プローブ
(probe)
広義には「測定対象物(DUT)に接触させて、測定器本体につなぐ信号のセンサ部分(治具)」のこと。電圧や電流を測定するものの総称なので、レコーダの入力部につなぐケーブル類を指す場合もある(※)が、一般にはオシロスコープ(オシロ)と測定対象を接続するためのアクセサリ。
オシロのプローブは種類が多い。大別すると電圧プローブと電流プローブがあり、電圧プローブには受動プローブ(パッシブプローブ)と能動プローブ(アクティブプローブ)がある(詳細は以下の解説記事に詳しい)。受動プローブは通常のオシロ(通称:汎用オシロスコープ)に標準添付されている。能動プローブは広帯域オシロスコープ(通称:高速オシロスコープ)に使われることが多い。
テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では次の説明がある。「プローブ:オシロスコープの入力デバイスで、通常、回路素子を持った、電気的接続を行うための先の尖った金属製のツール、回路グランドに接続するためのリード、信号とグランド基準をオシロスコープに送るためのケーブルで構成される。」
プローブはR(抵抗)とC(コンデンサ、静電容量)で構成され、入力インピーダンスが規定されている。2000年代に広帯域オシロスコープが登場して以降、周波数帯域が広くなった(高周波に対応した)高額な能動プローブが増えた。
プローブとよく似たことばに「プローバ(prober)」がある。直訳したら「プローブするもの」だが、プローバとは半導体デバイスの検査装置の1種の呼称である(メーカによっては品名はプロービングマシン)。
(※)クランプ電力計などのクランプ部分(クランプセンサ)をクランププローブと呼称することがある。オシロの電流プローブと電力計でつかうクランプセンサはほぼ同じものである。オシロメーカのテクトロニクスは当然、電流プローブをラインアップしているが、クランプ電流計など多くのクランプ製品をラインアップする日置電機のクランププローブをオシロにつないで電流測定することは珍しくない。
高周波の回路網(デバイスなど)の特性評価をするネットワークアナライザの測定治具で、微細なDUTに接触する箇所をプローブと呼称している場合がある。光導波路の特性評価のために、導波路の入出力と光ファイバのコアの光軸を合わせる(調芯)装置をプローブと呼んでいる例があった。このように計測器ではプローブは広範な製品に使われる名称である。