DIP
(Dual In-line Package)
多ピンの半導体
の形状の1つ。平たい長方形の両長辺に外部入出力用のピンを下向きに並べた形状をしている。現在もっとも普及している半導体パッケージの形状。
この形(外観)を真似た電子部品の「DIP(ディップ)スイッチ」は多チャンネルの小型スイッチとして、電子機器に良く使われている。電子部品を使う回路設計の技術者の間では違和感なく「DIPスイッチ」は受け入れられているので、DIPという表現は半導体専門の用語ではなく幅広いといえる。計測器の背面にあるDIPスイッチは、通信を行う際の計測器のアドレスなど各種の設定に使われている。設計技術者にとっては小型の多チャンネルのスイッチ(電子部品)として重宝されている。
別の側面から述べると、「現在の電気・機械などの技術者にとって半導体の知識は基礎的な素養である」ことを示す好例がDIPスイッチである。計測器も電子機器の代表なので、DIPやDIPスイッチを知らないと、その設計はできない。DIPスイッチを使った計測器の説明書では、使われているDIPスイッチを、何の注釈もなく「DIPスイッチ」と表現している。これは、計測器のユーザ(使用者)も同じ技術者で、半導体の基礎知識があることが、暗黙の了解になっているからである。
半導体パッケージでピンが1列のものをSIP(Single In-line Package、読み方:シップ)と呼称し、ピン数が少ない電子部品に使われる。CPUなどのピン数が多い物を除くと、DIPやSIPは多くの電子部品に使われている。
半導体パッケージのDIPは英単語の頭の文字を取った略語で「ディップ」と発音しているが、英語のdip(ディップ)は「下がる」、「探る」の意味がある(本稿のDIPとはまったく無関係)。