計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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Datron(でーとろん)

2000年頃に存在した、校正器9000シリーズを作っていた海外の計測器メーカ。現存していないため、どんな機種群のラインアップだったか詳細は不明。2000年当時、横河電機が販売店をしていた。その後、Wavetek(ウエーブテック)、Fluke(フルーク)に製品は引き継がれた。現在のフルークの校正器を作っているフルーク・キャリブレーション社にはもうモデル9000は無い。ただしDatronのユニバーサル校正器9100とフルーク・キャリブレーションの現役モデルであるオシロスコープ校正器9500Bは外観と、表示パネルや操作部のレイアウトがほぼ同じである。9100はフルーク製品として生産中止になったが、(2000年以降にWavetekに吸収される前の)Datron製品である。データロガーで有名なDEWETRON(デュートロン)と名前が似ているが全く違うメーカである。 参考用語:マルチキャリブレータ

テクトロニクス・イノベーション・フォーラム(てくとろにくすいのべーしょんふぉーらむ)

(Tektronix Innovation Forum) オシロスコープの世界的トップベンダー、テクトロニクスと、半導体パラメータアナライザや微少電流計、データロガー、DMM、SMUで有名なケースレーの製品群の展示、セミナーを開催する自社イベント(個展)の名称。2015年頃からプライベートショーとして毎年6月に開催するようになった。2017年には「テクトロニクス・イノベーション・フォーラム & Keithley Day 2017」の開催記録が残っている。英語を略したTIFを略記にしている。 テクトロニクスは2012年に米国のケースレー(Keithley Instruments)と合弁し(※)、日本の会社名は「テクトロニクス社/ケースレーインスツルメンツ社」になった。2022年以降は「株式会社テクトロニクス&フルーク」で、会社名からはケースレーはなくなり、日本の組織も2023年からはテクトロニクスとケースレーの区分はなくなっている(テクトロニクスとフルークの営業部門は従来通り、別組織のままである)。 (※)テクトロニクス、ケースレー、フルークは3社とも米国の投資会社フォーティブに買収され、その傘下にある(詳しくは用語、ソニー・テクトロニクス、フォーティブを参照)。 2018年と2019年のTIFは当サイトが取材してイベントレポートを公開した(以下の参考記事)。2020年からコロナウイルスの蔓延(コロナ禍)で中止になったが、2023年7月に4年ぶりの対面でのTIFが開催された(オンライン配信はなく、リアルなフォーラムのみ)。

TECHNO-FRONTIER(てくのふろんてぃあ)

一般社団法人日本能率協会が主催する、電源に特化した展示会。毎年、4~5月に開催されてきたが、2020年はコロナウイルス対策で中止になり、2021年は6月開催、2022年からは7月開催している。 約10の展示会で構成されている。2023年の構成は、第41回 モータ技術展、第38回 電源システム展、第36回 EMC・ノイズ対策技術展、第32回 モーション・エンジニアリング展、第25回 熱設計・対策技術展、第16回 メカトロニクス技術展、第2回 パワーエレクトロニクス技術展、第5回 部品設計技術展、第4回 電子部品の材料展、第1回 部品加工技術展。 当サイトは2017年8月に開設し、2018年と2021年を取材し、展示会レポートを公開した(以下、参考記事)。電源システム展には国内、海外のほとんどの計測用電源が出展する。近年は回生型のDC電源や、ワイドレンジ電源(スイッチング電源の最近の流行り)の新製品出展が続いている(回生型は毎年、新メーカが出展している)。モータ技術展にはデジタルパワーメータやパワーアナライザをラインアップする横河計測、日置電機、HBK(旧HBM)などが出展、EMC・ノイズ対策技術展には、ノイズ研究所、電研精機研究所、東洋メディック(Narda、ナルダ)などが出展している。 2023年の電源システム展(7/26~28開催)には、近年、光絶縁プローブやFRA機能など、電源解析のアプリケーションがあるテクトロニクスが出展した(テクトロニクスの裏側にはリゴルが出展)。キーサイト・テクノロジーも多チャンネルの小型(薄型)SMUなどの新製品を展示。リゴルと同じく中華系オシロスコープメーカのSiglent Technology(シグレント)が、国内展示会に初めて出展し、キーサイトやテクトロニクスと同等の大きさのブースに12ビット高分解能オシロスコープなどを展示した。テクシオ・テクノロジーやクロマは台湾コーナで出展。パワエレに注力している岩崎通信機やテレダイン・レクロイは2022年から新設されたパワーエレクトロニクス技術展に出展。つまり、2023年は計測用の安定化電源だけでなく、主要メーカのオシロスコープも展示され、計測器の展示は大変盛況だったといえる。 2023年のTECHNO-FRONTIERは東京ビッグサイト東1~3ホールで開催され、東4~6にはメンテナンスレジエンスTOKYO(プラントメンテナンスショーなど)が出展した。プラントメンテナンスショーには計測器として、アドバンテスト(無線データロガー)、東陽テクニカ(振動センサ、振動解析)、フリアーシステムズ(産業音響カメラ)、フルーク(音響イメージャー)、マキシメータ・フィールド・テクノロジーズ(Aditel社の圧力測定器)などが出展した。

