計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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ピーク検出(ぴーくけんしゅつ)

デジタルオシロスコープの表示機能の1つ。エンベロープ表示とも呼ばれる。通常の表示では,時間軸設定で 1 div あたりの時間を長くすると、「観測したい範囲のデータ個数>画面表示の分解能」となるので、間引き表示になる。ピーク検出(エンベロープ表示)では、高速でサンプリングしたデータから最大値/最小値を求め,それらをペアにして表示する。高速のバルス(ノイズ波形など)の誤動作の原因になる現象をとらえるのに有効といえる。

ピーク・ディテクト(ぴーくでぃてくと)

デジタル・オシロスコープのアクイジション・モードの1つで、見過ごしやすい信号の詳細を観測でき、特に幅が狭く間隔の長いパルスを捉えるのに有効。(テクトロニクス「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)より)

PCオシロ(ぴーしーおしろ)

PC(パソコン)につないで使うオシロスコープの略称。USBの普及で最近はUSB接続型が計測器の1カテゴリになりつつある。

PC接続型簡易測定器(ぴーしーせつぞくがたかんいそくていき)

スタンドアロンではなくPCにつないで操作するタイプの測定器(PC制御型)は以前からあった。外観は箱で、表示部や操作部はほとんどない。小型のものはPCのI/Fコネクタに直接、箱(計測器本体)を接続してまるで計測器の一部のような製品もあった。特にオンラインモニタ(プロトコルアナライザ)はデジタル通信をするコンピュータとの親和性が高いので、PCにつなぐ小型の簡易製品があった。日本データシステムはポケオシ、ポケロジの名称でオシロスコープやロジックアナライザ製品を販売した(現在はハギワラソリューションズが事業を継承)。ロジアナが時代を感じさせるが、以前はPCのI/Fの性能もあり、これらのPC接続型小型計測器は本格的な計測器とは認知されていなかった。海外では英国のPico Technology(ピコテクノロジー)が1991年設立のPC型オシロスコープメーカとして老舗。 USBが広く普及したことによって、現在はUSBインタフェースを使ったPC接続型のモデルが大手計測器メーカからも発売されている。そのため、従来の(I/FがUSB以前の)PC接続型簡易測定器はほとんど見かけなくなった。現在はUSB接続型PC制御測定器が計測器の1カテゴリーとして確立しつつある。

光アイソレーションプローブ(ひかりあいそれーしょんぷろーぶ)

オシロスコープのプローブの1種。テクトロニクスが有名だが、テレダイン・レクロイや岩崎通信機、HBK(旧HBM)などもラインアップがある。オシロスコープに電気信号を取り込む際に、DUTにプローブ先端を接触した後で、電気から光に変換して伝送し、オシロスコープの入力コネクタの近傍で光から電気に再変換して入力する。たとえば強電磁場やノイズが多い工場内などで電気信号を観測する際に有用である。 テクトロニクスのA6906シリーズは大変重宝された名器だったが、部品の製造中止などの諸般の事情で生産中止となり、適切な代替え製品が無い状況が続いた(その間はHBK(※)や岩崎通信機の製品が流通した)が、テクトロニクスは2016年頃にTIVM/TIVHシリーズを発表して、市場でのシェアを高めている。 岩崎通信機はテクトロニクスが製造中止にしたカーブトレーサを自社開発するなど、2000年以降にパワエレ関連製品に注力している。光アイソレーションプローブも、(オシロと一体型で、オシロに入力できる構成ではないが)2モデルをラインアップしてきた(現在はアイソレーション ・プローブ SE-6000シリーズのみ)。オシロにつながるプローブとしては海外のPMK社とて提携して、高いCMRRの広帯域プローブを取り扱っている。 (※)トルク計測などで有名なHBM(HOTTINGER BALDWIN MESSTECHNIK)は光アイソレーション製品をラインアップしている。HBMは同じスペクトリス社参加のB&K(音・振動計測のブリュエル・ケアー)と合併し、2020年にHBK社(正確には、スペクトリス社のホッティンガー・ブリュエル・ケアー事業部) となった。 参考用語:光絶縁プローブ 参考記事:【イベントレポート】テクトロニクス イノベーション・フォーラム2018 Part1の2ページ目・・光絶縁プローブを取材。 計測器情報:「光アイソレーション」が品名に付く製品例

