計測関連用語集

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測定計測展(そくていけいそくてん)

日本光学測定機工業会と日本精密測定機器工業会が主催し、隔年で開催される展示会。「測定計測展/Measuring Technology Expo」と呼称している。奇数年秋に開催するトレードショーとして、産経新聞社の特別協力のもと、自動車、ロボット、航空機関連などに用いられる光学・精密測定に始まり、幅広い計測の新製品が出展する。 画像を撮影して解析・判断する測定機器だけでも、各種の手法(可視光、レーザ光など)があり、用途(形状検査や寸法測定など)によって測定項目や処理工程が多岐にわたる。高速度カメラによる落下試験では、撮影した画像とひずみなどの物理量測定が組み合わさることもある。 TEST(総合試験機器展)とセンサエキスポジャパンと併設で開催している。センサエキスポジャパンは毎年開催で、測定計測展が開催されない偶数年にはINTERMEASURE(計量計測展、インターメジャー)が併設展となる。

電子顕微鏡(でんしけんびきょう)

光線の代わりに高圧で加速された電子線を、光学レンズの代わりに電子レンズを用いた顕微鏡。光学顕微鏡の数万倍の倍率をもつ。

Piカメラ(ぱいかめら)

Raspberry Pi(ラズベリーパイ、略称:ラズパイ)は標準で高速のカメラ・インタフェース、MIPI CSI-2(MIPI Camera Serial Intereface2)を装備している。カメラ・ライブラリも多くあり、イメージセンサなどのカメラを容易につなぐことができる。ラズベリーパイ用の小型カメラモジュールは数多くの商品があり(2023年6月現在、50以上)、Raspberry Pi カメラモジュールを「ラズパイカメラ」や「Piカメラ」と呼称(表記)している。ラズパイの普及だけでなく、ドローンにカメラが搭載されるようになり、小型カメラは高性能化、低価格化が進んでいる。

ハイスピードカメラ(はいすぴーどかめら)

(high speed camera) 高速に変化する現象を撮影するための特殊なカメラ。別名:高速度カメラ。カメラの進歩に伴い、以前はフィルム式だったのが、現在はデジタル化している。自動車の衝撃試験でぶつかる瞬間の壊れ方や、電子機器の落下試験での破損の仕方など、用途は広い。 メーカは、国産で1958年創業のナックイメージテクノロジー(nac)が老舗。1970年代に計測器レンタル業が日本で始まった当時からレンタル商材になっていた。1970年代にムービーカメラをつくっていた国産メーカの株式会社フォトロン(Photron)はその後ハイスピードカメラでシェアを伸ばした(1990年代には横河電機のオシロスコープと協業した)。国内市場では上記2社がシェアを競っている。他には同じく国産の株式会社ディテクト、シナノケンシが低速域の製品をつくっている。 メーカとしては米国のVision Research社(Ametekグループ)が最速・超高感度の世界的トップブランドで、別格(ハイエンド)。日本の総代理店は株式会社ノビテック。それに次ぐ領域を国産のフォトロン、ナックイメージテクノロジーがラインアップしている。ディクトは2000年頃に低速域の製品で参入し、ラインアップを増やした。現在では低速域を独占している。同社の上位モデルは前述3社の下位モデルと基本仕様は同じでだが、3社はディテクトを「自社の主戦場ではない低速域のメーカ」と認識し、競合とは思っていない。ディクトのHSAシリーズは日本一安価な製品群といわれ、低速域で(仕様を十分に満たしつつ)価格を重視するユーザに人気である。シナノケンシはモータのメーカとして有名だが、生産ライン向けの低速域のハイスピードカメラに限定してつくっている。

パイプカメラ(ぱいぷかめら)

工業用内視鏡の内、水道管などの内部を検査する製品の名称に、配管内カメラであるパイプカメラがある。建機レンタルのAKTIO(会式会社アクティオ)や測器を幅広く取り扱う株式会社レックスなどが取り扱っている。現場用なので、長い検査ケーブルを巻いたリールやそれにつながる表示器(モニタ)などが付いている。

PIV(ぴーあいぶい)