デジタイズ(でじたいず)

最近のデジタルマルチメータ(DMM)の機能の1つ。従来DMMは積分型ADC(アナログ・デジタル・コンバータ)を使い、一定時間積分して1つの値を出すことで測定値を算出しているが、別のより高速なADCでサンプリングしてオシロスコープのように測定する機能が最近のDMMにはある。メーカによって表記は違うが、たとえばケースレー製品は「デジタイズI(電流)」や「Digi I」などと呼んでいる。一般にデジタイズ(digitize、デジタル化)は連続的な値(アナログ)を離散的な値(デジタル)に変換することなので、ADCと同じこと。「デジタイザ」というと計測器の1つの機種群の名前なのでここでいうデジタイズとは違う。

デジタル電圧計(でじたるでんあつけい)

(digital volt meter) 現在ではデジタルマルチメータ(DMM)などほとんどの電圧計がデジタルだが、1960年頃まではアナログ式(指針型)がほとんどだった。そのため、アナログ式と区別してデジタル電圧計と呼んだ。 現在、デジタル電圧計というと、立方体の箱に7セグメントLEDなどの表示が並んだパネルメータを指していることが多い。オムロンや渡辺電機工業などの制御機器や電力機器、計装(工業計器)メーカが「デジタルパネルメータ」などの名称で販売している。電圧は通常はアナログの連続値なので、ADコンバータでデジタル値にして表示している。ADコンバータの分解能(ビット数)によって、電圧表示の精度が決まる。 デジタル式の電圧表示が増えてはいるが、アナログ式(指針型)の指示計器は、見た瞬間におおよその値(傾向)を把握できる利点がある。そのため、制御盤や受変電機器、中央制御室の計器などにいまだに多く採用されている。計測器としての電圧計はデジタルが主流だが、計器としての電圧計(メータ)はアナログが主流ともいえる。

デジタル電圧電流位相差計(でじたるでんあつでんりゅういそうさけい)

電力系統監視/記録の機器をつくる株式会社近計システムの3相のデジタルパワーメータPHAシリーズ(PHA-100/200)の品名。電力機器として使われる保護リレーの試験に使われる特殊なデジタルパワーメータ。同社は海外メーカのメガー社の保護リレー試験器を代理店として販売していた。PHAシリーズの同等品としては、保護リレー試験器の代表的なメーカであるエヌエフ回路設計ブロックの2721パワーマルチメータがある。保護リレー試験器は電力、位相、時間などを測定できるが高額なため、このような測定器が併用される。デンソクテクノのDPF-300位相・周波数計やMCS-5000時間計などの単機能のモデルも同様に保護リレーの関連測定器群である。PHAシリーズも2721も品名が「デジタルパワーメータ」ではないため、「ベースはデジタルパワーメータで、3相、位相測定の機能があるモデル」であることがわかりにくい。PHAシリーズと2721が同等品であることや保護リレー試験関連製品であることも素人にはわかりにくい。計測器情報:PHAシリーズ、2721

デジタル電力計(でじたるでんりょくけい)

電力を電気信号に変換し、さらに測定値をデジタル表示する機器。 デジタルパワーメータの別名。

デジタルパワーメータ(でじたるぱわーめーた)

