計測関連用語集

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サーモ(さーも)

(thermo)計測器としては、非接触温度計のサーモグラフィ(Thermography) の略称。Thermoは熱の意味なので、他の熱に関連するものの略記の場合もある。たとえば、サーモストリーム、サーモパイルなど。 サーマルは、同じ熱のことだがサーモとは少し略記の範囲が異なる。

サーモグラフィ(さーもぐらふぃ)

(Thermography) 物体表面の温度分布を非接触で測定する温度計。物体から放射される赤外線(熱)を捉えて、温度に換算し、表面温度の分布を色画像で表示する計測器。放射温度計(非接触型の温度計)に画像処理機能が付いたカメラ。従来、放射温度計は1点の温度を測定するが、サーモグラフィは面で温度測定をする。製品カテゴリは温度計の中の放射温度計(非接触型という意味)に分類される。正式には赤外線サーモグラフィ(Infrared Thermography)のこと。Thermographyは「thermo(熱)をgraphy(グラフ化、図式化、から転じて、記述法、表現法)」なので、本来は「熱を表現する」手法のことだが、装置をさすことばとして定着している。別名、「サーモトレーサ」、「サーマルカメラ」とも呼ばれる。「サーモグラフィー」の表記もある。熱画像計測機器として、工業計測用(電気設備の保守・保全用途)に使われてきたものは「サーモグラフィ」(略して「サーモ」と呼ばれる)。最近はやりの、建物の入口に設置して顔の表面温度を計測し、画像で録画し、発熱をチェックする用途で使ったり、監視カメラに体温検知機能を搭載したものは「サーマルカメラ(thermal:熱、温度)」、略して「サーマル」と呼ばれることが多い。エー・アンド・デイはラインアップに多くの計測器があるメーカだが、機種群の第一は「医療・健康」製品で、「サーマルイメージカメラ」という品名の製品があるが、外観や主な仕様はハンドヘルド型のサーモグラフィとほぼ同じである。参考用語:赤外線放射温度計、熱画像計測装置

サーモグラフィカメラ(さーもぐらふぃかめら)

非接触式の温度計の1種。原理は赤外線の放射エネルギーをセンサで受けて温度に換算する。サーモグラフィー、赤外線サーモグラフィ、サーモカメラ、熱画像計測装置、など複数の表現がある。一般に「放射温度計」というと1点の温度を測定して表示するもの、「サーモグラフィ」は温度分布を色で画像表示するもの、と区別される。メーカによっては放射温度計を広義にとらえて、サーモグラフィカメラも放射温度計に含めている場合もある。

サーモトレーサ(さーもとれーさ)

(Thermo Tracer)サーモグラフィの別名。計測器メーカによってどちらかの表現をしている。サーモグラフィの国産代表メーカである日本アビオニクスでは、両方の表現・表記がみられる。違い(区別)は不明。サーモグラフィによる温度監視、という意味でトレーサー(追跡者)の表現を使っていると思われる。「サーモトレーサ―」の表記もみかける。

サーモパイル(さーもぱいる)

(thermopile)熱エネルギーを電気エネルギーに変換する電気部品。複数の熱電対(thermocouple)を直並列に接続した構成でつくられている。日本語で「熱電堆(ねつでんたい)」と表記するが、サーモパイルはもはや日本語である。pileは「山」や「重なり」という意味。熱電対(thermocouple)を複数使って、性能を高めたというのが語源と推測される。 温度差や、温度勾配に比例した電圧を出力する。また、赤外線センサでもある。用途は、耳で体温を測定する温度計や熱流量計に使われている。サーモパイルを使った日射計もあり、熱電式と呼ばれている。 「サーモパイルアレイを使った、小型の、サーモグラフィ用モジュール(赤外線センサのモジュール)」なる製品が販売されている。これを使えば人や物を検知する監視カメラシステムや、人体などの表面体温計測(サーマルカメラ)を容易につくることが可能である。

サーモビュア(さーもびゅあ)

