計測関連用語集

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スライダック(すらいだっく)

(slidac) 単巻きトランスを応用した変圧器製品(電圧調整器)。出力電圧を変換できるため、電圧調整に使われる。外観は円筒形で、上部に回せるダイヤルがあり、右回転すると出力電圧を高くできる。たとえば、照明装置の入力電圧側につないで、舞台照明の明るさを可変する。電子機器の入力(駆動)電圧と商用電源の電圧が異なるときに、ACコンセントと電子機器の間に入れて電圧を調整することも可能。 「スライダック」は株式会社東芝の商標という説があるが、現在同社HPを検索してもその名前は無い。同社はすでにスライダックを生産中止で、中古販売サイトには「東芝 スライダック モデル〇〇」というような表記が多くある。同社と同じ形状・仕様の製品一般を指す機器の用語として定着している。電源の周辺機器(カテゴリー電源の中の1製品群)である。 電源機器の総合メーカである山菱電機株式会社の「電圧調整器」として、摺動方式のV/S/S3Pシリーズなどがあり、形状・仕様はスライダックである。同社HPではボルトスライダー(リング状鉄芯の外周一列に絶縁銅線を巻きその上端面をカーボンブラシで摺動させることにより 任意の出力電圧を取り出すことができる、山菱電機の「摺動型単巻変圧器」の登録商標 )とある。産業用電源装置の株式会社松永製作所は「摺動電圧調整器(商品名:SLIDE REGULATORS/スライドレギュレーター)」があり、ケース入り製品はここでいうスライダックとほぼ同じである。 volt-sliderは電圧(volt)を摺動(slid)式に調整するもの、slid regulatorsは摺動式の制御/調整の機器(regulator)、というネーミングと推定されるので、スライダック(slidac)は摺動(slid)式の交流(ac)電圧調整器、が語源かもしれない(あくまで推測なので正解かは不明)。

スルーレート(するーれーと)

(slew rate) 電気・電子工学の用語としては「アンプの最大応答速度を表す指標の1つ」であるが、計測用電源の用語解説としては、「電圧または電流の立ち上がり/立ち下がりの単位あたりの変化量を示す値。単位はV/μsやA/μsなどが用いられる。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)」

スルーレート可変機能(するーれーとかへんきのう)

負荷ON/OFF時の電流変化を(A/μs)で設定可能な機能。配線が長い場合や、コンデンサ、超伝導コイルなど瞬時ON/OFFするとダメージや逆起電力などで問題が発生する場合など、過渡的な電圧変動や負荷電流のオーバシュートなどの防止に効果がある。(株式会社高砂製作所の「電子負荷」用語解説より)

整流器(せいりゅうき)

交流を直流に変える装置のこと。

絶縁トランス(ぜつえんとらんす)

入力と出力が分離しており電気的に絶縁状態にある変圧器。(=アイソレーショントランス)

ゼロ電圧スイッチング(ぜろでんあつすいっちんぐ)

ソフトスイッチングの方式で高周波共振現象を利用しスイッチング素子の印加電圧が0Vになってから、スイッチ素子のON/OFFを行うスイッチング方式のこと。ZVS(Zero Voltage Switching)とも表現される。(株式会社高砂製作所の用語集より)

ゼロ電流スイッチング(ぜろでんりゅうすいっちんぐ)

ソフトスイッチングの方式で高周波共振現象を利用しスイッチング素子の電流が0Aになってから、スイッチ素子のON/OFFを行うスイッチング方式のこと。ZCS( Zero Current Switching)とも表現される。(株式会社高砂製作所の用語集より)

0V対応(ぜろぼるとたいおう)

株式会社高砂製作所の電子負荷が、燃料電池や各種蓄電池などの劣化試験や、太陽電池などの短絡試験などに活用できるようにした0V(~状態短絡まで)対応していること。同社のFK-L2Zシリーズの場合、低ノイズバイアス電源を内蔵することによりマイナス0.5Vからフル電流に対応した機種もある。(同社の「電子負荷」用語解説より)

センシング(せんしんぐ)

