計測関連用語集

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周波数変調(しゅうはすうへんちょう)

(Frequency Modulation) 変調方式の一つで搬送波に対して、変調信号の変化に合わせて周波数(f)の大きさを変化させるのが周波数変調である。周波数変調(Frequency Modulation) の頭文字をとって "FM"と略表記される。

受信機(じゅしんき)

(receiver)信号を受信する機器のこと。部品から装置まで多様。アンテナは受信機と送信機の両方に使われる。別名:レシーバ

信号源(しんごうげん)

(signal source) 電源(power source / power supply)が電力を発生する電力発生器であるので、信号の発生器を信号源と呼称する。計測器では信号発生器や発振器などの製品名が多く使われるが、それらを総称して信号源やジェネレータと表現している。信号源やジェネレータは計測器の品名に使われることもあるが、製品の名称としては信号発生器が一番多い。RFなどの高周波の信号源の世界的なブランドであるキーサイト・テクノロジーのホームページでは、このカテゴリー(機種群)のタイトルは「信号発生器と信号源」である(2023年10月)。

信号ソース(しんごうそーす)

信号を回路に入力するための機器で、その出力をオシロスコープで観測できる。シグナル・ジェネレータとも呼ばれる。(テクトロニクス「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)より)

信号対雑音比(しんごうたいざつおんひ)

(Signal to Noise Ratio) 「通信の品質」を示す指標として、対象となる情報の信号レベルと雑音レベルとの比率を信号対雑音比といい、これを対数表示でデシベル [dB]で表す。この信号対雑音比(Signal to Noise Ratio)はSNR またはSN比、S/Nなどの略記をされることも多い。

信号発生器(しんごうはっせいき)

(signal generator) 信号波形を発生する測定器。具体的な機種群(品名、モデル)としては、標準信号発生器 (SG)やファンクションジェネレータ(FG )などたくさんある。この用語は使用者によって大変広範に使われるため、それが何を指しているかは文脈の中で理解する必要がある、たとえば、オーディオ関係で使われるRC発振器 のような「発振器 」のことを「信号発生器」に分類していることもある。主に低周波で使われるFGのことを信号発生器といったり、RFのような高周波で使われるSGのことを指していたり、さまざまである。 当サイトのカテゴリー分類では特定のアプリケーションに特化しない汎用ジェネレータであるFG、任意波形発生器(AWG)、パルス発生器(PG)などを「信号発生器(汎用)」に、SG、掃引信号発生器(スイーパ)、白色雑音発生器などの通信で使う汎用ジェネレータを「信号発生器(通信)」に分類している。 最近はやりのデジタル無線で使われるデジタル変調ができるデジタル信号発生器やI/Q変調信号発生器(I/Qジェネレータ)はカテゴリー「無線/移動体測定器」に、プログラマブルビデオ信号発生器などの映像信号発生器は「テレビ・オーディオ測定器」に分類している。これらは特定のアプリケーションに特化した専用ジェネレータである。 2004年に電波新聞社が発行した「電子計測器&システム[ガイドブック]2005」は、当時の主要な計測器を機種群別に網羅して、主な仕様や特徴などを簡単に列記している。「発振器・信号発生器(Oscillators & Signal Generators)」の章は、通信計測器の老舗、アンリツが技術解説を執筆している。発振器・信号発生器の周波数帯における分類を以下のように示している。 1.低周波発振器:可聴周波数(オーディオ周波数、20Hz~20kHz) 2.RF発振器:アナログテレビ・ラジオ放送用のMF~VHF/UHF(参考記事に周波数帯の名称あり) 3.RF信号発生器:ワイヤレス通信用のVHF/UHF 4.マイクロ波信号発生器:中継回線、衛星通信、レーダー用のマイクロ波/ ミリ波 上記は長年、信号源をつくってきた同社のこのカテゴリーの説明で、解釈の1つといえる。無線通信用の高周波ではなく、オーディオなどの低周波では発振器と表現しているのが、両者の違いの1つの説明になっている。以下にもう1つ別の計測器メーカの解釈を紹介する。 任意波形発生器(AWG)や任意波形/ファンクション・ジェネレータ(AFG)のラインアップが多いテクトロニクスのホームページで信号発生器ぺージには以下の種類が掲載されている。(2022年6月現在) 1.信号発生器:アナログおよびデジタル電子信号源の一般的な名称。 2.関数発生器:正弦波、波動、三角関数などの一般的な波形が出力できる。 3.任意関数発生器(AFG):任意のコンパイル済み波形が可能。 4.任意波形発生器:(事前設定された一般的な波形ではなく)カスタムコンパイルされた波形が必要な場合に主に使用する。 5.RF信号発生器:ワイヤレスアプリケーションに使用され、AM、FM、PMなどの通常のアナログ変調も提供。 6.(RF)ベクトル信号発生器:デジタル通信アプリケーション用のRFキャリアでのアナログ変調とベクトル変調の両方をサポート。 長年AWGやFGをつくり、近年では高周波の計測器もラインアップに増やした同社ならではの解説であるが、関数発生器という名称は筆者はあまり聞いたことがない。

