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- IEICE EXPO(あいいーあいしーいーえきすぽ)
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一般社団法人 電子情報通信学会は英語表記「The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers」の頭文字をとったIEICEを略称にしている。その名の通り「電子、情報、通信」の3分野を扱う学術団体。1911年(明治44年)に逓信省に設置された研究会が元になったといわれている。電気学会(IEEJ)、情報処理学会、照明学会、応用物理学会(JSAP)、映像情報メディア学会を含めて、電気系6学会と呼ばれる。 IEICEは3月に発表・講演会である総会(General Conference)を行うが、これを「総合大会」と呼んでいる(※)。他の学会同様に学会に参加する先生たちの所属する大学で行われる(都心と地方の大学を毎年、交互に設定しているようである)。イベントとして展示会が併設され、10~20社程度の企業展示がある。これがIEICE EXPOと呼ばれるイベントである。IEICEのホームページでは、たとえば「IEICE EXPO 2025 東京(企業展示)」のタイトルで出展社を掲載している(2025年3月現在)。 IEICEが主催し、毎年11月末頃にパシフィコ横浜で開催されるMWE(Microwave Workshop&Exhibition、マイクロウェーブ・ワークショップ)にもマイクロウェーブ展があり(以下に参考記事あり)、IEICE EXPOはそのミニ版といえる。計測器メーカとしては通信御三家のキーサイト・テクノロジー、ローデ・シュワルツ、アンリツに加えて、キャンドックスシステムズやテクノプローブなどが常連の参加社である。各企業とも馴染みの先生方との長年のお付き合いがある。 IEICE EXPO 2025(3/24~27開催)は東京都世田谷区の東京都市大学(旧 武蔵工業大学、通称「ムサコウ」)で催され、主な参加社と展示は以下である(製品やサービスを展示した17社の中の11社を概説)。常連の出展社から筆者が聞いた話では、2025年の出展社は通年よりも多いらしい。IEICEはMWEという大きなイベント(講演会&展示会)があるので、IEICE EXPOは大学で開催するミニ展示会である。NWEのような学会主催の展示会は他にはなく、IEICE EXPOと同じ3月に開催される応用物理学会のJSAP EXPOには約150社、電気学会の「電気学会 全国大会 附設展示会」には約40団体が出展し、中~大規模の展示会となっている。 ・キーサイト・テクノロジー:USB計測器のVNA、FieldFox(フィールドフォックス)。 ・ローデ・シュワルツ:スペクトラムアナライザ、高分解能オシロスコープ(最新の8chモデル、いわゆる多チャンネルオシロスコープ) ・アンリツ:人材採用展示コーナで、製品展示はしていない。人事総務部 人財開発チームが説明。 ・(株)キャンドックスシステムズ:カプラやアンテナ。 ・(株)テクノプローブ:RFのプローバ関連製品(RF Probe Headなど)。 ・丸文(株) アントレプレナ事業本部 イーリスカンパニー 情報通信課:EXFOのOLTSと「ファイバー検査スコープ」(光コネクタなどの端面を検査できるハンディモデル) ・有限会社ハイテクアンドファシリティ:RFの計測器を展示。中古計測器の販売と、計測器の修理を業務とし、2001年に設立(本社:千葉県市原市)。 ・リゴル:オシロスコープ、AWG。前週の3/17まで開催されたJSAP EXPOと同じ展示品を「電気学会 全国大会 附設展示会」、IEICE EXPOに順番に持ってきている。 ・T&Mコーポレーション(株):Siglent Technologies(シグレント、新興の中華系オシロスコープのメーカ)のオシロスコープやスペアナほか。令和7年が初参加の輸入商社。 ・ハイソル(株):半導体製造の後工程の機器(JSAP EXPOに出展した中から、ごく一部を展示)。理化学機器や計測器の輸入商社。今回が初参加だが、展示品はJSAPほどフィットしなかった様子。 ・テガラ(株):科学技術計算用のHPC(High Performance Computing)製品。本社は静岡県浜松市。 Ansys(アンシス)のサイバネットシステム(株)やComsol(コムソル)の計測エンジニアリングシステム(株)などシミュレーションソフトの取り扱いメーカも出展しているが、今回の目玉はFlexcomputeである。最近開発されたGPUベースのシミュレーションで、従来のCPUベースより格段に高性能で、スーパーコンピュータよりも計算速度が速いらしい。米国のボストンにプラットフォームがあり、依頼すると有料で計算ができる。製品(シミュレーションソフトウェア)の販売はしていない(ソフトを動かすためのハードウェア構築には億円単位の投資が必要になるため)。会社はエヌビディアのチップを使っているが、単にGPUを使えばできるということではなく、アーキテクチャにノウハウがあり、容易には真似できないらしい。電磁界解析のTidy 3Dや流量解析モデルがある。昨年、韓国のサムスンは副社長が「すべてFleccomputeに変える」ように指示した。TSMAも導入した。「日本の大学へも今日のようにPRしているが、日本企業は判断が遅いので世界の流れに取り残されないか危惧している。従来のCPUベースのシミュレーション製品は遠からず淘汰されてなくなるだろう。」という、大変自信に満ちた説明だった。 (※) 学会によって発表・講演会の名称は異なる。IEICEは「総合大会」だが、電気学会は「全国大会」、JSAP(応用物理学会)は「学術講演会」である。名称に規定はないので、各学会は自由に(先生方は好き勝手に)名称を決めている。また電気学会の全国大会には併設展示会(電気学会 全国大会 附設展示会)があり、JSAPの学術講演会にはJSAP EXPOが開催される。IEICE EXPO、附設展示会など、展示会名称も様々である。
- ISMバンド(あいえすえむばんど)
