フォスファ・オシロスコープ、Digital Phosphor Oscilloscope)と呼称し、同社のデジタルオシロスコープの形名になっている。 テクトロニクス本社のHP(英語)には「DPXは、テクトロニクスがデジタル・フォスファ(リン光)・オシロスコープ用に開発した独自の信号取得技術。このテクノロジーにより、オシロスコープは断続的でまれなイベントをキャプチャする可能性が最も高くなる。」とある(「What is DPX™?」の英語回答の翻訳)。 リアルタイムスペクトラムアナライザにもDPXは導入されている(以下の参考用語を参照)。

DPXライブ・スペクトラム表示(でぃーぴーえっくすらいぶすぺくとらむひょうじ)

スペクトラム解析に使用する DPX(デジタル・フォスファ)技術。DPXライブ・スペクトラム表示により、周波数領域でトランジェント・イベントが観測できる。(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)

DPO(でぃーぴーおー)

(Digital Phosphor Oscilloscope) デジタル・フォスファ・オシロスコープ。現在デジタルオシロの主流の、リアルタイム・サンプリング・オシロスコープであるDSO(Digital Storage Oscilloscope)にアナログオシロのようなトレース輝度があるもの。ただし現在ではほとんどDPOという表現は聞かない。アナログオシロのCRTには蛍光体(フォスファ)が使われていて、電子が多くCRTに到達するほど明るくなる、つまり信号の頻度に応じた輝度が表現される。オシロがアナログからデジタルになるとDSOではこの輝度表現はできなくなった。そこでメーカはデジタル信号処理を駆使して同様の機能を実現した。テクトロニクスは「フォスファ」を大変良くPRしていた。品名が「デジタル・フォスファ・オシロスコープ」のモデルがあった(現在はすべて販売終了)。キーサイト・テクノロジーはDPOの機能を持っていても(特別に区別してDPOとはいわず)DSOという表記で一貫している。そのためDPOとは何か、DSOとは何が違うのかはメーカによって見解が分かれ、定義が難しい。

TP-BUS(てぃーぴーばす)

(TwistPair BUS)菊水電子工業の独自インタフェースの略称。国内計測器メーカの安定化電源は制御用のインタフェースを持たない製品が主流だった。これは、計測用電源のアプリケーションは圧倒的にスタンドアロンが多く、自動計測をするユーザが(全体の販売台数から見れば)少ないこと、インタフェースを標準装備すると価格が高くなることなどの理由による。ただし、自動制御したいユーザに応えるために、電源にオプションボードを装着することで対応しようと、菊水電子工業は考えた。パワーサプライコントローラという製品を作り、電源とこの製品の間は独自規格のTP-BUSで繋ぎ、パワーサプライコントローラとPCは標準規格であるGPIBやRS232、USBで接続する。単体の安価な電源を多種類のインタフェースに対応させるために、この仕組み(パワーサプライコントローラとTP-BUS)を考案した。ただし最近の同社の電源は安価なモデルでもインタフェースを標準装備しているものが主流となり、パワーサプライコントローラは旧モデルを使用しているユーザ向けとして販売を継続している。

dBfs(でぃーびーふるすけーる)

フル・スケールに対するデシベルで、パワー・レベルを表す単位。内容により表示画面のフル・スケール、またはA/Dコンバータのフル・スケールとなる。(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)

DVI(でぃーぶいあい)

(Digital Visual Interface) PCとディスプレィを接続するためのデジタルインタフェース規格の一つ。ODWG(Digital Display Working Group)というコンソーシアムによって開発され、従来のアナログインタフェースが全盛だった1999年に発表された。

DVM(でぃーぶいえむ)

Digital Volt Meterの略。デジタルマルチメータ(DMM)とほぼ同義。アドバンテスト(旧タケダ理研工業、現エーデイーシー)のモデル5245/6246の製品カタログにSMUの機能の図解があり、SMUは「VIG(Voltage Current Generator)とDVM(5 1/2桁)とエレクトロメータ」で構成されている。DVMやVIGはアドバンテスト特有の表現である。