低周波の電力計の現在の主力機種の名称。別名:デジタル電力計、パワーアナライザ、パワーハイテスタ(日置電機)、パワーマルチメータ(エヌエフ回路設計ブロック)、または単に「パワーメータ」など。 計測器で電力を測定する機種群(カテゴリー)には3つある。一番代表的な機種がデジタルパワーメータである。1.デジタルパワーメータは商用周波数(50/60Hz)から100kHz程度の低周波の電力をデジタル表示する(たとえば横河計測のWT5000は0.1Hz~1MHzに対応)。センサ直結型とクランプ入力型の2種類があり、前者は横河計測、後者は日置電機が得意だったが、最近は両方が可能なモデルが増え、メーカによる堺がなくなりつつある。従来、デジタルパワーメータは横河電機(現横河計測)の主力機種群で、世界中に輸出している(横河計測のパワーメータは世界に販売することを主眼にマーケティングして製品開発している)。そのため、標準室向けの高精度のフラグシップモデルから可搬型の安価なモデルまでラインアップし、機種更新を続けている同社の看板製品である。日置電機はクランプが得意なため、クランプ電流計やクランプ電力計をラインアップし、現場測定用の低周波の電力計測(デジタルパワーメータ)でシェアが高い。両社は済み分けていたが、最近は競合するモデルが増えている。日置電機はスタンドアロンの高精度モデルに注力しているが横河計測もクランプを他社とジョイントいてクランプ入力式を増やしている。 2.高周波(RF)を測定する高周波電力計。スタンドアロン型でデジタル表示のモデルが主流。レーザーなどの光の電力を測定するものは、光パワーメータと呼び、電力計とはいわれない。3.指針型のアナログ表示のモデル(指示計器)を「電力計」と呼ぶ。ただし1のデジタルパワーメータを単に「電力計」と記載している資料もあるので注意。

デジタルマルチメータ(でじたるまるちめーた)

(Digital Multi Meter)電圧・電流・抵抗などを電気信号に変換し、測定値をデジタル表示する測定器。直流&交流の電圧&電流、それに抵抗という複数の物理量を1台で測定できるメータなので、マルチメータと呼ばれる。指示型(針が振れて測定値を指示する)のアナログの測定器は電圧計、電流計に分かれていて、1台で電圧と電流を測定はできない。略称:マルチメータ、デジマル、DMM。デジタルボルトメータの略称で、デジボルと呼んでいたメーカもあった。オシロスコープ同様に、最も基本的で台数が使われている測定器。ベンチトップとハンドヘルドの2種類がある。前者はキーサイト・テクノロジー(モデル34401Aなど)が、後者はフルーク(特徴的な黄色い筐体)が有名。テスターなどの現場測定器のメーカ(日置電機、三和電気計器など)もハンドヘルドのモデルを発売している。基本性能である表示桁数はハンドヘルドは4.5桁が主流(より小型で3.5桁もある)。スタンドアロンは5.5桁か6.5桁で、高性能モデル(高精度DMM)として8.5桁の機種が標準器としてある。DMMなどの表示桁数は「4.5桁」や「4 1/2桁」と表記される。「.5」、「1/2」とは最大の表示値の制限を表す。たとえば「4桁」の最大数は「9999」だが、DMMの最大数は「1999」が多い(「4000」の機種もある)。この場合「4桁」と表記すると“9999まで表示可能”と誤解されるため「3 1/2桁」と表記している。参考記事:デジタルマルチメータの基礎と概要、デジタルマルチメータの基礎と概要Part2 参考用語:表示カウント数、表示桁数

デジボル(でじぼる)

デジタルボルトメータ(digital voltmeter)の略。デジタル表示の電圧計のこと。デジタルマルチメータ(DMM)とほぼ同義。アナログ式(指針型の指示計器)の電圧計がADコンバータ内蔵でデジタル表示になったとき、従来のアナログではないのでデジタルボルトメータ(略してデジボル)と称した。アドバンテスト (現エーディーシー)の製品カタログなどで良く使われていた表現だが最近はあまり聞かない。アドバンテスト独特の表現(方言)といえる。タケダ理研工業(アドバンテストの旧社名)はDC~低周波の基本測定器の老舗計測器メーカで、デジボル以外にもVIGなどの、 この分野の独特の用語(いい方)をしていた(同社がこの分野のメインプレーヤであることことがうかがえる)。デジタル式の電圧計をデジマル(デジタルマルチメータの略)というメーカもあった。

