2024/08/13
オシロスコープのプローブは多くの種類があり、用途によって使い分けられています。本稿はプローブの役割の説明から始まり、主要な電圧・電流プローブの原理、構造、仕様、用途などを述べ、代表的なモデルを紹介します。パッシブプローブ(標準、高電圧)、アクティブプローブ(シングルエンド、差動)、電流プローブ(カレントトランス、AC/DC電流プローブ)、ロゴスキーコイル電流プローブ、ロジックプローブを説明します。用語解説や関連する技術解説記事、代表モデルの詳しい仕様も案内します。最後に、主要なオシロスコープメーカのプローブのモデル数を種類別に一覧表にしました。パワーエレクトロニクスや高速シリアル通信など、時代の要請に応える波形測定には各種のプローブが使用されます。メーカによって名称・品名が異なる電圧・電流プローブを整理して概説したので、プローブの基礎・入門となっています。基本的な使い方にも触れました。
2024/02/22
オシロスコープはトリガを使って電子回路の挙動を測定する「波形の観測器」から、「信号の良否判定」、「デバッグによる不具合解決」、「通信規格のデコード表示によるバス解析」と、用途が拡大した。用途に合わせてトリガ機能も改良・強化した。本稿ではミドルクラスの代表的なモデルのトリガ機能を調べ、基本的な順番に整理して図表で概説し、用途や用語解説を添えた。各メーカによって名称が異なるトリガの種類を一覧表にしたので、具体的なトリガ機能の入門書となった。エッジトリガ、パルス幅(Pulse Width)トリガ、ラント(Runt)トリガ、ロジック(Pattern)トリガなどから、最近のシーケンストリガ(遅延トリガ、Bトリガ)、ウィンドウ(Window)トリガ、ゾーントリガ、シリアルトリガまでマニュアル掲載順に従い、基本的なトリガ機能から順番に解説した。
2023/07/14
計測器は商品なので、形名 (かためい) 、品名などの名称があります。本稿は「計測器の形名」について考察する連載コラムです。前回はTDS3000シリーズ以降にオシロスコープの形名に基本仕様を示す数字が使われるようになったことを述べました。2000年代以降は形名の頭に、オシロスコープの機能を示す英字3文字が使われるようになります。DSO (Digital Storage Oscilloscope) 、DPO (Digital Phosphor Oscilloscope) 、DSA (Digital Signal/Serial Analyzer) 、MSO (Mixed Signal Oscilloscope) 、MDO (Mixed Domain Oscilloscope) などの文字列です。マイクロプロセッサの普及やデジタル通信の高速化を背景に、デジタルオシロスコープがロジックアナライザやスペクトラムアナライザなどの機能を吸収して、これらの形名は出現します。どんな由来がオシロスコープの形名 (シリーズ名) にあるのか、今回もアナログオシロスコープ時代から話します。
2023/07/07
計測器は商品なので、形名(かためい)、品名などの名称があります。本稿は「計測器の形名」について考察する連載コラムです。前回は形名の定義から始まり、2つの種類を具体例で示しました。今回はオシロスコープの形名の変遷をアナログオシロスコープ時代から話します。現在のオシロスコープは、ほとんどの計測器メーカが全世界共通の命名法則に従う珍しい形名で、2000年代からそうなりました。高速A/D変換器が進歩してオシロスコープに搭載された1990年代は、各社の形名に統一感はありません。画像処理DSPの採用によってデジタルオシロスコープの波形表示がアナログオシロスコープと遜色がなくなったTDS3000以降に発売されたモデルから、次第に各社の形名に共通の法則が広がりました。デジタルオシロスコープの歴史が形名に表れています。
2023/06/06
直流安定化電源はエレキの設計技術者にとって必須の測定器である。電気機器は様々な電圧/電流で駆動されるため、小規模な電子回路の実験に使う出力容量が小さいモデルから、パワーエレクトロニクス機器の評価に使うkWクラスの中型・大型モデル、EVの試験に使う100kW以上の超大型モデル (双方向回生電源など) まで、多くの電圧/電流レンジの機種群が発売されている。直流電源は従来のドロッパ (シリーズレギュレータ) 方式と1970年代以降に普及したスイッチング方式が用途によって使い分けられる。スイッチング電源は当初は単一レンジだったが、2000年頃にワイドレンジ (メーカによってオートレンジ、ズーム電源) が登場した。現在はワイドレンジが主流になったため、主要4社のベンチトップの中型モデルの比較表をつくった。