DVD評価用測定器(でぃーぶいでぃーひょうかようそくていき)

DVD(Digital Versatile Disc)を翻訳すると「デジタル多用途(多目的)ディスク」。デジタルデータの記録媒体である第2世代光ディスクの1つだが、2000年代以降に映像記録の主要メディアになり、2020年現在も使われている。VHS(家庭でTV録画に普及したテープ)や1980年代に流行ったレーザーディスク(LD)を置き換える形で普及した。 形状や記録・読取方式はCD(コンパクトディスク)とほぼ同じだが記録容量がCDの約6倍になるため、CDでは不可能だった長時間映像の記録が可能になった。CDと同じく細かい溝の彫られた樹脂製の円盤をドライブ装置内で高速回転し、溝に沿ってレーザー光を照射してデータの読み取り/書き込みを行う。規格策定は業界団体のDVDフォーラムが行なっている。コンピュータなどのIT機器(情報機器)でもデータ記録メディアとして利用されている。 DVDが普及する時期には、ジッタを評価するジッタメータやタイムインターバルアナライザなどのオーディオ・ビデオ測定器が活躍した。菊水電子工業や横河電機(現横河計測)がつくっていた。2004年秋に電波新聞社が刊行した電子計測器&システム[ガイドブック]2005の「オーディオ・映像機器用測定器&システム」の冒頭では「DVDなどの光ディスクに関する規格とその評価測定器」について菊水電子工業が解説している(もちろん計測器としては同社のタイムインターバルジッタアナライザKJM6775が写真付きで紹介されている)。静岡県浜松市にあるパルステック工業には光ディスク評価装置があり、現在も現役である。 青色LEDの発明によって、2003年頃からBlu-ray Disc(ブルーレイディスク)の生産が始まり、DVD評価用の測定器は活況になった。アドバンテストからエーディーシーに移管された計測器群の中には光パワーメータがあるが、光通信で使う波長ではなくBlu-rayのようなより短波長の領域をカバーしたセンサをラインアップしている。同社HPの光測定器ページには「光ディスクの開発や生産ラインに最適」や「ブルーレイ対応まで選べる9品種のセンサ」などのうたい文句が書いてある(2022年12月)。つまり同社のOPMはアンリツや横河計測(旧安藤電気)のような光通信(光ファイバ通信)向けではなく、DVDなどの家電製品をターゲットにしていることが明白である(同社の光計測器はOPMだけで光源や光スペクトラムアナライザ、OTDRなどの光通信測定器はない)。

DUT(でぃーゆーてぃー)

(Device Under Test) 被測定物、測定対象のこと。計測器の用語としてはインピーダンス測定(LCRメータやネットワークアナライザ)で主に使われる。対象がデバイスのため、半導体試験でも使われる。 「読み方は英語圏では“ダット”」という解説をみかけるが、日本語でダットというとオーディオ関係の「DAT(Digital Audio Tape)、音声をデジタル信号化して記録したテープ」を指す。計測器でダットだと、「DAT(Digital Audio Taperecorder)、オーディオ用のカセットテープなどにデジタル化した信号で録音できるテープレコーダ」。つまりDATデータレコーダなどを指している。

DRAM(でぃーらむ)

