計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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パルスオキシメータ(ぱるすおきしめーた)

(pulse oximeter) 2020年初から世界中で流行した新型コロナウイルスの拡大で、血中酸素の飽和度を簡易に測定できる機器としてTVニュースなどで紹介されている。2021年にはコロナウイルス患者で自宅療養をする人に配布されるケースが報道された。指先に光を当てて動脈血酸素飽和度を測定できる、採血の必要がない医療機器。コロナウイウスなどで肺がダメージを受けると肺から血液への酸素供給が不足し、動脈に含まれる酸素の飽和度が下がる。そこでパルスオキシメーターでリアルタイムに測定をして、重症化を事前に予知して予防するために使用される。 コニカミノルタ(※)のHPによれば「現在主流となっているモデルは同社が世界に先駆けて1977年に開発した」とある。同社はトップベンダーとして啓蒙のために多くの資料をHPに掲載している。業界団体である一般社団法人日本呼吸器学会のHPでも利用法や使用上の注意などを掲載している。 電子天びんで有名な計測器メーカのエー・アンド・デイは医療用機器も手掛けていて、PulsePrp(商標、パルスプロ)というパルスオキシメータ製品がある。 (※)大阪発祥のカメラメーカのミノルタは、露出計、テレビ色彩調整分析器(TVカラーアナライザ)などの計測器とパルスオキシメーターなどの医療機器を早くから手掛けていた。2003年に写真フィルムの「サクラカラー」で一世を風靡したコニカ(旧小西六)と合弁し「コニカミノルタ」になった。現在でもヘルスケア(画像診断システムなど)とセンシング(輝度計、照度計などの 色の計測機器)は主力事業である。 計測器情報:コニカミノルタの輝度/照度関連の製品例

パルスジェネレータ(ぱるすじぇねれーた)

(pulse generator) 半導体素子やその回路の試験用にパルス波形を発生する測定器。別名:パルス発生器、パルス信号発生器。略称:パルジェネ。略記:PG。周波数、デューティ、出力電圧などのパルス・パラメータを任意に設定できる方形波発生器。高速シリアル伝送の評価用に疑似ランダムパターンを発生できるモデルもある(キーサイト・テクノロジーの81134Aなど)。出力は普通1~2chで、単純なパルス列を発生する機能しかない。複雑なパルス・パターン(ロジック・パターン)を多chで出力するものに、パターンジェネレータがある。パルス・パターンを多chで出力できるので、ロジックアナライザのオプションだったり、PD(パターン検出器)とペアでBERT(ビット誤り率試験)だったりと、特定のアプリケーションに対応している。 参考用語:方形波、擬似ランダム・ビット・ストリーム 参考記事:ファンクションジェネレータの基礎と概要 (第1回)・・パルスジェネレータ(パルス信号発生器)を含む、信号発生器のおおまかな種類の説明が冒頭にある。 計測器情報:品名に「パルスジェネレータ」が付く製品の例

パルス耐圧試験器(ぱるすたいあつしけんき)

機器にパルス高電圧を与えて耐性を試験する機器。

パルス・タイミング・ジェネレータ(ぱるすたいみんぐじぇねれーた)

テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説によれば「パルス・ジェネレータに類似しているが、遅延やチャンネル間のスキューなどのパルス・タイミング制御が追加されている。出力信号電圧および立上り時間のパラメータ制御も用意されている。」とある。つまり、パルスジェネレータにタイミング機能があるものと読み取れるが、同社HPで「パルス・タイミング・ジェネレータ」を検索してもヒットしない。同社にはこの品名の現役モデルはない(2022年3月)。

パルスパターン(ぱるすぱたーん)

(pulse pattern) デジタル信号はhigh/low(1/0)の組み合わせの特殊な方形波で、意味のあるデータを2進数にして伝送する。1と0がランダムに続く信号をパルス列やパルスパターンと呼ぶ。デジタル伝送の送信機器~伝送路~受信機器までのシステム全体の品質評価をする指標にBER(ビット誤り率)がある。この測定は任意のパルス列(パルスパターン)を出力できる特殊なパルス発生器であるPPG(パルスパターンジェネレータ)と、ED(エラーでテクタ)の組み合わせで行う(現在はPPGとEDが1筐体に収まった製品が多い)。

