計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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CAD(きゃど)

(Computer Aided Design) 直訳したら「コンピュータ支援設計」。1970年代にマイクロコンピュータの普及によって電子部品間の接続線がバス化し(複数本に増えた)、プリント基板上に配線(パターン)を設計する作業が人間では難しくなり、コンピュータによるアートワークが導入された。1980年代にはそれをCADと呼び、CADデータから製造することをCAM(Computer Aided Manufacturing、キャム)といった。 現在では電気系のCADやCAE(Computer Aided Engineering:製品開発の初期段階から、コンピュータを用いた仮想試作・仮想試験を行うこと)を総称して、 EDA(Electronic Design Automation)と呼んでいる。 電子計測器の世界No.1メーカであるキーサイト・テクノロジーは数多くの有料トレーニングのコースを以前から開催しているが、EDAツールのコースは最も力を入れている1つである。 参考記事:お客さまに使いこなしていただくために! サービスに注力するキーサイト・テクノロジーがトレーニングを語る ・・記事の4ページ目にEDAついて言及している。

CAM(きゃむ)

(Computer Aided Manufacturing)部品の製造を行う際、CAD(Computer Aided Design)で作成した図面を基に、工作機械の加工に必要なプログラムなどを作成するツール。CADは部品の設計やプリント基板のアートワークなど、3次元の図面をコンピュータを使って作成するツール。CADやCAM、CAE(Computer Aided Engineering)などを、EDA(Electronic Design Automation)と総称している。 電子計測器の世界No.1メーカであるキーサイト・テクノロジーは数多くの有料トレーニングのコースを以前から開催しているが、EDAツールのコースは最も力を入れている1つである。 参考記事:お客さまに使いこなしていただくために! サービスに注力するキーサイト・テクノロジーがトレーニングを語る・・記事の4ページ目にEDAついて言及している。

キャリブレータ(きゃりぶれーた)

(calibrator) 3つの意味がある。 1.Calibration(校正)するもの、つまり計測器を校正する標準器、校正器。 2.工業計器、計装分野の校正器。「プロセスキャリブレータ」の略称。いわゆる電子計測器の校正器(企業の標準室に鎮座している高額な標準器)ではなく、ハンドヘルド(可搬型)のモデル。プラントに数多く設置してある圧力計の校正を行う圧力校正器(圧力キャリブレータ)が代表。「キャリブレータ」というと、一般の電気の校正器を想像する人と、プロセス用の校正器(圧力や温度)を想像する人に分かれる。後者の方が多いかもしれない。「キャリブレーション」というと前者の「校正」の意味である。 3.横河計測の「直流電圧電流発生器&DMM」機能のある製品の品名(電圧・電流の校正ができるため)。同社には「ハンディキャリブレータ」、「コンパクトキャル」などの品名の製品もある。同社が、工業計器・計装分野の日本を代表する会社である横河電機の計測器部門であったこと、現場用の可搬型の計測器を古くから手掛けていたこと、現在も(特定の)現場測定器でNo1であることが伺える。このキャリブレータを可搬型からベンチトップにすると、ほぼSMU(source measure unit)となる(基準となる電圧・電流を発生して、それに同期して電圧・電流を測定できるのがSMUである)。現在同社には1機種だけSMU製品がある(2021年1月現在)。 計測器情報:校正器(マルチキャリブレータ)の例、横河計測のキャリブレータの例

キャリングケース(きゃりんぐけーす)

(carrying case) 測定器を入れて運搬するためのケース。ソフトとハードがある。ソフトタイプは主に布のように柔らかい素材でできていて、ハンドキャリー(人が持って運ぶ)に適している。ハードタイプはジュラルミンのような堅い金属製で、アタッシュケースのような外観をしていることが多い。 計測器のサイズがポータブルのときはソフトタイプ、ベンチトップのときはハードタイプのキャリングケースが、各計測器のオプション(アクセサリ)で用意されている場合がある。

キュービクル(きゅーびくる)