テストリード(てすとりーど)

デジタルマルチメータ(DMM)やLCRメータなどでDUTに接触させて、計測器につなぐ測定用のケーブルのこと。別名:テストケーブル、リード、接続リードなど。DMMではテストリードのDUT側接触部は針のように先端が尖ったピンや、DUTの端子をはさむクリップなど、種類が選べる。計測器(DMM)側の端子は埋め込み型バインディングポストが一般的(テストリード側はバナナプラグの外側にカバーがあり、計測器側のバインディングポストに差し込む)。LCRメータ(やインピーダンスアナライザ、ネットワークアナライザ)では、DUTをつまむクリップの片側が電圧端子(電圧のセンシングを行う接触部)、もう片側が電流端子になっている測定治具をテストリードと呼んでいる場合が多い(4端子法、4端子接続)。測定器の入力端子に直接、測定治具を勘合させるタイプのものをテストフィクスチャと呼び、DUTの端子線を治具に差し込んで接触させる構造になっている。LCRメータのテストリードとテストフィクスチャはDUT形状や測定条件によって使い分けられる。

デマンド(でまんど)

マーケティング用語としては「需要(製品の供給側でなく購買する側の欲求)」のことだが、計測用語としては「電力デマンド」のこと。一般に「デマンド値」とはある30分間に消費された電力の平均値を指す。2000年代後半から電力会社は大口需要家(工場など)向けにデマンド契約を始めた。簡単にいうとその年の最大デマンド値によって、次の1年間の電力料金が決まる。需要家は平均的な電力消費を心がけ、最大デマンド値を低く運用すれば、電気代を大きく節約できる。電力会社はピーク電力に対応する余剰設備(いざというときのために遊ばせている発電所など)を持たないですむ。需要家はリアルタイムに電力消費量を監視して、電力使用量を安定させる(突発的な電力使用量の増加をさせない)運用をする必要がある。このニーズに対応して、電力関連機器メーカ、電力量計メーカ、計測器メーカ、ITベンダーなどの多くの企業が、様々なデマンド監視機器やシステムを発売した。計測器の電力計にデマンド測定機能ができたり、計測器メーカがITベンダーと組んで機器を提案した。参考用語:デマンド契約、デマンド測定

デマンド契約(でまんどけいやく)

電力会社が設置した記録計(デマンド計)が記録した30分間の最大電力から電力の基本料金を決定する電力会社との契約。仮に年間500kWで契約していて1月15日の30分間の最大電力600kW(500kWに対して100kW超過)がデマンド計に記録されると、どんなに節電をしても2月から1年間は600kWの契約になり、基本料金が高額になる。1年後の2月の時点でデマンド計に300kWを使用すると、300kWの契約になるが、3月に600kW使用すると、また1年間は600kWの契約になる。これを防ぐために大規模工場等ではデマンド監視を行う。また、上記の場合で600kWから300kWで契約できたとすると効果は(600-300)×1kW(単価)×力率=節減金額(効果)が求められる。(共立電気計器株式会社の用語集より)

デマンド測定(でまんどそくてい)

電力デマンドを測定する機能のこと(参考用語:デマンド、デマンド契約)。計測器の電力計にこの機能があるモデルがある。たとえば共立電気計器のHPには次のような製品紹介がある。電力計「KEW 6305/KEW 6315」にはデマンド測定機能があり、目標(契約電力)設定した電力を超えないように使用状況を簡易的に監視することができる。ただし電力会社の設置したデマンド計と本製品とでは、タイムラグがあるため完全に一致はしない。本製品のデマンド測定機能を使用して決められた時間内の最大電力を記録しておくと電力の管理に役立つ。

ΔΣ(でるたしぐま)

減算器(Δ:デルタ)と積分器(Σ:シグマ)を使った変調回路のこと。「ΔΣ変調」や「ΔΣ型ADコンバータ」というように使われる。DMM(デジタルマルチメータ)に使われているADコンバータはΔΣ型が多い。日本ではΔΣということが多いが、ΣΔという表現もみかける。

