計測関連用語集

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RAMScope(らむすこーぷ)

DTSインサイトの「制御ソフト検証ツール」の名称。組込みシステムに使われるマイコンのアルゴリズム変数を計測し、制御モデルのふるまいをリアルタイムに見える化する同社の看板製品。自動車の開発プロセスで、単体テストから実車計測までの幅広い工程で使われている。 RAMScope-EXG(GT170シリーズ)は電源通信モジュール(GT170U01)に各種の計測モジュールを追加(スタック)することで構成される。計測モジュールにはRAM計測モジュール(GT171M01)、CAN計測モジュール(GT171C01)、AD計測モジュール(GT171A01)などがある。 組込み機器や車載機器市場で長年事業展開してきた同社が、車載機器のV字の開発工程で提案する(HILSなどのMBD製品とは異なる)ユニークなオリジナル製品である。 DTSインサイトは組込み機器市場の大手メーカ。1990年代初めに発売したadvice(アドバイス)はICEのトップブランドとして長くヒットした。JTAGなどの登場や国内の携帯電話開発メーカ数の減少によって(2010年代に)ICE市場が激減して(adviceの売上も共に減少)以降は、車載機器の計測・評価支援や、生体情報システムなどの医療機器、デジタルテレビジョン放送の監視・解析・計測機器など、ICE以外の事業を幅広く行っている。現在でも「組込み機器の開発支援や受託開発」をする大手企業の1社である。組込み機器のSIer(エスアイヤー)といったら少し大げさであろうか。 社名のDTSは全角である(通常、大文字の英字は半角が一般的)。カメラで有名なCanonはキャノンではなくキヤノンで、「表記を間違いやすい」という点で似ている。2文字目はャ(小文字)ではなくヤ(大文字)だが、Canonのことを発音する時は、キヤノンではなくキャノンといっている(キヤノンと発音している人はほぼいない)。表記「キヤノン」と(一般に流布している)発音「キャノン」が違っている、大変珍しい会社名である。通常の発音に惑わされて表記を「キャノン」にしてしまうと、ビジネスマンとして恥ずかしいことになるので(Canonは世界的な大企業なので)注意が必要である。つまり、会社名「キヤノン」は、それを正確に読むと、ki-ya-no-nなのだが、世間一般にはキとヤを別々になど発音せず、kya-no-n(キャノン)と呼称している。DTSインサイトのDTSが全角な理由は不明。

RISC(りすく)

(Reduced Instruction Set Computer) 和訳すると、最小命令セットコンピュータ。マイクロプロセッサ(MPU、CPU)の設計思想として「命令セットを縮小にする」ことが1980年代に提案され、その方針に基づいてつくられたMPUのこと。RISCのMPUの出現によって、そうでない従来のMPUはCISC(Complex Instruction Set Computer、複雑命令セットコンピュータ、読み方:しすく)と呼ばれる。RISCは1つの命令は簡単な処理しか行わないので高速にでき、複数の縮小命令によってプロセッサの能力を高める(高速処理にする)という設計手法。逆にCISCは1つの命令が複雑な処理をでき、命令数を減らすことでトータルパフォーマンスを高めるという考え方。現在、RISCとCISCの両方のチップがあり、用途によって使い分けられている。RISCチップは高性能なコンピュータ(パソコン、サーバ)や携帯機器(スマホなど)のMPUに採用されている。2020年10月にはRISC-V(リスク-ファイブ)が技術ニュースで話題になっている。 株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集では以下のような説明がある。RISC:基本命令しか持たないようにする事により、CPU内部回路が簡略化され高速処理ができるようになった。通常1クロックで1命令を実行する事ができる。これに対するのがCISCアーキテクチャーである。

RISC-V(りすくふぁいぶ)