(Particle Image Velocimetry) 日本語では「粒子・画像・流速測定(または測定法)」。複数台のカメラを使い、気流や水流などの流体の動き(速度や方向)を非接触で可視化し、解析する手法。流れの大きさや方向を色のついた矢印で2次元に表示する。高速度カメラと画像解析ソフトウェアで構成されている。撮影するカメラの性能(撮影速度、fps)が、解析ソフトウェアの矢印の精度に影響する。 製品はピンキリで、R&D用途の高額なものから、初心者用の使い方が簡単な安価なものまで幅広い。低速域のハイスピードカメラメーカ、株式会社ディテクトのPIV製品、画像流速計測ソフトウェアFlownizer(フロウナイザ)はマニュアル設定がないので、使い勝手が良い初心者向きの製品である(R&D用途ではない)。 国土技術政策総合研究所は、文献「波動場計測における可視化技術」(国総研資料No.259)で、PIVを使った解析について論じている。明治大学の理工学部 機械工学科 流体工学研究室はPIVを使った研究(流動場に混入された粒子に光を照射し、散乱光をカメラで撮影し、二次元または三次元的の速度ベクトルを計測するなど)をしている。

光ファイバ(ひかりふぁいば)

(optical fiber) 現在の有線通信網の主力のケーブル。線材が細いこと、電気でなく光なので電磁ノイズの影響を受けないことから、細い管の中を検査する内視鏡や、強磁場で使う温度計にも使われている。表記は「ファイバ」と「ファイバー」の2つがある。光は屈折率の異なる媒体を通過するとき、境界面で進路がわずかに曲がる性質がある。透明なコップに水と箸を入れ横から見ると、水面の上下で箸はわずかに曲がって見える。これは空気(水面の上)と水(水面の下)の屈折率が違うので光が曲がったためである。曲がり具合は2つの物質の組合せによって決まる固有値になる。光は境界面を通過するとき全て透過せずわずかに反射する。曲がり具合の大きな2つの物質を選ぶと、曲がる角度がだんだん大きくなってついには透過せず、ほとんどが反射するようになる。そのような組合せの2つ物質(ガラス)を筒状にして、一方の筒の外側にもう一方を筒状に被せた2重円筒形構造を作り、内側の筒(物質)に光を入射したら、光は外側の物質に閉じ込められて全反射し続け、遠方まで伝わり光通信を実現できる。この理論を日本人の西澤潤一氏が考案したが、あまりにも先進的な理論であったため、日本では特許は却下されてしまった。光ファイバの実用化はアメリカの大手ガラス会社のコーニング社が行い、現在も光ファイバの世界的なトップメーカである。国産の電線メーカ、住友電気工業、古河電気工業、フジクラがコーニングに続く光ファイバメーカである。内側の筒(物質)をコア、外側をクラッドと呼ぶ。材料がガラス製ではコア径は50(または62.5) μm、クラッド外径は125 μmの細さで、外側を被覆して強度を保つ。光ファイバの接続は融着によって行う。先述の電線メーカは光ファイバ融着器のメーカでもある。光ファイバを曲げるなどの外圧を加えると、通信パワーが減衰する。わずかな外圧による微量のパワー変化を検知できるので、ひずみセンサとしても使われる。山の斜面やトンネルなどに敷設して、地面のずれを検知して防災に役立てている。計測器メーカは横河計測(旧安藤電気、光通信測定器)、 共和電業(ひずみ測定器)、安立計器(温度測定器)などがある。 光ファイバ関連の計測器や機器の解説: OTDR、光パルス試験器、光ファイバアナライザOLTS、光ロステスタ、IDテスタ、光ファイバ心線対照器、光ファイバ温度計、ファイバースコープ、ファイバーレーザー 計測器情報: 横河計測の光測定器、光ファイバアンプ、安立計器の光ファイバ温度計

ビデオスコープ(びでおすこーぷ)

最近の工業用内視鏡の名前。内視鏡の世界トップメーカであるオリンパス(※)の工業用内視鏡の品名。以前は工業用内視鏡はファイバースコープと呼ばれたが、コンピュータやカメラ、画像処理技術の進歩によって光ファイバを使わない方式が主流になった。 (※)治療機器事業と内視鏡事業をしているオリンパスは、医療分野と科学分野のそれぞれの事業特性に合った経営体制を確立する、として工業用内視鏡を含む科学事業を2022年4月に分社化して株式会社エビデントを設立、さらに同年8月にはBain Capital Private Equity(ベインキャピタル)にエビデントを譲渡する契約を締結したと発表。

ファイバースコープ(ふぁいばーすこーぷ)

