計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
フリーワード検索をはじめ、カテゴリー、索引から簡単にお調べいただけます。

フリーワード検索

検索用語一覧

10

各用語の詳細ページでは関連用語などを確認することができます。
このアイコンが表示されている用語には、詳細ページに図解や数式での説明があります。

パイプライン(ぱいぷらいん)

(pipe line)CPU命令実行サイクルは命令読み出し(フェッチ)~結果の格納まで4段階あるが、パイプライン処理は最初の命令が終わる前に、次の命令を並行して処理すること。キャッシュメモリやDMAと並び、CPUの動作を高速化する手法の1つ。参考記事:「車載マイクロコンピュータの基礎~車載システムを支える頭脳」マイクロコンピュータの高速化技術の章に、パイプライン処理についての図解がある。

発光ダイオード(はっこうだいおーど)

(Light Emitting Diode)LEDの日本語名だが、すでにLEDが日本語となっている。ダイオードの1種で、順方向に電圧を加えると発光する半導体(電子部品)。原理はエレクトロルミネセンス(EL)効果を利用している。最近はやりのディスプレイである有機ELやOLEDは、分類上は実はLEDである。

パワー半導体(ぱわーはんどうたい)

(power semiconductor) 電力関係の半導体の総称。電気信号を扱う通常の半導体ではなく、高電圧・大電流を扱う。電圧や周波数の変換や、電力増幅などに使われる。IGBTやパワーMOSFETなど。最近はSiCやGaNなど、Si(シリコン)ではない元素を使う効率が高いパワー半導体が出始めている。日本の半導体メーカは1980年代に世界一だったが現在は台湾や韓国に追い抜かれ見る影はない。ただしパワー半導体では日本のデバイスメーカ(三菱電機、富士電機)は世界に伍している。東芝やルネサス・エレクトロニクス、ロームも作っている。

半導体(はんどうたい)

(semiconductor)電気を通す素材(材料、物質、元素など)を導体、通さないものを絶縁体という。ある条件のもとでは導体になる電子部品を半導体という。代表的なものがトランジスタで、端子が3つあり、たとえば1つの端子に加える電圧によって、他の2つの端子間に電流が流れる(導体になる)。 半導体は現在の社会生活を支える重要なインフラに使われている。1980年代に日本の半導体は世界シェア50%を占め、日米貿易摩擦などが起こった。その後に日本の半導体デバイスメーカは衰退し、現在はエルピーダメモリ株式会社くらいしか残っていない。現在は中華系(台湾など)や韓国の半導体デバイスのメーカが世界シェアを握っている。1922年に米国のバイデン大統領は、自国で半導体サプライチェーンを構築する方針を打ち出している(中国を念頭に、半導体が軍事力を左右することが認識されている)。 日本もTSMCの工場を熊本に誘致した。2022年11月、トヨタ自動車、ソニーグループ、NTTなど日本の大手企業8社は、先端半導体の国産化に向けた会社、Rapidus(ラピダス)を共同で設立すると発表した。半導体の回路幅が2ナノメートル以下の製品量産化を2027年に目指す方針だが、前途は多難である。韓国のサムスンや台湾のTSMCが2ナノメートルの製品実用化を2025年目標にしているのに対して、それより細い(さらに先端的な)製品の生産を2027年には道筋を付けたいとしている。中国の台頭や、ロシアのウクライナ侵攻(2022年2月)で半導体の世界的な供給網が寸断され、スマホや電気自動車、ロボット、AIなどに必須な先端半導体の国産化が欠かせないという機運が官民で高まった。経済産業省も700億円の補助を計画している。

半導体ウェーハ(はんどうたいうぇーは)

