DCS
(Distributed Control System)
日本語では「分散制御システム」。工場やプラントの生産現場に導入されている工業用コンピュータシステム(工場を制御しているシステム)。メーカによっては「ディジタル計装制御システム」と表現している。ことばが示す通り、(1台のコンピュータで集中制御するのではなく)システムを構成する各機器ごとに制御装置があり(分散制御)、それらが相互に通信して、全体を管理し合うシステム。
代表的なメーカである横河電機では「統合生産制御システム」と称している。同社ホームページによれば「横河電機は世界初の分散型制御システム(DCS)であるCENTUM(せんたむ)を1975年に発売開始した」とある。CENTUMだけでなく、同社にはコントローラ、計装システムとしてYEWMAC(ゆーまっく、YEWという略称が時代を感じさせる)、ASTMAC(あすとまっく)、STARDOM(すたーだむ)などの通称の製品群がある。
1970年代には同社以外の工業計器メーカや、三菱電機や東芝などの総合電機メーカもDCSを製品化している。国内のDCS最大手は横河電機とアズビル(旧山武)といわれている(※)。
日本電気計測器工業会のホームページでは、技術解説の一番目は(電気測定器ではなく)「プロセス計測制御」で、「分散形制御システム:DCS(ディジタル計装制御システム)」についてである。日本の高度経済成は1955年から1973年を指すが、1970年代のIA(インダストリー・オートメーション、産業の自動化)の進展に、DCSは工場のプロセス管理・制御を自動化するコンピュータシステムとして世界中で普及が進んだ。計装の世界のコンピュータである。
(※)1980年頃に筆者が学生だったとき、就職担当の先生から「工業計器の御三家というと、横河電機製作所(YEW)、株式会社山武、北辰電機製作所で、横河と山武はトップを競っている、北辰は3位かな」と聞かされた。1983年にYEWは北辰を吸収合併し「横河北辰電機」になり、現在は横河電機。2008年に山武はグループ名称をazbilグループに変更し、現在の社名は「株式会社アズビル」。
参考用語:PLC、伝送器、PROFIBUS、Modbus、HART、BRAINターミナル