光サンプリングオシロスコープ(ひかりさんぷりんぐおしろすこーぷ)

(opto sampling oscilloscope) サンプリングオシロスコープ(サンプリングオシロ)はリアルタイムオシロスコープよりも周波数帯域が高いので、2000年代に広帯域オシロスコープ(高速オシロスコープ)が登場する以前は、アイパターン測定に重宝された。通常のオシロスコープ(オシロ)の周波数帯域が最高4GHzまでだった2000年頃には、高速なデジタル通信の品質評価はキーサイト・テクノロジーのDCA(83480Aや86100シリーズ)、テクトロニクスのDSA8000シリーズなどのサンプリングオシロでアイパターンの波形を確認していた。当時の高速デジタル信号は電気ではなく光が多く、サンプリングオシロは光コネクタを備えて、光信号で入力できた。キーサイトのDCAはオシロであり、かつ光信号解析装置(光測定器)でもあった(当時の同社ショートフォーム・カタログではオシロと光測定器の両方に掲載されていた)。 一般のオシロは電気入力が標準(当たり前)だが、光信号が入力できるのだから「光オシロスコープ」と呼称しても良いではないか、と筆者は1990年当時から思っていたが、サンプリングオシロを光サンプリングオシロと呼称する計測器メーカはほとんどいなかった。アンリツは2017年に、BERT(バート)の新製品でアイパターン解析機能があるBERTWave MP2110Aを発売した。サンプリングオシを内蔵しているが、その説明資料の中に「光サンプリングオシロスコープ」という表現がある。 光通信測定器メーカのアンリツや安藤電気は2000年頃に、すでに光サンプリングオシロスコープをつくっている。アンリツは1999年9月の技術報(アンリツテクニカル No78)で「分解能1THz(テラヘルツ)でアイダイアグラム測定を実現した光サンプリングオシロスコープSJE9203A」を解説している。安藤電気は横河技報Vol.47(2003年)の新製品紹介で「AQ7750光サンプリングオシロスコープは測定帯域500GHz以上を実現し、伝送速度160Gbpsの光波形をクリアかつ正確に測定。アイ波形の開口度を評価するアイ波形解析が可能」と述べている。光信号を入力でき、アイパターン測定ができるオシロスコープを上記2社は「光サンプリングオシロスコープ」と呼んでいる。 光電子増倍管などの光デバイスや光機器で有名な浜松ホトニクスは、応用物理学科の会誌に「O/E変換器で光を電気に変えて広帯域なオシロで観測するのではなく、サンプリングストリーク管により光信号を直接測定できる自社製品(オシロ)」について寄稿している(「光学」第22巻14号、1993年4月)。そのタイトルは「光オシロスコープ」である。つまり、光信号を直接受けられるオシロは通常のオシロではなく、特別な光入力可能なオシロなので、「光オシロ」と呼称するのが適切(当たり前)という認識である。 通常のオシロスコープ(リアルタイムサンプリング、実時間サンプリング)ではない、等価時間サンプリング方式のモデルは「サンプリングオシロスコープ」と呼ばれ、光入力が可能なモジュールがある(サンプリングオシロはモジュール式が多い)。オシロスコープメーカ(テクトロニクスやキーサイト・テクノロジー)は、方式が違うのでサンプリングオシロと呼称している。広帯域なので高速な信号(光)が受けられるが、電気入力もあるため、特別に「光オシロ」などとは呼ばない。 ただし前述のように、2000年代からリアルタイムオシロが広帯域化し、サンプリングオシロだけが広帯域ではなくなった。現在のサンプリングオシロはほとんど光入力が主で、限定された特定の顧客に使われている。そのため、実態は「光サンプリングオシロスコープ」や「光オシロ」である。オシロスコープメーカと光通信測定器メーカで、認識の差異(測定器の名称についての温度差)が感じられる事例である。

光絶縁プローブ(ひかりぜつえんぷろーぶ)

