計測関連用語集

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詳細説明

ADSL

読み方:

えーでぃーえすえる

カテゴリー:

#伝送/交換装置用測定器 #規格

(Asymmetric Digital Subscriber Line)
既存の銅線電話加入者線を使って高速データ伝送をする技術。直訳すると「非対称デジタル加入者線」。上り(端末から局への通信)と下り(局から端末への通信)の通信速度が異なる事から非対称といわれる。ADSLは固定電話のサービスとして1999年に商用開始され2000年代前半に普及が進んだ。ソフトバンクのブロードバンド・インフラ事業のひとつであるYahoo! BB(ヤフービービー)は2002年にADSLを使った格安通信サービスを開始した。それまでの日本の通信料金は北米・韓国などに比べて高く、世界一高額といわれてきた。「日本に安価で高速なネットワークができなければIT(情報技術)ビジネスは広がらない」という信念のもと、ソフトバンクは自らがキャリア(通信事業者)となってその様なネットワークの普及に邁進した(いまでこそソフトバンクはNTT、auに次ぐ携帯電話の通信事業者だが、当時はそうではなかった)。街頭でのADSLモデムの無料配布、NTT回線初期費用無料、などの過激なキャンペーンで、ヤフーBBの加入者は激増し、基幹通信の通信料金の価格破壊の元となった。普及から20年を経た2024年にはADSLはサービスを終了し、後継は(同様に普及が進んだ)光通信(正式には光ファイバ通信)となる。ソフトバンクは2018年5月に、ADSL各種サービスを2024年3月末で終了すると発表した。NTT東日本とNTT西日本も2018年11月に「フレッツ光」の提供エリアで「フレッツ・ADSL」を2023年1月に終了予定と発表している。
ADSLに限らずIPネットワークの普及を推進した通信サービス(FTTHやCATVなど)は、2000年代前半までの(SDHに代表される)高安定高額方式(ギャランティ型)とは異なりベストエフォート型と呼ばれた。そもそもインターネットは、送信したデータが確実に相手に届く事を保証していない典型的なベストエフォート型の通信システムとして導入された。これはキャリア側がすべての加入者に一定の仕様を保証する(その見返りが応分に高額な回線使用料金となる)のではなく、「最大8Mbps」などベストでの仕様を提示し、全ユーザにこれを保証しない。そのためキャリアはギャランティ型のように高額測定器を常時設備せず、全営業地域で最大通信速度を保証する訳ではないので加入者料金が安価になる、という構造である。これは昨今の金融商品の自由化で謳われている利用者の自己責任でサービスを選択する事に類似している。2000年代前半に導入が始まったベストエフォート型のサービスは現在では当たり前で、家庭のパソコンをWi-Fiにつないでも、日々の状況など環境によって通信速度は変化して遅くなる場合がある。
有線の通信計測器も、インターネットの普及によって(以前のように)高額な専用器を通信インフラの保守会社が設備しなくなった(というかできなくなった)。無線通信でも、2021年に商用開始した楽天モバイルは、無線通信や電話の装置は高額なため導入せず、パソコンとソフトウェアでその機能を行うことで、格安な契約料金を実現しているといわれる。計測器だけでなく、高額な通信機器も導入が見送られる時代となった。2022年現在、楽天モバイルの品質は決して良くない(筆者は2021年4月から使用している)が、今後知見を積んで、品質改善や新サービス開始につながることが期待される。

参考用語:SDH/SONETアナライザ
計測器情報:ADSLが品名につく製品の例

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