パルス・パターン・ジェネレータ(ぱるすぱたーんじぇねれーた)

(Pulse Pattern Generator)通常はPPGと略記される、パルスパターン発生器。エラー検出器(ED:Error Detector)との組み合わせでビット誤り率試験(BERT:Bit Error Rate Test、バート)を行う。光通信などのデジタル通信の伝送品質の評価に使われるため、パルス列のパターンを作成し、高速に正確に出力できるパルスジェネレータ(PG)の1種。テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説では「ロジック信号発生器の一種で、少数の出力チャンネルから方形波またはパルスの列を、通常は非常に高周波で生成できる。パルス・ジェネレータとも呼ばれる。」とある。PPGはPGの1種だが、両者の区別は、BERTの時はPPGと呼ぶなど特別なアプリケーション時にPPGという表現が使われている。

パルス発生器(ぱるすはっせいき)

(pulse generator) 精度の良い方形波 (矩形波)を出力する信号発生器。英語をそのままカタカナにしたパルスジェネレータと呼ばれることも多い。略記:PG。 標準信号発生器(SG)などは主に正弦波 (サイン波)を出力する。パルスジェネレータは矩形波を出力する。その他の三角波やのこぎり波などの波形はファンクションジェネレータ(FG)が出力する。より複雑な波形パターンは任意波形発生器(AWG)による(ただし、最近はFGとAWGの境が曖昧になっている)。 ロジックアナライザで使うロジックパターンや、デジタル通信で使うパルス・パターンはパターンジェネレータが出力する。たとえばビット誤り率の測定用のパルス発生器はPPG(パルスパターンジェネレータ)と呼称されている。 参照用語:発生器、データ・パターン・ジェネレータ

パルス幅(ぱるすはば)

(pulse width) パルスが低い電圧から高い電圧まで移った後、再び低い電圧に戻るまでの時間の長さで、通常は最高電圧の50%で測定される(2017年4月発行、テクトロニクス「オシロスコープのすべて」より)。 2進数の1/0で表されたデータは、デジタル回路ではH(High、ハイ)とL(Low、ロー)の2つのレベルのパルス列となる。パルス幅は大変重要で、この値が変動すると動作不良が起きるため、高い精度が要求される。そのため、電子機器(電子回路)の動作検証や不具合原因の解明(デバッグ)のさいには、パルス幅の確認は必須である。デジタル伝送の品質評価に使われるアイパターンは、パルス波形を重ね書きして、時間(パルス幅)とレベル(電圧値)の変動の具合を視覚的に確認する手法である。 オシロスコープで、パルス幅をキーにした「パルス幅トリガ」はトリガ機能の中でエッジトリガの次によく使われる基本機能といえる。

パルス幅トリガ(はるすはばとりが)

(plus width trigger) オシロスコープ(オシロ)のトリガで、パルス幅(時間)を設定できる機能。通常、オシロの設定画面ではPlus Widthと表示される。たとえば「パルス幅が○○ns(ナノ秒)以上のパルスの立ち上がりエッジ」や「パルス幅が○○以下の立ち下がりエッジ」でトリガを設定するなどの機能がある。エントリークラスの安価なオシロにもエッジトリガとともにパルス幅トリガは標準装備されている基本機能である。 デジタル回路を使った大規模な電子機器は、複数のシステムが各信号のHigh/Low状態を共有して動作している。パルス幅はデータの読み出しタイミングに重要なため、パルス幅が設計仕様に合わないと誤動作が起きる。特に、発生頻度は低いが不定期に発生するグリッチは試作の段階で検証して、発生しないように改修する必要がある。パルス幅トリガはグリッチ発見に有効なため、高速オシロスコープでは「グリッチトリガ」と呼称されることが多い。 オシロの使い方入門講座では、エッジトリガの次にパルス幅トリガでグリッチを検出する実習がある。そのくらいオシロの基本トリガ機能である。 使い方動画(会員専用) [計測入門講座 Isee!]第11回 複雑な信号にトリガをかける ・・・パルス幅トリガでグリッチを発見する例。

パルス幅変調(ぱるすへんちょう)

(Pulse Width Modulation)PWMと表記されることも多い。テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説では「デジタル変調の一種で、変調信号により、パルスのパルス幅を変化させる変調方式。パルス波形にのみ適用可能。通常はデジタル・オーディオ・システムで使用される。」とある。

