計測関連用語集

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TSMC(てぃーえすえむしー)

Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.の略称。世界最大の半導体受託製造企業(ファウンドリ)。1987年に設立された世界初の半導体専業ファウンドリ。単なる半導体メーカの下請けではなく、最先端の製造技術を持ち、半導体メーカが設計した最先端のデバイスを製造できる世界No.1企業。インテルなどの世界の名だたるデバイスメーカが製造を委託している。アメリカのバイデン政権は半導体サプライチェーン構築のため、米国アリゾナ州フェニックスにTSMCの工場(12インチウェーハ)を建設することを2020年に発表した。日本でも九州(熊本県)への誘致に成功し、2024年には工場が稼働予定。

DMA(でぃーえむえー)

(Direct Memory Access)CPUの周辺デバイス間でデータを転送する際、CPUを介さずに、周辺デバイス間で直接アクセスするやり方のこと。「ダイレクトメモリアクセス」と呼ばれたり、DMAと表記される。キャッシュメモリやパイプライン処理と同じく、CPUの動作を高速化させる手法の1つ。参考記事:「車載マイクロコンピュータの基礎~車載システムを支える頭脳」マイクロコンピュータの高速化技術の章に、DMAの図解がある。

DDR(でぃーでぃーあーる)

(Double Data Rate) 半導体メモリの代表であるDRAM(Dynamic Random Access Memory)の規格。PCに使われるSDRAM(Synchronous DRAM)にはDDR3やDDR4などの規格があり、両者に互換性は無い(DDR3は240ピン、DDR4は288ピン)。半導体やバス通信の規格試験ができるGHz(ギガヘルツ)帯の広帯域オシロスコープ(高速オシロと呼称)には、DDR評価用のソフトウェアオプションがある。

DRAM(でぃーらむ)

(Dynamic Random Access Memory) 半導体メモリの代表的な1つ。比較されるもう1つの代表が「NAND型フラッシュメモリ」。DRAMのメーカは世界に数社しかなく、特に次の3社で寡占状態と言われる。韓国のSamsung(サムスン)とSK Hynix(ハイニックス)、米国のMicron(マイクロン)。 半導体メモリには「揮発性」と「不揮発性」の2種類がありる。揮発性とは電気が通っている(PCで電源をONにしているとき)だけ、データを記録できる。不揮発性とは電気が通っていないときでも(電源をOFFにしても)データを保管している。前者の代表がRAM(ラム)で、後者はROM(Read Only Memory、ロム)やフラッシュメモリ。RAMはPC内でOSが作業をするワークスペースや、データの一時保存に使われる。ROMはRAMのように書いたり読んだりできず、一度記録したデータを読むだけで、フラッシュメモリは記憶装置(ストレージ)に使われる。DRAMは通電中でも定期的にデータの書き直し(リフレッシュ)が必要だが、トランジスタとコンデンサ1組で1ビットを記憶するというシンプルな構造のため、コンピュータの主記憶装置に採用されている。リフレッシュの不要なSRAM(Static RAM)もある。 DRAMの規格はDDR(Double Data Rate)と呼ばれ、読み書きの速度などが規定されている。最新規格は第4世代のDDR4で、最速のDDR規格として2014年頃から使われている。通信規格などのコンプライアンス試験ができるアナライザであるGHz帯域の広帯域オシロスコープ(高速オシロ)には、DDR評価用のソフトウェアオプションがテクトロニクスやキーサイト・テクノロジーなど各社から販売されている。 半導体メモリは半導体デバイスの代表で、その売上規模は市況を左右している。世界的な半導体テスタメーカであるアドバンテストは1970年代にメモリテスタやLSIテスタを開発し、1980年代、1990年代の半導体の進歩(大容量、高速化)に伴い、半導体テスタも追従して高速化させた。メモリテスタが優れていた同社は、半導体メモリの規模拡大(普及)と共に世界No.1の半導体テスタメーカになった。 半導体は需要と供給の関係から数年おきに売上額が大きく変動してきた(シリコンサイクル)。半導体メモリも2008年から2009年のリーマンショック時期に売上が激減(前年比約40%減)し、2022年からは5回目の波の底にある。DRAMの3メーカは寡占によって波の底を乗り越えてきたが、エルピーダメモリ(※)が経営破綻したように、赤字から会社消滅になることもある。半導体メモリは脚光を浴びてはいるが決して安定した事業ではない。 (※)エルピーダメモリ(Elpida Memory,Inc.)は1999年に日立製作所と日本電気のDRAM事業を統合して設立。2000年にElpis(ギリシャ語で希望)から「エルピーダ」に社名変更。当時は国産で唯一のDRAM専業として、世界シェアは韓国のサムスン電子、ハイニックスに次ぐ3位だった。2003年には三菱電機のDRAM事業を吸収するなど注目されたが、設備投資が負担となり上位2社に追いつけず2012年に経営破綻した。4位のMicron Technology(マイクロン・テクノロジー)に売却され、マイクロンは世界3位となった。 半導体の歴史を書いた「CHIP WAR(チップ・ウォー)」が2022年秋に米国で出版された(著者は1987年米国生まれの経済史家)。半導体は戦略物資として国家間で攻防が繰り広げられた様が描かれている。2023年春には翻訳されて「半導体戦争」が出版され、日本のデバイスメーカが世界市場から転落した顛末が(米国視点ではあるが)よくわかる。1980年代、日本の半導体デバイスは世界を席巻していた。DRAMで世界No.1だった米国メーカは1986年には日立、東芝、日本電気などに追い抜かれ、日本メーカがDRAM市場を独占した。日米半導体摩擦が起き、米国は韓国のサムスン電子を支援して育成し、日本企業の独占を阻止した。それ以降も同様に、オランダのASMLを支援して露光装置に強い日本企業を排除している(EUV)。 ただし、2010年代後半頃から米国は中国を排除する方向に方針転換した。米国の構築する半導体サプライチェーンでは、日本も重要な位置づけになったことが、2022年のRapidus(ラピダス)設立につながっている。Rapidusは国産半導体デバイスの復権をかけて、2027年に2nm半導体の量産開始を目指すが、前途は容易ではない。

