計測関連用語集

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矩形波(くけいは)

(square wave) 時間と共に値が変化する交流で、最も基本的なのは周期的な波形の正弦波である。交流で正弦波以外を非正弦波と呼称する(非正弦波も一般には周期的な波形といわれている)。非正弦波の1種が矩形波(別名:方形波)で、理想的には(※)2つの値しか持たない。高い値をハイ(または1)、低い値をロー(または0)と呼び、ローはゼロやマイナスの値の時もある。波形の形が四角なので矩形波や方形波の名前がある。 矩形波:方形波と同様のスイッチング特性を持つ波形で、ハイとローの時間が等しくないものも含まれる(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)。 非正弦波には矩形波のほかに三角形の三角波(triangle wave)、のこぎりの歯形に似たのこぎり波(saw tooth wave)、短時間に急激に変化(脈動)するパルス波(pulse wave)などがある。非正弦波を含む多くの波形を出力できるのがファンクションジェネレータ(略記:FG)である。矩形波発生器や方形波発生器のような名称の計測器はない(以下の計測器情報を参照)。 RFなどの高い周波数の正弦波を正確な精度で出力するのが標準信号発生器(略記はSGが多い)、同じく高精度のパルス波に特化して出力するのがパルス発生器(略記:PG)、パルス列を自由に作成できるのが誤り率測定器(BERT)やロジックアナライザのパルス・パターン・ジェネレータ(略記:PPG)である。 このように矩形波(方形波)と(その変化が急峻な)パルス波は、デジタル信号の基本で、オシロスコープによるアイパターン測定で品質を評価される。 (※)電気信号は有限の時間で変化する。矩形波はあるタイミング(時刻)にローからハイに瞬時に変化すると説明されるが、オシロスコープの横軸(時間軸レンジ)を小さくする(波形を拡大する)と、信号は緩やかに曲線を描いてローからハイに進み、ある短い時間(有限の時間)を使って変化する(立ち上がり時間や立ち下がり時間がある)。つまり、ローとハイの2値しかないデジタル信号も、アナログ信号なのである。そのため「矩形波は理想的に2値しか持たない」と説明される。

組込み(くみこみ)

(embedded、built-in) 1. 単体の測定器ではなく、機器に内蔵して使用されることを指す。「ベンチトップ」や「スタンドアロン」と対比して使われる。例:「組込みタイプ」、「組込み用電源」。 2. ITやソフトウェアの世界では「組込みソフトウェア(embedded software)」を略していっていることがある。組込みソフトウェアとは、家電や産業製品などの電子機器に内蔵され特定の機能を実現するためのコンピュータシステムで動作するソフトウェアのこと(組込みシステム)。ハードウェアであるMPU(マイクロプロセッサ、マイコン)やROM(ロム)などのメモリが実装されたプリント基板と、メモリに格納されたプログラムで構成される。炊飯器から、ロボット、ブルドーザまで、現在のほとんどの電気・電機製品にはMPUと組込みソフトウェアが搭載されている。組込みシステムを試験して完成品にする測定器(ツール)としてICE(In-Circuit Emulator、アイス、マイコン機器開発支援装置)がある。 文化庁の指針による送り仮名の付け方に従えば「組み込み」という表記になるが、「打ち合わせ」を「打合せ」と表記(送り仮名の略記)するように、「組込み」も間違いではない。IPA(情報処理推進機構)やJISは「組込み」と表記している。「み」を付けないで略すのが業界標準といえる(「組み込み」ではなく「組込み」と表記する人は業界標準の知識が備わっているといえるかもしれない)。一般には「組み込み」が多いので、「組込み」と「組み込み」が混在していて、どちらも正しいという状況である。 embeddedは「埋め込み」。「組込み」は英語でbuilt-in(内蔵)。上記の1.の意味ではbuilt-inだが、2.はembeddedを和訳する際、埋め込みではなく「組込み」と(業界内で)したと推測される。

クライアント/サーバ(くらいあんとさーば)