パルス放電(ぱるすほうでん)

電源と電子負荷の技術によるバッテリテスタを古くから発売している、菊水電子工業の製品総合カタログ(電源・電子負荷に関する用語)には以下の説明がある。パルス放電とは、二次電池の放電方式の1つ。最近の携帯電話やオーディオ機器などは回路動作がデジタル化され、回路電流もパルス状の波形になる。したがって搭載される二次電池はパルス状の電流で寿命や性能を保証するために、実機の動作状態に似たパルス波形で放電試験を行う。これを「パルス放電」という。

パルス列(ぱるすれつ)

(pulse train) パルスは1か0の2値だけの方形波だが、1と0がランダムに続く信号をパルス列やパルス・パターンと呼ぶ。デジタル通信は、意味のあるデータを2進数(0と1)で表現する(HighとLowの2つのレベルの電圧値にする)。デジタルデータは0(L:Low)と1(H:High)がランダムに続くパルス列である。高速のパルス列(周波数の高いパルス信号)の発生器をパルス・パターン・ジェネレータ(PPG)といい、デジタル伝送の品質評価をするBER(ビット誤り率)測定に使われる。 パルス列:共に移動するパルスの集まり。(2017年発行 テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」より)

バルボル(ばるぼる)

アナログ(指針型)の電圧計の1種。真空管電圧計(valve voltmeter)の俗称。日本語では電子電圧計。キーサイト・テクノロジーなどのデジタルマルチメータの主要な計測器メーカはすでに生産中止している。参考記事:「デジタルマルチメータの基礎と概要 Part2 (第1回)」様々な電圧測定器の1つとして電子電圧計を解説している。参考用語:ミリバル

ハロゲンリークディテクタ(はろげんりーくでぃてくた)

ハロゲンを用いて漏れ(リーク)を測定する機器。

パワーアナライザ(ぱわーあならいざ)

(Power Analyzer) デジタルパワーメータの中で、電力の解析機能に優れたモデルのこと。「パワーアナライザは、デジタルオシロスコープの技術を応用したデジタルサンプリングにより、従来のパラメータに加えて、位相角、力率、電力積算値、電流積算値、周波数など、同時に多くのパラメータを応答性よく測定することができる(横河レンタ・リースの「最新計測器の動向、便利な測定機能~パワーアナライザ編~」より)。 主要な計測器メーカの製品を述べる。横河電機(現横河計測)はデジタルパワーメータを形名WT○○というシリーズにしているが、1990年代にPZ4000パワーアナライザというモデルを(WTシリーズ デジタルパワーメータとは別に)発売している(現在は生産中止で最新のWT1500などをデジタルパワーメータではなくパワーアナライザと呼称している)。トルク計測が有名なHBM(現HBK)はGenesis HighSpeed高速高分解能データ収集システム/データレコーダというパワーアナライザがある。トルク測定を含めた自動車の電力解析では優れたモデルである。クランプ式電力計(デジタルパワーメータ)のラインアップが多い日置電機は、近年、センサ直結式(クランプ式ではなく、横河計測が得意な方式)のモデルを増やし、従来の品名はパワーメータだったが、3390パワーアナライザ以降、PW6000、PW8000などのパワーアナライザを発売して横河計測と競合する機種が増えている。英国Newtons4th(N4L)と国内独占販売契約を結んでいる岩崎通信機は、2013年にN4L社のパワーアナライザを国内で販売開始している(ブランド名を「IWATSU-N4L」としている)。 従来のデジタル式電力計である「デジタルパワーメータ」の最近の呼び方(品名)はパワーアナライザが多くなっている。無線通信の基本測定器であるスペクトラムアナライザが、シグナルアナライザという品名が増えている(主流になっている)のと似ている。

パワーアンプ(ぱわーあんぷ)

高電圧・大電流を供給できるアンプ。「電力増幅器」ともいわれる。意味や種類は広範で、計測器の分野でも2種類ある。バイポーラ電源や交流電源を電力増幅器やパワーアンプと呼んでいる。また、無線通信などに使われるRF帯域の増幅器にRFパワーアンプがある。オーディオ機器で、コンポーネントの中心となるアンプには、プリアンプとパワーアンプの2種類があり、両方の機能があるアンプを「プリメインアンプ」と呼ぶ(つまりパワーアンプはメインアンプとも呼ばれ、一般にオーディオ機器では、アンプはプリメインアンプをさしている)。このように使われる分野によって多くの意味がある。