(wafer)半導体材料であるシリコンウェーハのこと。形状は丸い円盤で、たくさんの半導体チップが円盤状に形成されていて、切断してパッケージに挿入されて1つの半導体製品となる。そのためより大きいサイズのウェーハを作ると製品を安価にできる。ただし大型のサイズを作るには莫大な設備投資が必要になる。大きなサイズを作る開発競争が先端メーカ各社で行わわれている。日本のデバイスメーカはその競争に追従できずに1990年以降に撤退していった。 半導体デバイスでは世界シェアで日本メーカはほぼ撤退だが、半導体ウェーハの世界シェアは日本企業2社で約50%(信越化学工業31%、SUMCO24%)といわれるので、日本企業が材料に強いことを象徴している。No.3以降は台湾や韓国企業で、日本と台湾の大手企業でほぼ寡占状態である。生産設備(シリコン結晶の引き上げ装置など)を各社は自社開発するなど、各社が研鑽している。 ウェーハのサイズは大きいほど一枚から多くのデバイスを切り出せるので効率が良い。12インチ(約30cm)をつくれる工場を台湾のファウンドリTSMCが米国につくる計画が2020年に発表されているが、台湾のTSMCではもっとサイズが大きいウェーハが製造できるので、米国工場は最先端ではない。 表記はウェハー、ウェハ、ウエハ、ウエーハ、ウエハーなどあるが、ウェーハが一番多いと思われる。英語を知っている人は「ウェーハ(ー)」と発音すると思うが、耳で聞こえるのは「ウエハ」または「ウエハー」という発音で(ェではなくエで)ある。何げなく「ウエハ」と表記したり、発音していたが、この用語の解説を書くのであらためて調べたら表記が「ウェーハ」であることに筆者は少し驚いた。水の英語(water)の発音はウォラだが、日本人はウオーターになるのと似ている。外国語の発音をカタカナ表記するのは難しい。 参考用語:半導体製造装置、半導体テスタ

半導体検査装置(はんどうたいけんさそうち)

半導体テスタ(約40%)、ウェーハ表面検査装置(約20%)、マスク検査装置(約20%)などの半導体デバイスの製造工程で使われる検査・試験装置のこと(かっこ内は2020年度の売上シェア推定)。半導体テスタは計測器の1種としてJEMIMA(日本電気計測器工業会)の資料ではカテゴリーの1つに分類され、生産額統計などのデータが開示されている。 ウェーハ表面検査装置のメーカ国籍別シェアはは米国、EU、日本の順番で米国が8割を占めているが、SEM(走査顕微鏡)で比較すると日本(60%)、米国(35%)と、日本が寡占である。(半導体デバイスではなく)材料や、生産設備である(検査装置を含む)製造装置の分野では日本にはトップシェアの企業が多くある。2021年に米国のバイデン大統領が中国を入れない半導体サプライチェーン構築を発表したが、日本に大きな期待をする所以である。 半導体テスタの世界トップシェアはケーエルエー・テンコール(略記:KLA)といわれる(日本にも技術者のいる拠点がある)。国産のアドバンテストはメモリテスタを中心に世界トップの半導体テスタメーカである。海外ではBRUKEA(ブルカー)、日本では日立ハイテクや浜松ホトニクスなどが半導体検査装置をつくっている。

半導体製造装置(はんどうたいせいぞうそうち)

「半導体装置」とも略記される、半導体の生産設備のこと。半導体の生産にはいくつもの行程があり(前工程、後工程)、高シェアの日本の装置メーカが何社もある。大手5社としては、東京エレクトロン(エッチング、成膜など)、アドバンテスト(半導体テスタ)、ディスコ(精密加工)、SCREENホールディングス(旧大日本スクリーン製造株式会社、ウエーハ洗浄、露光など)、東京精密(プロービングなど)。半導体テスタは検査装置なので、計測器の1種としてJEMIMA(日本電気計測器工業会)の資料ではカテゴリーの1つに分類され、生産額統計などのデータが開示されている。

半導体テスタ(はんどうたいてすた)

