計測関連用語集

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イベント(いべんと)

(ivent) iventには出来事、行事、事象などの意味がある。 1. 行事 計測器メーカのホームページにはイベントのページがある。展示会への出展やセミナー開催情報が掲載されている。自社イベント(プライベート・ショー、個展)も含めた、展示会やフォーラム、カンファレンスなどの行事をイベントと称している。 2. 事象 計測器では、「信号の電圧が増加していき○○ボルトに達した」、「アドレス○○をアクセス(リードまたはライト、つまり読み書き)した」などの特定の事象をイベントという。オシロスコープの標準機能であるトリガは、使用者が補足したいイベントを設定して、対象とするイベントの信号波形を画面に表示させることである。「BイベントでBトリガをかける」などの表現がされる。ICEの機能であるイベント/ブレークポイントは、使用者がイベントを設定して、イベントが発生したプログラムの箇所(ポイント)でプログラムの実行を止める(ブレーク)ことである。信号発生器にはイベント入力という機能がある。このように計測器ではイベント関連の用語が頻繁に使われている。名称に「○○イベント」や「イベント△△」という表示がある計測器も少なからずある(以下の計測器情報を参照)。

イベント/ブレークポイント(いべんとぶれーくぽいんと)

(event/break point)ICE(マイコン開発支援装置)の機能の1つ。トップベンダーだったソフィアシステムズ(現Sohwa&Sophia Technologies)の用語集には次の解説がある。イベント/ブレークポイント:CPUにこの機能が内蔵されている必要がある。イベントとは、「ある番地を通過した」、「あるアドレスをアクセス(リード/ライト)した」などの現象を言う。この現象(イベント)が発生した時にブレークする事が出来る。これをイベント/ブレークと呼んでいる。当社ICEではトレーストリガ機能があり、CPUに依存することなくアドレスに対する多様なトリガ設定を提供している。当サイトとして補足説明すると、「ブレーク」とはプログラムの実行(進行)を止めること。イベントが発生したプログラムの箇所(ポイント)でブレークして、このポイントでこのイベントが起きることがプログラムの正常な動作か、を確認できる機能がイベント/ブレークポイントである、ということ。そしてこの機能はデバッグのためには重要な、便利なICEの機能である。

岩崎技研(いわさきぎけん)

1990年代にあったICEメーカ(計測器メーカではなく、ICE専業メーカ)。梱包箱などにIWASAKI ELECTRONICSと印刷されていたが、会社名は岩崎技研で、「岩技」と呼称されていた。製品にIWASAKIと印刷されているためか、中古業者のオークションサイトでは「メーカ名:岩崎」という表記が見うけられる。計測器の老舗、岩崎通信機とは無関ない(岩崎通信機からのスピンアウトでは、擬似交換機やISDNシミュレータで有名な「アドシステムズ」などがある)。製品の通称はPROICE(プロアイス)で、形名と品名は次のようだったと思われる。形名:PROICE Z80/PC、品名:Z80 IN-CIRCUIT EMULATOR(現在はほとんど資料が無いので製品コンセプトやラインアップは不明)。当時流行り始めた、PC制御タイプである(ICEの初期に計測器メーカが始めたスタンドアロン型ではなく、外観がただの箱でPCにつないで使うPC接続型)。同業のZAXより後発だが、大手通信機器メーカなど、マイクロプロセッサ(MPU/CPU)を広範に使う企業に採用されていた。ICE専業メーカとして名を馳せたソフィアシステムズや、(adviceが通称の)横河デジタルコンピュータは、社名は変わったが存続しているが、岩崎技研やZAXはいつの間にか無くなっていた。アンリツも1980年代にICEをつくっていたくらい、1980年~2000年にかけてはICEやロジックアナライザは計測器の花形だった。1974年にインテルやモトローラが8ビットCPUを発売して以来、1980年代は多くの電気製品にCPUが普及し、組込みシステムの開発にICEは活用された。JTAGなどのオンチップエミュレータにとって代わられるまで、CPUの黎明期~普及期にかけてICEはモンキービジネスだったといえる。岩崎技研はITベンチャーがデジタルの計測器に参入して名を馳せ、消えていった例である。

インサーキットエミュレータ(いんさーきっとえみゅれーた)