DIP(でぃっぷ)

(Dual In-line Package) 多ピン半導体の形状の1つ。平たい長方形の両長辺に外部入出力用のピンを下向きに並べた形状をしている。現在もっとも普及している半導体パッケージの形状。 この形(外観)を真似た電子部品のDIP(ディップ)スイッチは多チェンネルの小型スイッチとして、電子機器に良く使われている。電子部品を使う回路設計の技術者の間では違和感なく「DIPスイッチ」は受け入れられているので、DIPという表現は半導体専門の用語ではなく幅広いといえる。

データバス(でーたばす)

(data bus)CPUが命令語をフェッチする際や、データをアクセスする際に使う一塊の信号線を示す。データバスのビット数は、一度に転送できるデータの量を表すものである。CPUのデータバスのビット数が多いほど性能が高いCPUだと言える。近年、マルチメディア系のデータ処理用CPUは128ビットか、それ以上のデータバス幅を持ち、高性能化を図っている。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より)参考用語:バス

テキサス・インスツルメンツ(てきさすいんすつるめんつ)

(Texas Instruments Inc.) 1950年に世界初のシリコン型トランジスタを製品化した老舗半導体デバイスメーカ。インテル、フェアチャイルドなどと半導体黎明期に名を馳せた。本社は米国 テキサス州ダラス。業界ではTIの略称で呼ばれる。1958年にTIの研究者ジャック・キルビーが発明したICは基本特許になっている。1980年代に日本の半導体デバイスメーカはキルビー特許で訴訟になった(日米半導体摩擦の時代の話)。 同社ホームページには「TIの事業:アナログチップと組込みプロセッシングチップの設計、製造、テスト、販売」とある。つまり、いまは創業時のような業態ではない。アナログ半導体ではアナログ・デバイセズが競合で、組込みマイコンの関連製品としてICEをつくっていた(現在はICEではなく回路設計ツール)。DSPもラインアップしている。(以下の計測器情報には、TIのDPSのICEの製品例がある。) TSMCの創設者、モリス・チャン(Morris Chang、張忠謀)は1960年頃に当時急成長していたTIに就職し、エンジニアリング部門のマネージャをしている。2023年に米国で発行され話題となり、日本でも翻訳されたChip War(半導体戦争)にはTIの元会長パトリック・ハガティや、露光の工程を開発したTIの技術者ジェイ・ラスロップなどが登場する。 TIは2000年9月にバーブラウン社(米国)を買収、2011年9月にナショナル セミコンダクター社(米国、略称:ナショセミ)を合併(※)。両社ともにアナログ半導体メーカで、アナログ・デバイセズ同様にTIもM&Aでこの分野を強化した。現在のアナログ半導体は、アナログ・デバイセズとTIが大手2社である。 米国の市場調査会社Gartnerは2024年1月に「2023年の世界半導体メーカ別売上ランキング」を発表した。TIは10位で、トップ10に入るデバイスメーカである(アナログ・デバイセズはトップ10外)。 (※)技術者のRobert Page Burr(ロバート・ページ・バー)とThomas R. Brown Jr.(トーマス・R・ブラウンJr.)は1956年にBurr-Brown社を設立。オーディオがアナログからデジタルになると性能の良いADコンバータを開発し、デジタルオーディオの先駆者といわれる。National Semiconductor社も技術者(8人)が1959年に創業。両社ともにアナログ半導体をラインアップし、1980~1990年代に筆者の回りにいた電子回路設計者は2社の半導体データブックを見て電子部品を選んでいた。余談だが、筆者の友人(電気工学専攻)はNational Semiconductorを「松下電器の半導体」と思っていた。確かに「ナショナルの半導体」は松下電器の半導体部門に思える。nationalは「国家の」、「国民の」という意味である。

Teradyne(てらだいん)

Teradyne,Inc.は1960年に米国、ボストンで設立した半導体テスタやインサーキットテスタのメーカ。それまで手作業だった電子部品の検査を自動化した。1966年にコンピュータを搭載した自動検査装置(ATE)を世界初で製品化した、半導体テスタの草分け。半導体テスタは当時の最先端の電気計測器(試験装置)で、1980年代には国産の計測器メーカ(ミナトエレクトロニクス、タケダ理研工業、安藤電気など)もラインアップした(1990年代には日立電子や横河電機も参入している)。日本の電気計測器メーカは1970年代にテラダインの半導体テスタを研究(模倣)して、自社の半導体テスタ製品をつくったといわれるほどである。社名の由来は、大変大きな力を意味する、テラ(10の12乗)ダイン(=10メガニュートン)といわれる。 日本にはテラダイン株式会社・熊本事業所があり、イメージセンサやマイコン用ATEの開発から販売までを行っている。熊本県は日本のシリコンバレーといわれるくらい半導体の工場が多い(ソニーセミコン、TSMCなど)。 Teledyne Technologies(テレダイン・テクノロジーズ)は、ミドルクラスからハイエンドまで豊富なオシロスコープのラインアップで世界3位のオシロメーカといわれるレクロイ(現Teledyne Lecroy、テレダイン・レクロイ)を傘下にもつ、米国のコングロマリットである。テラダイン(teradyne)は半導体テスタ、テレダイン(teledyne)はオシロスコープ。1字違いで良く似た会社名である。

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