(cubicle) 受変電・配電機器の分野の用語。受電設備の機器一式が金属製の筐体に収納されたもの。外観は大型のロッカーのようで、ガラス窓から中のメータ(指針)や切換スイッチ、表示灯(インジケータ)などが見えることもある。マンションの1階の片隅や、屋上に設置されている。cubicleは日本語では「仕切り」。なぜ受電設備の筐体を指すのか語源は不明。「メタルクラッド(通称:メタクラ)」とも呼ばれる。キュービクルとメタクラの違いは、キュービクルは一つの金属箱内に全ての機器を納めたもの、メタルクラッド はキュービクルで各機能別に金属箱が区切られたもの(ウィキペディア、Wikipediaより)。 電線に流れる6600Vの電気は電柱にあるトランス(柱上変圧器)で100/200Vに降圧して家庭に配られる。集合住宅や商業施設のように、一軒家よりも大きな電力消費をする場合は施設内にキュービクルを設置することが多い。キュービクル設置には費用がかかるが、柱上変圧器よりもキュービクルの方が電力単価が安価なため、設置費用がかかってもランニングコストが安くなる。「昔は電気室や変電室と呼ばれる部屋で6600Vから降圧していたが、安全性を保持して小型化し、変圧に必要な機器を1つの箱体(キュービック)に収めたのでキュービクルと呼ばれるようになった」ともいわれる。 キュービクルは重電メーカ(三菱重工、日立、東芝、富士電機、明電舎、日新電機など)と、電気機器(受電・配電機器、制御盤など)メーカがつくっている。電気工事会社の中には受電機器を得意とする会社も多い。 参考記事(会員専用):市場動向レポート 「受変電・配電設備の保全と計測器の活用」2016年3月号 TechEyes Vol.16 参考記事:【コラム】交流電源 - 三相と単相・・柱上変圧器について触れている。

教材(きょうざい)

正確には計測器ではないが、計測器メーカがラインアップしているので解説する。計測器は理工系の電気の学生実験で良く使われる。先生が実験内容を考案する際、実験したい回路構成を1枚のパネルや機器に作りこんで、各端子にわかりやすく意味を印刷し、「A端子とB端子を〇〇でつなぐ」などの実験手順書が揃った教材があると、大変便利である。そこで計測器メーカに仕様を示し、そのような機器(教材)を作らせることがある。 学生実験で使う教材は計測器よりもローテクなので、その商品化は計測器メーカにとってはたやすいことだが、多くの学生が扱う器材はケーブル断線から始まり故障や破損が起きやすいので、堅牢な設計など、教材特融の商品化ノウハウが必要となる。ケーブル1本でも簡便に補充購入できるサービス体制も求められる。また先生によって好みがあり、標準化による売上増が難しかったり、計測器ほど単価も高くはならない。そのため、ほとんどの計測器メーカは特別な事情がないと、教材を標準品にはしない。 岩崎通信機の電子計測機器ページには教育用実習機器ITFシリーズがラインアップされている。ユニバーサルカウンタ、ファンクションジェネレータ(FG)、デジタルマルチメータ(DMM)などの比較的安価な基本測定器を教育市場(学校)向けに同社が長年提供してきたことを伺わせる。 計測器情報:岩崎通信機の教材製品の例

共同接地(きょうどうせっち)

接地すべきものを一つの接地極に共同に接続する接地方法。(共立電気計器株式会社の用語集より)

極座標(きょくざひょう)

(polar coordinates)X軸とY軸で表される直交座標は原点からの2軸の距離で平面の1点を定めるが、距離と確度で定める方法を極座標という。原点からの距離rとX軸との角度θで表す。ネットワークアナライザやSパラメータで使われるスミスチャートは極座標の1種といえる。

許容温度範囲(きょようおんどはんい)

(Allowable Temperature Range)機器が動作できる環境温度の範囲のこと(つまり許容環境温度範囲)。「使用温度範囲」だと「仕様を満足して使用できる温度範囲」。日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」には「許容温度範囲:有害な永久変化が生じることなく使用できる温度範囲」とある。センサやロードセルでは別に「補償温度範囲」という用語もある。株式会社東京測器研究所の「びずみ測定用の変換器の用語」には「許容温度範囲:仕様は満足しないが、変換器に有害な永久変化を生じることなしに使用出来る温度の範囲(℃)」とある。

許容差(きょようさ)

基準とした値と、それに対して許容される限界値との差。基準とした値に対する比を表す。(共立電気計器株式会社の用語集より)

許容入力電圧(きょようにゅうりょくでんあつ)

入力端子間に加えても差し支えない電圧の最大値のこと。(共立電気計器株式会社の用語集より)

キラーアプリ(きらーあぷり)