(sensing) 対象物の状態を探り定量化すること。英語のsence(センス)は「感覚」、「感知」の意味。音、光、温度、振動、加速度などの物理量や、化学的・生物学的特性の量を検知するものをsenser(センスするもの、センサ)と呼ぶ。センシング技術とは、センサなどの感知機器を使い様々な情報を計測・数値化する技術の総称である。センシングやセンサはIoTに欠かせない重要な要素で、東京ビックサイトで秋にセンサの展示会、SENSOR EXPO JAPAN(センサエキスポジャパン)が開催されている(併設展の測定計測展や国際計量計測展が隔年開催なのに対してセンサエキスポは毎年開催している)。SENSOR EXPO JAPAN 2023のサブタイトルは「IoT社会とつながるセンシング技術の専門展示会」。 計測器のセンシングの例を3つ紹介する。 色彩計や照度計などの「色と光の計測器」をつくるコニカミノルタには、大きくヘルスケア事業とインダストリー事業がある。ヘルスケアでは画像診断システムやパルスオキシメータなどがあり、インダストリー事業の計測機器(色と光の計測器)を「センシング分野」と呼称している。計測器の会社名を「コニカミノルタセンシング」といっていた時期もある。色彩計や照度計は同社にとって「センシング」なのである。 米国の電機事業で創業したゼネラル・エレクトリック(General Electric Company、略称:GE)は2002年に圧力計(マノメータや圧力キャリブレータなど)のDruck(ドラック)社と流量計のPanametrics(パナメトリックス)社を傘下に収め、計測器の新しい子会社をつくった。会社名はGEセンシングである(2021年以降はBaker Hughes、ベーカー・ヒューズ社)。つまり圧力計や流量計はsensingということである。 上記2つの会社は計測器の専業ではない。そのような会社にとって色や光、圧力などを計測することは「センシング」事業と呼ばれる。計測器の専業メーカが使うセンシングの例を次に示す。 リモートセンシングとは、「離れた(remote)ところのセンシング」、または「対象物に触らずに調べる」技術の総称だが、菊水電子工業や高砂製作所 という計測用電源の大手メーカは「電源の出力から電力を供給している機器までが長いケーブルでつながっていると電圧が下がるので、設定した電圧が対象機器まで印加されるように、(ケーブルの先に離れた機器の入力端子の電圧値を検知して)出力電圧を補償する機能を、リモートセンシング」と説明している。一般に計測器の用語でリモートセンシングとは「ケーブルが長くなる場合に出力電圧がケーブル長に影響されないようにする手段」のことを指していることが多い。 センシングは広範に使われる用語だが、計測器でも使われる用語である。計測の事業自体をセンシングといったり、正確に対象物に電圧を供給することだったり、その使い方は計測器として独特である。

ソース電流(そーすでんりゅう)

(source current) 電源装置が通常ACラインから電力を消費し直流に変換し、電力を負荷側に供給している状態の出力電流をソース電流という。反対に負荷側から吸い込んでいる状態だとシンク電流という。(株式会社高砂製作所の用語集より)

ソーラーアレイシミュレータ(そーらーあれいしみゅれーた)

太陽光パネル(ソーラーアレイ)の代わりになって天候変化(日照・温度・日陰・雨)による太陽電池の出力をシミュレーションできる、ソーラーアレイ模擬直流電源。計測用電源をラインアップする台湾のクロマ社の品名。2010年頃から普及が拡大したPV(太陽光発電システム)でインバータであるパワコン開発用に重宝された。形名は62100Hや62150Hがあり、600V~1000V出力の大容量直流電源である。汎用的な電源ではなく、パワコン開発向けの特殊電源である。

ソフトスイッチング(そふとすいっちんぐ)

株式会社高砂製作所の用語集には次のようにある。ソフトスイッチングは高周波共振現象を利用しスイッチング素子の印加電圧が0Vあるいは導通電流が0Aになってから、スイッチ素子のON/OFFを行うスイッチング方式。スイッチング損失、電磁干渉(EMI)ノイズの低減などで、従来のハードスイッチング方式に比べ数々の優れた特徴がある。また同社の「交流電源」用語解説にはこうも記載されている。PWM方式スイッチングの諸問題を低減する技術で、スイッチ素子のターンオン・ターンオフの時期に電圧波形と電流波形の重なりを共振動作などを用いて最適化し、スイッチ素子の導通ロスを低減するように設計されたスイッチング方式で、スイッチング損失やスイッチングノイズを低減する全く新しい方式。

