計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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Tx(てぃーえっくす)

有線・無線通信で送信データのこと。Transmission dataの略記。送信機はtransmitter(トランスミッタ)と呼ばれ、小文字のxはデータの意味。送信機自体をTxと表記している例もある。Txと対になる受信データはRx(Received dataの略記)と記載される。Tx同様に受信機をRxと表記することもある。

データレコーダ(でーたれこーだ)

従来の定義は「テープなどの大容量・長時間記録ができるメディアにデータを記録するタイプのレコーダ」だが、現在ではその定義に収まらないモデルが多く発売されている。 機器としてのテープレコーダ(オーディオ機器やコンピュータなどの記憶媒体としての情報機器)をつくっていたSONYとTEACは、その技術を使い、テープに記録し、再生もできる計測器としてのレコーダをつくった。これを「データレコーダ」という。SONYはテープもつくっていたが、その生産終了によって、ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズはデータレコーダの生産を終了した。TEACはテープでなくデジタルメモリ(SDカードなど)を使ったデータレコーダを1モデル続けたが、従来の(テープの)データレコーダほど顧客のニーズには合致せず、ほとんどデータレコーダから撤退状態になった。 記録計(レコーダ)の主流はアナログからデジタルに変わり、デジタルオシロスコープ同様、サンプリングしたデジタルデータで記録される。ただし、従来の測定データ(バックエンド)は長らくアナログデータとして保存・保管されてきた。何か不具合や問題が発生すると、保存してあるアナログデータをデータレコーダに入力し再生させる(データレコーダと普通のレコーダの違いは再生機能の有無)。あたかも今、その現象(振動や騒音やひずみ)が発生している状態を再現し、問題解析や分析を行う。保険の意味も含めて、既存メディアで保管されているアナログデータを再生できる測定器としてデータレコーダは需要を保ってきたが、メディアとしてのテープが生産中止になるとほとんどのデータレコーダは生産終了した。 近年SSDなど(HDDより信頼性が高い大容量記録媒体)の安価な普及に伴い、廃止から10年近いブランクをおいて国内計測器メーカ1社が新製品で再参入した(TEACは2012年に新製品のワイドバンドデータレコーダーWX-7000シリーズを発売)。輸送機器などの評価に多チャンネルのひずみ・振動測定用として使われているが、多チャンネルのひずみデータロガー(ひずみ測定に特化したロガー)もこの分野には普及している。昔からの再生機能があるデータレコーダは鉄道、飛行機などの運輸や、宇宙・防衛の市場でまだ使われている。ひずみデータロガーに置き換えたユーザも多いが、前述の1社が再参入したように、データレコーダはまだ根強い人気(需要)があると推定される。 リオンは環境計測の会社で、騒音・振動の計測器の国内トップベンダーである。屋外で騒音や振動を計測する際、各種のセンサからの信号を受けて増幅し、デジタルデータにして記録したり、PCに送るための騒音・振動用のフロントエンドは、データロガー(やチャージアンプ、またはアンプを内蔵したデータロガー)が担う。リオンには4chの(屋外で使うことを想定した小型のハンドヘルド)のデータロガーDA-21があるが、なんとこの製品は集録データを再生できるデータレコーダである(品名も「データレコーダ」)。操作部にはREC(記録)とPLAY(再生)のボタンがある。メモリは最大32GBのSDカードに対応している。SONYの関連会社やTEACなどのデータレコーダメーカがデータレコーダをほとんどつくらなくなったので、振動・騒音という自社製品群のためのフロントエンドである(振動・騒音用途の)データレコーダを自社開発したと推測される。環境測定の顧客ニーズに応えたモデルといえる。 無線計測器の雄、ローデ・シュワルツには、「I/Q データレコーダー」なる品名のモデルがある。製品説明には「デジタルI/Q データストリームを記録・再生できるレコーダ。 デジタルI/Q インタフェースを備えた複数のR&S製品と組み合わせて使用すると、データをリアルタイムで保存または再生できる」とある。この製品はデジタル方式の移動体通信などで使う高周波(RF)の信号発生器であるI/Qジェネレータなどと併用されると思われる。「記録と再生ができる」という機能はまさに「データレコーダ」であるが、低周波の基本測定器であるレコーダの1機種群がデータレコーダだと思ったら大間違いで、無線通信の分野の専用測定機と併用するデータレコーダなのである。 「データレコーダ」という単語は大変に平明なことばだが、計測器でその意味するところは奥深い。今後も新しいデータレコーダ製品が出現するかもしれない(以下に紹介する、従来からの「テープに記録して、再生できる」データレコーダではなく)。 計測器情報: データレコーダの製品例(テープに記録する従来からのモデル)、 TEACのWX-7000シリーズ、 リオンのデータレコーダDA-20/21/40、ローデ・シュワルツのI/Qデータレコーダ―

デジタル信号発生器(でじたるしんごうはっせいき)

