計測関連用語集

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サーマルアレイコーダ(さーまるあれいこーだ)

グラフテックのメモリレコーダの品名。WR300などの感熱記録できるモデルがあったが、すべて生産終了している。WR300は4ch~16chまで5モデルあり、最大200mm幅 8ドット/mmのサーマルプリンタが標準装備だった。サーマルとは感熱記録のことで、横一列に取り付けらサーマルヘッドを発熱して感熱記録紙を発色させ、測定した波形を記録する。品名のThermal Arraycorderは、サーマル・アレイ(サーマルプリンタ)で印刷できるレコーダという意味を込めたネーミングと推定される。横河電機、日置電機に続き、グラフテックがチャートレコーダ(印字できる記録計)から撤退したため、現存するのはエー・アンド・デイの工業計測機器(旧三栄測器)のオムニエースだけとなった。グラフテックは1949年に株式会社渡辺研究所として設立、1958年に日本初のX-Yレコーダを開発した老舗の記録計メーカである。渡辺測器株式会社の社名でX-Yプロッタなどの印刷機器で有名だったが、計測器がペーパーレスになり、現在は小形のデータロガーでシェアが高い。キーエンスより後発でシェアを取り、日置電機が追いかけている。

サーマルレコーダ(さーまるれこーだ)

(thermal recorder) 感熱記録紙に印刷するサーマルプリンタを搭載した記録計(レコーダ)。Thermalとは「熱の」という形容詞。より正確にはthermal recording method recorder(熱で記録する方式の記録計)である。2000年頃のメモリレコーダの代表的なタイプで、汎用性が高く、多機能で、高速な現象が捉えられたが、多機能は操作が複雑になるという欠点もあった。グラフテックにはThermal Arraycorder(サーマルアレイコーダ)という品名の製品群があり、発電所、鉄工所、鉄道などで利用された。ただし記録計のペーパーレス化(印刷機能を無くすこと)が普及し、WR300を最後に生産終了した。ほとんどの計測器メーカが現在はサーマルレコーダをつくっていない。2005年頃には複数のメーカが生産していた。当時の機種の例としては、日置電機の8807メモリハイコーダ、横河電機のOR300Eオシログラフィックレコーダ、グラフテックのWR1000、WR8500サーマルアレイコーダなどがある。サーマルレコーダは「サーマルドットアレイ方式記録計」や「サーマルドットレコーダ」という表記もされていた。

サーミスタ(さーみすた)

(thermistor) 温度によって抵抗値が変化する半導体センサ。温度測定にはNTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタが使われる。サーミスタは小型であるため、電子機器の温度監視や電子体温計などに使われる温度センサの1つである。

三栄測器(さんえいそっき)

1948年に創業し、1983年まであった老舗の計測器メーカ。正式な会社名は三栄測器株式会社。「レコーダのサンエイ」として有名で、東京都小平市(天神町など)に工場があった。計測器(記録計など)とME機器(医療機器)の事業をしていた。計測器はレコーダとアンプ(絶縁アンプやひずみアンプ、シグナルコンディショナ)があり、横河電機製作所(YEW)の計測器と似たラインアップである。計測器の代表的な機種群である記録計の主要なメーカは、1970年代までは横河電機、三栄測器、渡辺測器(現グラフテック)の3社である(日置電機がメモリハイコーダの初号器8801を発表したのは1983年)。3社のレコーダには各社特長があるが、3社ともに「レコーダの老舗で、わが社の歴史がレコーダの王道(当時としてはオシロスコープと並ぶ計測器の主要機種)」という自負が伺える。三栄測器のレコーダはオムニエースの通称(形名RT1000~RT3000、RA1000など)で普及した。鉄道関係に強く、たとえばひずみアンプAS1803Rは対ノイズ性能が高く、新幹線の応力測定で採用されている。 自動車メーカが多く採用していたDEWETRON(デュートロン)社のデータロガーの販売代理店を1990年代にしている。2007年頃に販売契約は無くなり、三栄測器(当時はNECが資本参加して社名は「NEC三栄」)はDEWETRONと競合するモデルを開発している。NEC三栄でDEWETRONを販売していた部署(特販部)は独立してデユートロン・ジャパンになった(現在はデュージャパン株式会社で、DEWETRONから分離したDEWEsoftを取り扱っている)。 NEC三栄は非接触温度計(サーモグラフィ)もラインアップしていた。同じくNEC系列でサーモグラフィをつくっているNECアビオニクスに、NEC三栄の計測器部門は吸収された(同社のME機器はNECの医療部門に統合吸収されている)。後にサーモグラフィ以外の計測器(レコーダやアンプ)は株式会社エー・アンド・デイ(秤などの計量器のメーカ)に譲渡された。結果だけ見れば、NECの事業再編によって、サーモグラフィをNECグループ内に強化し、それ以外の三栄測器の創業からの計測器は売却された。レコーダやアンプはエー・アンド・デイの工業計測機器として現在もラインアップが健在で、2020年3月にはデータアクイジション装置RA3100を発売している。 三栄測器の計測器は社名変更が多いので、以下に概要を述べる。1971年11月にNECが資本参加。1983年4月にNEC三栄株式会社に社名変更。2006年6月に日本アビオニクスがNEC三栄を子会社化。2008年4月に社名をNEC Avio赤外線テクノロジー株式会社に変更(計測の老舗である三栄の名前は消滅)。2012年10月に日本アビオニクスがNEC Avio赤外線テクノロジーを吸収合併。2013年4月に三栄インスツルメンツ株式会社設立(旧三栄測器の営業マンが日本アビオニクスから独立)。2015年7月に株式会社エー・アンド・デイに計測事業(レコーダやアンプ)を譲渡。2021年4月にエー・アンド・デイは三栄インスツルメンツを吸収合併。こうして、三栄測器の計測器はエー・アンド・デイの工業計測機器として存続している。 参考用語:動ひずみ測定器、 計測器情報:レコーダ(オムニエース)の製品例、ACストレインアンプASシリーズ、チャージアンプAG3103

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