計測関連用語集

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ファブリペロー共振器(ふぁぶりぺろーきょうしんき)

(Fabry-Perot resonator) ファブリペロー干渉計ともいう。反射板・透明板・半透鏡などで構成され、通信、レーザー、光学分野で使われる。電波の共振波長から誘電率などが測定できる。 シャルル・ファブリとアルフレッド・ペローから命名された。

ファラッド(ふぁらっど)

(farad) 静電容量(キャパシタンス)の単位。国際単位系(SI単位)。記号は[F]。 電子部品のコンデンサで、1Vの電位差を与えたとき1C(クーロン)の電気量(電荷)が蓄えられるとき、このコンデンサの値は1Fである(1F=1C/1V)。表現を変えると「1クーロンの電気量を充電したときに1ボルトの直流電圧を発生するような、2つの導体間の静電容量」が1ファラッド。 電磁気学や電気化学の分野で功績を残した、英国の化学・物理学者マイケル・ファラデー(Michael Faraday、1791~1867年)に由来する。表記は「ファラッド」と「ファラド」の2つが使われている。

フェライトビーズ(ふぇらいとびーず)

(ferrite bead)回路素子でいうとコイル(インダクタ)の1種。金属磁性材料(セラミック)のフェライトをビーズ(筒)状にしたものにリード線を通した電子部品。機器に信号が入力される入口(入力端子の直前)に挿入してノイズ除去に使われる。等価回路では「インダクタンスと抵抗の直列」で示される。除去したい周波数帯域によって製品(部品)を選ぶことが肝要。村田製作所などの電子部品メーカやTDKなどの磁性材関連製品メーカがつくっている。「フェライト・ビーズ」という表記もみかける。

フォーティブ(ふぉーてぃぶ)

(Fortive) 大手計測器メーカのTektronix(テクトロニクス)とFluke(フルーク、グループ会社含む)の持ち株会社。経緯を書くと、両社は別々に米国の投資会社ダナハー・コーポレーションに売却され、その傘下となった。その後、ダナハー・コーポレーションは2つに分かれ(2016年に、ダナハーの25%を占めていた工業機械関連会社がフォーテイブとして独立し、ダナハーには化学・健康機器関連の企業が残った、という説明もできる)、その一方のフォーティブ・コーポレーションの傘下に株式会社フルークと株式会社テクトロニクスは入った。発足当初の日本の社名は「株式会社TFF」で、その下に両社があった。後にフルーク社とテクトロニクス社を内包した社内カンパニー制度をとる「株式会社テクトロニクス&フルーク」となった(2021年)。それ以前は「テクトロニクス社/ケースレー社」と名乗っていた時期もある(Tektronixは2012年に、同じくダナハー傘下のKEITHLEYを吸収している)。 TFFはあくまで日本での会社名で、日本以外ではTFFなる組織は存在しない。日本以外ではテクトロニクス、フルーク、フルーク・キャリブレーション、フルーク・ネットワークスはすべて別会社だが、日本だけTFFがあり、フルーク・キャリブレーションは「TFF社の校正器営業部」、フルーク・ネットワークスは「TFF社のフルーク・ネットワークス営業部」という組織となっている。現在はTFFとは言わないが、フルークグループの各社が、日本では営業部という組織であることは変わらない。全世界にフルークの現地法人があり、フルークジャパンのトップは「株式会社テクトロニクス&フルークの特約店営業部(あのオレンジ色のハンドヘルドの機種群を日本で販売する組織の名前は“特約店営業部”である。日本では直販をほぼしないで商社経由で売っている。)」の営業部長になる。フルークジャパンの社長ではなく、特約店営業部の部長である。 海外ではM&Aが盛んで、大手計測器メーカといえども、キーサイト・テクノロジーやローデ・シュワルツ以外はほとんどが買収・合併されている。テクトロニクとフルーク以外の主要な海外通信計測器メーカはEXFO(エクスフォ)とViavi Solutions(ヴィアヴィ)に集約されている。計測器に限らず、市場原理によって企業は整理統合される。それが当たりまえだが、日本では海外ほど淘汰が進まず、中規模以下の計測器メーカが健在である。これを日本的な風土と評価するか、産業の新陳代謝が進まず水が澱んでいるとするかは意見が分かれる。メーカは技術者が一攫千金を夢見て操業する(ソニーやホンダなど)が、計測器は市場規模が大きくないため、各計測器メーカは独自路線の中小企業になりがちで、同業他社との合弁がなかなか進まない(自社で独立する気概が高い、逆に言えば創業者の名前を大事にしていて、似た技術分野の競合と合弁する気はなくて、頑固に独立を維持する傾向が伺える)。そのため、海外のキーサイト・テクノロジーのような国産の総合計測器メーカが育っていない。 1960年頃までの横河電機はその有望株だったが、その後HP(現キーサイト・テクノロジー)とYHP(横河ヒューレットパッカード)をつくり、高周波の測定器は(YHPと競合するので)つくらない方針となった。ただし、3G(携帯電話のデジタル化)など無線測定器の市場拡大の中で、RF の測定器群に参入し、2000年頃には方針転換して計測の事業を拡大し、安藤電気を吸収した。ところが時すでに遅かったのか、10年やらずにほぼすべての計測関連事業から撤退してしまった。計測器の現在の後継会社である横河計測株式会社は、国内シェアは10%に届かず、光測定器以外は通信計測器がないので、総合計測器メーカではない。 過去に存在した国内外の計測器メーカの例: Wandel&Goltermann(ワンデル・ゴルターマン)、JDSファイテル、Acterna(アクテルナ)、安藤電気、三栄測器