電圧計(でんあつけい)

(voltmeter) 計測器のカテゴリー(機種分類)で、「電圧・電流・電力測定器」は1番目に出てくる基本計測器である。その内訳はマルチメータ、電圧計、電流計、電力計、電圧電流発生器や標準器などである。当サイトでの内訳(分類、小カテゴリー名称)は、デジタルマルチメータ(DMM)、デジタルパワーメータ、電圧計・電流計、クランプ電流計、電力計、クランプ電力計、直流(または交流)電圧電流発生器&校正装置、マルチキャリブレータである。ここでいう電圧計・電流計とは、アナログ電圧計とアナログ電流計、電力計とはアナログ電力計のことを指す。昨今、計測器はデジタル表示が主流になったが、マイクロプロセッサが登場する以前(1970年以前)はすべてアナログ式(針が振れる指示計器)の表示だった。現在でも精密な電圧計や電流計、電力計(0.5級や1.0級)はアナログである。 一般に電圧計というと「電圧を測定するもの」であるから、DMMも電圧計の1種と思われるが、分類としてはDMM(電圧だけではなく電流や抵抗も測定できるマルチメータ、複数の項目が測定できるメータ)になる。つまりデジタル式マルチメータが広く普及して、多くが使われているので、電圧計はDMM以外の電圧計を指すため、必然的にアナログの電圧計が主なモデルとなる。このような計測器の発展の歴史を知っていないと、なぜ電圧計が特定のアナログ式の電圧計を指しているかを理解するのは難しい(計測器はニッチな村社会である)。 電圧(voltage)の単位はV(ボルト)で、電圧計の英語はvoltmeterである。そのため英語をカタカナにして、電圧計を「ボルトメータ」とも呼ぶ。電圧計が従来のアナログからデジタル表示になったとき、digital voltmeter(デジタルボルトメータ)を略してデジボルと呼称したメーカもあったが、現在は電圧以外に電流や抵抗も測定できるデジタルマルチメータが主流になり、デジボルという表現は聞かなくなった。電流計は英語ではampere meter(アンペアを測定するメータ)なので、電流計も「電圧(voltage)のメータ」というより、voltmeter(ボルトを測定するメータ)である(電流の英語はcerrentだが、電流計はcueernt meterではない)。

電圧電流発生器(でんあつでんりゅうはっせいき)

(voltage current generator) 電流・電圧を発生する測定器。DC(直流電圧電流発生器)とAC(交流電圧電流発生器)の2種類がある。前者の具体的な機種としはSMU(ソース・メジャー・ユニット)やプロセスキャリブレータ。後者は、標準室で校正のときに使われる横河計測の交流標準電圧電流発生器2558Aが有名。他にはエヌエフ回路設計ブロックのRX4763三相標準電力発生器、デンケンのMDAC-5A三相交流発生装置などがある。 電源(power supply/source)と電圧電流発生器(voltage current generator)の違いは用途による。計測用の直流電源は安定化電源やCV/CC電源と呼ばれるが、高精度な電源に電圧・電流の測定機能が付いたモデルは半導体のI-V特性を評価したり、測定器の校正に使われる。そのようなモデルは出力の機能は電源と同じだが、直流電圧電流発生器と呼ばれ、機種群(計測器のカテゴリー)は電源ではなく「電圧・電流・電力測定器」に分類される。交流電圧電流発生器は標準器(校正器)であることが多い。

電位差計(でんいさけい)

(potentiometer) 標準値と測定値を平衡させるやり方(零位法)で直流電圧を測定する計測器。DUT(測定対象)に電流を流さないで測定できることが特長。安価なアナログの測定器だが、現在、主要な国内計測器メーカのラインアップには見当たらない。国産の製品はほぼ無いと思われる。ECサイトでは海外製の電位差計が販売されている。たとえばMCP lab electronicsのMCP-01 POTENTIOMETERは日本語の製品名(品名)は「DC電位差計」や「携帯用直流電位差計」と表記されている。 電位差計は別名、日本語で「ポテンショメータ」と呼称される。ただし、ポテンショメータには複数の意味がある。