(fiber scope) 製品の深部や内部の画像をモニタに写し出す機器。工業用内視鏡の別称。以前の内視鏡は光ファイバを使い、フィルム式のカメラで撮影していた。そのためファイバースコープと呼ばれたが、現在の工業用内視鏡の主力製品の名称はビデオスコープで、ファイバは使っていない。ただしファイバースコープの時代が長かったので、今でも工業用内視鏡といえば「ファイバースコープ」と呼称されることが多い。 内視鏡の世界的トップメーカのオリンパス(※)の工業用内視鏡の主力製品はビデオスコープである。ただし、距離や線径の条件によってビデオスコープでカバーできない範囲は光ファイバを使った従来のファイバースコープで補っている。光ファイバといえば現在の基幹通信網として世界中で導入されているが、内視鏡での利用はそれよりも早い。そのため「内視鏡といえばファイバ」という認識があり、ファイバースコープが現在でも内視鏡の通称になっていると思われる。

フレームレート(ふれーむれーと)

(frame rate) 動画で単位時間あたりに処理する画像(フレーム)の数の指標。画像の1枚をフレームやコマと呼ぶ。単位はfps(frames per second、フレーム/秒)や「コマ/秒」。フレームレートと「撮影速度」は同義。映像のサンプリング周波数のため、まれにHz(ヘルツ)が単位に使われる場合もある。 1秒間の動画を構成する画像の枚数なので、数値が高いと滑らかな動画、低いとカクカクした動画になる。人間の目は30fps程度の映像を見ているといわれる。防犯カメラは一時的な動作を確認するので3〜5fpsに設定されている。ゲームの指標にもなっていて、フレームレート(fps)が大きいほど映像のクオリティが高く感じられる。フレームレートと似た指標にリフレッシュレートがある。フレームレート(fps)はゲーム機やPC、TVなどの入力側の能力を示す指標で、リフレッシュレート(Hz)は映像を表示するモニタなどディスプレイ(出力側)の能力を示す。 落下や衝突などで物が破損する状況を撮影する、計測器である高速度カメラは10,000fps程度の性能がある(後述のTVやゲームとは数値が全く違う)。解像度(フルHDやVGAなど)によってフレームレートは変わるが、米国のVision Research社(Ametekグループ)が最速・超高感度(ハイエンド)で世界的にトップ(日本の総代理店は株式会社ノビテック)。それに次ぐ領域を国産のフォトロンやナックイメージテクノロジー(nac)がラインアップしている。1970年代に計測器のレンタル事業が始まった当初から、nac製品はレンタル商材としてラインアップされている。 低速域(1,000~5,000fps程度)も産業分野の機械挙動やスポーツ(野球のピッチャーやバッターのフォームの計測)など幅広く需要があり、国産の株式会社ディテクトの高速度カメラが売上を伸ばしている。このようにフレームレート(撮影速度、fps)はハイスピードカメラの最も基本的な仕様である。 用途別のフレームレートの目安は、5fps:防犯(監視)カメラ、24~30fps:映画、テレビ(日本)、Web会議、60fps:4K/8Kテレビ(日本)、120~240fps:スポーツ観戦、ゲームなど。FPS(First-person shooter、ファーストパーソン・シューティングゲーム)などは120fpsだとプレーヤは快適、240fpsあると大変に快適だといわれている。これらの用途は、計測器のハイスピードカメラとは数値が全く違う。一般的なカメラや映像のフレームレートの数値である。

偏心測定器(へんしんそくていき)

レンズの偏心を測定する機器。

マイクロスコープ(まいくろすこーぷ)