カリフォルニア大学バークレー校で開発され、オープンソースで提供されている命令セット・アーキテクチャ(ISA:Instruction Set Architecture)。多くの半導体デバイスメーカがRISC-Vに準拠するCPUを開発・出荷している。 RISC-Vの大きな特長は、命令の追加を自由に行えることと、ライセンス料やロイヤルティ(Royalty、権利者への報酬、著作権使用料)が不要なこと。たとえばARMならば、命令追加はARMにしかできない。x86(インテルの開発した86系のCPU)やARM、MIPS(ミップス)などに比べて、半導体デバイスメーカとの契約(ライセンス料)などの手間がない(オープンな規格のCPUコア)ので、「組込みシステム業界を一変させる可能性がある」、とまでいわれている。 一般社団法人 組込みシステム技術協会(Japan Embedded Systems Technology Association、略称「JASA」※)の技術本部にはRISC-V WG(RISC-Vのワーキング グループ)があり、「自由に活用できるRISC-Vプラットフォームを開発する」活動を行っている。「RISC-V International」という団体がRISC-Vを「管理」している。ただしプロセッサの命令セットを決めているだけで、ARMのようにARMコア(設計仕様)をライセンス販売するわけではなく、インテルやAMDのようにx86のチップを売っているわけでもない。 RISC-Vの語源(由来)は「5番目のRISC」という意味らしい(「Vはベクターでもある」、と設計者が語っている)。素人はリスク・ブイと読みそうである。RISCはReduced Instruction Set Computerの略だが、RISC-Vを「Reduced Instruction Set Computer-Vの略記」とはあまりいわない。もはやRISC-VはRISC-Vという単語(ことば)である。 RISC-Vは研究開発用途から製品まで採用が広がっているので、ICEメーカも対応している。以下に2例を示す。京都マイクロコンピュータ(KMC)はJTAGのデバッガ、PARTNER-Jet2のRISC-V対応版を2022年9月にリリース(2022年8月プレス発表、「RISC-Vのソフトウェア開発環境について」)。DTSインサイトのJTAG ICE、デバッグ ツールadviceXross(アドバイス クロス)は、新機能としてRISC-V特有のカスタム命令PMP、HPMに対応。2024年1月16日に東京大学で開催される「RISC-V Day Tokyo 2024 Winter」(主催:一般社団法人RISC-V協会)に出展し、RISC-Vアーキテクチャでのデバッグ実機デモを行う(2024/1/11配信、メールニュース「adviceXross for RISC-V」)。 RISC-Vベースのプロセッサ開発を行うQuintauris社が2023年12月にドイツで設立された。半導体大手の5社、Robert Bosch(ボッシュ)、Infineon Technologies(インフィニオン)、NXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)、Qualcomm Technologies(クアルコム)、Nordic Semiconductorなどが共同出資して、車載向けを手始めにモバイル、IoT向けもラインアップする方針である。 半導体設計用EDAの大手、Synopsys(米国、シノプシス)(※2) は、半導体IP(Intellectual Property、知的財産)コアではARMに次いで2位である。同社はRISC-Vコア「ARC-V Processor IP」を2024年に提供する、と2023年11月に発表した。業界2位のベンダがコア提供を表明したことで、RISC-Vを採用したSoC( System-on-a-Chip )の開発が一段と加速する。 Rapidus(ラピダス)株式会社(※3)は2027年を目途に2nm以下のロジック半導体の開発・量産を行うことを掲げる、国産の先端半導体デバイスメーカである。RISC-VプロセッサとAI用のASICを開発するTenstorrent(カナダ、テンストレント)社は、RapidusとIPコア開発に関して協業することを2023年11月に発表した。 このようにRISC-Vに関する話題(ニュース)は多い。特に電動化(EV)が進展する車載向けで新しいデバイスの開発が登場しそうである。前述のインフィニオンやNXPセミコンダクターズなどはRISC-Vが(オープン規格なので)業界の発展と自社の売上増に期待する旨のコメントを発表している。RISC-Vマイコンの増大を見込んで、KMCやDTSインサイトがICEのラインアップを増やしていることは前述の通りである。 ただしRISC-Vは米国政府の輸出規制の対象外のため、特に中国で人気がでている。そのため、米国の連邦議員が「米国企業が中国の半導体開発に関わることを規制する」ようにバイデン政権に働きかけている。共和党と民主党の双方の上院議員が「中国政府は米国技術やRISC-Vを悪用し、軍事力強化につながる懸念がある」と主張している(2023年)。米政府が規制を強化すれば、米国企業のRISC-V活用に制限がかかり、RISC-Vによる自由な半導体開発の障害となるかもしれない。オープン規格による発展と防衛(セキュリティ)は難しい課題であるが、「いびつな経済大国の中国が自由競争の大きな障害となっている」と筆者は感じる。 (※1)通常、JASAというと「特定非営利活動法人 日本セキュリティ監査協会(Japan Information Security Audit Association)を指し、情報セキュリティ監査(適合審査)の実施や制度の普及促進、監査人の育成をしている団体である(読み方:ジェーエーエスエー)。 (※2) SynopsysはAnsys(アンシス)を買収する、と2024年1月に発表。Ansysは世界No.1のシミュレーションソフトウェア(‎構造解析、‎熱流体解析、電磁界解析など)の会社で、EVなどのモータの開発・設計に使われている(日本ではCAE分野の解析ソフトウェアの大手、サイバネットシステム株式会社が販売店)。「Synopsysの先駆的なEDAと、Ansysの広範なシミュレーション/解析ポートフォリオを統合することで、シリコンからシステムまでの設計ソリューションが提供できる」としている。国産No.1のシミュレーションソフトウェアはJMAG(以下の参考記事が詳しい)。産業機器の開発では、計測器による実測とシミュレーションの両方が使われることが多い。 (※3) Rapidusは、トヨタ自動車、デンソー、ソニーグループ、NTT、NEC、ソフトバンク、キオクシア、三菱UFJ銀行の8社が出資して、2022年8月に設立された。

ROM ICE(ろむあいす)

ROMソケット或いはROMに使用されるバスコネクタにケーブルを接続してそのエリアをエミュレートする手法。別名:ROMエミュレータ。メリット:エミュレーションメモリを持っている。ROMエミュレーションであるため ハード的には汎用性があり同じCPUシリーズ内であれば、ピン、内蔵IO等が相違しても、そのまま使用する事ができる。価格的に安価。デメリット:しかし、あくまでも外部ROMをエミュレートする関係でシングルチップ(内蔵ROMタイプ)には使用不可能である。さらに、ユーザーシステムに、モニタプログラムを埋め込む必要がある。また、ブレークなどのコントロールにNMIやRESET信号が必要になる。システム暴走に弱い(モニタも暴走してしまう)。ハードターゲットが未完成では、動作できない。ソフィアシステムズ(現Sohwa&Sophia Technologies)は唯一外部フラッシュROMのエミュレート機能があるROM ICEをつくった(特許があり他社はつくれない)。「フラッシュROMエミュレータ」や「フラッシュメモリエミュレータ」とも呼ばれる。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より)

ROMエミュレータ(ろむえみゅれーた)

(ROM emulator)DIPなどのROMソケットにつないで、CPUに直接、機械語を送信する方式のエミュレータ。別名:ROM ICE。安価な簡易エミュレータだが、制約もあり、高機能CPUには向かない。JTAGなどのオンチップエミュレータの1種とされることもあるが、当サイトの機種群では独立したカテゴリーにしている。

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