オシロスコープ(オシロ)のプローブの1種。DUTの近くに置いたセンサ/プローブヘッドと、オシロスコープ近くに置いたコントローラ部を光ファイバで伝送するプローブ。テクトロニクスのA6906シリーズは長年デファクトであったが製造中止になった。海外のHBK(※)社が光伝送をデジタルで行う製品を発売したがA6906より帯域が低かった。岩崎通信機は光ファイバを使ったアイソレーション・システムをつくったが、オシロと一体となった装置(PCで制御する箱で画面は無い)で、一般のオシロスコープに入力することはできない(つまりプローブではない)。 そんな中、テクトロニクスは2016年に(旧モデルが周波数帯域100 MHzだったのに対して)1 GHzに性能アップした新製品の光アイソレーションプローブを発売した(伝送方式はアナログ)。2020年にはラインアップは12機種まで増えた。レクロイにもテクトロニクスと同じような外観・寸法の製品がある。岩崎通信機には(前述とは違う)光アイソレーションプローブがあるが、外観がテクトロ、レクロイとは異なる。 光絶縁プローブは高電圧差動プローブと同様の目的で作られたプローブだが、高電圧差動プローブに比べてCMRR(同相信号除去比)の仕様が優れているので、コモンモード電圧が印加された信号の正確な波形観測ができる。製品の構造が複雑なため、価格は高電圧差動プローブに比べて高額になる。ノイズが多い工場内でオシロスコープの測定に使用されている例がある。機器の電気信号が高速になると、光絶縁プローブの周波数帯域が高くないと、オシロスコープで正確な波形測定ができないが、テクトロニクスの現役モデルの仕様は現状のニーズに対応しているといえる。 メーカによっては「光アイソレーションプローブ」を品名にしている。岩崎通信機の光絶縁プローブの現役モデル名は「アイソレーション ・プローブ SE-6000シリーズ」である(品名には「光」は無い)。 (※)トルク計測などで有名なHBM(HOTTINGER BALDWIN MESSTECHNIK)は光アイソレーション製品をラインアップしている。HBMは同じスペクトリス社参加のB&K(音・振動計測のブリュエル・ケアー)と合併し、2020年にHBK社(正確には、スペクトリス社のホッティンガー・ブリュエル・ケアー事業部) となった。 参考記事:【イベントレポート】テクトロニクス イノベーション・フォーラム2018 Part1の2ページ目・・光絶縁プローブを取材。 計測器情報:「光絶縁」が品名に付く製品例

日立電子(ひたちでんし)

