オーバーオール
(overall value)
分析周波数レンジまでのパワーの総和のこと。オーバーオール値の算出は測定器の機種によって2つある。
1. 片振幅値(ピーク値)を基準としている場合(同社モデル:CF-350/360*、CF-900 シリーズ*、CF-880* 等)。
2. 実効値を基準としている場合(同社モデル:CF-5000 シリーズ*、CF-3000 シリーズ*、DS-2000 シリーズ* DS-3000シリーズ。(* : 販売終了)
上記は小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より。
詳細な解説は小野測器のHPを参照。上記の「ピーク値」は「Peak 値」と表記されている。
overallは「全体」、「全体の」の意味。overall valueは「全体の値」。これを小野測器では「オーバーオール」と呼称し、以下のような使用例がある。
例1「○○データでオーバーオール(dB値)を校正値になるようにする」 → ○○データの全体の値(パワー総和、dB)を校正値にする、という意味。
例2「マックスオーバーオール機能はオーバーオールのピークホールド機能である。オーバーオールが最大値であった時の瞬時のパワースペクトルをホールド(記憶)する。」
FFTアナライザの機能に詳しくない筆者には、この「オーバーオール」は特異な用語に感じる。「オーバーオール値」と略さない表現だと、部外者にもまだわかりやすかったと思う。FFT解析関連の専門用語である(または小野測器独自の方言※かもしれない)。
※ アンリツのワイヤードはワイヤレス(無線)の反対で有線通信のことを指している。通常は「光通信」などの表現を使い、ワイヤード(ワイヤがない、ワイヤレスでなくワイヤされている、ケーブルでつながっている、という意味)とはいわない。アンリツでは無線以外の通信をワイヤードといっているが、同社独特の方言だと筆者は認識している。
通常、オーバーオールとはoverallsで、「胸当て(チェストポケット)と肩紐(サスペンダ)が付いた、上下が繋がったワンピースのズボン」で、サロペットやつなぎとも呼ばれる洋服を指す。決して「全体の値」のことではない。
技術用語でオーバーオールに似た、混同されやすいことばにオーバーホール(overhaul)がある。機械や装置を部品単位に分解し、洗浄・点検・修理・部品交換・再組み立てを行う作業を指す。新品時の性能や精度を回復させ、寿命を延ばすための予防保全作業で、修理や保守(メンテナンス)の一環としてメニュー化されている場合もある。日本語では「分解掃除」だが、オーバーホールはすでに日本語である。洋服のオーバーオールが大変に知られたことばなので、オーバーホールと間違いやすい。
これらの考察から、「オーバーオールは全体の値(パワーの総和値)」という意味は大変ニッチな計測器用語といえる。
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