ソフトスイッチング方式(そふとすいっちんぐほうしき)

スイッチング電源で、パワーデバイスのスイッチング時、共振現象を巧みに利用して電圧または電流がゼロとなった状態でスイッチングを行う電源回路方式。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

ソフトスタート(そふとすたーと)

計測用電源で、起動時に電源機器や負荷のストレスを軽減するために、出力電圧または電流を徐々に最終値へ達するように変化させる機能のこと。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

ソフトスタート機能(そふとすたーときのう)

電子負荷に装備されているON/OFFスイッチではなく、電子負荷に接続された外付けスイッチ(電源なら電源SW、バッテリーなら出力端子、コネクターなど負荷配線間に挿入したスイッチなど)に対応した電流オーバシュート防止機能。LOAD ON状態でも負荷電流量はカットオフされ、動作開始電圧以上になった時点で、設定されたスルーレートで負荷電流が立ち上がる。(株式会社高砂製作所の「電子負荷」用語解説より)

ソフトスタート/ストップ機能(そふとすたーとすとっぷきのう)

モーター等やコイルの励磁電流など、ONするときやOFFするときにスロープを持たせる機能。(株式会社高砂製作所の「交流電源」用語解説より)

立ち上がり時間(たちあがりじかん)

(rise time、leading edge time) 立ち上がり時間は電気の基礎用語で、オシロスコープや電源、信号発生器など、計測器に共通で定義されている。逆の時間を立ち下がり時間という。計測器メーカ2社の解説を紹介する。 計測用電源のメーカ、高砂製作所の総合製品カタログ(電源・電子負荷に関する用語)には「入力電源を投入、または出力をONにした後で、出力電圧が10%から90%に変化するのに要する時間」とある。テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では「パルスが低い電圧から高い電圧に移動するまでの時間で、通常、パルス振幅の10%から90%までの部分」とある。オシロスコープの立ち上がり時間とは、振幅が10%から90%に移る時間(下図のTr)を指す。 パルス用語としては、JIS C 0161(EMCに関するIEV用語)では次のように定義されている。 「パルスの瞬時値が最初に規定した下限値に到達し、その後規定された上限値に到達するまでの時間間隔。特に規定されていない場合、下限・上限値はピーク値の10%及び90%に固定とする。」 下限値と上限値は10%、90%に決まっているわけではなく、場合によっては違う値にすることもできる。たとえばオシロスコープの「 立ち上がり/立ち下がり時間トリガ」では、オシロスコープの使用者が下限値と上限値を設定してトリガをかけることができる。 方形波で、立ち上がり時間が短い信号は高い周波数の成分を多く含んでいる。逆に低い周波数帯域の信号は立ち上がり時間が長くなる。高速なデジタル通信に使われるパルス列にはシステムを十分に正常に動作させる、立ち上がり時間が短い、高速信号(高周波成分を多く含んだ信号)が使われている。 表記は「立上り」、「立ち上り」などもあり、不統一。

立ち下がり時間(たちさがりじかん)

(fall time、trailing edge time) オシロスコープの説明でこの用語を解説していることが多いが(立ち上がり時間など)、直流電源のラインアップが最も豊富な計測器メーカである菊水電子工業の製品総合カタログ(電源・電子負荷に関する用語)には、「入力電圧を遮断または出力をOFFした後、出力電圧が90%から10%に変化するのに要する時間」と説明されている。 デジタル信号を扱う場合、立ち上がりや立ち下がりのエッジを捉えて処理をすることは基本である。立ち上がりや立ち下がりの時間はデジタル回路では重要な仕様である。

単出力電源(たんしゅつりょくでんげん)

1台で出力数1chの直流電源。通常の安価な低容量電源は1出力が多い。

直流安定化電源(ちょくりゅうあんていかでんげん)

安定化電源とはAVR機能を備えた電源を指す。計測用電源は安定化電源と呼ばれる。菊水電子工業や高砂製作所などの計測器メーカの直流電源の名称は「直流安定化電源」である。計測器の機種群(カテゴリー)としては「直流電源」と表記されるので、計測用の直流電源と安定化電源は同義である。