(client-server) クライアント/サーバシステム、クライアントサーバモデル、クライアントサーバ方式などの表現がある。意味が広範なので、以下にいくつかの説明(解釈)を述べる。 1. クライアントは、ユーザが直接操作するデバイス(例えば、パソコン、スマートフォン)を指す。サーバはリソースを提供するコンピュータやプログラムを指す。クライアントはサーバにリソースを要求し、サーバはレスポンスをユーザに表示する。サーバはハードウェアとは限らない。たとえばメールを管理しているプログラムであるメールサーバ、メモリにデータを保管しているデータサーバなどがある。 2. クライアント/サーバシステムとは、サービスを利用するコンピュータ(クライアント)と、サービスやデータを提供するコンピュータ(サーバ)とが、ネットワークを介して通信しながら動作するシステムを指す。サーバ/クライアントシステムとも呼ばれ、1980年代以降に普及した。 3. クライアントサーバモデルは、機能やサービスを提供するサーバと、それを利用するクライアントとを分離し、ネットワークを介してつながるコンピュータネットワークのソフトウェアモデル(ソフトウェアアーキテクチャ)である。略して「クライアント・サーバ」や「クラサバ」と呼ばれたり、C/Sと略記されたりする。 4. クライアントサーバシステムは、分散型コンピュータシステムの1種で、クライアントとサーバと呼ばれるコンピュータがネットワークで接続されている状態、あるいはネットワーク自体を指す。サーバコンピュータはプリンタを始めとしたハードウェア資源、アプリケーションソフトなどを集中管理している「親機」のようなもの。クライアントはサーバが管理している資源を利用するためのコンピュータで「子機」のようなものである。 client(クライアント)は元々、「広告代理店に広告を依頼した人。広告主」。なので、「顧客、依頼人、施主」などの意味がある。ここでは単にサービスの使用者(ただの端末にすぎない)なのに、サービスを享受する立場として、顧客に相当する英語が使われている。server(サーバ)は「survice(サービス)を行う者」。つまりサービスの提供者。関連する英語の、servant(サーバント)は「主人(master、マスタ)に使える下僕、召使、使用人」、である。つまりサーバはマスタに使われるイメージで、制御・支配する親器ではなく制御・支配される子器のように連想される。つまり、サーバよりクライアントの方が上位の(偉そうな)イメージがある。 「サーバ(親機)が管理している資源をクライアント(子機)は使う」、という説明は、実体として正しいが、元来のクライアント/サーバとは違う(誤解を招く)説明だと筆者は感じる。そもそも、サーバとクライアントというネーミングは、サーバがクライアントを管理しているというイメージがつきにくい。管理者と制御される側の関係を示す用語に、マスタ/スレーブがある。これは「マスタ(主人)とスレーブ(奴隷)」という意味なので、これまた極端なネーミングである。欧米のIT/ネットワーク用語であるクライアント/サーバは誤解を招くので不適切、マスタ/スレーブは下品なネーミング、と思うのは筆者だけであろうか。 一般には「クライアント/サーバ」で、サーバが先頭の「サーバ/クライアント」という表記はほとんどされない。サーバよりクライアントの方が重要であることを伺わせる。「サーバ」は「サーバー」という表記もあり、表現は不統一。 クライアントサーバ方式では、利用者が操作するクライアント(端末)からの要求に基づいて、サーバがデータの提供を行う。一方、ピアツーピア(P2P)方式では情報を一元管理するサーバが存在せず、ネットワークに接続している端末同士で直接データの検索や転送を行う。

GND(ぐらんど)

グランド(またはグラウンド)の略記。電気機器を地面に接続し(接地)、基準レベルとなる電圧を確保する。計測器には「GND」の表記がされることが多い。地面を表す英語のgroundが由来。

グランド(ぐらんど)

(ground) 地面を表す英語のgroundが由来なので「グラウンド」と表記されることもあるが、計測器では「グランド」のほうが多い。 テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では以下の解説がある。「グランド:1. 電気回路や電気機器を地面に接続する導体で、基準レベルとなる電圧を確保するためのもの。2. 回路内の電圧基準ポイント。」

クロストーク(くろすとーく)

(closs talk) 漏話。伝送信号が他の伝送路(レーン)に漏れること。通信不良の原因になる。 元来、電話で別の回線の声が聞こえてしまう混線や、オーディオ機器のステレオで左右の音が混ざり合うことを意味した。プリント基板では、並行する信号線が電磁的に結合しやすく、一方のパターンに電圧を加えると隣接するパターンに電圧が誘起されることがある。誘起電圧は意図していない信号なので、ノイズといえる。相互キャパシタンスや相互インダクタンスによって2つの信号線路には容量性/誘導性結合があり、一方の信号線の電圧(や電流)が変化すると、隣の信号線にノイズ(電圧変動、電流変動)がおきる。結合の度合いや影響の大きさは各種の条件によるので、クロストークが問題にならない場合もある。 現在の高速デジタル信号の品質評価では、クロストークは重要な試験項目である(以下の参考記事「キーサイト・ワールド 2018」でHDMIの例を取材している)。 キーサイト・テクノロジーにはオシロスコープのオプションにクロストーク解析アプリケーション(N8833Bなどのソフトウェア)があった(現在は生産終了)。

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