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(ISM band)RF、マイクロ波などの無線周波数の電波を通信以外の工業、医療などの分野で使うこと。ITU(国際電気通信連合)によって周波数帯が確保されているが、運用は国ごとに違っている。ISMはIndustrial,Scientific and Medicalの略。なので「ISMバンド」を直訳したら「産業・科学・医療用バンド」。代表例はマイクロ波による加熱(いわゆる電子レンジ)である。 日本での事例としては電子レンジ(2.4GHz)、ワイヤレス給電(6.8MHz、920MHz、2.4GHz、5.7GHzなど)など。 ISMは無線通信の周波数なので、計測器としては27MHz、2.4GHz、などの信号発生器や増幅器が、RF/マイクロ波の高周波計測のメーカから「ISM用途」、と銘打って発売されている。つまりISMバンドに関連する計測器のカテゴリーは無線通信である。
- IF信号(あいえふしんごう)
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(Intermediate Frequency)日本語では「中間周波数」だが、IFという表記の方が良く使われている。無線通信システムの中で、信号の周波数を変換している中間段階の周波数のこと。 IFだとif(もしも)の意味もあるので、本解説のタイトルは「IF信号」にしている。
- I/Q信号(あいきゅうしんごう)
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(In-Phase/Quadrature-Phase signal) I/Qを翻訳すると「同相/直交位相」。携帯電話など、 現在の無線通信で主流となっているデジタル方式では、I/Q信号やI/Q変調はもっとも基礎の概念である。I/QまたはIQという表記が使われる。信号をベクトル表示する場合、直交座標ではIとQの2成分で表現することができる。具体的な計測器ではデジタル信号発生器にIQ出力の機能があるモデルが、移動体通信関連測定器として使われている。I/Q信号の信号発生器はI/Q変調信号発生器やI/Qジェネレータと呼ばれる。 IQだと知能指数(Intelligence Quotient)の意味もあるため、本解説ではタイトルを「I/Q信号」にしている。 計測器メーカの資料ではIQ(またはI/Q)は以下のように使われている。 ・デジタルIQ信号発生器(Digital IQ Signal Genelator)VB2000(横河技報2000年Vol.44) ・I/Q変調信号発生器R&S®AFQ100B (ローデ・シュワルツのホームページ) ・RF信号発生器MSG703によるIQ変調(マイクロニクスのホームページ) ・IQフォーマットは他のアナログ変調やデジタル変調よりも多くの情報を伝送でき・・(テクトロニクス「信号発生器のすべて」より) ・802.11axアナログベースバンドIQテストソリューション(キーサイト・テクノロジーのホームページ)
- I/Q変調(あいきゅうへんちょう)
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I:In-Phase(同相)、Q:Quadrature-Phase(直交位相)。別名「直交変調」とも呼ばれ、現在普及しているデジタル方式の無線(携帯電話など)の基本的な技術として使われている。IQという表記も多いが、知能指数と間違うため、当サイトではI/Qにしている。 デジタル変調方式では、アナログ変調のAMやFM、PMをデジタルにしたASK、FSK、PSKがある。各略記の「SK」はShift Keyingのことで、デジタル変調は(アナログのようにmodulationではなく)英語をカタカナ表記した「○○シフトキーイング」という日本語で呼ばれている(たとえばASKは「振幅シフトキーイング」)。 I/Q信号など、I/Qは多くのことばに使われる。I/Q信号の信号発生器はI/Q変調信号発生器やI/Qジェネレータと呼ばれる。
- IEEE802.11(あいとりぷるいーはちまるにどっといれぶん)
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IEEEが策定した無線LAN関連の規格。IEEE802.11a / b / g / n / ac / ax / beなどがある(規格名はアルファベットの早い順に古い)。別名、Wi-Fiの規格である。 IEEE802.11aから始まり、1999年に策定された11bは2.4GHz帯で帯域幅22MHz、最高速度11Mbpsで、変調方式はDBPSKとDQPSK(※)だった。11nをWi-Fi 4と呼び、以降11acがWi-Fi 5、11axがWi-Fi 6で、2023年末に策定された11beがWi-Fi 7になる。11beはExtremely High Throughput(EHT)とも呼ばれ、2.4GHz、5GHz、6GHzの3帯域全てを利用できる。Wi-Fi 6は世界中で増加するデバイス数に対応したが、Wi-Fi 7は全デバイスに超高速通信をもたらすための規格で、帯域幅320MHz、変調方式4096QAMを採用し、Wi-Fi 6の4.8倍、Wi-Fi 5の13倍の速度が可能になった。Wi-Fi 6でstreamに採用したOFDMAも、8から16に倍増している。 アンリツのワイヤレスコネクティビティセット(WLAN用測定器) MT8862Aはワイヤレスジャパン2024(5月 東京ビッグサイトで開催)で、11be対応モデルを展示した。また同時期に開催されたローデ・シュワルツ Technology Symposium 2024(創立90周年記念企画)ではWi-Fi 7に対応したシグナリングテスタが展示された(以下の参考記事が詳しい)。 (※)PSK(Phase Shift Keying)はデジタル無線で使われる代表的な変調方式。日本語では「位相偏移変調」、「位相シフトキーイング」と呼ばれる。BPSK(Binary Phase-Shift Keying)は2位相偏移変調、DBPSK(Differential encoded BPSK)は差動同期BPSK。DQPSK(Differential Quadrature Phase-Shift Keying)は差動4位相偏移変調。DQPSKは、見た目はQPSKと同じで区別がつかない。
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