(Dynamic Random Access Memory) 半導体メモリの代表的な1つ。比較されるもう1つの代表が「NAND型フラッシュメモリ」。DRAMのメーカは世界に数社しかなく、特に次の3社で寡占状態と言われる。韓国のSamsung(サムスン)とSK Hynix(ハイニックス)、米国のMicron(マイクロン)。 半導体メモリには「揮発性」と「不揮発性」の2種類がありる。揮発性とは電気が通っている(PCで電源をONにしているとき)だけ、データを記録できる。不揮発性とは電気が通っていないときでも(電源をOFFにしても)データを保管している。前者の代表がRAM(ラム)で、後者はROM(Read Only Memory、ロム)やフラッシュメモリ。RAMはPC内でOSが作業をするワークスペースや、データの一時保存に使われる。ROMはRAMのように書いたり読んだりできず、一度記録したデータを読むだけで、フラッシュメモリは記憶装置(ストレージ)に使われる。DRAMは通電中でも定期的にデータの書き直し(リフレッシュ)が必要だが、トランジスタとコンデンサ1組で1ビットを記憶するというシンプルな構造のため、コンピュータの主記憶装置に採用されている。リフレッシュの不要なSRAM(Static RAM)もある。 DRAMの規格はDDR(Double Data Rate)と呼ばれ、読み書きの速度などが規定されている。最新規格は第4世代のDDR4で、最速のDDR規格として2014年頃から使われている。通信規格などのコンプライアンス試験ができるアナライザであるGHz帯域の広帯域オシロスコープ(高速オシロ)には、DDR評価用のソフトウェアオプションがテクトロニクスやキーサイト・テクノロジーなど各社から販売されている。 半導体メモリは半導体デバイスの代表で、その売上規模は市況を左右している。世界的な半導体テスタメーカであるアドバンテストは1970年代にメモリテスタやLSIテスタを開発し、1980年代、1990年代の半導体の進歩(大容量、高速化)に伴い、半導体テスタも追従して高速化させた。メモリテスタが優れていた同社は、半導体メモリの規模拡大(普及)と共に世界No.1の半導体テスタメーカになった。 半導体は需要と供給の関係から数年おきに売上額が大きく変動してきた(シリコンサイクル)。半導体メモリも2008年から2009年のリーマンショック時期に売上が激減(前年比約40%減)し、2022年からは5回目の波の底にある。DRAMの3メーカは寡占によって波の底を乗り越えてきたが、エルピーダメモリ(※)が経営破綻したように、赤字から会社消滅になることもある。半導体メモリは脚光を浴びてはいるが決して安定した事業ではない。 (※)エルピーダメモリ(Elpida Memory,Inc.)は1999年に日立製作所と日本電気のDRAM事業を統合して設立。2000年にElpis(ギリシャ語で希望)から「エルピーダ」に社名変更。当時は国産で唯一のDRAM専業として、世界シェアは韓国のサムスン電子、ハイニックスに次ぐ3位だった。2003年には三菱電機のDRAM事業を吸収するなど注目されたが、設備投資が負担となり上位2社に追いつけず2012年に経営破綻した。4位のMicron Technology(マイクロン・テクノロジー)に売却され、マイクロンは世界3位となった。 半導体の歴史を書いた「CHIP WAR(チップ・ウォー)」が2022年秋に米国で出版された(著者は1987年米国生まれの経済史家)。半導体は戦略物資として国家間で攻防が繰り広げられた様が描かれている。2023年春には翻訳されて「半導体戦争」が出版され、日本のデバイスメーカが世界市場から転落した顛末が(米国視点ではあるが)よくわかる。1980年代、日本の半導体デバイスは世界を席巻していた。DRAMで世界No.1だった米国メーカは1986年には日立、東芝、日本電気などに追い抜かれ、日本メーカがDRAM市場を独占した。日米半導体摩擦が起き、米国は韓国のサムスン電子を支援して育成し、日本企業の独占を阻止した。それ以降も同様に、オランダのASMLを支援して露光装置に強い日本企業を排除している(EUV)。 ただし、2010年代後半頃から米国は中国を排除する方向に方針転換した。米国の構築する半導体サプライチェーンでは、日本も重要な位置づけになったことが、2022年のRapidus(ラピダス)設立につながっている。Rapidusは国産半導体デバイスの復権をかけて、2027年に2nm半導体の量産開始を目指すが、前途は容易ではない。

定格出力(ていかくしゅつりょく)