複素平面(ふくそへいめん)

電子回路理論では、インピーダンスを複素数(実数部と虚数部の和)で表す。実数部を横軸、虚数部を縦軸にしてインピーダンスを記載したものを複素平面と呼んでいる。複素平面の原点から、インピーダンスの値をプロットした点に線を引いたものをベクトルといい、その長さ(インピーダンスの絶対値、振幅)と、横軸(実軸)との角度(位相)によって交流信号を数式で表現できる。複素平面の横軸(実軸)は周波数によらないR(抵抗)成分で、縦軸(虚軸)はリアクタンス(コンデンサやコイルなど、静電容量やインダクタ)成分による。複素平面に実部が一定、また虚部が一定の値の軌跡を描くと円になる。円が書かれた図をスミスチャートという。周波数やリアクタンスを変化させたときにスミスチャート上でどのような軌跡(グラフ)になるかを、ネットワークアナライザは測定して表示する機能がある。

浮遊容量(ふゆうようりょう)

(stray capacitance、stray capacity)電子部品のコンデンサなどの静電容量(キャパシタ)は2つの導体間の電荷である。そのため、機器内で近接する2枚の金属があると、その間には静電容量が発生する。この静電容量は設計では意図しない成分で、浮遊容量(または寄生容量)と呼ばれる。わざわざコンデンサなどの電子部品によって回路上に静電容量をつくるわけではなく、不要なキャパシタ成分である。 電子部品のリード線や、接続ケーブルにも浮遊容量があり、交流信号を扱うときは周波数によっては、意図しない浮遊容量が影響して、測定が正しくできない場合がある。たとえばLCRメータやネットワークアナライザで、DUTまでの2本の接続ケーブルが平行して並んでいると、2本のケーブルの間にはキャパシタが発生する。これは測定の邪魔になる意図しない静電容量、つまり浮遊容量である。

ブリッジ(ぶりっじ)

(bridge) 電気工学ではブリッジ回路(bridge circuit)と呼ばれるもので、電気抵抗を測定する手法の1つ。四角形の各辺が回路素子(抵抗など)で構成され、対角線の1組の端子を入力に(電池などの直流電源をつなぐ)、他の1組を出力に(検流計などをつなぐ)している。可変抵抗器や検流計を併用して平衡状態を作り、未知の抵抗の測定を行う。ダブルブリッジ、ケルビンブリッジ、抵抗ブリッジ、ホイートストンブリッジなどがある。 ひずみゲージを使ったひずみ測定にも利用されている。対角線の一対の端子を入力と出力にする回路をブリッジと呼ぶならば、全波整流回路は四辺にダイオードがあるブリッジである。 回路図が橋(ブリッジ)の橋げたのように見えることが語源らしい。 計測器情報:ブリッジが品名に付く製品例

ブリッジ法(ぶりっじほう)

交流インピーダンス測定の手法の1つで、もっとも基本的で、古くから使われた。精密に直流抵抗を測定することに使われていたブリッジを交流に応用したもの。直流では浮遊容量や配線インダクタンスの影響はあまり考慮する必要はなかったが、交流ではこれらの影響が測定誤差となるため各種方式の交流ブリッジが考案された。

プレシジョンLCRメータ(ぷれしじょんえるしーあーるめーた)

(precision LCR Meter)キーサイト・テクノロジーの高性能LCRメータの品名。precisionの直訳は「精度、精密、分明」なので、「精密LCRメータ」とでもいうネーミング。4284A、E4980Aなどのモデルがある。2015年1月に高性能モデル4980Aの低価格版E4980ALを発表したり、従来のベンチトップからハンドヘルドにラインアップを広げたり、同社は業界標準の高性能機種から下位モデルに注力している。 日置電機は電子部品メーカの生産ライン用のLCRメータでシェアを高め、MHz帯域の上位モデルのLCRメータにラインアップを広げ、今では日本市場でキーサイト・テクノロジーと2分するLCRメータとなった。デジタルパワーメータも以前はクランプ式の安価なモデルは日置電機、標準器にもなる高精度モデルは横河電機(現横河計測)だったが、2社の棲み分けがなくなり、両社とも競合するモデルをつくるようになっている。日置電機の「市場ポテンシャルの大きい下位モデルから参入し上位モデルに広げる」製品戦略が伺える。 参考記事:LCRメータの基礎と概要 (第2回)の3ページ目・・各社のLCRメータ一覧を掲載。 計測器情報:キーサイト・テクノロジーのLCRメータの製品例

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