(Thermo Viewer) 物体表面の温度分布を非接触で測定する温度計。サーモグラフィの別名。「Thermo(温度)をView(見える状態)にer(するもの)」という意味。「温度のチノー」を標榜している株式会社チノーは温度の計測・制御で定評があり、多くの温度計測製品をラインアップしている。非接触温度計の校正ができる国内唯一のJCSS事業者でもある。 2020年に新型コロナウイルスの蔓延に際し、体表面温度監視装置を発売した。製品の通称はThermoview(サーモヴュー)という。なので、「サーモヴュー」というと「チノーのサーモグラフィ(熱画像計測装置)の通称」である。 参考用語:放射温度計、サーマルカメラ 参考記事:トレーサブルな体表面温度測定~チノーThermoview赤外線サーモグラフィカメラ

Termoview(さーもびゅー)

チノーのサーモグラフィ(熱画像計測装置)で、体表面温度測定モデルの通称。同社はサーモグラフィCPA-L4シリーズをベースにした体表面温度測定に特化した専用機種Thermoview CPA-L25TVを、新型コロナウイルスが蔓延する2020年4月に発売した。カタカナ表記は「サーモヴュー」である。「Thermo Viewer( さーもびゅあ)」だと、一般的にサーモグラフィ(2次元の温度分布を色で表示する、非接触の温度測定器)の別称である。

最小検知温度差(さいしょうけんちおんどさ)

非接触温度計のサーモグラフィー(熱画像計測器)で、検知し得る被写体の最小温度差。映像信号中に含まれる雑音電圧を、等価的に温度差に換算した数値で表す。表記の例:0.1℃ at 30℃。(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)

サウンドスコープ(さうんどすこーぷ)

異音を測定する機器。

三栄測器(さんえいそっき)

1948年に創業し、1983年まであった老舗の計測器メーカ。正式な会社名は三栄測器株式会社。「レコーダのサンエイ」として有名で、東京都小平市(天神町など)に工場があった。計測器(記録計など)とME機器(医療機器)の事業をしていた。計測器はレコーダとアンプ(絶縁アンプやひずみアンプ、シグナルコンディショナ)があり、横河電機製作所(YEW)の計測器と似たラインアップである。計測器の代表的な機種群である記録計の主要なメーカは、1970年代までは横河電機、三栄測器、渡辺測器(現グラフテック)の3社である(日置電機がメモリハイコーダの初号器8801を発表したのは1983年)。3社のレコーダには各社特長があるが、3社ともに「レコーダの老舗で、わが社の歴史がレコーダの王道(当時としてはオシロスコープと並ぶ計測器の主要機種)」という自負が伺える。三栄測器のレコーダはオムニエースの通称(形名RT1000~RT3000、RA1000など)で普及した。鉄道関係に強く、たとえばひずみアンプAS1803Rは対ノイズ性能が高く、新幹線の応力測定で採用されている。 自動車メーカが多く採用していたDEWETRON(デュートロン)社のデータロガーの販売代理店を1990年代にしている。2007年頃に販売契約は無くなり、三栄測器(当時はNECが資本参加して社名は「NEC三栄」)はDEWETRONと競合するモデルを開発している。NEC三栄でDEWETRONを販売していた部署(特販部)は独立してデユートロン・ジャパンになった(現在はデュージャパン株式会社で、DEWETRONから分離したDEWEsoftを取り扱っている)。 NEC三栄は非接触温度計(サーモグラフィ)もラインアップしていた。同じくNEC系列でサーモグラフィをつくっているNECアビオニクスに、NEC三栄の計測器部門は吸収された(同社のME機器はNECの医療部門に統合吸収されている)。後にサーモグラフィ以外の計測器(レコーダやアンプ)は株式会社エー・アンド・デイ(秤などの計量器のメーカ)に譲渡された。結果だけ見れば、NECの事業再編によって、サーモグラフィをNECグループ内に強化し、それ以外の三栄測器の創業からの計測器は売却された。レコーダやアンプはエー・アンド・デイの工業計測機器として現在もラインアップが健在で、2020年3月にはデータアクイジション装置RA3100を発売している。 三栄測器の計測器は社名変更が多いので、以下に概要を述べる。1971年11月にNECが資本参加。1983年4月にNEC三栄株式会社に社名変更。2006年6月に日本アビオニクスがNEC三栄を子会社化。2008年4月に社名をNEC Avio赤外線テクノロジー株式会社に変更(計測の老舗である三栄の名前は消滅)。2012年10月に日本アビオニクスがNEC Avio赤外線テクノロジーを吸収合併。2013年4月に三栄インスツルメンツ株式会社設立(旧三栄測器の営業マンが日本アビオニクスから独立)。2015年7月に株式会社エー・アンド・デイに計測事業(レコーダやアンプ)を譲渡。2021年4月にエー・アンド・デイは三栄インスツルメンツを吸収合併。こうして、三栄測器の計測器はエー・アンド・デイの工業計測機器として存続している。 参考用語:動ひずみ測定器、 計測器情報:レコーダ(オムニエース)の製品例、ACストレインアンプASシリーズ、チャージアンプAG3103

