計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
フリーワード検索をはじめ、カテゴリー、索引から簡単にお調べいただけます。

フリーワード検索

検索用語一覧

10

各用語の詳細ページでは関連用語などを確認することができます。
このアイコンが表示されている用語には、詳細ページに図解や数式での説明があります。

銘板(めいばん)

(nameplate) 銘が表記されている板のこと。従来はメーカ名を彫り込んだ金属などの板だったが、近年はプラスチックに印刷したものも多い。別名:名板、ネームプレート、プラークなど。銘とはその機器や建物の製作者や作成時期などの概要を示したもの(建物の端にある「定礎」と表示した石には日付が刻まれている)。 計測器も(原則)背面に銘板がある。銘板には製造時期と並んで製造番号(シリアルナンバー)が記載される。製造番号は重要である。計測器に限らず機器は(形名が同じでも)製造時期によって実は細かな違いがある。主な仕様(基本性能)に大きな違いがない範囲ならば、内部の部品や電子回路の変更は茶飯事である(部品が製造中止になると、代替部品を使うために、回路を変更することもあるので、メーカの勝手で変更しているわけではない)。そのため、メーカの製造部門(品質管理部門)では、製造番号によって(そのような製造上の変更などを)履歴を残して管理している。同じ形名で同じ外観の2つの機器があったら、ユーザには見分けはつかないが、内部は大きく違っていることもある(あまりに大きな変更だとメーカも形名をBモデルなどに変えることもある)。銘板とそこに記載された製造番号などは、計測器を含む多くの電気機器では重要な情報である。 日本のJISでは「機械器具類に取り付ける銘板」について「金属、プラスチック又は紙を素材とし、必要な事項を容易に消えない方法で表示したもの」と定義している(JIS Z 8304:1984)。

メインフレーム(めいんふれーむ)

(mainframe)計測器の分類の1つに、機器の動作の形態(他の機器との接続状態など)による表現がある。メインフレームは計測器の操作部、表示部などの処理部分で、測定に応じてモジュール型の計測器(測定機能のあるユニット型の計測器)を装着して機能する。メインフレームは単に外側の箱だけのこともあり、その場合は計測器として動作するための電源ユニットや表示部、処理部などがモジュール化されている。スタック式のデータロガーなどがあるが、その場合はメインフレームとよばず、基本ユニットなどの品名になる。IT分野では「大型の汎用コンピュータ」をメインフレームとよび、銀行のシステムなどに採用されているが、計測器では外枠の箱が計測器本体であることをさしてメインフレームとよんでいる。計測器の品名にも使われる。例:34980Aマルチファンクション/スイッチ計測メインフレーム(キーサイト・テクノロジー)、MS-523計測システムメインフレーム(エヌエフ回路設計ブロック)、SW1001スイッチメインフレーム(日置電機)。

メータ(めーた)

(meter)一般的に、数値を示す機器のこと。たとえば1.量や度合いをはかる器械(計測器や圧力計、はかりなど)。2.電気、ガス、水道の使用量を示す計量器(ガスメータ、スマートメータなど)。3.タクシーの運賃表示器(運賃が高くなることを「メータが上がる」といったり、運賃を取らないで走行することを「メータを倒す(ONにしない)」といったりする)。 計測器はまさに量を測定する機器なので、○○メータという名称の製品が多くある。デジタルマルチメータ、LCRメータ、高周波パワーメータ、光パワーメータなどなど、測定する物理量や機能を○○に当てはめた機種群や品名が数多くある。メータと共に基本測定器に多く使われるのがテスタである。クランプテスタ、アーステスタ、充放電バッテリテスタ、無線機テスタ、シグナリングテスタなど。計測器でメータとテスタはほぼ同義である。 針が振れて文字盤の上で止まった値(指示値)が測定値である指示計器はアナログ表示の代表である。このようなアナログ表示の機器を「メータ」と呼称することもある。 計測するだけでなく、測定値の解析や計算機能など、計測したデータを元に処理を行うモデルを、多機能であることをアピールして○○アナライザ(解析装置)と命名することは多い。インピーダンスアナライザ、パワーアナライザ、半導体パラメータアナライザ、スペクトラムアナライザ、ネットワークアナライザ、など基本測定器のカテゴリ名(機種群名称)や品名になっている。 メータやテスタは測定器であるが、観察器(観測器)のことをscope(スコープ)という。電気計測器の代表であるオシロスコープは時間波形(周波数)の観測器である。最近、8ビット以上のADコンバータを搭載した高分解能オシロスコープが登場し、DMM同等の分解能で電圧測定が可能になったので、やっとオシロスコープは計測器(メータ/テスタ)になった。 モニタースコープ、ファイバースコープなど画像観測をする計測器にはスコープと命名されたモデルが多い。そもそも顕微鏡はmicroscopeの日本語訳である。大変小さいもの(micro)を観察する機器(scope)という意味の翻訳が顕微鏡である。微小な物を、目に見えるようにする(あらわにする、顕)、レンズを通して見る道具(鏡)、とは、苦労して作った熟語(漢字)である。

