計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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VIG(ぶいあいじー)

Voltage Current Generatorの略。電圧電流発生器(電圧・電流源)のこと。アドバンテスト(現エーディーシー)のモデル5245/6246の製品カタログにSMUの機能の図解があり、「VIGとDVM(5 1/2桁)とエレクトロメータ」で構成されている。VIGやDVM(Digital Volt Meter)はタケダ理研工業(アドバンテストの旧社名)特有の表現である。通常、電圧電流発生器は英文字で略記されることはなく、VIGは同社以外では使われていない。同社も前述の製品カタログ以降にVIGという表記は見かけないが、2020年現在も同社のSMUの設計担当部署名は「開発部 VIG計測」である。

VSIM(ぶいえすあいえむ)

SMUの機能の1つ。電圧を印加して電流を測定する。

フォークカレントテスタ(ふぉーくかれんとてすた)

共立電気計器のモデル2300Rの品名。KEW FORK(キューフォーク)の愛称で呼んでいる。同メーカの用語集「電圧検知機能」には以下の解説がされている。ケーブル、コンセント等に電圧が印加されていると、その電圧に応じた電界が発生する。2300Rはその電界を感知することによりAC電圧の存在を確認できる。正しくは電界感知形測定器だが、耳慣れない言葉なので非接触電圧感知機能と呼ぶことにした。一般の検電器は有極電圧(接点および端子)に接触させて電圧を感知する。これに対し非接触でこの機能を満足させられる(安全に使用できる)ように本製品は開発された。

フォーティブ(ふぉーてぃぶ)

(Fortive) 大手計測器メーカのTektronix(テクトロニクス)とFluke(フルーク、グループ会社含む)の持ち株会社。経緯を書くと、両社は別々に米国の投資会社ダナハー・コーポレーションに売却され、その傘下となった。その後、ダナハー・コーポレーションは2つに分かれ(2016年に、ダナハーの25%を占めていた工業機械関連会社がフォーテイブとして独立し、ダナハーには化学・健康機器関連の企業が残った、という説明もできる)、その一方のフォーティブ・コーポレーションの傘下に株式会社フルークと株式会社テクトロニクスは入った。発足当初の日本の社名は「株式会社TFF」で、その下に両社があった。後にフルーク社とテクトロニクス社を内包した社内カンパニー制度をとる「株式会社テクトロニクス&フルーク」となった(2021年)。それ以前は「テクトロニクス社/ケースレー社」と名乗っていた時期もある(Tektronixは2012年に、同じくダナハー傘下のKEITHLEYを吸収している)。 TFFはあくまで日本での会社名で、日本以外ではTFFなる組織は存在しない。日本以外ではテクトロニクス、フルーク、フルーク・キャリブレーション、フルーク・ネットワークスはすべて別会社だが、日本だけTFFがあり、フルーク・キャリブレーションは「TFF社の校正器営業部」、フルーク・ネットワークスは「TFF社のフルーク・ネットワークス営業部」という組織となっている。現在はTFFとは言わないが、フルークグループの各社が、日本では営業部という組織であることは変わらない。全世界にフルークの現地法人があり、フルークジャパンのトップは「株式会社テクトロニクス&フルークの特約店営業部(あのオレンジ色のハンドヘルドの機種群を日本で販売する組織の名前は“特約店営業部”である。日本では直販をほぼしないで商社経由で売っている。)」の営業部長になる。フルークジャパンの社長ではなく、特約店営業部の部長である。 海外ではM&Aが盛んで、大手計測器メーカといえども、キーサイト・テクノロジーやローデ・シュワルツ以外はほとんどが買収・合併されている。テクトロニクとフルーク以外の主要な海外通信計測器メーカはEXFO(エクスフォ)とViavi Solutions(ヴィアヴィ)に集約されている。計測器に限らず、市場原理によって企業は整理統合される。それが当たりまえだが、日本では海外ほど淘汰が進まず、中規模以下の計測器メーカが健在である。これを日本的な風土と評価するか、産業の新陳代謝が進まず水が澱んでいるとするかは意見が分かれる。メーカは技術者が一攫千金を夢見て操業する(ソニーやホンダなど)が、計測器は市場規模が大きくないため、各計測器メーカは独自路線の中小企業になりがちで、同業他社との合弁がなかなか進まない(自社で独立する気概が高い、逆に言えば創業者の名前を大事にしていて、似た技術分野の競合と合弁する気はなくて、頑固に独立を維持する傾向が伺える)。そのため、海外のキーサイト・テクノロジーのような国産の総合計測器メーカが育っていない。 1960年頃までの横河電機はその有望株だったが、その後HP(現キーサイト・テクノロジー)とYHP(横河ヒューレットパッカード)をつくり、高周波の測定器は(YHPと競合するので)つくらない方針となった。ただし、3G(携帯電話のデジタル化)など無線測定器の市場拡大の中で、RF の測定器群に参入し、2000年頃には方針転換して計測の事業を拡大し、安藤電気を吸収した。ところが時すでに遅かったのか、10年やらずにほぼすべての計測関連事業から撤退してしまった。計測器の現在の後継会社である横河計測株式会社は、国内シェアは10%に届かず、光測定器以外は通信計測器がないので、総合計測器メーカではない。 過去に存在した国内外の計測器メーカの例: Wandel&Goltermann(ワンデル・ゴルターマン)、JDSファイテル、Acterna(アクテルナ)、安藤電気、三栄測器