(microscope) 物体の表面を拡大して見ることができる、顕微鏡の1種だが、日本で「マイクロスコープ」というと、顕微鏡とは別カテゴリーの機種群として確立している。通常、実体顕微鏡などの一般的な光学顕微鏡は2つのレンズ(対物レンズ、接眼レンズ)があり、接眼レンズに目を近づけて対象を観察する。ところがマイクロスコープは対物レンズのみで、接眼レンズに相当する部分がデジタルカメラになる。そのため「デジタルマイクロスコープ」と呼称するメーカも多く、「デジタルカメラを搭載した顕微鏡。CCDなどの映像素子でデジタル画像にできる顕微鏡。」がマイクロスコープという説明ができる。また、顕微鏡のように筒を覗かないで、観察対象を外部のディスプレイ(モニタ)に映す。そのためマイクロスコープを「モニタースコープ」と呼称することも多い。つまり、マイクロスコープとは「外部モニタに画像を表示できるデジタル顕微鏡(デジタル画像で記録できる顕微鏡)」という説明もできる。 マイクロスコープのトップメーカは国産のキーエンスで、ラインアップ(シリーズ)が多く、何世代も製品をエンハンス(改良)して新しいモデルを発売してきた。株式会社ハイロックスは、ラインアップは少ないが性能が良いといわれている。マイクロスコープはレーザー顕微鏡(コンフォーカル)や電子顕微鏡と性能(分解能)が重なる性能を持っている。そのため、半導体製造装置でも有名なレーザー顕微鏡メーカのレーザーテック株式会社や、SEMやAFMなどの電子顕微鏡をラインアップする分析機器メーカの株式会社日立ハイテクなどは、マイクロスコープの競合といえる。ユーザは用途やアプリケーション、性能・価格などで、これらのマイクロスコープや顕微鏡を選択する。前述の4社(キーエンス~日立ハイテク)はすべて国産メーカである。 英語のmicroscopeは、非常に小さい(micro)ものの観察機器(scope)で、日本語では「顕微鏡」といわれる(microscopeの和訳は顕微鏡)。一般に顕微鏡というと光学顕微鏡を指している。そのため、そうでない場合は電子顕微鏡やレーザー顕微鏡、SEM、AFMなど、特別な顕微鏡であることがわかるような名称を使う。ところが日本語のマイクロスコープはレーザー顕微鏡とほとんど機能・性能が同じなのに、○○顕微鏡ではなく、マイクロスコープ(またはモニタスコープなど)という1カテゴリーになっている。 以下の参考記事「部品をとめる ~ ねじ、ボルト ~」の執筆者は、計測器の例としてハイロックス製品のタイトルを「顕微鏡」としたが、同社から「顕微鏡ではなくマイクロスコープとするのが適切である」という指摘(助言)があった。つまり、マイクロスコープメーカは「顕微鏡ではなくマイクロスコープをつくっている」と認識していて、マイクロスコープを顕微鏡といわれることに違和感を持っている。筆者もマイクロスコープは顕微鏡とは別の1カテゴリーと思っている。ただし、名称(品名)はマイクロスコープでないモデルもあり、マイクロスコープか顕微鏡かの分類が難しいこともある。通販サイトには、タイトルを「デジタル顕微鏡 / マイクロスコープ」にして商品を掲載しているケースもある(マイクロスコープと、顕微鏡を分類するのが難しい一例である)。 microscope(英語)は顕微鏡だが、マイクロスコープ(日本語)は顕微鏡ではない。ただし、マイクロスコープはその構造や性能、用途はレーザー顕微鏡の仲間である(※)。マイクロスコープは顕微鏡とは別だが、デジタル顕微鏡と一緒にされることもある。マイクロスコープの定義はややこしい。 (※) マイクロスコープのトップメーカ、キーエンスはレーザー顕微鏡よりも分解能が高い「SEMに迫る精細観察を実現」などのキャッチコピーで製品をPRしている。 そもそも顕微鏡が、光学顕微鏡や電子顕微鏡、レーザー顕微鏡など各種の分類や名称があり、説明が一様ではない。それに輪をかけてマイクロスコープ(顕微鏡を意味する英語のmicroscopeのカタカナ表記)があり、定義がすっきりしない。ライカなどのカメラの老舗は顕微鏡をラインアップしているが、マイクロスコープはない。つまりライカの顕微鏡はデジタル顕微鏡ではない。このように顕微鏡メーカも色々あり、単純ではない。顕微鏡とマイクロスコープ、モニタスコープをすべて俯瞰して、メーカと製品群を一覧にして明らかにする(並べて解説する)ことは簡単ではない。

モニタースコープ(もにたーすこーぷ)

(monitor scope) 物体の表面を拡大して見ることができる、顕微鏡の1種で、マイクロスコープの別称。ただし、工業用内視鏡(ファイバースコープ)の中には品名がモニタースコープという製品がある。 モニタースコープは「モニタ(画像を映すディスプレイ)で見ることができるスコープ(観測機器)」、という意味なので、それに該当する製品の名称に使われている。そのためマイクロスコープや、一部の工業用内視鏡が該当している。「モニター付きマイクロスコープ」や「ファイバースコープ(モニタ付き)」、「モニター付きスコープカメラ(いわゆる、モニタ付きのファイバースコープ)」などの名称の製品がある。まさに、マイクロスコープから工業用内視鏡にまたがる広範なモデルに使われている名称が「モニタースコープ」といえる。 表記は「モニタスコープ」もある。