日立電子株式会社は業務用のカメラなど、放送機材のメーカ。1973年から2000年に存在した会社だが、1970年代にはアナログオシロスコープなどの計測器もつくっていた(いつからつくっていたかは不明)。計測器・検査装置としてはデジタルストレージオシロスコープ(DSO)や半導体テスタもつくったが、2000年代に日立グループの再編の中で、計測器からは撤退した。日立電子の計測器の、最終の会社名は日立国際電気になる。 国産のアナログオシロスコープでは岩崎通信機(シンクロスコープ)が有名だが、日立電子や松下通信工業も老舗である。HitachiやPanasonicと書かれたオシロスコープの方がIwatsu(岩通)より、コンシューマとしては知名度がある。理工系の学校の学生実験の器材として日立電子のオシロスコープは採用されていた。2023年現在でも、ネットに中古品が多く出品されている。アナログやデジタルストレージが多く、たとえばV-358(35MHz、2ch、アナログ)、V-1100A(100MHz、アナログ)、VC-6165(100MS/sデジタルストレージ)、VC-6723(2chデジタルストレージ)。 2000年頃の日立電子の計測器の修理窓口は「日立国際電気サービス/ビデオサービス部/T.S.C.グループ」だった。現在は株式会社HYSエンジニアリングサービスが測定器の校正事業をしているので、修理も相談されるようである(日立電子の計測器は生産中止から20年以上経過しているので、修理不能の場合が多いと推測する)。 現存する継続会社である日立国際電気のホームページには日立電子の沿革について以下のような記述があるが、ほとんど放送機器についてで、計測器については全く書かれていない。日立電子の計測器の概要(いつ頃オシロスコープに参入し、どんな機種群をラインアップしたかなど)は、いまとなっては良くわからない。V-xxxxやVC-xxxx(xxxxは数字)という形名がオシロスコープだが、VR-3511デジタルマルチメータなどの製品もあった。計測器からいつ撤退したかも不明。沿革の概略を示す。 1948年、芝電気(株)設立。 1959年、国産初の放送用VTRを完成し、1964年の東京オリンピックでVTRが活躍。 1973年、日立電子に社名変更。 2000年、国際電気(株)、日立電子(株)、八木アンテナ(株)が合併し、(株)日立国際電気に商号変更。 日立電子をネット検索すると「放送・通信機器、ビデオシステムのメーカで、ネット利用の監視システムなどに注力」などとあり、計測器にはまったく触れていない。映像・放送関連の学会誌に日立電子の記事が残っているが、計測器に関する記録は見つけることが難しい。 現在、「日立の計測器」をネット検索すると、株式会社日立ハイテクの分析機器が一番に出てくる。また、日立といえばX線などの放射線測定器もあった。日立製作所や日立メディコ、(JRC、日本無線の系列の)アロカがつくっていたが、2011年から2022年に日立グループ(ヘルスケア事業部門)に吸収・整理され、現在はアロカの後継会社である日本レイテック株式会社に統合されている。さらに、株式会社日立製作所製(計測器事業部)のマノメータ DMS-7シリーズは、横河電機(現横河計測)のMTシリーズや長野計器の GCシリーズ(GC15、GC16など)のように、プラントなどの現場で使われることが多かった。現在は株式会社日立ハイテクソリューションズが継承しているが、2023年12月に生産終了する旨が、同社ホームページに掲載されている。 このように、日立ブランドの計測器・分析機器は多種類に及ぶ。日立の計測器全般のサービス業務を行う日立計測器サービスという会社もあった(現在は日立の半導体検査装置、電子顕微鏡のエンジニアリングを主にしている株式会社日立ハイテクフィールディングになっている)。株式会社日立電子のオシロスコープ撤退によって、現在は日立の計測器といえば、日立ハイテクの電子顕微鏡になった(電子顕微鏡は電気計測器よりも科学分析機器の範疇であるが)。 高度経済成長の時代(1955年頃~1973年頃)から2000年代までは日立製作所(日立電子)、松下電器(松下通信工業)、ソニー(ソニー・テクトロニクス)という日本の大手電機各社が、産業のマザーツールである電気計測器を系列企業でつくっていたが、いまでは3社とも計測器からは撤退している。通信機器メーカも2000年頃までは計測器と関係していた。日本電気(NEC)はグループ内に安藤電気、アンリツ、ミナトエレクトロニクスがあった(アンリツは現在も健在)。富士通はタケダ理研工業に資本参加して、会社名はアドバンテストになった。沖電気工業株式会社(OKI)もNTTに交換機を納める電電ファミリーで(現在の事業はATMなどの店舗システムやEMS)、沖エンジニアリング株式会社は計測器の受託校正をしていた(現在は信頼性評価、環境試験などの受託試験が主力)。 日立のオシロスコープを知っているのはいまや高齢のエンジニアだが、当サイトが2023年1月に読者に行ったアンケートで、オシロメーカとして日立電子をあげた人が(少数ながら)いる。いまでも「使ったことがあるオシロのメーカは日立」という人がいることは、同社オシロが大変売れていたことを物語っている。 みんなの投票 第2弾 結果発表

標本化定理(ひょうほんかていり)

(sampling theorem) サンプリング定理の別名。連続信号(アナログ値)からデジタルデータを作成する標本化の際に、サンプリングする周波数(サンプルレート)について記述した定理。オシロスコープやFFTアナライザなどの多くのデジタル計測器に関連する法則で、計測器の利用者が知っておく基礎知識の1つ。 参考記事:デジタルオシロスコープの基礎と概要 (第2回)・・オシロスコープの重要な仕様の1つであるサンプリング周波数について解説。

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