産業用超音波カメラ(さんぎょうようちょうおんぱかめら)

2019年5月にフルークが発売した、気体漏れ箇所を可視化するii900の品名。64個のマイクを装備し、SoundSight™ テクノロジーで漏れの大きさを紫から赤までの色で表現し、音の発生場所を直観的に認識できる。2020年には2モデル目のii910音響イメージャーを発売している。ii900と基本性能がほぼ同じものが2016年に国内の計量・計測器メーカ、JFEアドバンテックからMK-750エアリークビューアーとして発売されている。

GEセンシング(じーいーせんしんぐ)

(GE sensing)正式社名:GEセンシング・ジャパン株式会社。圧力計(マノメータや圧力キャリブレータなど)のDruck(ドラック)社と流量計のPanametrics(パナメトリックス)社がGE(米国の総合電機メーカであるゼネラル・エレクトリック)社のセンシング部門に2002年に買収され、その日本法人の名称。Druckの日本法人であるドラックジャパン株式会社とPanametricsの日本法人である日本パナメトリクス株式会社の販売員がほとんどGEセンシング・ジャパンに移籍した。2002年から2017年に存在した。2017年にGEの事業再編で、GEの資本から離れ、2つの計測器はBaker Hughes社になり、現在は日本ベーカー・ヒューズ株式会社である。DruckとPanametricsは2つとも計測器の老舗ブランドだが、GEセンシングの時代はDruckやPanametricsというブランドの使用を禁止し、GEを前面に出していた。Baker Hughesになってからは元のブランドを復活している。DruckとPanametricsは別の組織で、各人の名刺にはそのロゴが印刷されている(2022年現在)。正確には、2017年から2021年頃まではGEセンシング&インスペクション・テクノロジー株式会社で(Baker HughesとDruck/Panametricsの両方のロゴを併記していて)、2021年頃に日本ベーカー・ヒューズ株式会社に社名変更している(2017年にBaker Hughesになったが、日本での会社名は2021年頃まではGEセンシングという社名が続いた)。 GEセンシング・ジャパンの本社は東京都武蔵野市(吉祥寺)にあり、Druck部門は「プレッシャー・プロダクト(つまり圧力計)営業部」で、全国の原子力発電所(原発)を主な顧客にしていた。Panametricsは「フロー&ガス・モイスチャー営業部」といった。中央区月島にテクニカルセンターがあり、流量計や分析機器の校正を行った。Baker Hughesになってからはドラック事業本部、パナメトリクス事業本部である。 GEには工業用内視鏡(ファイバースコープ)や超音波探傷機器もあり、2002年にGEインフラストラクチャー・ジャパン株式会社となっていたが、それらすべてがBaker Hughesに引き継がれた。2017年にGEセンシング・ジャパンと統合して、GEセンシング&インスペクション・テクノロジー株式会社となり、(前述のように2021年頃に)日本ベーカー・ヒューズ株式会社になっている。非破壊検査機器(内視鏡など)は2020年頃にWaygate Technologies(ウェイゲート・テクノロジーズ)という新ブランドを創設した。Baker Hughesの製品群にはタービンもあり、機械設備の状態監視(振動測定など)を行うBently Nevada(ベントリーネバダ)も(発電所の振動計測で実績が高い)計測ツールの1つである(原発にタービンや発電機などを納品する三菱重工、日立製作所、東芝はベントリーネバダの振動計測器を設備として保有している)。Baker Hughesの非破壊検査機器は複数のプロダクト(複数社の製品群)があるためDruckやPanametricsのように既知のブランドではなく、新しいブランドが必要だったと推測される。 まとめると、Baker Hughesは複数の異なる製品群を持っていて、日本法人は日本ベーカー・ヒューズ株式会社になる。ただし3つのブランドDruck、Panametrics、Waygate Technologiesを前面に押し出していて、そのロゴを名刺に印刷し、3つのブランドの製品を掲載しているHPは全く別に3つ存在している。 Druck製品は丸文株式会社が販売店をしていているなど、Baker Hughesの計測器の直販比率は高くはない(外資はどこもそうなる)。原発では計測器としての圧力校正器や圧力計を多く使用するが、Druckと横河計測(当時は圧力計などの現場測定器は横河メータ&インスツルメンツ株式会社)が競っていた。3番手が露点計で有名なMichell Instruments社(日本にはミッシェルジャパン株式会社がある)。2011年の東日本大震災以降、多くの原発が稼働していないので、圧力計各社は別の顧客を模索している。