浮遊容量(ふゆうようりょう)

(stray capacitance、stray capacity)電子部品のコンデンサなどの静電容量(キャパシタ)は2つの導体間の電荷である。そのため、機器内で近接する2枚の金属があると、その間には静電容量が発生する。この静電容量は設計では意図しない成分で、浮遊容量(または寄生容量)と呼ばれる。わざわざコンデンサなどの電子部品によって回路上に静電容量をつくるわけではなく、不要なキャパシタ成分である。 電子部品のリード線や、接続ケーブルにも浮遊容量があり、交流信号を扱うときは周波数によっては、意図しない浮遊容量が影響して、測定が正しくできない場合がある。たとえばLCRメータやネットワークアナライザで、DUTまでの2本の接続ケーブルが平行して並んでいると、2本のケーブルの間にはキャパシタが発生する。これは測定の邪魔になる意図しない静電容量、つまり浮遊容量である。

ブリッジ(ぶりっじ)

(bridge) 電気工学ではブリッジ回路(bridge circuit)と呼ばれるもので、電気抵抗を測定する手法の1つ。四角形の各辺が回路素子(抵抗など)で構成され、対角線の1組の端子を入力に(電池などの直流電源をつなぐ)、他の1組を出力に(検流計などをつなぐ)している。可変抵抗器や検流計を併用して平衡状態を作り、未知の抵抗の測定を行う。ダブルブリッジ、ケルビンブリッジ、抵抗ブリッジ、ホイートストンブリッジなどがある。 ひずみゲージを使ったひずみ測定にも利用されている。対角線の一対の端子を入力と出力にする回路をブリッジと呼ぶならば、全波整流回路は四辺にダイオードがあるブリッジである。 回路図が橋(ブリッジ)の橋げたのように見えることが語源らしい。 計測器情報:ブリッジが品名に付く製品例

フルーク・キャリブレーション(ふるーくきゃりぶれーしょん)

(Fluke Calibration) 世界的な大手計測器メーカFluke(フルーク)の校正用計測器、標準器部門。日本では、現場測定器のハンドヘルドDMMなど、黄色の製品群で有名なフルークと、DMなどの広告・宣伝活動を一体で行っている。元々Flukeはデジタルマルチメータから校正用標準器までラインアップしていたが、校正関連の機器を分社化してFluke Calibrationをつくった。日本以外ではFlukeとFluke Calibrationは別会社だが、日本では同じ会社の別組織になっている。2社の米国本社ホームページを日本語に翻訳しているため、フルーク(fluke.com)とフルーク・キャリブレーション(flukecal.com)の2つの日本語サイトがある。Fluke Calibrationは世界的な校正機器ブランドで、「電気、RF、温度、圧力、流量、ソフトウェアの6つの分野の校正器を1つのブランドのもとに統合している(https://jp.flukecal.com/about/fluke-calibration-brandsより)」。 Flukeは以下の会社を吸収して校正機器の範囲を拡大した。 Hart Scientific(温度)、DH Instruments(圧力、流量)、Pressurements(圧力)、Ruska(圧力)。 これらの会社の製品はFlukeブランドになったが、圧力の日本での販売は株式会社大手技研が以前から行っていて、現在も総代理店をしている(つまり日本のフルーク・キャリブレーションは電気、RF、温度を担当し、圧力と流量は大手技研が取り扱う)。大手技研は圧力機器のScanivalve(スキャニーバルブ)社の販売店として有名な輸入商社だが、つくばの校正センターで受託校正を行う技術商社である。 Hart Scientific(ハート・サイエンティフィック)は温度の校正機器で有名だったが、会社名はFluke Calibrationに統一されて、聞かなくなった。DH InstrumentsはDHIと略記されるなど、まだブランド名として使われている。Ruska(ラスカ)は高精度なマノメータとしても使われ、いまでもブランドとして残っている(会社名とブランドの関係はDruckに似ている)。 フルーク製品は機種群によって、黄色い堅牢な筐体の現場測定器はFluke、校正関連機器はFluke Calibration、有線通信関連測定器はFluke Networks、産業向け温度測定機器(Raytek、Ircon、Datapaqブランド)はFluke Process Instrumentsなどの事業体がある。Flukeは1998年に米国ダナハー(現フォーティブ)の傘下になり、同じく傘下のテクトロニクスと連携が進んでいる。日本では2011年に株式会社テクトロニクス&フルーク フルーク社(会社名テクトロニクス&フルークの社内カンパニー)になった。フルーク社には、現場測定器のFluke(フルーク社 特約店営業部)と校正機器のFluke Calibration(フルーク社 校正器営業部)とネットワーク関連ツールのFluke Networks(フルーク社 フルーク・ネットワークス営業部)の3部門が所属している。

