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記録計・データロガーの基礎と概要 (第2回)

<連載記事一覧>

第1回:「はじめに」「記録計の歴史」「記録計の最近の動向」「【コラム】 よい記録計とは」

第2回:「記録計の内部構造」「記録計を利用する上での留意点」「パソコンなど制御装置との組合せ」「【コラム】測定用記録計の販売企業一覧」

第3回:「さまざまな温度センサ」「温度センサの校正」「【コラム】横河電機の記録計事業への取り組み」

今回は記録計を利用する際に必要な基礎知識を解説して、信頼性の高い測定結果を得るための方法や効率的に測定する方法を紹介する。

記録計の内部構造

記録計には古くからある紙に記録するタイプと、最近主流となっているペーパーレス記録計がある。紙に記録するタイプは機構部分があるため複雑な構造になっている。

紙に記録するタイプの記録計(チャートレコーダ)の構造

紙に記録するタイプの記録計にはさまざまなタイプがあるが、ここではマイクロプロセッサを搭載したμR10000のペンモデルを例に説明する。

図12. μR10000の外観(2004年)

μR10000の概観

出典:横河電機

図13. μR10000ペンモデルの全体構成ブロック図

μR10000ペンモデルの全体構成ブロック図

入力部

電圧(シャント抵抗と組合せで電流も可)、熱電対、測温抵抗体、接点が接続できる構造となっている。入力は本体から絶縁されているため、コモンモード電圧が異なる入力も接続できる。

最近の入力部はA/D変換器にスキャナが組み合わされて、2入力を1つのA/D変換器で取り扱えるようになっている。A/D変換器の積分時間は電源ノイズの影響を受けないように、電源周波数を自動的に検出して、20msecもしくは16.67msecになる。

熱電対を利用した場合には基準接点補償(RJC)が必要となるため、入力部には端子台の温度を測定する機能を有する。

ペン・サーボ

入力された信号に比例した位置にペンを移動させる機構のことをペン・サーボという。紙に信号波形を書く記録計の場合は、この機構の開発が重要となる。従来は駆動にDCブラシレスモータが使われていたが、新しい記録計では低消費電力のステッピングモータが使われるようになっている。

μR10000では下記の3つの要素で構成されている。

  1. ステッピングモータおよびラック&ピニオン機構
  2. 光エンコーダによる位置検出機構
  3. 制御回路

プロッタ

μR10000では記録紙に波形とともに、記録紙の余白にチャネル番号やタグネームや記録時間、さらにはゼロ、スパン値などの情報を印字することができた。

マンマシン

限られたエリアで判り易い表示を行う工夫がされている。各ペンの位置を示すバーグラフ表示と数字や文字を表示する領域に分かれている。表示器は視認性のよい自発光のフルドットVFD(蛍光表示管)が使われている。

μR10000は工業用記録計であり設定を頻繁に変える必要がないため、キーボードは扉を開けた内部に取り付けられている。

ペーパーレス記録計・データロガーの構造

ペーパーレス記録計・データロガーには電池で駆動するコンパクトな製品から、最大1000chを超える入力を持つ大型の製品まである。ここでは高性能で多機能なSMARTDAC+を例に構造を解説する。

図14. SMARTDAC+の外観(2014年)

SMARTDAC+の外観

出典:横河電機

図15. SMARTDAC+システムブロック図

SMARTDAC+システムブロック図

SMARTDAC+は用途に応じたさまざまな入出力モジュールが用意されている。利用者は測定対象に合わせてモジュールを選択して、連結可能なモジュールベースに実装して利用する。

図16. SMARTDAC+の組み立て

SMARTDAC+の組み立て

出典:横河電機

入力モジュール、出力モジュールは下記が用意されている。

  1. 10chユニバーサルアナログ入力モジュール
  2. 10ch 低耐圧リレーアナログ入力モジュール
  3. 10ch 電磁リレーアナログ入力モジュール
  4. 10ch 直流電流アナログ入力モジュール
  5. 4ch 高速ユニバーサルアナログ入力モジュール
  6. 6ch 4線式RTD/抵抗アナログ入力モジュール
  7. 4ch アナログ出力モジュール
  8. 16ch ディジタル入力モジュール
  9. 6ch ディジタル出力モジュール
  10. 8ch入力/6ch出力 ディジタル入出力モジュール
  11. 10ch パルス入力モジュール
  12. PID制御モジュール(AI:2ch/AO:2ch、DI:8ch/DO:8ch)

SMARTDAC+のハードウェアはデータ収集モジュールと入出力モジュール間を高速通信ができる仕組みを持っている。またモジュールを高密度に実装するため、放熱特性も考慮されている。

画面を持たないタイプのSMARTDAC+への設定や記録結果の表示はすべてパソコンで行うため、メーカが提供するパソコン上の操作性は重要になってくる。特に大量に記録したデータに同期を取るための遅延補正機能を持つことは必要となる。

パソコンがなくても設定や記録結果の表示できるタイプのペーパーレス記録計もある。

図17. タッチパネルを持ったSMARTDAC+ GPシリーズ(2017年)

タッチパネルを持ったSMARTDAC+ GPシリーズ(2017年)

出典:横河電機

最近の設定/表示の機能を持つペーパーレス記録計では、タッチパネルを搭載して使い易い操作環境を提供している。

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