シース熱電対(しーすねつでんつい)

(sheath thermocouple)熱電対の素線の酸化・腐食を防ぐには外気との遮断が有効なため、一対の熱電対素線を絶縁物で覆い、さらに金属被覆で覆った熱電対のこと。金属の裸素線を碍子に通して金属管に挿入した、いわゆる一般的な熱電対は、絶縁が悪い、汚染が早い、空気的なクリアランスが大きい(空気のある隙間がある)ために熱伝導が悪い、などの欠点がある。シース熱電対は密な構造で作りこんでいるため応答性が高く、産業用途では圧倒的に使われる。産業向けの熱電対の国産メーカは山里産業株式会社と株式会社岡崎製作所が2強。sheathは鞘、覆いのこと。参考記事:【展示会レポート】IIFES(アイアイフェス)2022/1ページ目。山里産業の製品を取材。

JPt100(じぇいぴーてぃーひゃく)

RTD(測温抵抗体)の代表であるPt100で、1989年のJIS改訂前のものをJPt100と呼んで、改訂後(現在)のPt100と区別している。

紫外線(しがいせん)

(ultraviolet) 波長が10~400nm(可視光より短くX線より長く、人間の目には見えない)の電磁波(※)。可視光線の紫色の外側という意味で日本語では紫外線と呼ぶ。英語では「周波数が紫より高い(超える)」ということで、「ultra(超える)violet(紫)」からUVと略記される。 (※) X線の波長は0.01nm~1nmなので、紫外線は1nm以上(~400nm)とする文献もある。また100nm~280nmを深紫外線と呼び、短波長帯の紫外線として扱っているので、実質、紫外線は100nm~400nmを指している(この波長範囲が取り上げられることが多い)のかもしれない。 紫外線関連の測定器では、EPROMのデータ消去に使うROMイレーサがあるが、計測器メーカはつくっていない。UV計というと紫外線の計測器(メータ)なのだが、紫外線強度の測定器ではなく、紫外線を利用したCOD(Chemical Oxygen Demand、水中に含まれる有機物による汚濁)の分析器である。 紫外線は肌など、人間に損傷を与えるため、化粧品メーカが「UVケア」などの単語を使っているので、「UV=紫外線」は広く認知されている。そのため、紫外線の強さを測定する紫外線強度計が通販サイトで数多く掲載されている。UVメータやUV計というと、一般にはこちらが思い浮かぶ。紫外線測定器のタイトルで、紫外線モニタや紫外線チェッカなどの品名のハンドヘルドモデルが販売されている。 紫外線(特にUV-B)が肌に照射されると、体内物質からビタミンDが生成される。ビタミンDは食物からのカルシウム吸収を促進し、血液中のカルシウム濃度を一定に保つという重要な働きがあるが、食事からだけでは十分な量が摂取できない。そのため、適度な日光浴が必要になる。紫外線はシミの元になるが、手のひらを毎日、太陽光に数分程度当てることは、骨粗鬆症防止など、健康のために必須なことが最近、喧伝されている。 紫外線には波長別に次の分類がある。 100~280nm(UV-C、短波長紫外線)、280~315nm(UV-B、中波長紫外線)、315~400nm(UV-A、長波長紫外線)。波長の長い(周波数が低い)方から、A、B、Cと命名している。UV-CとUV-Bは地球のオゾン層に吸収され、地表に届く紫外線は約90%がUV-Aである。UV-Cは別名、深紫外線と呼ばれる。UV-Aは可視光に近いので近紫外線とも呼ばれる。 可視光で紫色と反対の赤色の外側の電磁波を紫外線と同じように赤外線と呼ぶ。IRと略記され、赤外線を使った温度計などがある。