MS/s(めがさんぷるぱーせっく)

サンプリング (サンプルレート)の単位。オシロスコープの仕様などで出てくることが多い(オシロスコープでは最も基本の仕様の1つで、製品の前面に形名などと共に列記されていることが多い)。1MS/sは1秒あたり100万サンプル(1秒間に100万個のデジタルデータを収集する)ことをさす。最近のオシロスコープのミドルクラスのモデルは周波数帯域が1GHz以上になり、サンプルレートはGS/s(ギガサンプルパーセック)になっている。G(ギガ)は10億。 計測器情報:オシロスコープでMS/s関連の製品例

メガソーラー(めがそーらー)

(mega solar)大規模太陽光発電。数ha(ヘクタール)の広い土地を使い1MW以上を発電する産業用の発電設備。

メカトロニクス(めかとろにくす)

(mechatronics) 機械工学(mechanical engineering)に電子工学(electronic engineering)や電気工学(electrical engineering)などの知識や技術を取り入れた、「多機能・高性能な機器」の学問分野のこと。「機械と電気が融合する技術・学問」を指し、電気自動車や医療機器など幅広い産業分野の商品(機器)に応用されている。機械のメカ(mecha)と電子のトロニクス(tronics)を合体させた造語と思われる。略して「メカトロ」とも呼ばれる。(※) 産業設備機械やロボットシステムをつくるエンジニアリング企業で、株式会社メカトロニクスという会社がある。名城大学の理工学部にはメカトロニクス工学科がある(機械工学科と電気・電子工学科を融合した学科と思われる)。最近流行りのMEMS(メムス)もメカトロニクスの一例である。機械(メカ)が電子・電気より先なのがミソ。機械分野の技術者が電気・電子を取り入れて(吸収して)いる、というイメージ。 オシロスコープやネットワークアナライザなどに使う、高密度実装回路用の治具のメーカに、メカノエレクトロニック株式会社がある。電気計測器の名称にメカトロニクスはほとんど使われないが、「電気ではなく機械式(機械的)」という意味で、「メカニカル」はネットアナの関連製品で使われている。 1976年には業界誌の月刊「メカトロニクス」(媒体名:メカトロニクス・デザイン・ニュース)、が創刊されている(発行:Gichoビジネスコニュニケーションズ株式会社)。毎年7月に開催されるTECHNO-FRONTIER(主催:一般社団法人日本能率協会)は電源やパワエレ、EMC・ノイズ対策などの10の展示会で構成されるが、その1つに「メカトロニクス技術展」がある。毎年1月開催のネプコンジャパンはアジア最大級のエレクトロニクス開発・実装展で、エレクトロニクス機器の多機能化・高性能化を支える世界最先端の電子部品・材料や製造・実装・検査装置が並ぶ。ネプコンジャパンは「メカトロニクス分野の展示会」という説明もできる。 計装(工業計器)分野で、コントローラと各種コンポーネントを接続するオープンフィールドネットワークにMECHATROLINK(メカトロリンク)がある。MECHATROLINK協会には幹事会社(日本電気、横河電機、キーエンス、テキサス・インスツルメンツなど8社)以外に約100社が加盟している。2024年1月のIIFESでは大きなブースで出展している。 (※) メカトロニクスということばは、安川電機の技術者だった森徹郎氏によって1969年につくられた「機械装置(mechanism)と電子工学(electronics)の知見を融合させる」という和製英語。現在では多くの機械装置が電子制御されているため、海外でも一般的に使われるようになった。(横河計測 スコープコーダの基礎知識(第1回)より)