半導体デバイスの検査をする装置。ATE(Automated Test Equipment)や半導体検査装置、半導体試験装置などとも呼ばれる。製造過程のウェーハと半導体チップの大きく2つで検査する。メモリテスタ、ロジックテスタなどがある。半導体生産ラインの最終工程では搬送機(ハンドラ)と組み合わせて使われる。米国の半導体テスタメーカ、Teradyne(テラダイン)は1966年にコンピュータを搭載した自動検査装置(ATE)を世界初で製品化したといわれる(同社のホームページより)。 日本のアドバンテストは世界No1メーカ(元々メモリテスタが強く、半導体の主流がメモリになり躍進)。以前はキーサイト・テクノロジー、安藤電気、シバソク、ミナトエレクトロニクス、日立電子、横河電機などの計測器メーカがつくっていたが、シバソク以外は全て撤退。計測器の業界団体である日本電気計測器工業会(JEMIMA)は一般の電子計測器とは別枠で扱っている。 半導体テスタを手掛けた代表的な計測器メーカ2社について述べる。1950年代に電子計測器メーカとして創業した「タケダ理研工業」は1970年代に富士通が資本参加して社名は「アドバンテスト」になった。同社が古くからつくってきた機種群(RF製品以外の主に低周波の製品)は「エーディーシー」社に移管された。タケダ理研のコンペチタであり、同様に創業者が社名になった安藤電気は、電電ファミリーとして通信計測器と、NECの子会社として半導体テスタ(主にロジックテスタ)を作る会社だった。NECは半導体事業から撤退(半導体デバイスの子会社であるNECエレクトロニクスを、三菱電機・日立系のルネサスエレクトロニクスに経営統合)し、半導体テスタはグループ内に不要となり、安藤電気から資本を引き揚げた。2001年に安藤電気は横河電機の傘下となったが、現在は会社はもうない。安藤電気の半導体テスタや光デバイス(フォトニクス)技術は横河電機に引き継がれたが、横河電機は10年やらずにすべてやめてしまった。安藤電気が2000年頃にキーサイト・テクノロジーと競った光通信計測器は、横河計測株式会社の1つの製品群になっている。同社の光スペクトラムアナライザは世界No1。タケダ理研のアナログ計測技術の計測器はエーディーシーに引き継がれたが、安藤電気の光通信計測器は横河計測として生き残った。 半導体テスタは1970年代から2000年代に計測器メーカが競って参入した最先端の花形製品だった。ICEも半導体の1種であるマイクロプロセッサの普及に伴い計測器メーカが参入したが、1990年頃にはメーカの主体はICE専業のベンチャー企業になっていた。半導体テスタもアドバンテストとシバソクが残ったが、両社ともに計測器からは撤退しているので(※)、計測器メーカが半導体テスタの担い手ではなくなっている。 (※)シバソクは2000年頃まではテレビ・オーディオ測定器をつくり、リーダ電子やテクトロニクスと競ったが、計測器をアサカに移管して撤退し、半導体テスタに集中した。テクトロニクスも映像事業部を売却してTV関連計測器から撤退している。

半導体パラメータアナライザ(はんどうたいぱらめーたあならいざ)

半導体デバイスの特性を測定する機器。ソース部(電圧・電流発生器)と計測部(電流・電圧の測定)で構成され、ソフトウェアでプログラムを作成して使用する。構造はメインフレームで、ユニット式のSMUを装着して使う。DUTにどのように電圧・電流をあたえ、どこの電圧・電流を測定するかを測定器の画面で設定できる。半導体デバイスメーカは設計・開発・製造・検査のあらゆる部署で使う。デバイスメーカの基本測定器といえる。メーカはキーサイト・テクノロジーとケースレーの2社。SMUを多くラインアップしている日本のエーディーシーは半導体パラメータアナライザをつくる要素技術を持っているが製品はない(2021年1月現在)。参考用語:カーブトレーサ 参考記事:アナライザあれこれ 第4回「半導体パラメータアナライザ, カーブトレーサ」 計測器情報:半導体パラメータアナライザの製品例

半パラ(はんぱら)

半導体パラメータアナライザの略称。カーブトレーサと共に半導体デバイスの開発・検査の基本測定器。参考記事:アナライザあれこれ 第4回「半導体パラメータアナライザ, カーブトレーサ」

  • 1