自記圧力計(じきあつりょくけい)

都市ガス・LPガスなどの供給設備の気密試験に使用される機器。自記記録計同様に、自記とは「自動で記録する(または機器が自分で記録する)の意味である。 ガスメータのメーカ、愛知時計電機株式会社には「機械式気体用自記圧力計」があり、圧力管理のために使われる。圧力計+記録計で、設置型の計測器といえる。旭計器工業株式会社の自記圧力計は、配管などからの漏れ確認を行うために、常設で圧力を記録する。外観は樹脂製の防滴形で、円形の記録紙にサインペンで描く。 「自記圧力計の表示値を読み取り、マノメータの測定値と比較検査をする」事例がある。

自記温湿度計(じきおんしつどけい)

(thermo hygrorecorder) 温湿度計で、機器が自動で記録をするもの。温湿度の記録計の1種で、記録期間などの設定をした後は、測定器が自動でチャート(記録紙)に温湿度の変化を記録して残す。自記は「自動で記録」や「(機器が)自分で記録」の意味だが、英語ではthermo hygrorecorder(温湿度記録計)で、自記は日本語特有の言い方である(温度計:thermometer、湿度計:hygrometer、記録計:recorder)。自記記録計と呼称されることも多い。湿度は測定できず温度だけの製品は自記温度計と呼ばれている。以下のようなモデルがある。 【メーカ名、品名 形名など】 ・佐藤計量器製作所、温湿度記録計 シグマⅡ型。製品カテゴリーは「自記記録計(温湿度)」。 ・日本計量機工業株式会社、自記温度計 NWR-9901、自記温湿度計 NWR-9903。 ・いすゞ製作所、自記温湿度計 TH-27R-MN7(2022年生産中止、2023年11月現在は在庫あり)。 TH-27Rは7モデルあり、TH-27R-MN1は記録速度が12.1mm/時で記録日数は1日間、-MN365は0.80mm/日で365日。記録速度によって記録できる日数が1日、1週間、1か月、2か月、3か月、6か月、1年の7モデルが用意されている。単二乾電池2本でクオーツ円筒時計を駆動している。

自記記録計(じききろくけい)