シンセサイズド信号発生器(しんせさいずどしんごうはっせいき)

(synthesized signal generator) RFの信号発生器である標準信号発生器の品名の1つ。アンリツのMG36xxシリーズ(MG3633AやMG3641A、MG3642Aなど)、キーサイト・テクノロジーの83623B、8663Aなどの品名。これらのモデルは1980年代から1990年代に販売されていて(現在は販売中止)、当時はスイーパ(掃引信号発生器)も「シンセサイズドスイーパ」という品名が多かったが、現在では「シンセサイズド・・」という名称はほとんど使われていない。 AEROFLEX(エアロフレックス、旧マルコーニ、現Viavi Solutions)の無線通信向け信号発生器は、(計測用電源で有名な)菊水電子工業が国内の販売店をしているが、2030/2040シリーズの品名は「シンセイサイズド標準信号発生器」である(菊水電子工業、2006年12月発行カタログより)。つまり正確にはRFの標準信号発生器の品名として「シンセサイズド信号発生器」や「シンセサイズド標準信号発生器」という名称が、2000年台頃まで使われていた。

シンセサイズドスイーパ(しんせさいずどすいーぱ)

(synthesized sweeper) 掃引信号を発生する測定器 (掃引信号発生器、別名:スイーパ)の品名。周波数を安定的に変化させて出力できる、RF帯域の信号発生器。スペクトラムアナライザと併用して、DUTの周波数特性(f特)を測定するのに使用される。 HP(現キーサイト・テクノロジー)の83622Aや83752Aなどの83xxxシリーズ(1980年代~1990年代に販売、現在は製造中止)の品名が「シンセイサイズドスイーパ」だった。当時はアドバンテストなどの他社にもこの名称が使われていた。当時のRF用途の標準信号発生器も シンセイサイズド信号発生器という品名が一般的だった。現在ではこの「シンセイサイズド・・・」という品名はほとんど使われていない。

振幅シフト・キーイング(しんぷくしふときーいんぐ)

(Amplitude Shift Keying)デジタル変調の一種で、振幅偏移変調とも呼ばれる。デジタル変調信号により、出力周波数が2 つの振幅間で切り替わる(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説」より)。略記である「ASK」という表記が一番多く使われている。

振幅変調(しんぷくへんちょう)

(Amplitude Modulation) 一般に,搬送波の信号は下式のようにあらわせる。ここでA: 振幅,ω: 角速度(=2πf ,f: 周波数),θ: 位相 である。この搬送波に対して、変調信号の変化に合わせて振幅(A)の大きさを変化させるのが振幅変調である。振幅変調(Amplitude Modulation)の頭文字をとって "AM"と略表記される。

スイーパ(すいーぱ)

掃引(スイープ)信号を発生する測定器。掃引信号発生器の通称。

ステップアッテネータ(すてっぷあってねーた)

(step attenuator) キーサイト・テクノロジーの可変抵抗減衰器の品名など、RFの可変抵抗器にこの名称が多い。

Streamline(すとりーむらいん)

キーサイト・テクノロジーの「コンパクトUSB計測器」と称されるPCとUSB接続して使用する測定器群の通称(愛称)。2010年代後半に発売され、IQ信号任意波形発生器、オシロスコープ、ベクトル・ネットワーク・アナライザなどのラインアップがある(2021年4月現在)。特に2018年以降ネットワークアナライザの機種数が増えた。「Windows 7 または 10(64ビット)の PCとUSB3.0で接続するだけで、ベンチトップ型の計測器相当の高性能を省スペースで実現できる」ことが売りである(同社製品カタログ5992-2994JAJP 0000-08cSより) 。

スプリアス信号(すぷりあすしんごう)

(Spurious signal) 不要信号と呼ばれ、一般的には目的信号以外の信号を指す。受信機ではイメージ信号や局部発振の高調波によって受信される信号のほか,受信機内部で使用するほかの発振器の周波数やその高調波の信号もスプリアス信号である。また,送信機では目的信号以外に発射される信号をスプリアス信号と呼んでいる。

セミリジットケーブル(せみりじっとけーぶる)