MHz(めがへるつ)

(mega hertz) 周波数の単位で、1,000,000Hz(ヘルツ)に相当。M(メガ)は10の6乗の接頭辞。オシロスコープの1番目の性能である周波数帯域が、(メーカによって異なるが)50MHz~200MHzのモデルをエントリークラス、100MHz~1,000MHz(1GHz)をミドルクラスと呼んでいる(※1)。2000年頃までは企業の設計部門で使うオシロスコープとしては250MHz~350MHzがボリュームゾーンといわれた。ソニー・テクトロニク(現 株式会社テクトロニクス&フルーク)のTDS3000シリーズや横河電機(現横河計測)のDL1540やDL1640が該当。組込みシステムの普及や高速なシリアル通信の登場によって、現在は500MHz~2GHzがオシロスコープの売れ筋となっている(※2)。このようにMHzはオシロスコープで良く使われる用語である。ラジオのFM放送でFM東京のキャリア周波数は80.0MHzである。 (※1) 以下の参考記事「計測器の形名・・・第3回 オシロスコープPart2」が詳しい。 (※2) 当サイトではオシロスコープの仕様比較を行っている(以下の参考記事)。2023年2月に比較してほしい周波数帯域をアンケート調査したところ、500MHz~2GHzが47%でトップ、500MHz未満(製品としては350MHz以下)が36%で2位だった。 みんなの投票 第2弾!投票結果発表 Question09の2番目に周波数帯域の結果がある。 電気技術者が1台/人で使う、普段使いのオシロスコープ(汎用オシロスコープ)はMHz帯域だが(※3)、2000年代後半~2010年代にかけて世界的3大オシロスコープメーカ、テクトロニクス、キーサイト・テクノロジー、レクロイ(現テレダイン・レクロイ)は最高周波数モデルの開発競争を行い、各社は数十GHzモデルをリリースした(超広帯域オシロスコープの製品例が以下の参考記事「オシロスコープの動向と、最新1GHz帯域モデルの各社比較」にある)。前述のようにミドルクラスは1GHz~2GHzに移行していくので、今後は「(MHzではなく)GHzがオシロスコープで良く使われる用語」となっていく傾向である。 (※3) 大手の校正業者では、オシロスコープの周波数帯域別の割合(台数)は約70%といわれる。オシロスコープの校正器トップベンダのフルークの新製品発表会では、周波数帯域別の最近の販売実績など、興味深いデータが示されている(以下の記事が詳しい)。

メタクラ(めたくら)

受変電・配電機器の分野の用語。 metal clad(メタルクラッド、日本語だと「金属被覆」)の略。金属製の筐体に機器を収納したもの。受電設備の「キュービクル」のこと。遮断器や変圧器などが金属製の筐体に入っている配電盤があれば、それもメタクラとよばれる。キュービクルは一つの金属箱内に全ての機器を納めたものだが、メタルクラッド は各機能別に金属箱によって仕切られ、各部位が接地されているので、シールド効果があり、不具合が他の部位に及ばないように配慮している。

メトロロジー(めとろろじー)

(metrology) 日本語では「計量学」や「計測学」と翻訳されている。計測・計量の理論から実践までの体系のこと。計測器では校正の機器で使われることばである。校正器のメーカであるフルーク(Fluke Calibration)やAdditel(圧力や温度の校正器)などの資料にmetrologyがでてくる。メートル法が誕生したワールド・メトロロジー・デー(世界計量記念日)にはフルークキャリブレーションの米国本社では、記念イベントが開催される。 半導体製造装置ではmetrology(計測)として、形状観察や欠陥検査が紹介されている。画像処理分野では、「メトロロジーは従来のエッジ検出より優れた機能で・・」という解説もある。こららは「検出する」、「見つけ出す」という意味でメトロロジーといっている。

MEMS(めむす)

(Micro Electro Mechanical Systems) 小さな電気機械システム。半導体の基板上に電子回路と、センサ、アクチュエータなどの機械要素が混在するミクロンサイズのデバイス。

  • 1