円筒形(ロール状)の記録紙に温度(や湿度)を記録する温湿度計(記録計)のこと。別名、自記温湿度計。電気計測器を校正する標準室など、温湿度を一定範囲で管理している部屋に置かれ、何か月もの長期にわたり温湿度の変化を記録することに使われている。 原理は、温度についてはバイメタル(またはブルドン管)の変位(熱膨張)を、湿度については毛髪の伸縮を拡大して、記録計のペンを動かしてチャートに描く。白金抵抗温度計を使い、抵抗の変化を電流に変えて、電流計が温度を記録する方式もある。 「自動的に記録ができる記録計」を略した名称と思われる(「自分で記録する」ので自記、という解説もある)。一度設置して稼働させたら、チャート(記録紙)の交換以外には(原則)操作しない。自動で温度(や湿度)を記録するレコーダ(であり温湿度計)である。機種分類(カテゴリー)を温湿度計にするか、記録計にするかは判断が分かれる。メーカによっては「自記計」や「自動記録計」とも略称される。 温度全般の計測器をラインアップする佐藤計量器製作所 は、シグマⅡ型温湿度記録計などがあり、「自記記録計(温湿度)」のタイトルで4モデルを販売している(2023年11月)。いすゞ製作所は自記温湿度計の老舗だが、2022年に生産中止した(毛髪やドラム時計などの部品が入手できなくなったため)。日本計量機工業株式会社ホームページには、自記温度計・温湿度計としてNWR-9901(温度のみタイプ)、NWR-9903(温度・湿度タイプ)が掲載されている。記録日数を1~99日の間で変えることができる、食品・薬品倉庫、美術・博物館、標本庫、クリーンルーム、研究所などに販売実績がある、国家標準へのトレーサビリティ書類を発行可能、などの説明がされている。 JIS Z 8806(湿度測定方法)では、毛髪湿度計が定義されている。自記記録計(温湿度計)は、毛髪の湿度による伸縮から湿度を算出している。機構が機械的な毛髪式自記記録計は、湿度センサと、紙を使った記録計の組み合わせより安価なため、日本では標準室や美術館などで導入されている。紙で残すのは改ざんされにくいという理由もあるらしい。温度の測定と記録なら、小型のデータロガーで性能が良くて安価な製品が増えたが(たとえばおんどとり)、自記記録計はいまでも置き換わらずに多く稼動している。

シグナルコンディショナ(しぐなるこんでぃしょな)

広義にはある種の電気信号を別の種類の信号に変換する機器を指す。計測器ではセンサの微弱な信号を増幅して記録計などに入力する測定器のこと。株式会社共和電業や株式会社エー・アンド・デイのひずみ測定器の品名。ひずみ測定用の直流アンプ。センサである歪ゲージの信号を増幅して、レコーダやロガーなどの記録計に出力する測定器。共和電業HPには「ひずみ測定ではひずみゲージブリッジに加える電源の方式により、交流方式を動ひずみ測定器、直流方式をシグナルコンディショナと、当社では区別している」とある。旧三栄測器の販売会社である三栄インスツルメンツ株式会社HPでは「シグナルコンディショナー(アンプ、増幅器、指示計) :ひずみゲージやひずみゲージ式変換器(荷重、圧力、変位、加速度、トルク)の信号を増幅するためのアンプ」と説明している。エー・アンド・デイの工業計測機器(旧三栄測器、NECアビオニクスの製品群)はシグナルコンディショナとしてストレンアンプ(Strain Amp、歪増幅器)やアイソレーションアンプ(絶縁アンプ)を掲載している。ACブリッジ方式のモデルAS1000シリーズの品名は「ACストレンアンプ」で、ノイズ耐性に優れたAS1803シリーズは新幹線など鉄道車両の歪測定に活用されている。AS1803の共和電業の相当品はDPM-900シリーズだが、(前述のように)ブリッジ電源が交流のため、「シグナルコンデイショナ」ではなく「動ひずみ測定器」が品名である。エー・アンド・デイのシグナルコンデイショナには「アイソレーション直流アンプ」ALシリーズが掲載されている。これはひずみ測定用ではなく一般的な絶縁DCアンプで、以前は横河電機が同等品をつくっていた(横河電機としてはロガーなどの関連製品である)。このように、シグナルコンディショナ、ストレインアンプはひずみ~記録計(レコーダ、ロガー)と広範な用語であるが、当サイトでは動ひずみ測定の用語ととらえている。

自己温度補償ゲージ(じこおんどほしょうげーじ)

(self temperature compensated gauge)規定された温度範囲で、特定の線膨張係数を持つ測定対象材料に接着して用いる場合に、熱出力ができるだけ少なくなるように作られたひずみゲージ。株式会社東京測器研究所では1℃当たり±1.8×10-6乗ひずみ以内に納めたものを、自己温度補償ゲージと呼んでいる。(同社の「ひずみゲージの基礎知識」より)参考用語:温度補償範囲