(Rated Output) 機器が安定して出力できる値。仕様で規定している出力値。計測器では電圧のことが多い(機種によっては電流や電力なども規定されている)。 計測器である安定化電源の仕様には、電圧、電流、電力の定格出力が明記されている。電源に接続されて駆動される(電源から電力を供給される)電機機器の消費電力(負荷の消費する電力)が定格出力を超えると、電気機器は安定な動作をしなくなる。 計測器以外の電気機器(モータや発電機など)にも定格出力がある。 ひずみ測定器に関する2社の解説を紹介する。 株式会社東京測器研究所 の「びずみ測定用の変換器の用語」には「定格出力:容量を負荷したときの出力から、無負荷の時の出力を差し引いた値で、通常は印加電圧(変換器に加える電圧)1V当たりで表す(mV/V)。略記:RO。」とある。 日本アビオニクス 株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」では「定格出力:定格負荷出力から無負荷出力を差し引いた値で、通常印加電圧1V当りの出力(mV/V)で表わす」とある。 2社の解説は「ひずみ測定では、ヒステリシスや非直線性を勘案して定格出力と定格負荷が表される」ことを述べている。 計測用電源のメーカ(高砂製作所や菊水電子工業)の用語解説には定格出力はない。あまりにも当たり前すぎるためと筆者は推測する。

定格容量(ていかくようりょう)

計測器の用語としては「容量」は電力を指していることが多い。たとえば電験三種(国家資格の「第三種電気主任技術者試験」)などでは「定格とはその電気機器が最も効率よく、最大限の力を発揮する状態」とある。つまり「定格容量とは電気機器が最大限の力を発揮しているときの電力」のこと。計測用電源では出力可能な最大の電力を定格容量と表現している。日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」では、ひずみ測定関連の用語として「定格容量:荷重変換器がその仕様を保って測定しうる最大負荷のこと」という説明がある。 参考用語:定格出力

定期校正(ていきこうせい)

計測器の品質管理のために行う校正を、決められた校正周期に従って、定期的に校正すること。定期校正の結果は試験成績書や校正証明書などの書類として記録・保管され、この会社の計測器の品質管理のエビデンスとなる。

定検(ていけん)

「定期検査」の略称。計測器を使って、プラントの定期検査を行うが、特に原子力発電所(原発)は13か月ごとに、運転を停止して定期検査を行うことが法令で決まっている。原発の定検(期間は約1か月)には多くの計測器が使用される。発電所を運営する電力会社の保守会社(電力会社系列と独立系列)や機器を納品している重電メーカの保守サービス・工事会社など多くの会社が、自社資産の計測器とレンタル調達した計測器を使って定検を実施している。計測器は校正によって品質管理されていることが要求され、試験成績書やトレーサビリティ証明書などのエビデンスの書類が保管される。 具体的な測定器としてはキャリブレータや圧力校正器、コンパクトキャルなどのDC電圧電流発生器など、多くのハンドヘルドの製品が短期間に使用される。 原発で事故やインシデントが起きると、定検のときのエビデンスである上記の校正関連の書類が調査される。過去に、試験成績書が書き換えられていた(校正結果の良否が修正されていた)という不正が発覚し、ニュースになったことがある。以降、全国の発電所では定検時の校正関連の書類の運用が一層、厳格になった。

抵抗(ていこう)

(resistance) 【電子工学で使われる電気に関する量】 電気の通りにくさ(電流を流れにくくする程度、値)のこと。電気記号はRで、単位は[Ω](オーム)。「直流では電圧を電流で除算すると抵抗になる」というのがオームの法則で、電気回路の一番目の法則である。抵抗は電圧、電流、周波数などと並ぶ、電気の基本物理量である。電気工学では「抵抗」だが、物理一般では「電気抵抗」と表記されることも多い。

抵抗器(ていこうき)

回路に電気抵抗を与えて、電流を制限したり電圧を降下させたりする機器。