IP負荷試験装置
ネットワーク機器に負荷を与えて、パフォーマンスを評価する測定器。2000年頃にインターネットが普及し、IP電話(VoIP)など「IP」は流行りのことばだったが、今ではIPは普通になったので略して、負荷試験装置や負荷試験機(または負荷試験器)と呼ばれている。インターネットなどネットワークの様々な機器の性能を評価する測定器。機器にたくさんの端末からアクセス(トラフィック)が集中したときに、正常な動作(所定の性能を発揮)できるかを試験する。電話機の時代の疑似呼(ぎじこ)に似ている。ネットワーク機器に負荷をかけるというネーミング。通信方式やインタフェースなどの機能ごとにユニットがあり、メインフレームに装着する構成のモデルが多かった。
2000年代には海外のIXIA(イクシア)やSpirent Communications(スパイレント。取り扱いは東陽テクニカ)社のSmartBits(スマートビット)が活躍したが、現在はほぼ生産中止になっている。スパイレントは情報通信の基礎技術をもとにセキュリティの会社となったが、基幹通信網で蓄積した負荷試験装置の技術をほかの通信規格に応用し、ネットワークの品質を評価する測定器を販売し続けている。次世代ネットワークパフォーマンステスター「Spirent TestCenter」(トラフックジェネレータ)などの製品がある。IXIAはネットワークパケットブローカなどの通信機器にラインアップを移し、2018年にキーサイト・テクノロジーに吸収されている。
2005年に横河電機はIP負荷試験器Traffic TesterPro AE5511を発売した。この実態は、吸収した有線通信計測器の老舗、安藤電気の製品であるが、スマートビットやIXIAほどヒットした記憶はない(現在は生産中止)。富士通の関連会社がつくった測定器に、IPネットワークエミュレータという品名の製品があった。無線通信測定器の雄、アンリツにはMD1230データクオリティアナライザというイーサネットに対応したモデルがあり、IP負荷試験装置といえる。現在の同社の「IPネットワーク測定器」と称する機種群にはMT1040Aネットワークマスタ プロがあるが、IP負荷試験というよりSDH/SONETアナライザ系列のモデルといえる。
IP負荷試験という表現は少なくなったとはいえまだみかける(2020年現在)。別名、ネットワーク負荷試験機やネットワークシミュレータ、トラフィックジェネレータという表現もされている。
計測器情報:IP負荷試験装置の製品例