電流計(でんりゅうけい)

(ampere meter、ammeter) 計測器のカテゴリー(機種分類)で、「電圧・電流・電力測定器」は1番目に出てくる基本計測器である。その内訳はマルチメータ、電圧計、電流計、電力計、電圧電流発生器や標準器などである。当サイトでの内訳(分類、小カテゴリー名称)は、デジタルマルチメータ(DMM)、デジタルパワーメータ、電圧計・電流計、クランプ電流計、電力計、クランプ電力計、直流(または交流)電圧電流発生器&校正装置、マルチキャリブレータである。ここでいう電圧計・電流計とは、アナログ電圧計とアナログ電流計、電力計とはアナログ電力計のことを指す。 昨今、計測器はデジタル表示が主流になったが、マイクロプロセッサが登場する以前(1970年以前)はすべてアナログ式(針が振れる指示計器)の表示だった。現在でも精密な電圧計や電流計、電力計(0.5級や1.0級)はアナログである。 電流計は「電流を測定するもの」だが、一般にはアナログ電流計を指していることが多い。ただし解説書(計測器のガイドブックなど)によっては、クランプ電流計を列記していることもある。電流測定器の中で最も種類が多いのがクランプ電流計であるためと推測される。また、ピコアンメータ(別名:微少電流計。デジタル表示が主流)を、微少信号測定器やエレクトロメータではなく電流計に分類している場合もある。つまり、電流計とは、広義には「電流(アンペア)の測定器」だが、具体的(狭義)には「針が振れて測定値を示すアナログの電流計」である。電流計と表現されていたら、何を指しているかは文脈の中から判断する必要がある。 「電流の単位であるアンペアを測定する計器」なので、アンペア計やアンメータ(アンペア メータの略称)という呼称もある。日本語では電流計だが、英語はampere meterなので、それをカタカナで表現したといえる(電流の英語はcurrent)。

電力計(でんりょくけい)

(watt meter) 広義には電力を測定する機器で、家庭の玄関に必ずあるスマートメータ(積算電力計)や電気使用量を監視しているデマンド機器などがある。計測器としては商用周波数(50Hz/60Hz)~低周波を対象にしたパワーメータ、デジタル電力計、デジタルパワーメータ、高周波を対象にした通信計測器の 高周波電力計 、RFパワーメータ、光パワーメータなどがある。指示計器である積算電力計(または積算電力量計、家の入口近くの屋外に設置され、使用電力を測定しているメータ、今でいうとスマートメータ)を指していることもある。 計測器としては狭義には、指針型(針が振れるアナログ式のメータ)の電力測定器を指す。外観は黒い箱型で、バインディングポストの入力端子がある、横河電機が作っていたモデルが有名。理工系の学校の電気実験では、同じように指針型の電圧計、電流計とともに現在も使用されている(用語のYEWを参照)。英語watt meterをカタカナにした「ワットメータ」というと、このアナログ式の指針型のメータで、単位[W](や[AV]アンペアボルト)を測定する計測器がイメージされる。「機械式電力計」という名称で説明している文献もある。 一般的に計測器で「パワーメータ」というと低周波の電力測定器を指し、高周波の場合は高周波電力計や光パワーメータ、というように品名で区別している。計測器としての低周波の電力計は「デジタルパワーメータ」という品名が多い(一部、パワーアナライザもある)。機種群の分類では「計測用電力計」という説明もされる(以下の記事を参照)。 低周波の電力計としては測定対象に非接触であるクランプ電力計も大変よく使われる。現在の(計測器としての)低周波の電力計はデジタルパワーメータとクランプ電力計である。前者は横河計測が国内でシェアが高く、海外にも輸出している。後者は、昔からクランプのラインナップが多い日置電機がシェアが高い。ただし日置電機は横河計測の牙城だった高確度のデジタルパワーメータを最近は多く発売し競合製品のシリーズ化に注力している。横河計測もクランプを他社から仕入れるなどしてクランプ入力のデジタルパワーメータも発売してきている。トルク計測で実績のあるHBK(旧HBM)のパワーアナライザは自動車市場に強く、3社は国内市場で競っている。