(In Circuit Emulator) マイクロプロセッサ(マイコン、MPU、CPU)を使った組込みシステムの開発・デバッグを行なう測定器。略して「ICE(アイス)」と記載される。別名「(マイコン)開発支援装置 」、「デバッガ」。 マイコンはプリント基板上に実装され、同様に基板上にあるメモリICに格納されたプログラムに従って、ハードウェアを制御して機器を動作させる。試作品の段階では、ハード(回路)、ソフト(プログラム)の両方とも不完全で、必ずバグ(間違い)がある。そこで、マイコンの代りになって疑似マイコンとして動作するのがインサーキットエミュレータ(ICE)である。試作品のプリント基板上のマイコンが実装される箇所からフレキシブルケーブルでICEに信号を取り出す。実際の動作時にはマイコンが高速で処理するプログラムを、特定の箇所だけ実行させて、設計通りに機器が動作するかを確認していく。動作しないときは、どこが悪いのか、プログラムに間違いがあるのか、ハードウェアに設計ミスがあるのか、具体的に確認して不具合原因を究明していく。 プログラムの間違いはパッチで修正し、ハードウェアの変更はプリント基板上にリード線(ジャンパ線)をはんだ付けして回路の変更を行う。こうして、仕様を満足する状態が完成したら、パッチとジャンパ線で仮の修正をしたプログラムとプリント基板をあらたに作り直して試作2号機をつくり、同じようにICEでデバッグを続ける。このようなデバッグ作業を通じてマイコンを搭載した電気機器は完成品となる。そのためデバッガー、(マイコン搭載機器の)開発支援装置、という名称がある。 プリント基板のマイコン実装箇所からハードウェア(回路)に入って、疑似マイコンとして試験するので、In Circuit Emulatorである。ただしIn Circuitには弱点もある。シールドされたフレキシブルケーブルで信号を取り出しているとはいえ、あまりケーブルが長いと、外部からの電磁的な影響を受けたり、回路そのものの設計能力を超えてしまい、動作が不安定になることがある。そのため、「ICEが上手く動かない」という問合せはユーザのデバッグ現場からメーカのCS(カスタマー・サポート)に頻繁にあった。原因究明、解決のために各ICEメーカはサービスマンをユーザに派遣することも多かった。 参考用語:フルICE、オンチップエミュレータ、JTAG

IN-CIRCUIT DEBUGGER(いんさーきっとでばっが)

1980年代~1990年代にあったICEメーカ、ZAX(ザックス)のフルICE製品の本体の名称。ターゲットのCPU(インテル80286やモトローラ68030など)に対応したオプション(ポッド、プローブ)はIN CIRCUIT EMULATOR PROBE ERX318Pなどの名称だった。ZAXは現存していないため製品のラインアップや、形名と品名が今では正確にはわからない。

インタープリタ(いんたーぷりた)

(interpreter)プログラミング言語で書かれたソフトウェア(ソースファイル)を実行するソフトウェアの1つ。高級言語のソースコードを1命令ずつ解釈(逐次解釈)しながら実行する。機械語(オブジェクトファイル)に解釈・変換しながら処理・実行する。インタープリタ型のプログラミング言語には、BASIC、Lisp、JavaScriptなどがある。インタープリタのほかに、全部翻訳してから実行する「コンパイラ」がある。ソースコードを事前に一括変換してから実行する。コンパイラ型のプログラミング言語には、C言語、C++、COBOL、FORTRANなどがある。「Java」はインタープリタとコンパイラの両方の特徴を持つ言語である。interpreterは「通訳者」の意味。「インタプリタ」、「インタープリター」という表記もある。

インテル(いんてる)

(Intel) 半導体の世界的なNo.1ベンダーで、PCのCPUに多く採用されている。世界初のマイクロプロセッサ(マイコン)を開発したインテルは、1980年頃は8ビットマイコン8080などでモトローラの68系やザイログのZ80などと競っていた。計測器の用語としては、ICE(エミュレータ、マイコン開発支援装置)は上記の3社のチップに対応したモデル(エミュレータ・ポッド)がたくさんあった。 日本のビジコン社(電卓メーカ)の依頼により、インテルは世界初のマイコン4004(4ビット)を開発・生産し、1971年11月に出荷した。1974年には8ビットの8080を発売(モトローラの8ビット、6800も同年に発売)。その後、頭が80で始まるCPU(16ビット:80268、32ビット:80386など)が続いた。対するモトローラも頭が68で始まるCPUで対抗し、インテルの80系とモトローラの68系は比較の対象だった。1980年代には日本の半導体デバイス各社(NEC、日立製作所、三菱電機、富士通など)も80系、68系とコンパチなサードパーティーデバイスや独自CPUを開発・発売していた。 たとえばNECはVシリーズ(V30/V40/V50/V60など)のマイコンを開発し、NECグループの計測器メーカである安藤電気とアンリツはVシリーズに対応したICEを製品化していた(通信計測器の雄アンリツも、当時はICEをつくっていた)。新しいマイコンを発売時には、それに対応したICEが必須なので、岩崎通信機、横河電機などの大手計測器メーカはICEをラインアップしていた。ロジックアナライザのトップベンダーhp(ヒューレット・パッカード、現キーサイト・テクノロジー)も64700シリーズというユニークなエミュレータを1980年代~1990年代に発売していた。1980年頃は計測器にもマイコンが導入され始めた時期で(たとえば安藤電気は、1980年頃にマイコンを搭載した初めての機種、AG-4301 LCRメータを発売)、マイコン搭載による計測器のデジタル化と並行してICE製品が開発された。 インテルの80486の後はPentiumで、PCへの採用で普及していく。ICEが対応したのもこれらのチップ位までだが、80386や80486のICEの開発は簡単ではなく、各社は苦労した。CPUの高速化などで、ターゲット(ICEのデバッグ対象機器)とつないで安定動作が難しくなった。JTAGなどの普及もあり、2000年以降はICE需要が減ったことは周知である。 当時のCPUメーカだったフェアチャイルドは現存せず、モトローラも半導体からは撤退し、現在もデバイスメーカとして名前を聞くのはインテルだけである(ザイログは2021年現在、Z80をまだ生産しているらしい)。 計測器情報:ICEの製品例

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