TechEyes

2021/07/26

自動運転を支える技術~安心安全技術の進化

独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)※1が令和3年5月25日に2020年度の「自動車アセスメント(JNCAP)※2」評価結果を発表しました。ナンバー1になった車両はスバル レボーグです。自動運転に関する最近の情報ではホンダ レジェンドが自動運転のレベル3を認証されたと報道されました。今後も自動運転に関する技術は日々進化すると推察されますが、自動運転技術の基本は安心安全な車両が基本要件であることは変わりません。

本稿では、まず、2020年度自動車アセスメント結果の概要を解説します。次に自動車メーカ各社の代表車種に搭載されている安心安全装置の実装状況を説明します。自動運転のレベルの定義や最新動向を述べた後に、自動運転化の技術として、カメラやレーダセンサ、高精度地図の概要を説明します。具体的にはミリ波センサ、LiDAR、ダイナミックマップなどを概説します。最後に安心安全技術の開発に関連する計測器類を紹介します。
《本稿の記述は、筆者の知見による解釈や、主観的な取り上げ方の面もあることをご容赦ください。また、本稿で取り扱う安心安全を向上させる機能は万能ではありません。詳細は車両メーカ各社の情報をご覧ください。また、本稿に記載されている技術情報は、当社および第三者の知的財産権他の権利に対する保証または実施権を許諾するものではありません。》

※1

(National Agency for Automotive Safety & Victims' Aid)自動車事故の発生防止およびその被害者への援護を主な目的とした組織。国土交通省所管の独立行政法人。業務内容などは独立行政法人自動車事故対策機構法によって定められている

※2

JNCPの概要は、本サイトの市場動向レポート「自動車の安心・安全を評価する仕組み〜日本の自動車アセスメントJNCAP」を参照。
https://www.techeyesonline.com/tech-eyes/detail/TechnologyTrends-2101/

自動車アセスメント結果の概要

令和3年5月25日、国土交通省とNASVAは自動車の安全性能を評価する「自動車アセスメント」において、2020年度の結果を発表しました。今回は10車種が評価されました。図1は自動車アセスメントの概要です。今年度から評価方法が変わり、従来、個々に評価されていた「衝突安全性能」と「予防安全性能」が統合され、さらに「事故自動緊急通報装置」と併せて評価されることになりました。評価項目は「衝突安全性能評価」が7項目、「予防安全性能評価」が7項目、「事故自動緊急通報装置」の有無となっています。各評価項目の点数をAランクからEランクに割り当てて、「衝突安全性能評価」と「予防安全性能評価」の両方がAランクであればファイブスター(5つの★)が付与されます。その中で最高得点を獲得した車種に「ファイブスター大賞」が贈られます。今回の対象はスバル レボーグでした。図2が2020年度の評価結果です。詳細はNASVAのWebを参照してください。
https://www.nasva.go.jp/gaiyou/pdf/2021/20210525_1.pdf

図1 自動車アセスメントの概要
図1 自動車アセスメントの概要

出典:国土交通省

図2 自動車アセスメント2020評価結果
図2 自動車アセスメント2020評価結果

出典:NASVA発表資料を抜粋

安心安全技術の動向

NASVAは国内で販売されている普通小型乗用車および軽自動車などの安心安全装置の実装状況を公開しています。最新版は2021年3月末時点です。図3は公表されている車種の一例です。実装状況は自動車メーカ間や車種間で差異はありますが、実装状況が進んでいることが判ります。詳細はNASVAのWebを参照してください。

図3 安心安全装置の実装状況
図3 安心安全装置の実装状況

出典:NASVA資料を抜粋

表1 各安全装置の機能概要
名称 機能概要
シートベルト(助手席、後席)着用警報 シートベルトを装着していないと警報します。助手席はほとんど装着されています。後席の警報装置は増えてきています。
被害軽減ブレーキ 衝突時の被害を軽減するために、減速するなどの機能です。対車両機能はほとんど装着されています。歩行者については、昼間だけでなく、夜間の走行でも対応できる車種が増えています。
車線逸脱抑制 車線からはみ出すことを抑制する機能です。車線をはみ出すと警報する機能は増えています。車線からの逸脱を防止し、車線内の走行を維持する機能の普及は自動車メーカ間でやや差があります。
後方視界情報提供 後方の視界を示す機能です。オプションも含めると普及しています。
高機能前照灯 照射角度の切り替えやハイビームを切り替える機能です。
ペダル踏み間違い時、加速抑制 ブレーキとアクセルの踏み間違いによる加速を抑制する機能です。オプションを含めて普及しつつあります。

自動運転に関する動向

自動運転技術はいよいよレベル3が適用されることになります。自動運転のレベルについては、後ほど説明しますが、レベル3では条件付きながら自動運転の判断が車両システム側で行われます。2021年4月、ホンダから世界初の自動化レベル3技術を搭載した自動運転車「レジェンド」が販売されました。法人向けリースとして100台の限定販売です。市場での情報収集が主な目的と推察されます。また、福井県永平寺町で、いわゆる第三セクタの「まちづくり株式会社ZENコネクト」が2021年3月から日本で初の車内が無人の自動運転の移動サービスを開始しました。運用距離は6km位ですが定時運用がなされています。海外ではドイツ政府が2021年2月に自動運転レベル4を可能にする法案を閣議決定しました。2022年までに法案の施行を予定しているようです。実施されれば世界初となるかもしれません。

ここで、自動運転のレベル分けについて説明します。図4は自動運転のレベル分けです。レベル1からレベル5が定義されています。図中に記載されていませんが、予防安全システムが搭載されているレベル0も定義されています。

図4 自動運転のレベル分け
図4 自動運転のレベル分け

出典:国土交通省

各レベルの定義についてまとめると、表2となります。自動運転の範疇となるのはレベル3以上となります。レベル3では運転の主体や周辺の監視は車両システムとなります。ただし、走行環境は高速道路などに限定されます。仮にアクシデントが発生した時の対応は運転者となります。レベル5では条件のない完全自動運転となります。詳細な定義などの情報はJASO※3「JASO TP 18004 2018 自動車用運転自動化システムのレベル分類及び定義」を参照してください。

※3

(Japanese Automotive Standards Organization)日本自動車技術会の自動車に関する規格化組織。JISで制定されていない事項を主として規格化。

表2 自動運転レベルの定義
レベルの層別 レベル 名称 概要 操縦※4の主体
運転者が一部または全ての動的運転タスクを実行 0 自動運転化なし 運転者が全ての動的運転タスクを実行 運転者
1 運転支援 システムが、縦方向または横方向のいずれかの車両運動制御のサブタスクを限定領域において実行
2 部分自動運転 システムが、縦方向または横方向両方の車両運動制御のサブタスクを限定領域において実行
自動運転システムが(作動時は)全ての動的運転タスクを実行 3 条件付き自動運転 システムが、全ての動的タスクを限定領域において実行
作動継続が困難な場合はシステムの介入要求等に適切に応答
システム
(作動継続が困難な場合は運転者)
4 特定条件高度自動運転 システムが全ての動的運転タスクおよび作動継続が困難な場合への応答を限定領域において実行 システム
5 完全自動運転 システムが全ての動的運転タスクおよび作動継続が困難な場合への応答を無制限に(すなわち、限定領域ないではない)実行
※4

認知、予測、判断、操作の行為

出典:官民 ITS 構想・ロードマップ 2020をもとに作成

改正道路運送車両法・保安基準により自動運転車であることを示すステッカを車体後部に貼付することを要請されています。

図5 自動運転車を示すステッカ
図5 自動運転車を示すステッカ

出典:国土交通省