(semi-rigid coaxial cable) マイクロ波などの高周波(RF)で使用される同軸ケーブルの1種。外部導体を金属管にすることにより伝送特性を改善している。外観は金属の棒のようだが、被覆などを剥がすと内部は同軸ケーブルになっている。外部導体に継目のない金属チューブを使用するなど(各メーカによって構造に違いはあるが)、通常の同軸ケーブルよりも特性が良いため、従来の導波管からの置き換えも進んでいる。絶縁体にテフロンを使用して誘電体損失(tanδ)を低減している製品もある。 通常の同軸ケーブルは取扱いがしやすいように、外部導体を編組構造にして柔軟性を持たせている。そのため周波数が高くなると遮蔽効果が弱くなり、伝送損失が増加する。導波管のように金属の菅にして空気を誘電体にすると性能は上がるが取り扱いは簡便ではない。セミリジットケーブルは導波管のメリットを取り入れた同軸ケーブルといえる。 マイクロ波などの高周波部品メーカがつくっている。スペクトラムアナライザと併用するFETプローブなどをつくっているスタック電子もラインアップしている。

線形回路網(せんけいかいろもう)

(Linear network) 入力信号の周波数成分と出力信号の周波数成分とが同じ回路網をいう。ただし、各周波数成分の振幅と位相は、回路網を構成する回路要素によって異なってくる。即ち、非直線性を示す回路要素を含まない回路網をいう。

掃引(そういん)

(sweep) 測定値を画面にグラフ表示する計測器では、波形を描画していくこと。掃引信号発生器は周波数をある範囲で下から上に一定時間で変えていく可変信号発生器で、周波数を安定的に可変することを掃引と呼んでいる。RFやマイクロ波、ミリ波では可変信号発生器をスイーパというが、波長の測定器である光スペクトラムアナライザ(光スペアナ)と併用される波長可変光源は別名 チューナブルレーザー光源といい、スイーパではない。sweepでなくtunableというのは、光源の発信波長(LDの中心波長)を調整できる、という意味である。実態は波長を下から上へ可変(掃引)して、光スペアナで波長特性を測定するので、無線通信のスイーパ(掃引信号発生器)と同じ使い方である。「それならtunableといわずに無線と同じくsweeperといってほしい」と計測器初心者の声が聞こえてくるが、機種群(カテゴリー)によって(同じことでも)異なる表現や用語を使うことが多い(まったく計測器は知っている人達だけのニッチな世界である)。 テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年発行)では「掃引:オシロスコープの電子ビームが、CRTディスプレイ上を水平方向に左から右へ移動すること」と解説されている。オシロスコープ(オシロ)も水平軸(時間軸)を掃引していて、最近のモデルは波形更新レートや波形取込レートなどの性能をPRしている。掃引時間と波形更新(取込)レートは定義が異なる。 現在のオシロはCRTを使っていないので、上記の説明はアナログオシロスコープについてである。掃引の説明として「電位を時間に対して振ることにより波形を描画していくこと。一定速度で上昇する電圧によって輝点を左から右へ移動させること。」などがあるが、これは老舗の計測器であるオシロをイメージした解説といえる。掃引の意味には「図形(グラフ)を描画する、輝点を移動する」ことも含まれるが、それは時間とは限らないし、掃引信号発生器は描画していない。 sweepの意味は「掃く」。ほうきで掃くように左から右に波形が現れたり、 周波数が下から上に変化したりすることをsweepと呼称し、日本語では「掃引」という熟語をあてた。

掃引ジェネレータ(そういんじぇねれーた)

指定された時間周期にわたって、正弦波などの信号の周波数を変化させることのできるファンクション・ジェネレータ(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)。 上記の説明は、ファンクションジェネレータの機能面を説明していると思われるが、「掃引信号発生器」ということばが一般的に良く使われている。ファンクションジェネレータ(FG。主に低周波の信号発生器を指す)ではなく標準信号発生器(SG。主にRFなどの高周波の信号発生器)の仲間であるスイーパがイメージされる。

掃引信号発生器(そういんしんごうはっせいき)

(swept signal generator、sweeper) 掃引信号を発生する測定器。低い周波数から高い周波数まで、安定的に周波数を可変して信号を出力できる。普通の信号発生器は設定した1つの周波数を精度良く安定して出力するが、周波数の出力範囲を設定して、その間の周波数を一定のスピードで可変して出力した信号を掃引信号という。スペクトラムアナライザと併用して高周波デバイスなどの周波数特性(f特)を測定する。 通称:スイーパ。メーカによっては「シンセサイズドスイーパ」や「掃引ジェネレータ」という呼び方もされている。

掃引正弦波(そういんせいげんは)

正弦波の一種で、一定時間かけて周波数が増加または減少する。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)