(Killer Application)サービスが普及する目玉となるアプリケーション。新しいサービスが運用されるときには、新しいアプリケーションが提供されるが、従来にないアプリケーションがあるとサービス普及を推進する。移動体通信サービスが2G~4G、5Gと変遷する時にはキラーアプリがその普及に貢献した。通信計測器はキラーアプリに対応した試験オプションがある。集客力のある情報やサービスをキラーコンテンツという(マーケティング関連用語)ことと同様。

kHz(きろへるつ)

(kilo hertz) 周波数の単位で、1,000Hz(ヘルツ) に相当。k(キロ)は10の3乗の接頭辞。可聴周波数(人間の耳に聞こえる音の周波数)は、20Hz~20,000Hzといわれ、オーディオ機器は数100kHz程度までの周波数を扱っている。 数100kHz程度までを低周波と呼んでいることが多い。ただし、「高周波」や「低周波」は明確に何Hzという定義はなく、その時に説明する内容によって使われる用語である。 SGということばは信号発生器の略記だが、RF分野では「標準信号発生器」などの高周波の機器をSGと称している。オーディオ機器で使われる信号の発生器は通常はファンクションジェネレータなので、FGと記載すべきだが、(RFではなく)オーディオ分野の文献でSGという表記も良く見かける。文献の筆者は(FGも含む)信号発生器の意味でSGという用語を使っていると推測されるが、RF分野の技術者からすると「その周波数帯の話ならば、SGではなくFGではないのか」と違和感を覚えるかもしれない。計測器は同じことばが分野が異なると違う意味のことがある。低周波と高周波も(簡単そうな用語だが)要注意である。

矩形波(くけいは)

(square wave) 時間と共に値が変化する交流で、最も基本的なのは周期的な波形の正弦波である。交流で正弦波以外を非正弦波と呼称する(非正弦波も一般には周期的な波形といわれている)。非正弦波の1種が矩形波(別名:方形波)で、理想的には(※)2つの値しか持たない。高い値をハイ(または1)、低い値をロー(または0)と呼び、ローはゼロやマイナスの値の時もある。波形の形が四角なので矩形波や方形波の名前がある。 矩形波:方形波と同様のスイッチング特性を持つ波形で、ハイとローの時間が等しくないものも含まれる(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)。 非正弦波には矩形波のほかに三角形の三角波(triangle wave)、のこぎりの歯形に似たのこぎり波(saw tooth wave)、短時間に急激に変化(脈動)するパルス波(pulse wave)などがある。非正弦波を含む多くの波形を出力できるのがファンクションジェネレータ(略記:FG)である。矩形波発生器や方形波発生器のような名称の計測器はない(以下の計測器情報を参照)。 RFなどの高い周波数の正弦波を正確な精度で出力するのが標準信号発生器(略記はSGが多い)、同じく高精度のパルス波に特化して出力するのがパルス発生器(略記:PG)、パルス列を自由に作成できるのが誤り率測定器(BERT)やロジックアナライザのパルス・パターン・ジェネレータ(略記:PPG)である。 このように矩形波(方形波)と(その変化が急峻な)パルス波は、デジタル信号の基本で、オシロスコープによるアイパターン測定で品質を評価される。 (※)電気信号は有限の時間で変化する。矩形波はあるタイミング(時刻)にローからハイに瞬時に変化すると説明されるが、オシロスコープの横軸(時間軸レンジ)を小さくする(波形を拡大する)と、信号は緩やかに曲線を描いてローからハイに進み、ある短い時間(有限の時間)を使って変化する(立ち上がり時間や立ち下がり時間がある)。つまり、ローとハイの2値しかないデジタル信号も、アナログ信号なのである。そのため「矩形波は理想的に2値しか持たない」と説明される。

組込み(くみこみ)

1. 単体の測定器ではなく、機器に内蔵して使用されることを指す。「ベンチトップ」や「スタンドアロン」と対比して使われる。例:「組込みタイプ」、「組込み用電源」。2. ITやソフトウェアの世界では「組込みソフトウェア(embedded software)」を略していっていることがある。組込みソフトウェアとは、家電や産業機器などに内蔵され特定の機能を実現するためのコンピュータシステムで動作するソフトウェアのこと。ハードウェアであるMPU(マイクロプロセッサ、マイコン)やROM(メモリ)が実装されたプリント基板と、メモリに格納されたプログラムで構成される。 炊飯器から、ロボット、ブルドーザまで、現在のほとんどの電気・電機製品にはMPUと組込みソフトウェアが搭載されている。組込みシステムを試験して完成品にする測定器としてICE( In-Circuit Emulator、アイス、マイコン機器開発支援装置)がある。