プローブ(ぷろーぶ)

(probe) 広義には「測定対象物(DUT)に接触させて、測定器本体につなぐ信号のセンサ部分(治具)」のこと。電圧や電流を測定するものの総称なので、レコーダの入力部につなぐケーブル類を指す場合もある(※)が、一般にはオシロスコープ(オシロ)と測定対象を接続するためのアクセサリ。 オシロのプローブは種類が多い。大別すると電圧プローブと電流プローブがあり、電圧プローブには受動プローブ(パッシブプローブ)と能動プローブ(アクティブプローブ)がある(詳細は以下の解説記事に詳しい)。受動プローブは通常のオシロ(通称:汎用オシロスコープ)に標準添付されている。能動プローブは広帯域オシロスコープ(通称:高速オシロスコープ)に使われることが多い。 テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では次の説明がある。「プローブ:オシロスコープの入力デバイスで、通常、回路素子を持った、電気的接続を行うための先の尖った金属製のツール、回路グランドに接続するためのリード、信号とグランド基準をオシロスコープに送るためのケーブルで構成される。」 プローブはR(抵抗)とC(コンデンサ、静電容量)で構成され、入力インピーダンスが規定されている。2000年代に広帯域オシロスコープが登場して以降、周波数帯域が広くなった(高周波に対応した)高額な能動プローブが増えた。 プローブとよく似たことばに「プローバ(prober)」がある。直訳したら「プローブするもの」だが、プローバとは半導体デバイスの検査装置の1種の呼称である(メーカによっては品名はプロービングマシン)。 (※)クランプ電力計などのクランプ部分(クランプセンサ)をクランププローブと呼称することがある。オシロの電流プローブと電力計でつかうクランプセンサはほぼ同じものである。オシロメーカのテクトロニクスは当然、電流プローブをラインアップしているが、クランプ電流計など多くのクランプ製品をラインアップする日置電機のクランププローブをオシロにつないで電流測定することは珍しくない。 高周波の回路網(デバイスなど)の特性評価をするネットワークアナライザの測定治具で、微細なDUTに接触する箇所をプローブと呼称している場合がある。光導波路の特性評価のために、導波路の入出力と光ファイバのコアの光軸を合わせる(調芯)装置をプローブと呼んでいる例があった。このように計測器ではプローブは広範な製品に使われる名称である。

プロセスキャリブレータ(ぷろせすきゃりぶれーた)

(prosess calibrator) 計装機器の校正に使う計測器。電圧、電流、圧力などの点検、調整などを行うため、直流電圧電流発生器&マルチメータの機能があるモデルや、圧力発生器&マノメータのモデルなどがある。工場などの現場で使うためハンドヘルドのモデルが多い。 計測と制御の会社である横河電機はプロセスキャリブレータの老舗である(国内唯一ともいえる)。現在は横河計測が、現場測定器と称して、形名CAで多くをラインアップしている(CA150、CA500など)。同様の製品を海外のFluke(フルーク)やDruck(ドラック)がつくっているが、プロセスキャリブレータという名称はほとんどしていない。ビカ(WIKA Alexander Wiegand SE&Co.KG)にはポータブルプロセスキャリブレータCPH7000があり、圧力発生やDC24V/24mAの発生/測定ができる。DC24Vや24mAはまさに計装で使われる通信規格である。

分流器(ぶんりゅうき)

電流計の測定範囲を増すために、電流計と並列に接続される抵抗器。

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