パワーアンプ動作(ぱわーあんぷどうさ)

外部の信号源からアナログ電圧を入力してパワーアンプとして動作させる機能。(株式会社高砂製作所の「交流電源」用語解説より)

パワーエレクトロニクス(ぱわーえれくとろにくす)

(power electronics) エレクトロニクス(回路理論、半導体、電子部品など)とモータ駆動(パワー、制御)の両方を包含する技術の総称で、1970年代にアメリカのGE社でこの言葉が使われたといわれる(コロナ社2017年7月発行 「これでなっとくパワーエレクトロニクス」より)※。略して「パワエレ」と呼ばれる。「パワー・エレクトロニクス」という「・」を入れた表現もある。 鉄道、自動車、家電など、モータを駆動する分野で使われている技術。モータを制御するインバータは、いまや家電の代表であるエアコンから、電気自動車まで、生活のあらゆる場所に使われている。 一般社団法人日本パワーエレクトロニクス協会が毎年、秋に開催しているフォーラムでは大学の教授だけでなく、デバイスメーカ、自動車メーカ、家電メーカなどの開発者が集まりディスカッションをしている(2019年までは会場で開催、2020年はコロナ禍によりオンライン開催、2023年現在は開催されていない)。日経エレクトロニクスも「パワー・エレクトロニクス・アワード」を毎年主催している。半導体分野は日本は主流ではなく、世界的にはインテルやサムスン、TSMCがメインプレーヤだが、パワー半導体分野では日本は世界の最先端で、大学の研究室もデバイスメーカも活発である。日本ではエアコンといえばインバータ内蔵の省エネ式があたりまえだが、その高い普及率は、世界的にみると突出した状態である。EV(電気自動車)の(ハードウェアとしての)要素技術は日本は進んでいるといえる。 このように日本が強みのある分野だが、需要に反して、理工系の大学や専門学校でのパワエレ教育は少なく(全般的に電子・電機分野で計測器やパワエレの授業はほとんどされていない)、卒業者を企業が奪い合っている状態らしい。半導体、電子回路などの弱電(軽電)からモータ、電気エネルギーなどの強電(重電)まで幅広い知識がないと、電子回路でモータを制御する技術開発はできない。メーカや教授らが協力して日本パワーエレクトロニクス協会(PWEL)を設立し、この分野の啓蒙・発展・人材育成をはじめた所以である。 パワエレ関連の計測器というと、半導体開発・試験用の基本測定器であるカーブトレーサや半導体パラメータアナライザがある。SMUも大電流・高電圧が求められる傾向が伺える。オシロスコープ用のプローブとして、光絶縁プローブ(光アイソレーションプローブ)や電流測定用のロゴスキーコイルも使われる。計測器メーカでは岩崎通信機とテクトロニクスがこの分野のラインアップが多い。 ※ パワーエレクトロニクスという言葉は「1973年にウェスティングハウス社のウイリアム・ニューウェル(William E.Newell)博士が定義したもので、パワー(power)、エレクトロニクス(electronics)、制御(control)の技術が融合した分野を指す」という説明がある(横河計測 「スコープコーダの基礎知識 第1回」より)。

パワーコンディショナ(ぱわーこんでぃしょな)

主に太陽光発電に使われるインバータをさす。略して「パワコン」と呼ばれる。再生可能エネルギーである太陽光発電は、2012年7月に施行された固定価格買取制度(FIT)で買取価格が非常に高く設定され、「10年で投資額が回収でき、その後は儲けになる」ということで、家庭から大型施設まで導入が進んだ(高い価格は需要家(各家庭などの電力の使用者)に高い電気料金となって課金されるというからくり)。家電メーカから重電メーカまで、インバータ技術のある企業はこぞってパワコンを開発・販売した。風力発電でもパワコンは使われる。電池(太陽電池や燃料電池)の発電電力を系統電力に変換する機能や装置をPCS(Power Conditioning Subsystem)というが、パワコンのことをPCSと表現している場合もある。

パワーサプライ(ぱわーさぷらい)

商用電源を、必要な安定した電圧・電流に変換する装置。交流安定化電源と直流安定化電源に大別される。(=電源)