グランド(ぐらんど)

(ground) 地面を表す英語のgroundが由来なので「グラウンド」と表記されることもあるが、計測器では「グランド」のほうが多い。 テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では以下の解説がある。「グランド:1. 電気回路や電気機器を地面に接続する導体で、基準レベルとなる電圧を確保するためのもの。2. 回路内の電圧基準ポイント。」

GND(ぐらんど)

グランド(またはグラウンド)の略記。電気機器を地面に接続し(接地)、基準レベルとなる電圧を確保する。計測器には「GND」の表記がされることが多い。地面を表す英語のgroundが由来。

計測コントローラ(けいそくこんとろーら)

1970年~80年代にかけて自動計測用に使われたコンピュータのこと。1980年頃のPC(パーソナルコンピュータ)は現在のような性能がなく、計測器の制御用には適していなかった。そのため計測器メーカは自社で自動計測用のPCを製品化した。例えば安藤電気のamics(アミックス)80、AE-8101デスクトップ コンピュータや、アンリツのパーソナル テクニカルコンピュータPACKET Vシリーズなどの製品があった。これらの外観は当時のデスクトップPCとほぼ同じだが、主に工場などで計測・制御用に使われた。インタフェースは対象とする計測器に合わせて、GP-IB以外の様々なI/Oを用意していた(計測器メーカが自社の計測器の制御用途で仕様を決めてつくった)。 走りはHP(現キーサイト・テクノロジー)が同社製計測器の多目的コントローラとして、1966年に開発したコンピュータ「HP 2116A」。その後も同社は計測用のコンピュータ(コントローラ)をラインアップし、自動計測だけでなく計測後の後処理(科学技術計算)として、コントローラ製品は日本の理工系大学の研究室などで1980年代まで重宝された。1980年頃に理工系の研究室にあるHPの計測コントローラを、先生が「科学技術計算をするひゅーぱー(HPのこと)の最新コンピュータ」と紹介したことを、筆者は強烈に今でも覚えている(最新コンピュータの会社名が「ひゅーぱー」なんて、耳を疑った)。 HPは1970年代に汎用コンピュータ「HP 3000」でビジネスコンピュータに参入、1980年にはパーソナルコンピュータを発売し、ワークステーションやサーバといったIT機器に注力し、コンピュータ以外を別会社に分社化してコンピュータメーカになっていく。計測器のためのコンピュータ(計測コントローラ)はそれらの源流ともいえる。HPは計測器で始まったが、IT(コンピュータ)に参入しIT以外の分野はアジレント・テクノロジー(科学分析機器)、キーサイト・テクノロジー(電子計測器)などに分社していった。HPというブランドは計測器ではなくコンピュータが襲名した。

計販会(けいはんかい)

「計測機器販売店会」の呼称(略称)。計測器を販売する全国の商社(計測器メーカの代理店、販売店など)が集まり1989年に設立した。会員数:34社(2018年7月現在)。日本電気計測器工業会(略称JEMIMA、ジェミマ)の賛助会員。会の目的は、計測機器販売業の集団として産業界の発展に寄与することで、定期的な勉強会などの会合を開催している。ホームページには東洋計測器株式会社の代表取締役、八巻氏執筆の「電気計測器の歴史」コラムが掲載されている。略記はJEMIDA(Japan Electric Measuring Instruments Distributor`s Association)だが、「計販会」と呼称されることが多い。 計販会の初代会長は日本電計株式会社の当時の社長だが、同社は現在は会員ではない(2022年7月)。また西川計測株式会社(テクトロニクスや横河電機・横河計測などを販売)や、東京電機産業株式会社(プロセス制御装置、電気計測器、ラボ分析機器などを販売)も会員ではない。計販会のほかに、計測器の商社が集まった組織としては、荒木電気工業株式会社や東洋計測器など6社が加盟する「MAJOR ALLIANCE」(メジャーアライアンス)がある。

ケミコン(けみこん)

アルミ電解コンデンサの通称。ケミカルコンデンサの略。安価で大容量のため電源回路に多用されるが、大きな円筒形のため、機器に実装するときに場所を取る部品である。