デジタル変調した信号を発生できる信号発生器。携帯電話の通信方式がアナログからデジタル化された1980年代に、機種が増え、RF測定器のメーカから多くのモデルが発売された。通信で使われる変調方式の進化とともに、その需要に対応するモデルが発売されている。メーカとしては世界的にも、キーサイト・テクノロジー、ローデ・シュワルツ、アンリツが3大RF計測器メーカといえる。携帯電話に3Gが導入された当時に通信測定器に参入したアドバンテストや横河電機も、限られた機種群をラインアップしていたが現在はすべて生産終了(撤退)している。AWGなどの信号発生器のラインアップがあるテクトロニクス社の技術資料には「デジタル波形ジェネレータ:デジタル・パターンを出力する信号発生器の一種で、ロジック信号発生器とも呼ばれる」という用語解説がある。「デジタル波形ジェネレータ」という表現は他社ではほとんど見られない。また「ロジック信号発生器」というと、本稿で説明しているデジタル変調信号を出力できるモデルではない。であるから、テクトロニクス社の「デジタル波形ジェネレータ」は「デジタル信号発生器」とよく似た単語だが、別の用語である。

テラヘルツ波(てらへるつは)

100GHz~1THz(テラヘルツ)の周波数帯域を指している。2020年に日本で商用開始した5Gで使われるミリ波(~40GHz)よりも高い周波数。Beyond 5G(いわゆる6G)ではまずマイクロ波(100GHz~300GHz)の利用が検討されているが、その上の帯域のテラヘルツ波も視野に入っている。

TELEC(てれっく)

一般財団法人テレコムエンジニアリングセンターの略称。一般には「テレック」と呼ばれている。日本を代表する無線設備の認証・試験機関。1978年に無線設備検査検定協会(MKK) が創設され、1998年にTELECに名称変更した。日本では無線局を開設するなど、無線を運用するには認可や、技術基準適合証明(技適)の取得が必要になる(電波法で規定されている)。TELECは日本の電波法に基づき、無線設備の技術基準適合証明などを業務にしている。

電電ファミリー(でんでんふぁみりー)

NTTの前身である日本電信電話公社は製造部門を持っていなかった。研究開発を製品化するNTTの出入りメーカ(お抱え企業、下請けメーカ)をNTTのファミリー企業という意味でこう呼んだ。通信装置はNEC、富士通、沖電気、日立製作所がつくったのでNFOHと呼称された(一番はNとFで三番がOという、比率を表していると業界ではいわれた)。新しい規格に対応した通信装置(伝送交換)が導入されるときは、同じく電電ファミリーの大手通信計測器メーカ、アンリツと安藤電気が対応する計測器を開発した(たとえば1970年代から光ファイバによる光通信が導入されると、この2社が光通信測定器をつくり、R&Dから通信網の敷設・保守までほぼすべての測定器をラインアップした)。NTTは2社に仕様を示し製品を作らせる。性能が同じ2社の製品があることで、1社に依存しないというリスクヘッジになる。NTTが日本の基幹通信網を独占し、アメリカのベル研究所と肩を並べて研究開発をしていた時代のことである。 その後、通信の自由化によってNTTは分割され、ほかの通信事業者が参入して現在に至る。日本の通信料金は下がり安価になったが、研究開発や国際的な通信規格の策定の力は衰えたという指摘もある。NTTは2019年にIOWN (Innovative Optical and Wireless Network、アイオンと呼称)構想を公表した。光トランジスタの開発によって、従来の電子を使った半導体による通信網を完全なフォトニクスにすることで、世界的なゲームチェンジを狙う。NTTは2020年にNTTドコモの完全子会社化を終え、2021年にはNTTコミュニケーションズ(NTT com)とNTTコムウェアもグループ内へ編入する。過去の分社化から一転、強いNTTの復権がうかがえる。 JR東海は鉄道車両メーカの日本車輌製造(愛知県豊川市)を子会社にした。世界で競えるインフラを作り、輸出によって豊かな国になるためには、上流のR&Dから製造まで独占的な強い企業が必要という、冷徹な国際事情が存在する。たとえば原子力発電の世界有数メーカであるフランスのアレバ社はフランスの国有企業である。フランスは原子力発電を国策ととらえ、世界的なビジネスをしている。日本が世界に伍する技術分野に通信が復権するかはまだ不透明である。 参考用語:原子力発電所、重電メーカ、パワー半導体

電波技術協会(でんぱぎじゅつきょうかい)

通信技術、放送技術の円滑な普及、発展に貢献することを目的に1952年設立。1953年にはテレビ修理試験業務を開始し、テレビジョン技術者養成所を設置。 ホームページ(HP)に会社概要は無い。名称が「一般財団法人 電波技術協会」であること、略称がREEA(Radio Engineering Electronics Association)であることがHPより推測される。「通信技術、放送技術の調査、試験研究、普及啓発などの事業を行い、日本の電波利用の発展に微力ながら貢献してきた」旨が書かれている。理事長の氏名以外は不明(評議員や役員がいるもよう)。HPには「賛助会員入会案内」と「賛助会員専用ページ」がある。(2023年9月現在) 素人には電波産業会(ARIB、アライブ)と間違いやすいと筆者は思う。

電波産業会(でんぱさんぎょうかい)

正式名称:一般社団法人 電波産業会。通信・放送分野の電波利用について、調査・研究・コンサルティングを行っている団体。通称のARIB(アライブ)で呼称されることが多い。

電波法(でんぱほう)

無線通信の混信を防ぎ、電波の効率的な利用を確保するためにつくられた法律。電波法では無線通信に関して次の規制などが設けられている。無線局の免許・登録制、無線設備に関する規制、無線従事者に関する規制、無線局の運用に関する規制。無線設備の認証マークである技適や、違反時のペナルティ(罰則)も規定されている。電波は携帯電話、テレビ、ラジオ、警察、消防など多くの公共インフラで使われるので、「公平、能率的に電波を利用し、公共の福祉を増進する」ために電波法令がある。

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